PEP Podcast

政策起業家プラットフォーム

政策起業家プラットフォーム(Policy Entrepreneur's Platform, PEP)が運営するポッドキャストチャンネルです。 以下の二つの番組を配信しています。 PEP Talk : 社会課題や政策を取り扱った書籍の著者にお越しいただき、書籍の背景等について伺う番組です。 PEP Think : 海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考える番組です。

  1. 4d ago

    アフォーダビリティをどう診断するか――供給不足と市場支配力 【海外シンクタンク記事分析】

    生活費が高いという同じ状況でも、その背景が供給不足なのか、市場の競争の弱さなのか、支払いの仕組みなのかによって、政策手段の意味は変わります。以前のPEP Thinkでは「アフォーダビリティ・アジェンダ」を取り上げ、供給拡大、直接補助、競争政策、価格規制などを整理しました。今回はそこから一歩進み、「価格がなぜ高いのか」をどう診断するかに焦点を当てます。 一本目では、ニスカネン・センターの白書をもとに、経済全体のインフレと、住宅・医療・エネルギーなどの価格が長期的に上昇する問題を区別します。二本目では家賃規制を取り上げ、既存入居者の負担や安心を支える効果と、賃貸住宅の供給、品質、これから住まいを探す人への影響を考えます。三本目では、病院市場の集中によって価格交渉力が強まっている米国の医療を題材に、病院への支払価格に上限を設けた場合の効果と、医療提供への影響を検討します。 3本を通じて考えるのは、政策の名称だけで効果を判断せず、誰の負担が軽くなるのか、価格や供給がどう変わるのか、提供者がどう反応するのか、必要なサービスが維持されるのかを分けて確認することです。日本についても、米国の政策をそのまま当てはめるのではなく、分野ごとに高い費用が生まれている仕組みを調べるという視点を議論します。 ■キーワード アフォーダビリティ/供給制約/直接補助/家賃規制/住宅供給/市場支配力/病院支払価格規制/診療報酬 00:00 イントロダクション01:05 アフォーダビリティの診断 — 価格が高い理由をどう捉えるか16:03 家賃規制 — 既存入居者の安心と将来の住宅供給30:36 病院への支払価格規制 — 市場支配力と医療提供をどう両立させるか ■今回のトピック 01:05 アフォーダビリティの診断 — 価格が高い理由をどう捉えるか Niskanen Centerの白書をもとに、経済全体のインフレと、住宅・医療・エネルギーなど生活必需品の価格が構造的に上昇する問題を整理します。記事は、後者について供給制約を重視しています。本エピソードでは、物価上昇率が落ち着くことと暮らしの負担が軽くなることを区別し、家計の自己負担とサービスを供給するための費用、単価と利用量、給付による支援と供給条件の改善をどう評価するかを議論しました。また、住宅補助、医療の支払い、住宅の断熱や太陽光などを例に、政策が需要・供給や将来の負担にどう影響するかを考えています。 出典:Niskanen Center, "Affordability, fast and slow: A playbook to address the cost of living" 16:03 家賃規制 — 既存入居者の安心と将来の住宅供給 Institute for Fiscal Studiesの記事をもとに、家賃規制が既存入居者の負担を抑え、急な値上がりへの不確実性を小さくする一方、賃貸住宅の供給や修繕、住み替えにどのような影響を及ぼすかを取り上げます。本エピソードでは、サンフランシスコで規制対象者の転居が減った一方、対象家主の賃貸供給も減ったという研究や、ニューヨーク、カタルーニャの研究を紹介しました。研究結果には幅があることを踏まえ、平均家賃だけでなく、新たに借りる人の選択肢、住宅の品質、居住の安定、家主や公費が負うコストまで含めて評価する必要性を議論しています。 出典:Institute for Fiscal Studies, "Do rent controls work?" 30:36 病院への支払価格規制 — 市場支配力と医療提供をどう両立させるか Urban Instituteの報告書をもとに、病院の統合が進み、保険会社との交渉で病院側が強い価格決定力を持つ市場で、支払価格に上限を設けた場合の影響を取り上げます。報告書の試算では、個人向けと雇用主提供の民間保険を対象にメディケアの2倍を上限とした場合、2028年の医療支出が1,148億ドル減るとされています。また、農村部を除外した場合や、市場集中度の高い地域などに限定した場合も、全国適用時の削減効果の多くが残ると推計しています。 本エピソードでは、支払価格を下げたときに、病院の高い利益やコストが減るのか、診療体制や設備投資まで縮小するのかを区別して考えました。試算が診療量を減らさないことを前提としている点、価格規制後の診療量や質も確認する必要がある点、さらに日本では診療報酬を公的に決める制度があるため、米国の議論をそのまま当てはめることはできない点も議論しています。 出典:Urban Institute, "Can Hospital Rate Setting Help Control US Health Spending? National Versus Targeted Approaches" ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■YouTubeでも配信中 PEP のYouTubeチャンネルはこちら ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP) 公益財団法人 国際文化会館

