Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」

ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表 中山陽平

WebマーケティングやWeb活用で手が止まってしまったり、悩んでいる中小・小規模事業者の皆様へ、根本的なウェブに対する考え方・捉え方をお届け。

  1. May 17

    第592回:Google AI ModeとChatGPT Searchの引用元の変動はどれくらい?

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 このPodcast/書き起こしで得られること(要点) 引用元は安定しているように見えて、実際にはかなり入れ替わっています。Google AI Modeでは週ごとに半分程度、ChatGPT Searchでは4分の3程度が入れ替わるという数字を見ると、単発の露出に一喜一憂するのは危険です。 AI検索の引用元は、見た目よりもかなり速い周期で入れ替わっている Google AI ModeとChatGPT Searchでは、引用元の数も安定性も大きく違う ニュース性のあるコンテンツより、意思決定やサービス理解に関わるコンテンツの方が残りやすい AI検索対策の指標は、単発の露出ではなく、一定期間での継続的な残り方で見るべき AI検索における「引用元」AI Citation Drift 今回は、AI検索における「引用元」の話です。AI検索やAIモードで、自社の情報が引用されるかどうかは、Webマーケティング上かなり大きなテーマになっています。実際、AIOやGEOのような言葉で営業提案を受けている会社さんも増えていると思います。 ただ、ここで難しいのは「何を指標にして判断すればよいのか」です。 1回調べて自社が出ていたから良いのか。逆に、出ていなかったから駄目なのか。提案を受ける側としても、自社で調べる側としても、そこが分からないのは怖いですよね。 今回の出発点は、SISTRIXが出しているAI Citation Driftに関する調査です。AIの回答で引用されるドメインが、時間とともにどれくらい入れ替わるのか。数字を見ると、思った以上に動いています。 AI検索の引用元は固定されていない Google AI Modeでは週ごとに56%が入れ替わる AI Citation Driftという言葉があります。簡単に言えば、AIの回答で使われる引用元が、時間とともにずれていく、入れ替わっていくということです。 Google検索の順位も、もちろん昔から変動してきました。今でもSEO業界はちょっとした変動まで「ニュース」として記事になるくらいです…。 ただ、AI検索系の引用元は、それよりもかなり速いスピードで入れ替わっている。検索結果の順位が少し動くというより、引用されるドメインそのものが週単位で大きく変わるイメージです。 SISTRIXの調査では、Google AI Modeでは、1つの回答にだいたい14から16程度のドメインが引用される。そして、そのうち56%が週ごとに入れ替わる。つまり、1週間でおよそ半分が変わっているということです。 従来のSEO感覚で言えば、1週間で半分が入れ替わるのは大変動です。ツールの画面が真っ赤になるような状態でしょう。しかしAI Modeでは、それがある程度当たり前の挙動として起きている。国別に見ても、ドイツ、アメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、フランスで大きく傾向が変わらないため、地域特有というより、プラットフォーム側の構造に近いものとして捉えた方がよさそうです。 ChatGPT Searchはさらに入れ替わりが大きい ChatGPT Searchでは週ごとに74% さらに入れ替わりが大きいのがChatGPT Searchです。SISTRIXの調査では、ChatGPT Searchでは週ごとに74%、つまり4分の3ほどのドメインが新しくなるとされています。 しかも、ChatGPTはGoogle AI Modeに比べて、回答に出てくる引用ドメイン数がかなり少ない。平均で3から4個程度ということなので、そのうち74%が入れ替わるということは、1週間後に同じ引用元として残っているものは、1つあるかどうかという感覚になります。 実際に使っていても、ChatGPTは引用として表に出すドメインが少ない印象があります。途中ではもっと多くの情報を見ているのかもしれませんが、回答上に参照元として出てくるのはかなり絞られている。