朗読のアナ 寺島尚正

山本周五郎 「酒屋の夜逃げ」

 以前は近所の商店の御用聞きが家々を回って、日ごろの暮らしに必要なものの注文を取り配達してくれました。支払いはつけで月末や年末に払ったものです。山本周五郎も馴染みの酒屋で頼んでは、後でまとめて払うつもりが懐ぐらいと折り合わず、酒屋の主人の人の良さに甘えて、ついつい支払いをあと伸ばしにしてしまいました。そのうち酒屋がつぶれてしまい…。