  2. 5d ago

    Public Upside Sharing とは何か

    半導体、重要鉱物、AIなどの分野で政府が補助金や融資、保証、公共調達を通じて産業形成に関与するとき、問われるのは支援額や支援先だけではありません。その事業が予想以上に成功した場合、公共は何を受け取る約束になっているのか。今回のエピソードでは、この問いを「公共アップサイド共有(Public Upside Sharing)」という考え方から整理します。これは確立した用語ではなく、異なる分野で現れている、公共が引き受けたリスクと成功時の上振れ利益をどう対応させるかという議論を束ねるための名称として紹介しています。 テスラとソリンドラの事例を起点に、公共が失敗時の損失を負担する一方、成功案件から得られるリターンが元本や利息などに限られる場合に生じる、リスクと報酬の非対称性を考えます。「企業や従業員が税を払えば十分ではないか」という反論も扱いながら、公共リターンを、金銭的か非金銭的か、個別企業への直接的な関与か市場全体への条件設定かという観点から整理します。株式やワラント、アップサイド・シェアリング、クローバック、差額決済契約、知的財産に関する権利、国内供給義務や公共アクセス義務などを取り上げ、CHIPS法、Intel、MP Materials、AIをめぐるパブリック・ウェルス・ファンドや所有の提案へと議論を広げます。 後半では、政府が株主であると同時に規制者や支援者、場合によっては顧客にもなることで生じる利益相反や競争への影響を検討します。そのうえで、AIモデル、クラウド、GPUなど上振れ利益が生まれる産業構造を国内に持つ米国と日本の違いを踏まえ、日本では金銭的リターンに加えて、国内供給、計算資源へのアクセス、地域インフラなどを公共リターンとしてどう具体化するかを考えます。最後に、産業政策を評価する際の視点を、誰がリスクを負うのか、何を公共リターンとみなすのか、どの手段で確保し誰が確認するのか、どこへ還元するのか、競争の歪みをどう防ぐのかという五つの問いに整理します。 ■キーワード 公共アップサイド共有(Public Upside Sharing)/公共リターン/産業政策/リスクと報酬の非対称性/アップサイド・シェアリング/株式・ワラント/クローバック/パブリック・ウェルス・ファンド/CHIPS法/公共アクセス/経済安全保障/国有企業ガバナンス 00:00 公共アップサイド共有とは何か――成功時に公共は何を受け取るのか 01:34 テスラとソリンドラ――公共投資のリスクと報酬の非対称性 04:13 税収だけでは十分なのか――公共リターンを求める論理 06:54 自然資源から産業政策へ――政策が生む上振れをどう考えるか 09:53 公共リターンの四つの設計――金銭・非金銭、企業・市場 13:16 IntelとMP Materials――株式だけでは測れない公共負担とリターン 16:04 AIが生む富をどう共有するか――パブリック・ウェルス・ファンドと所有 19:32 政府が株主になるリスク――利益相反と競争の歪み 22:35 米国と日本の違い――上振れ利益を国内で補足できるか 24:57 日本で考える公共リターン――半導体、計算資源、電力・地域インフラ 28:03 公共アップサイド共有を評価する五つの問い 31:13 まとめ――産業政策でリスクとリターンをどう対応させるか ■主な参考文献・関連リンク Takaaki Umada, “Public Upside Sharing――公共投資に対する公共のリターン設計,” 2026 Mariana Mazzucato, “The Entrepreneurial State: Debunking Public vs. Private Sector Myths,” 2013 邦訳:マリアナ・マッツカート『企業家としての国家――イノベーション力で官は民に劣るという神話』大村昭人訳、薬事日報社、2015 Andrea Laplane and Mariana Mazzucato, “Socializing the Risks and Rewards of Public Investments: Economic, Policy, and Legal Issues,” 2020 CHIPS for America, “Funding Opportunity – Commercial Fabrication Facilities: Fact Sheet: Catalyzing Private Investment,” 2023 U.S. Congress, “Bayh-Dole Act (Pub. L. 96-517; 35 U.S.C. §§200–212),” 1980 Intel Corporation, “Intel and Trump Administration Reach Historic Agreement to Accelerate American Technology and Manufacturing Leadership,” 2025 MP Materials, “MP Materials Announces Transformational Public-Private Partnership with the Department of Defense to Accelerate U.S. Rare Earth Magnet Independence,” 2025 OpenAI, “Industrial policy for the Intelligence Age,” 2026 Bernie Sanders, “American AI Sovereign Wealth Fund Act,” 2026 Cullen O’Keefe, Peter Cihon, Ben Garfinkel, Carrick Flynn, Jade Leung, and Allan Dafoe, “The Windfall Clause: Distributing the Benefits of AI for the Common Good,” 2020 OECD, “OECD Guidelines on Corporate Governance of State-Owned Enterprises 2024,” 2024 ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■YouTubeでも配信中 PEP のYouTubeチャンネルはこちら ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP) 公益財団法人 国際文化会館

