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  1. 03/10/2021

    【日语有声朗读】猫、病院にいく-3朗读:yuki筱寻

    这本书联合朗读的另一位主播小姐姐~yuki筱寻猫、病院にいく-3 その数カ月後、トトは発情期を迎え、夫と相談した結果、不妊手術をしようと決めた。そうしてふたたび、トトを病院に連れていくことになった。 キャリーバッグに入れて外に出る。トトは鳴かないが、どこにいくのか理解しているのか、病院が近づくとぺったりとキャリーバッグの床にはりついて、気配を消している。だいじょうぶ、だいじょうぶとまたささやきながら歩く。猫に言葉が通じたらいいのになあと真剣に思う。いやがる子どもを病院に連れていく親というのはこんなにつらい気持ちなのか、いや、もっともっとつらいに違いないと、そんなことをはじめて思ったりする。 病院について名を呼ばれ、診察室に入る。診察台にのせると、先生に背を向け、ぴったりとおなかを台にくっつけて微動だにしない。先生がやさしく話しかけながら撫でると、先生にでもなく、私たちにでもなく、壁に向かって、ちいさなちいさな声で「シャー」と言った。 ええっ。これ、今の、トト、怒ったのか。ほかの猫が「シャーッ」と怒るのを見たことはあったけれど、トトの「シャー」を見たことがなかった。トトでも怒るのか。しかしなぜ壁に向かって、そんなちいさな声で! 先生も「なんてちいさいシャーなの!」と、思わず笑い出している。 さてこの日、トトは不妊手術を受け、はじめて病院に一泊することになった。トトがきてまだ一年もたっていないし、トトはめったに鳴かず音をたてることもないのに、トトのいない家は不気味なくらい静かだった。その不気味に静かな家で、私と夫は、うちにきたのがトトでよかった、本当によかった、運動神経が鈍くて心臓が悪くてスポイトを隠したりして、あんなにちいさな声で怒るあの猫で本当によかったと、まったく阿呆のようにくりかえしくりかえし話したのである。

    4 min
  2. 03/07/2021

    【日语有声朗读】猫、病院にいく-2朗读:yuki筱寻

    这本书联合朗读的另一位主播小姐姐~yuki筱寻さて、処方された薬であるが、三種類ある。ひとつは粉末を水で溶き、スポイトで飲ませるもの。もうひとつも粉末だが、こちらは少量の水で丸め、猫の口にぽんと入れるもの。三つめは錠剤で、砕いてごはんにまぜる。その日から、教わったとおりのやりかたでトトに薬を飲ませることになった。 トトはじつにおとなしい、聞き分けのよい猫で、薬もいやがることなくちゃんと飲んだ。この子はえらい、本当にえらい、ひいき目でな たたくてえらいと夫とともに褒め称えずにはいられなかった。 薬を飲ませるためのスポイトは台所に置いておくのだが、二、三日ですぐなくなる。あれ、どこかに置き忘れたかなと新しいものを出して使う。またなくなる。もしかして、トトがおもちゃと勘違いして遊んでいるのかなと、あたりをさがしてみるが見当たらない。そうしてある日、私は見つけるのである。なくなったスポイトたちを! トトのトイレのうしろには小型のステンレスの物置棚があるのだが、掃除のためにこの物置棚をどかしたところ、なんとスポイトが三つ、きれいに並んでいるではないか。トトがせっせと隠していたのである。ううむ、トトよ。あんなにおとなしく薬を飲んでいたけれど、じつはいやだったのだねえ。 しかし薬よりもかわいそうなのは、トトの大好きな激しい遊びをしてあげられないことである。もう少し年をとればおとなしくなるのだろうけれど、まだ一歳、遊びたいさかりのはず。しかも、運動神経が鈍いながら、跳んだり、走ったりするのが大好きなのだ。ボールをくわえて持ってきてぽとりと落とし、ニャオワーン、と鳴かれると、胸がふさがる思いだった。猫無知の私はひたすら途方に暮れて、がまんしようねと言って聞かせるだけ。するとやはりトトを不憫に思った夫が、さまざまなおもちゃを独自に作りはじめた。さすがに猫歴が長いだけあって、動きまわらずとも猫が夢中になる遊びを知り尽くしているのである。切ったストローを糸で結んだもの。ギターのピックの中央に穴を開け糸を通したもの。ボール紙を丸めて懐中電灯に巻きつけたもの(部屋を暗くし、細い先端から出る光を壁にあてる)。  そのへんにあるものでじつに多様なおもちゃを作りちいさなスペースで遊んでいる。にゃるほど、走らなくとも、跳ばなくとも、いかようにも遊べるわけか。数週間すると、トトはスポイトを隠すこともしなくなった。薬もいやがらずおとなしく飲んでいる。何かのきっかけでトトが猛然と走り出したときは、部屋のドアを閉めて走る距離を短くし、ほかの興味を引くような遊びをする。私たちもトトも慣れた。

