残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

無用の用ノベーション(1632回)

多孔性金属錯体という、様々な分野に適用可能な発明をされたノーベル平和賞の京都大学理事の北川進さんの言葉に震えました

曰く

"穴と考えると無用なんです

ところがその穴に原子、分子を入れ込んでためたり、いろいろ変えたりしていく

そう考えると役に立ちますよね

この無用の用というのは、非常に大きな、われわれの原則になってます"

ここから私は思いました

1、無用のバイアス

2、熟成期間

3、本質的な価値

1、無用のバイアス

大企業に埋もれている技術やソリューションを、改めてビジネスアクセラレーションするプログラムなどがあるように

見方を変えたり、改めてのタイミングだったり、新たなビジネスモデルや技術と掛け合わせることによって、実は非常に価値のあるものということも、あるのかもしれないなと思いました

それは、その時点では思いつかなかったけれども、または、技術レベルや時代のニーズが顕在化してなかったなど、さまざまな理由でお蔵入りになっている、そんなことを新たな観点で見直してみる機会を与える

そのためには、無用と思われていたもの、技術やビジネスアイディアを蓄積しておいて、取り出せるようにしておくことで、それまで無用と思われてたバイアスを壊し、いつか日の目を見させるということもとても重要ではないかとも思いました

2、熟成期間

ジェームスヤングさんの「アイディアの作り方」にもある通り、生まれたアイディアが素晴らしい子供ではないことに気づき、それを忍耐強く手を加えて行く、そうやって少しずつ手を加えて熟成する期間を意識することが大切かとも思いました

企業におけるR&D部門の方針として、もっと事業に貢献すべきという短期的な利益を求めることと、もっとコアコンピタンスになる基礎技術を磨く、という二つの方向性が行ったり来たりする、ということがあるかと思いますが

一見無用な発見が実は将来すごい花を咲かせることになるということがあるとすれば、研究者のパッションをもとに、今は無用と思われているものを、熟成させていくことも、本当に大切だなあと思いました

3、本質的な価値

フッサールの本質観取(ほんしつかんしゅ)のお話を以前させて頂きましたが、そこにあるものの本質的な価値は何なのかを改めて見つめてみるということが、とても重要だなと思いました

そのためには、そこにあるものを、何に使えるかよりも先に、そこにあるモノ(ソリューション、技術、ビジネスなど)の本質的な価値は何なのかを、具体例をみんなで話し合いながら、具体と抽象を往復運動させながら、見ていくことも、とても大切な気がしました

本当に大切なものは目に見えない、みたいな美しい表現もありますが、実は見えていないことの中に、大切な真実、または、自分たちだけが気づいている真実もあるのかもしれない

そんな事を思わせて頂きました

一言で言うと

無用の用ノベーション

そんな話をしています^ ^

参考:NHKニュースウォッチ9 2025/10/9 https://www.web.nhk/tv/an/nw9/pl/series-tep-V94JP16WGN