  3. 6d ago

    新しい仕事をどう捉えるか――技術変化に対応する労働市場データの設計 【海外シンクタンク記事分析】

    新しい技術や産業が広がると、これまでになかった仕事が生まれ、既存の職業でも必要な技能が変わります。しかし、その変化が統計に十分に表れなければ、どの人材をどれだけ育てるのか、どのような教育や訓練を用意するのかという判断も難しくなります。今回のエピソードでは、「新しい仕事をどう捉えるか――技術変化に対応する労働市場データの設計」をテーマに、仕事と技能の変化を捉えるデータ、人材育成の仕組み、公的統計を支える制度を考えます。 一本目では、先端・新興技術が生む仕事を既存の統計でどう把握するかを扱います。二本目では、半導体人材を単一の職種不足ではなく、育成・確保・定着まで含む人材パイプラインとして捉えます。三本目では、企業、学校、自治体、働く人などの判断を支える公的統計について、データ共有、信頼、プライバシー、政治的独立性、資金といった制度上の条件を検討します。技術が変わるなかで、仕事の変化をどのようなデータで捉え、その情報を人材政策や意思決定につなげるのかを議論した回です。 ■キーワード 労働市場データ/新職種/技能需要/職業訓練/半導体人材/人材パイプライン/公的統計/統計制度 00:00 イントロダクション00:50 新しい仕事と労働市場データ — 技能需要をどう捉えるか14:46 半導体人材 — 育成・確保・定着のパイプライン28:56 公的統計 — 判断を支える情報の制度設計 ■今回のトピック 00:50 新しい仕事と労働市場データ — 技能需要をどう捉えるか Brookings Institutionの記事をもとに、先端技術が生む仕事が従来の統計では十分に見えにくいという問題を取り上げます。半導体では、製造の中核部分だけでなく関連する供給側まで対象を広げると、把握できる求人情報が約3倍になった例が紹介されました。記事は、公的統計に企業の投資計画、求人情報、供給者の分析、企業との対話を組み合わせることを提案しています。 本エピソードでは、雇用規模を測る情報と、実際に何を教えるかを決める情報では、必要な細かさが異なることを考えました。求人情報は新しい技能の組み合わせを見つける手掛かりになりますが、その増加率を必要な訓練人数へそのまま置き換えることには注意が必要です。また、企業が給与や実習を伴う育成に関与することや、過去の就職実績だけでは新しい訓練プログラムを支援しにくい場合に、別の根拠をどう確認するかについても議論しました。 出典:Brookings Institution, "Traditional labor market data isn’t keeping up with jobs in the ‘frontier economy’" 14:46 半導体人材 — 育成・確保・定着のパイプライン Center for Security and Emerging Technologyのレポートをもとに、半導体の人材不足を単一の職種不足ではなく、人材パイプライン全体の問題として捉えます。レポートでは3,441件の求人広告を分析し、必要な人材が85職種にまたがることを示しています。企業が求める技能に合わせた教育や実習、高度な技能を持つ外国人材やこれまで十分に採用されてこなかった層への参加拡大、企業と教育機関が連携する地域の集積などが論点になります。 本エピソードでは、人材の種類によって育成や採用に必要な時間と手段が異なること、工場の投資・稼働計画が変わったときに学ぶ人が負担を負う可能性を取り上げました。また、働きながら技能を身につけられる経路、入社後に新人を育てる側の時間、人材の定着、訓練後の就職や所得まで追う必要性を議論しました。企業の投資判断の時間と、人が学び、経験を積み、次の人を育てられるようになるまでの時間をどう接続するかが中心的な論点です。 出典:Center for Security and Emerging Technology, "Strengthening the U.S. Semiconductor Manufacturing Workforce" 28:56 公的統計 — 判断を支える情報の制度設計 Bipartisan Policy Centerの記事をもとに、米国の連邦統計制度に共通の使命を置くという提案を取り上げます。記事では、政策担当者だけでなく、企業、研究者、自治体、家計の判断を支える情報を公共財として提供することを使命とし、正確さ、適時性、プライバシーを守ったアクセス、信頼の保全、政治的影響からの独立を原則として挙げています。 本エピソードでは、統計を異なる主体の判断をつなぐ情報として捉え、回答者の信頼、プライバシー、異なる地域区分や定義を持つデータの接続、詳細データを安全に利用する手続きについて考えました。また、統計の数字が後から改定されることと正確性・独立性の関係、統計制度を維持・近代化する費用についても議論しています。主要な統計機関の予算の実質的な購買力が低下するなかで、統計機関の作業を減らした結果、自治体や研究者がそれぞれデータをつなぎ直すのであれば、社会全体の費用が減ったとは限らないという視点も取り上げました。 出典:Bipartisan Policy Center, "A Mission Statement for the Federal Statistical System" ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■YouTubeでも配信中 PEP のYouTubeチャンネルはこちら ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP) 公益財団法人 国際文化会館