    5 min
  3. 03/06/2021

    【日语有声朗读】猫、病院にいく-1朗读:yuki筱寻

    这本书联合朗读的另一位主播小姐姐~yuki筱寻猫、病院にいく-1しかし、猫がこんなにも遊び好きな生きものだとは思わなかった。猫無知の私のイメージでは、つーんとすまして座っているか、寝ているか、それが猫の常態だった。しかしトトは遊ぶ遊ぶ。しかも、激しく遊びたくて仕方がないらしい。跳んだり、走ったり、ということが、したくてしたくてたまらなそうなのである。ボールを投げるとくわえて持ってきて、もっとやってとせがむ。投ひもげてやるとまた持ってくる。終わりがない。紐状のもので遊ぶと、ぽーんとジャンプする。驚くほど高く跳ぶ。そのくせ、運動神経が鈍いものだから、壁に顔から突っ込んだり、高いところから落ちたりしている。危なっかしくて仕方ないが、猫自身は打っても落ちてもぶつかっても、照れることもなく恥じることもなく、何ごともなかったかのように「遊んで」をくりかえしている。タフだなあ。ところがトトが我が家にやってきて、半年ほどたったある日。要求されるままさんざん遊んでいると、トトは口を開けてはーはーと息をしている。へえー、犬だけじゃないんだ、猫もこんなふうにするんだなあと、猫無知の私は軽く考えていた。猫歴の長い夫も、「めずらしいけど、トトはそもそもいろんなことがほかの猫と違うしなあ……」とトトのその奇妙な呼吸法をどう考えていいのか、わかりかねている様子だった。トトのおにいちゃん、元ごーちゃんの飼い主である編集者氏に、元きごーちゃんもそんなふうに呼吸する? と訊いてみると、しない、とのこと。加えて、念のためお医者さんに連れていったほうがいいとアドバイスをもらった。そんなわけで、はじめてトトを動物病院に連れていくことになったのである。病院は、いろいろ考えた末、もっとも近くにある動物病院に決めた。トトの外出は、うちにやってきたときに次いで二度目。キャリーバッグに入れて、おそるおそる外に出る。駅前を通り過ぎる。うちにきたときはまったく鳴かなかったのにトトはニャアニャアと鳴いている。だいじょうぶ、だいじょうぶと言って聞かせながらそろそろ歩く。無事たどり着き、検査を受けることになった。血液検査のための注射をするとき、女性の院長先生が「ときどきびっくりしてすごく大きな声を出す猫ちゃんがいるんです。この子が叫んでも驚かないでくださいね」と前置きして、注射を打った。なんと先生の言葉どおりトトは聞いたこともない大声で「ンニャーッ」と鳴いた。検査の結果、トトはふつうの猫よりも心臓が大きいことがわかった。トトはアメリカン・ショートヘアという猫種だが、この種には多いらしい。血液がどろどろになりやすく、最悪の場合は血栓ができ、発作を起こす。心臓がちいさくなることはないけれど、激しい遊びはさせない、太らせないようにすることで、発作は防ぐことができる。毎日飲ませる薬を処方してもらい、はじめてそこが東洋医学の病院だと知った。薬は漢方薬である。じつは私は、トトを病院に連れていくまで、ペットがいつか確実にいなくなると、ちゃんと考えたことがなかった。もちろん頭ではわかっている。動物の寿命は人間よりうんと短い。でも、実感がなかった。理解していなかった。心臓のことについて説明を受けたとき、不覚にも私はその場で泣いた。泣くつもりはまったくなく、いい年をしてみっともないとわかっているのに、勝手に水滴が目から落ちてくるのである。先生はさぞやぎょっとしただろうに、心臓が悪くても長生きする猫はたくさんいますよ、と言ってくれた。病気も、おうちも、飼い猫は自分で選んで生まれてくるんだと私は思いますよ、とも。説明を受けて病院から帰る道々、幾人もの友人の顔が思い浮かんだ。犬や猫を飼った経験があり、今も飼っている人たちである。あの人も、あの人も、あの人もだいじな生きもののいのちを見送ってきたのだと、はじめて気づいたのである。ともに暮らしてきたちいさな生きものが病気になって、でも会社や学校にいって、それでお別れがあって、きっと泣いて泣いて泣いて、でもやっぱり学校や会社があって、休めなくて、友だちとがんばって笑って話して、帰ってきっとまた泣いて泣いて泣いたんだろう。そうしてみんな大人になって、また、あらたに生きものを迎え入れてともに暮らしているんだろう。すごいな。いや、ほんと、すごいなあ。私は心から思った。

    8 min

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