そこにさらに大きな入れ替わりが乗るので、単発で「出た」「出なかった」を見ても、あまり強い判断材料にはなりません。 単発確認で喜ぶ危うさ ここで注意したいのは、自分で少し調べて「うちが出ている」と喜んで終わってしまうことです。AIツールは、文脈、メモリ、パーソナライズの影響を受けます。自分の環境で見えた結果は、あくまで参考情報でしかありません。 もちろん、まったく意味がないわけではありません。ただ、AI検索の引用元はこれだけ動くので、1回の表示結果で判断すると、かなりぬか喜びになりがちです。見るべきなのは、一定期間の中でどれくらい残り続けているかです。 残りやすいコンテンツと流れやすいコンテンツ 残りやすいものと、流れやすいものがあります では、どんなコンテンツでも同じように入れ替わるのかというと、そうではありません。残りやすいものと、流れやすいものがあります。 ニュースやメディア系の情報は、かなり残りづらい傾向があります。流動性が高い情報なので、AI側もその時点でより新しいもの、より良いものを取りに行く。ブログでトピックスを拾って記事を書くようなコンテンツは、その瞬間のインプレッションやクリックにはつながるかもしれませんが、AI検索で長く引用される資産として考えると、やや不向きです。 一方で、サービスに関わる情報、意思決定に関わる情報、商品ページや説明ページ、FAQ、技術的なドキュメントのようなものは、一度引用される側に入ると残りやすい傾向があります。ここは重要です。 AI検索時代のコンテンツ計画では、とにかくニュース性のある記事を出し続けるよりも、サービスの根幹に関わる情報をきちんと育てる方が、積み上げとしては強い可能性があります。作っても作っても走り続けないと成果が続かない形は、運用としてかなりつらい。長く残るコンテンツ形態を育てる視点が必要です。 最初に乗るまでと、乗った後の維持 もう1つ大事なのは、一度「残るドメイン」の側に入ると、そこに居やすい傾向があることです。もちろん、正式な意味での特権ではありません。ただ、安定して引用される中核に入った後は、それを維持していくことが施策の中心になります。 逆に言えば、最初に乗るまでが大変です。しばらくは何も起きていないように見えるかもしれません。それでも、もう一押しで安定した引用グループに入る可能性もあります。後追いで競争の激しい領域に入る企業にとっては厳しいですが、だからこそ、安定的に残りやすいページを育てることが重要です。 指標は点ではなく期間で見る どれだけ安定して引用され続けているか AI検索の引用状況は頻繁に変わります。だから、毎日見て「今日は増えた」「今日は減った」と振り回されても、あまり意味がありません。 見るなら、1週間、1ヶ月といった一定期間で、どれだけ安定して引用され続けているかです。1回入ったからOKではなく、1ヶ月後にも残っているか。前よりも安定して出るようになったか。こうした見方でKPIを設定する必要があります。 お客様向けにAI関連のモニタリングツールを作っていますが 私自身も、お客様向けにAI関連のモニタリングツールを作っていますが、この調査を見て、計測の仕方はもっと工夫しなければいけないと感じました。特にChatGPTのようなチャットツールは、個人ごとの文脈やメモリ、パーソナライズの影響が大きい。企業利用で一部をオフにしているケースもありますが、それでも計測はまだ参考レベルだと見ておいた方がよいと思います。 また、AI検索での引用が増えたから売上が上がった、問い合わせが増えた、と単純に読むことも難しくなっていきます。情報過多の時代は、比較検討の流れそのものが複雑です。どこで効いたのかを一本の線で追うのは、ますます難しくなります。 AI時代ほど顧客理解に戻る お客様のことをどれだけ理解しているか 昔のデジタルマーケティングには、定量的にいろいろなことが分かるからやりやすい、という感覚がありました。Google Analyticsで検索キーワードが見えていた時代を知っている方なら、なおさらそう感じるかもしれません。 しかし、AI検索やチャットツールの時代になると、また少しアナログな世界に戻っていくように感じています。細かなデータを完全に読み切るというより、お客様のことをどれだけ理解しているか。その上で、AIから有用な情報を引き出す問いを設計できるか。ここが重要になります。 大ざっぱなプロンプトでは、良い情報はなかなか取れません 「いい感じにやって」「お客さんのことを教えて」という大ざっぱなプロンプトでは、良い情報はなかなか