  4. Sep 23

    科学研究のガバナンス 【海外シンクタンク記事分析】

    科学研究の成果は、研究費の規模だけで決まるものではありません。研究成果や研究材料を誰が利用できるのか、研究助成の審査で生まれた情報を別の資金につなげられるのか、研究者が何を研究するかをどこまで自ら決められるのか。今回のエピソード「科学研究のガバナンス――資金・公開・自律性」では、こうした制度の違いが、研究者の選択や知識の流れにどう関わるのかを考えます。 一本目では、オープンサイエンスを、論文を読める状態にすることに加えて、研究材料やデータを後続の研究で利用できる状態に保つ仕組みまで含めて考えます。二本目では、公的な研究助成の審査で蓄積された専門的な評価を、研究者の同意のもとで別の資金提供者にも活用する構想を取り上げます。三本目では、政府の研究資金への依存度と研究テーマの変化を手がかりに、将来の資金やキャリアへの懸念が自己検閲につながる可能性を考えます。3本を通じて、公開、資金配分、自律性をどのように組み合わせれば、多様な研究と知識の利用を支えられるのかを議論しました。 ■キーワード 科学研究のガバナンス/オープンサイエンス/研究材料へのアクセス/吸収能力/研究助成審査/審査情報の再利用/学問の自由/自己検閲 00:00 イントロダクション01:05 オープンサイエンス — 公開後も利用できる科学をどう支えるか20:57 研究助成審査の再利用 — 評価情報を次の資金へつなげる40:23 学問の自由と自己検閲 — 資金依存が研究テーマに及ぼす影響 ■今回のトピック 01:05 オープンサイエンス — 公開後も利用できる科学をどう支えるか Macroscienceの記事をもとに、科学を、成果の公開、研究者への評価、研究材料へのアクセス、資金制度などから成る経済制度として捉えます。本エピソードでは、論文を読めても研究材料を利用できなければ、後続の研究につながらないことを取り上げました。また、材料やデータを保存・整理し、ほかの研究者が利用できる状態に保つ仕事の重要性も議論しました。さらに、先に発表したことを評価する仕組みと、検証や共有に時間を使うことの緊張関係、外部の研究成果を理解して自らの研究開発に生かす「吸収能力」にも触れています。国内で研究能力を維持する意味についても、世界初の発見を生む力に加えて、海外で生まれた知識を評価し、試し、改良する力まで含めて考えました。 出典:Macroscience, "Pierre Azoulay on Open Science as an Economic Institution" 20:57 研究助成審査の再利用 — 評価情報を次の資金へつなげる Macroscienceの記事は、公的機関が研究助成の審査で蓄積した申請書や評価情報を、研究者本人の同意を前提に、民間財団など別の資金提供者にも活用してもらう仕組みを提案します。本エピソードでは、2025年のNIHで約6万2,592件の申請に対して8,161件が採択され、採択率は13%だったことも紹介しています。また、審査を合否判定だけで終わらせず、何が評価され、何が懸念されたのかという専門的な情報を、次の資金配分の判断に生かせないかを議論しました。同時に、科学的な評価を共有することと、どの研究を自らの目的に沿って支援するかは別の判断であることも確認しました。審査情報の再利用によって事務負担や時間が減るのか、新たな資金の流入や研究の多様化につながるのかについても、それぞれ分けて評価する必要性を考えました。 出典:Macroscience, "America Already Built the World's Largest Science-Vetting Machine" 40:23 学問の自由と自己検閲 — 資金依存が研究テーマに及ぼす影響 VoxEU / CEPRの記事をもとに、政府の研究資金への依存度と、経済学者が扱う研究テーマの変化との関係を取り上げます。エピソードでは、政府資金への依存度が高い米国の大学で、ジェンダー、人種、環境に関する内容を含む論文の割合が減る一方、依存度の低い大学では同様の変化が確認されなかったという分析を紹介しました。記事は、直接の資金規則だけでは説明できないこうした変化について、自己検閲が広がった可能性を指摘します。本エピソードでは、研究者が将来の資金やキャリアへの不利益を予想することで、表面上は自発的に見えるテーマ選択が変わり得ることを議論しました。また、日本についても、研究者の自由な発想を支える資金と政策課題を重視する資金が共存する意味や、研究を継続できる複数の選択肢、政策判断を後から検証できる独立した知見を維持する重要性を考えました。 出典:VoxEU / CEPR, "When political pressure trumps academic freedom" ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■YouTubeでも配信中 PEP のYouTubeチャンネルはこちら ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP) 公益財団法人 国際文化会館

