耳で味う、英語の世界

Simmer ー沸騰しないのは人参?それともあなたの心?

茹でたらいいのに、なぜsimmerなの? あるアメリカのホームドラマでの台詞です。 家庭的で、まるで優しい目をしたラブラドールのような、温かいお父さん。 時に家族に優柔不断と責められてしまいそうな。 キャリアウーマンで、責任感が強く、常に背筋が通った美しいブロンドの妻を持ち、年頃の二人娘もいて、女系家族の中で若干孤立しています。 ある時、彼は一念発起して仕事を辞め、静かな情熱であった料理を仕事とすべく、まず自身の料理教室をオープンします。そこで生徒として出会った、素朴だけれど明るく奔放で自由な独身女性に(年齢は妻や自分と同じ位) 心惹かれるも、大切な家族を思い、ブレーキをかけるのでした。 その女性が受講中、軽やかに楽しげに、笑いながら、ぽーんと投げかける一言。 「茹でたらいいのに、なぜ simmer なの?!」。 “Why simmer when you can boil?!” お鍋の中の人参のことなのに、まるで煮えきらないこの男性の恋心に対して、ミッドライフクライシスに対して、「なんで沸騰しないのよ?!」と投げかけるように映った台詞でした。 そして、「えっと。だからね…」と調理法の説明をする、真面目なお父さんなのでした…。