  5. Sep 16

    ケアを誰が担い、どう支えるのか 【海外シンクタンク記事分析】

    子育てや介護では、家族自身がケアを担う場合もあれば、保育や介護の専門職に委ねる場合もあります。サービスを利用しやすくするには、家計の負担を軽減するだけでなく、施設や人材を確保することも必要です。さらに、家族が仕事を休んでケアを担う場合には、その間の所得をどう支えるかという課題も生じます。今回のエピソード「ケアを誰が担い、どう支えるのか」では、こうしたケアを支える仕組みを3本の記事から考えます。 一本目では、保育料を引き下げたカナダで生じた供給不足を取り上げ、料金、申請支援、利用可能な保育の供給をどのように組み合わせるかを考えます。二本目では、英国の介護人材について、賃金や労働条件、人材育成、定着、国際採用を長期的な人材戦略として捉えます。三本目では、ワシントンD.C.の有給家族・医療休暇をめぐり、特定の給付のために集めた資金と給付の関係、制度を利用するための条件、休業後の就業継続について議論します。 3本を通じて、利用できるケアサービス、その担い手、家族がケアに充てる時間と所得保障が、どのように関わり合っているのかを考えます。 00:00 イントロダクション 00:54 保育料引下げと供給不足 — 必要な家庭に保育をどう届けるか 18:58 介護人材の確保 — 賃金・育成・定着・国際採用をどうつなぐか 37:31 有給家族・医療休暇 — 専用財源と給付の関係をどう保つか ■キーワード ケア政策/保育供給/保育アクセス/介護人材/公正賃金協定/外国人介護人材/有給家族・医療休暇/社会保険財源 ■今回のトピック 00:54 保育料引下げと供給不足 — 必要な家庭に保育をどう届けるか C.D. Howe Instituteの記事をもとに、カナダで保育料を引き下げた後も残る供給不足を取り上げます。記事は、施設や人材の供給拡大に加え、所得に応じた料金や、対象外の保育にも利用できる給付付き税額控除を提案しています。本エピソードでは、料金の引下げだけでなく、情報提供や申請支援、支援を受け取る時期、場所や時間帯に応じた保育供給まで含めて議論しました。ドイツで約600世帯を対象に行われた実験や、カナダ・ケベック州の前払いの仕組み、日本の保育所の利用状況や「こども誰でも通園制度」にも触れながら、保育を利用したい家庭がどの段階で利用に進めなくなるのか、何を政策の成果として測るのかを考えました。 出典: C.D. Howe Institute, "Canada’s Childcare Plan: Affordable, but Still Out of Reach" https://cdhowe.org/publication/canadas-childcare-plan-affordable-but-still-out-of-reach/ 18:58 介護人材の確保 — 賃金・育成・定着・国際採用をどうつなぐか The Health Foundationの記事をもとに、英国の介護人材政策を取り上げます。記事では、技能や経験に応じて賃金が上がる共通の賃金体系が世論調査で最も多く選ばれ、賃金や労働条件、訓練、国際採用を長期的な人材戦略として考える必要性が示されています。本エピソードでは、採用人数だけでなく、経験を積んだ職員が働き続け、次の職員を育てられる状態をどうつくるかを議論しました。英国の賃金や定着に関する研究、公正賃金協定と自治体から事業者への資金の流れ、日本の介護職員等処遇改善加算、外国人介護人材の資格取得や在留資格にも触れながら、公的な支援を賃金、学習機会、キャリア形成にどう結びつけるかを考えました。 出典: The Health Foundation, "As Burnham focuses on the social care workforce, what are the public’s priorities?" https://www.health.org.uk/features-and-opinion/blogs/as-burnham-focuses-on-the-social-care-workforce-what-are-the-public-s 37:31 有給家族・医療休暇 — 専用財源と給付の関係をどう保つか Niskanen Centerの記事をもとに、ワシントンD.C.で、有給家族・医療休暇の給付を削減する一方、給与税率を維持し、余剰資金を一般財源へ移す政策を取り上げます。記事は、給付のために集めた負担と給付の関係が損なわれることを問題視しています。本エピソードでは、制度の収支と政府全体の財政を分けて捉え、余剰と判断する前に、将来どの程度の利用を見込むのか、必要なのに制度を利用できていない人がいないかを確認する必要性を議論しました。日本の育児休業給付の財政運営、給付と雇用保護の違い、介護休業後の就業継続にも触れながら、公的支出が減ったとき、その分のケアに必要な時間や費用を最終的に誰が担うのかを考えました。 出典: Niskanen Center, "D.C.'s Paid Family Leave cuts take the 'trust' out of 'trust fund'" https://www.niskanencenter.org/d-c-s-paid-family-leave-cuts-take-the-trust-out-of-trust-fund/ ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■YouTubeでも配信中 PEP のYouTubeチャンネルはこちら ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP) 公益財団法人 国際文化会館

  6. Sep 15

    公的選択肢(Public Options)とは何か

    食料品や医療、エネルギーのように生活に欠かせない財やサービスは、価格が上がっても簡単に利用をやめられません。さらに、人口が少ない地域では、事業者が撤退し、近くで利用できなくなることもあります。今回取り上げる「公的選択肢(Public Options)」は、民間サービスと並んで政府が責任を持つ選択肢を用意し、市場の供給側に関与することで、価格、品質、アクセス、供給の安定について基準点をつくろうとする考え方です。 エピソードでは、規制や補助金と公的選択肢の違いを整理したうえで、この発想が米国の医療保険をめぐる議論からどのように広がってきたのかをたどります。また、アクセス、公的価値、アカウンタビリティという設計上の観点を確認し、公的な供給が利用者の選択肢を増やす可能性と、競争条件の違いや民間事業者の撤退を招く可能性の双方を検討します。医療保険については、保険料を抑えるための医療機関への支払い率と、供給者の参加、補助金、品質との関係も取り上げます。 後半では、米国各州の医療保険、カリフォルニア州のCalRx、市営食料品店、デジタル公共インフラ(DPI)などの事例を扱います。日本については、国民皆保険と公立病院、郵便貯金、公金受取口座登録制度などを、公的選択肢との違いや共通点から整理します。人口減少が進む地域では、「高くて買えない」という問題に加えて、「近くに供給者がいない」という問題が重要になります。自治体が直接運営する場合だけでなく、最後の提供者や共同調達者としてどのような機能を担うのか、必要なサービスを継続できる条件をどう整えるのかを考えます。 ■キーワード 公的選択肢(Public Options)/市場設計/供給側政策/アクセス/公的価値/アカウンタビリティ/競争中立性/医療保険/デジタル公共インフラ(DPI)/ユニバーサルサービス/共同調達/人口減少 00:00 公的選択肢とは何か――価格とアクセスの問題から考える 01:50 必需品市場で起きる三つの問題――価格高騰・供給撤退・地域格差 03:52 規制・補助金・公的供給――政府は市場にどう関与できるか 06:28 公的選択肢の定義――所有ではなく機能と責任で考える 08:39 医療保険から広がったPublic Optionsの議論 11:33 アクセス・公的価値・アカウンタビリティ――三つの設計原理 13:42 公的供給は競争を改善するか――支持論と競争中立性への批判 16:09 医療保険の難題――保険料・支払い率・供給者参加・品質 19:09 米国各州の公的医療保険とCalRx――政府は何を担うのか 21:37 市営食料品店――「安さ」と「近くで買えること」の違い 24:18 日本の医療制度――国民皆保険と公立病院をどう位置づけるか 26:42 郵便貯金とユニバーサルサービス――全国的なアクセスを支える仕組み 29:05 公金受取口座とDPI――政府が共通基盤を整えるという選択肢 31:23 人口減少下の公的選択肢――「高くて買えない」から「近くにない」へ 34:39 公的選択肢をどう評価するか――価格・アクセス・品質・継続性 ■主な参考文献・関連リンク 馬田隆明, “「公的選択肢」による市場設計――生活必需財に public options を作る,” 2026 Ganesh Sitaraman and Anne L. Alstott (eds.), “Politics, Policy, and Public Options,” 2021 Ganesh Sitaraman and Anne L. Alstott, “The Public Option: How to Expand Freedom, Increase Opportunity, and Promote Equality,” 2019 Suzanne Kahn, “The Public Options Tool Kit: Ensuring Access, Public Value, and Accountability in the Economy,” 2026 Jodi L. Liu, Asa Wilks, Sarah A. Nowak, Preethi Rao, and Christine Eibner, “Public Options for Individual Health Insurance: Assessing the Effects of Four Public Option Alternatives,” 2020 Aditi P. Sen, Yashaswini Singh, Mark K. Meiselbach, Matthew D. Eisenberg, and Gerard F. Anderson, “Participation, Pricing, and Enrollment in a Health Insurance ‘Public Option’: Evidence From Washington State’s Cascade Care Program,” 2021 Economic Security Project, “Opening the Door to Public Grocery Stores,” 2025 Rowan Wilkinson, Alex Krasodomski, and Isabella Wilkinson, “The Case for Expanding Digital Public Infrastructure: How Open, Scalable Technology Can Serve Citizens, Preserve Sovereignty and Save Money,” 2025 CalRx, “Biosimilar Insulin Initiative,” 2026 デジタル庁「公金受取口座登録制度」 ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■YouTubeでも配信中 PEP のYouTubeチャンネルはこちら ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP) 公益財団法人 国際文化会館

  7. Sep 9

    公費はどこまで暮らしの足を支えるべきか 【海外シンクタンク記事分析】

    公共交通は、通勤や通学、通院など、日々の生活を支えています。その維持には多くの地域で公的資金が使われており、公費で何を、どこまで支えるのかが課題になります。移動サービスの維持や改善を優先するのか、脱炭素や地域雇用などの政策目的も交通事業に担わせるのか。さらに、どの程度のサービス水準を確保し、利用者が負担できる運賃まで政策の対象とするのか。今回のエピソードでは、3本の論考を手がかりに、こうした選択を考えます。 一本目では、公共交通に複数の政策目的を持たせることで、実際の運行に使える資源との間にトレードオフが生じる可能性を取り上げます。二本目では、公費を補助額だけで捉えるのではなく、運行頻度や運行時間、乗り継ぎなど、利用者が受け取るサービスと結びつける考え方を扱います。三本目では、サービスがあっても運賃を負担できなければ利用しにくいという問題から、運賃引き下げや共通パス、サービス継続の見通しと家計負担の関係を考えました。 ■キーワード 公共交通/公費負担/サービス水準/運賃政策/交通事業者間連携/クロスセクター効果/共通パス/移動機会 00:00 イントロダクション01:04 公共交通の政策目的 — 追加要件と移動サービスのトレードオフ20:54 公費とサービス水準 — 利用者が受け取る交通をどう定めるか39:11 運賃と生活費 — 移動できる価格をどう支えるか ■今回のトピック 01:04 公共交通の政策目的 — 追加要件と移動サービスのトレードオフ Works in Progressの記事をもとに、公共交通に排出削減、地域雇用、住民参加など複数の政策目的を持たせたとき、費用や時間が増え、実際の運行に使える資源が減る可能性を取り上げます。記事は、こうした政策目的の拡大と移動サービスの提供との間に、トレードオフが生じ得ると主張します。 本エピソードでは、車両の仕様を高める場合と運行本数を増やす場合を例に、予算上把握しやすい費用だけでなく、便がないことで失われる仕事や活動への参加機会も考慮する必要があると議論しました。また、移動が増える場合でも、自動車から公共交通へ移るケースと、これまで外出できなかった人が移動できるようになるケースでは、排出量への影響が異なることを取り上げます。日本の事例としては、公共交通を廃止した場合に病院送迎やスクールバスなど別部門で必要になる費用を捉えるクロスセクター効果、運転手不足、学校や病院の集約に伴う移動需要、バスを優先する道路運用などを議論しました。公共交通の多面的な価値を評価することと、交通事業者に追加の仕事や条件を求めることを分け、必要なサービス水準、実現方法、追加条件に伴う費用や人員を順に確認することが論点となりました。 出典:Works in Progress, "American transit is bad because of scope creep"https://www.worksinprogress.news/p/mission-creep-in-public-transportation 20:54 公費とサービス水準 — 利用者が受け取る交通をどう定めるか Reason Foundationの記事をもとに、公共交通へ公費を投入するとき、その資金によってどのようなサービスを提供するのかを具体的に定める考え方を取り上げます。記事は、ハンブルクの地域調整、スイスにおける行政と事業者の運行内容・費用に関する合意、ロンドンでの利用者の遅延を踏まえた保守、オランダでの事業者比較などを紹介し、公的資金と提供するサービス、実績評価を結びつけることを提案しています。 本エピソードでは、個々の会社や路線だけでなく、自宅から目的地までの乗り継ぎを含む移動全体を評価する視点を議論しました。サンフランシスコ・ベイエリアの共通パスの実証では、対象となった学生の公共交通利用が平均30%増え、事業者をまたぐ乗り継ぎも増えたことを紹介しています。また、事業者間で費用と収入をどう配分するか、複数年の運行を約束する場合に行政と事業者が何を合意するか、設備投資を利用者の遅延や運休の改善とどう結びつけるかを考えました。日本では、一定の区域について自治体と事業者がサービスと費用を協定するエリア一括協定運行事業や、松本地域の取り組みを取り上げ、サービスを購入する側にも、費用を分析し、契約内容を検証・修正する専門性が必要になることを議論しました。 出典:Reason Foundation, "International transit systems show practical lessons to improve US transit"https://reason.org/commentary/international-transit-systems-show-practical-lessons-to-improve-us-transit/ 39:11 運賃と生活費 — 移動できる価格をどう支えるか New Economics Foundationの報告をもとに、公共交通の運賃を生活費と移動機会の問題として捉えます。報告は、英国で公共交通運賃が物価全体を上回るペースで上昇していることを背景に、バス運賃の上限設定、25歳未満の無料化、鉄道との共通パスなどを提案しています。また、バスの値下げによる便益は低所得層に多く届く一方、鉄道の割引では高所得層の取り分が多くなると分析しています。 本エピソードでは、運賃を下げた結果を利用回数だけで評価することの限界を議論しました。米国の低所得世帯を対象とした研究では、無料運賃によって公共交通の利用は増えた一方、移動全体の回数が増えたという結果は得られず、必要な移動を行いやすくなったという本人の評価は改善していました。そこから、すでに行っている通勤や通院の費用負担が軽くなることと、これまで断念していた移動が可能になることを分けて捉えています。また、月額パスの先払い負担と、利用額に応じて自動的に上限を適用する仕組みの違い、運賃やサービスが継続するという見通しが、車の保有や買い替えの判断に関わり得ることも考えました。日本については、利用者の運賃負担を軽減しながら、事業者が運行を続けるために必要な収入や人員をどう確保するか、地域ごとに必要な移動とサービスを公的負担とあわせて定めることについて議論しました。 出典:New Economics Foundation, "Getting moving on the cost of living: A plan to bring down bus and rail fares"https://neweconomics.org/2026/07/cutting-the-transport-cost-of-living ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■YouTubeでも配信中 PEP のYouTubeチャンネルはこちら ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP) 公益財団法人 国際文化会館

  8. Sep 8

    生活基盤経済(Foundational Economy)とは何か

    半導体工場を誘致しても、そこで働く人が暮らせる住宅や、子どもを預けられる保育、通勤を支える交通、家族の介護を担う人材が不足していれば、産業は十分に機能しません。今回取り上げる「生活基盤経済(Foundational Economy)」は、食料、住宅、医療、教育、ケア、交通、エネルギー、上下水道、通信など、人々が日々の生活で依存する財やサービスの供給を、経済政策の中心に置く考え方です。先端産業やGDP成長率に注目が集まりやすい経済政策に対して、社会と産業を支える生活の基盤をどのように維持し、更新するのかを問い直します。 エピソードでは、2013年に英国で提起された生活基盤経済の考え方から出発し、「社会的フランチャイズ」という捉え方や、公共と民間が混在する供給制度としての特徴を整理します。さらに、レイチェル・リーブスが提起した「日常経済(Everyday Economy)」との違いを確認しながら、議論の焦点が産業部門から市民の権利、さらに世帯の「生活可能性(Liveability)」へと広がってきた過程をたどります。残余所得、社会インフラ、必需サービスという生活可能性の構成要素を踏まえ、所得再分配だけでは扱いきれない供給制度の問題や、公共調達を通じた制度設計についても考えます。 後半では、ウェールズでの政策化とその評価、地域内循環を目的化する「ローカル・トラップ」の問題、英国で日常経済からセキュロノミクスや先端産業を重視する産業戦略へと議論が移っていった経緯を検討します。そのうえで、経済安全保障を生活基盤の供給という観点から捉える可能性や、日本における公共交通の縮小、介護人材不足、災害時の脆弱性、自治体の調達・維持能力といった課題を考えます。生活基盤をどのように測るのか、社会的共通資本など日本にある考え方とどう接続できるのか、そして生活を中心とする政策思想を将来への投資としてどう構成できるのかまで議論します。 ■キーワード 生活基盤経済(Foundational Economy)/日常経済(Everyday Economy)/生活可能性(Liveability)/残余所得/社会インフラ/必需サービス/社会的フランチャイズ/公共調達/ローカル・トラップ/セキュロノミクス/生活基盤の安全保障/社会的共通資本 00:00 生活基盤経済(Foundational Economy)とは何か02:41 先端産業を支える「見過ごされてきた土台」06:15 日常経済(Everyday Economy)との違い09:31 2013年から2023年へ――産業・市民権・生活可能性12:50 生活可能性を構成する残余所得・社会インフラ・必需サービス15:29 再分配から供給制度へ――公共調達が持つ役割18:46 ウェールズでの政策化――調達・地域企業・フェアワーク21:39 「ローカル・トラップ」――地元優先を目的化するリスク24:10 日常経済からセキュロノミクスへの転換27:19 経済安全保障を「生活基盤の安全保障」から捉える30:17 生活基盤をどう測るか――四つの指標33:13 日本の生活インフラに見える四つの亀裂36:04 バス路線の縮小から無償ケア負担へ――供給劣化の連鎖39:22 なぜ「生活」は政治の中心テーマになりにくいのか42:07 ウェルビーイング・ケア・グリーン・地域経済を束ねる視点 ■主な参考文献・関連リンク Takaaki Umada, “Foundational Economy(生活基盤経済)――生活安全保障につながる経済政策,” 2026 Justin Bentham et al., “Manifesto for the Foundational Economy,” CRESC Working Paper 131, 2013 The Foundational Economy Collective, “Foundational Economy: The Infrastructure of Everyday Life,” 2018 Rachel Reeves, “The Everyday Economy,” 2018 Neil McInroy, “The Everyday Economy: Framing a New Political Economy for the UK?,” 2018 Bertie Russell, David Beel, Ian Rees Jones and Martin Jones, “Placing the Foundational Economy: An emerging discourse for post-neoliberal economic development,” 2022 Luca Calafati, Julie Froud, Colin Haslam, Sukhdev Johal and Karel Williams, “When Nothing Works: From Cost of Living to Foundational Liveability,” 2023 Richard Crisp, “From ‘everyday economy’ to ‘securonomics’: the implications of the Chancellor’s evolution in economic thinking,” 2024 Senedd Economy, Trade and Rural Affairs Committee, “The Foundational Economy,” 2025 UK Government, “The UK’s Modern Industrial Strategy,” 2025 ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■YouTubeでも配信中 PEP のYouTubeチャンネルはこちら ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP) 公益財団法人 国際文化会館

About

政策起業家プラットフォーム(Policy Entrepreneur's Platform, PEP)が運営するポッドキャストチャンネルです。 以下の二つの番組を配信しています。 PEP Talk : 社会課題や政策を取り扱った書籍の著者にお越しいただき、書籍の背景等について伺う番組です。 PEP Think : 海外シンクタンクの議論を日本語で読み解き、日本のビジネスや政策への含意を考える番組です。

You Might Also Like