  2. May 8

    第591回:AIに伝わるWebサイトへ 中小企業が次のサイト リニューアルで持つべき視点

    Podcastを今すぐここで聞く このPodcast/書き起こしで得られること(要点) AIエージェント時代のWebサイト対応は、AI検索での露出対策とは別の話として重要度が高い HTMLの意味付けやアクセシビリティが、AIにとっての理解しやすさに直結する可能性が高い(Googleブログによると) 人間向けの見た目だけでなく、AIが操作しやすいレイアウトや導線が重要になる 小手先の見せ方より、標準的で分かりやすい構造と中身で戦う時代に入る ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 今回は、AIエージェント時代に向けて、Webサイトをどう整えておくべきかという話です。 最近は、情報探索や情報収集をAIに任せる場面が増えています。さらに踏み込んで使っている方であれば、意思決定のための材料集めをAIがかなり担うようになってきたことを、すでに体感しているのではないでしょうか。 そうなると、Webサイトは「人が直接見に来る場所」だけではなくなります。AIが情報を取りに来る。AIがブラウザを操作する。その前提で、自社のWebサイトをどう整えるかを考える必要が出てきます。 これはAI時代の露出の話(≒ いわゆるAIOやGEO)などの話とは違います まず、これはAI検索で引用されやすくする話でも、AI OverviewやAImodeで露出を増やす話でもないです。 今回扱うのは、エージェントが情報を取りに来たとき、迷わず、正確に、負荷少なく扱えるWebサイトにしておくにはどうするか、という観点です。露出が上がるという文脈ではないのでご注意ください。 AIエージェントという新しいWeb利用者 AIエージェントという言葉から、ブラウザを勝手に操作してくれるもの、放っておいても作業を進めてくれるものなど、いろいろなイメージを持つと思います。ここでは厳密な定義には踏み込みません。 外から見た姿として考えると、これまでは人間がWebサイトを見て、情報を集め、資料を作り、意思決定をしていました。その情報収集の大きな部分を、自分ではない何か、つまりAIに任せる時代が来ている。まずはそのくらいに捉えておけば十分です。 もしまだ体験したことがなければ、セキュリティ面には注意しつつ、CodexのComputer Use、あるいは以前からある自動化 Playwrightのような、プログラムがブラウザを操作する仕組みを一度見てみるとよいと思います。 画面上でポインターが動き、処理が進んでいく様子を見ると、人間ではないものがブラウザを操作する時代が、かなり近いところまで来ていることが分かります。 もちろん、今はまだ遅い部分もあります。自分でやった方が早いと思う場面もあります。それでも、一度体感しておく価値はあります。AIがテキストで回答するだけでなく、画面を見て、判断し、操作していく世界を前提にすると、Webサイトに求められるものの見え方が変わるからです。 まず戻るべきHTMLの意味付け 最初に見るべきなのは、HTMLのセマンティック性、つまり意味付けです。 たとえば、クリックして何かアクションを起こす要素を作る場合、HTMLではbuttonタグを使うケースもあれば、aタグを使うケースもあります。一方で、意味を持たないdivタグなどにCSSやJavaScriptで見た目や挙動を寄せて、ボタンのように見せることもできます。 人間は見た目から「これはボタンだろう」と判断できます。しかしAIは、まずHTMLを読んで、そこから「これはアクションを起こすためのボタンだろう」と判断します。視覚を使わずにWebサイトを理解する場面では、Webの基本に沿った意味付けが重要になります。 SEOでは後回しにされがちだった構造 これまでSEOの世界では、HTMLの構造はそこまで重視されてこなかった面があります。H1くらいしか関係ない、HTML Lintで100点を取っても検索順位が上がるわけではない、といった感覚もありました。 経済的インセンティブが薄かったため、構造化データのようにGoogleが目に見えるメリットを出すもの以外は、どうしても後回しにされがちでした。極端な場合、全部をdivで組んでしまうような実装もあります。ブラウザのデフォルト挙動を避けたい、ゼロベースで見た目を作りたいという気持ちは分かります。 ただ、AIエージェントにとっては判断しづらくなります。button、a、input、form、labelといった要素を適切に使う。フォームではプレースホルダーだけに頼らず、きちんとラベルを付ける。HTMLとアクセシビリティの基本を整える。こうしたことが、改めて重要になってきます。 AIが操作しやすい画面設計 もう1つの大きなポイントは、視覚的な使いやすさです。 AIは今や、スクリーンショットを撮りながら画面を理解することもできます。Computer Useのような仕組みも、スクリーンショットを見ながら、どこを操作すべきかを判断しています。デバッグでも、色や余白、仕様通りかどうかを視覚的に確認できるようになっています。 ただし、視覚情報は重いです。HTMLはテキストなので軽いですが、スクリーンショットはすぐに1MB、2MBになります。それを動きながら取り続けるわけですから、AIにとっても負荷が大きい。だからこそ、なるべく視覚的な負荷を減らすことが重要です。 重要なボタン、ずれない画面、分かりやすい導線 重要なボタンは、重要だと分かるようにする。位置、色、サイズ、近さを分かりやすくする。ボタンを押した直後にレイアウトがずれて、押そうとした場所が変わるような状態を避ける。 Core Web Vitalsでもレイアウトシフトは好ましくない要素ですが、AIエージェントにとっても大きな妨げになります。ここだと思って押したら位置が変わってしまう。すると、エージェントはもう一度状況を判断し直さなければなりません。 今は、エージェントによるWebサイト活用がそこまで一般化していないため、どれくらい行動制限につながるかは見えにくいかもしれません。しかし、ブラウザ操作が当たり前になった未来では、操作しづらいWebページは致命的になる可能性があります。 Webサイトのリニューアルは、毎年行うものではありません。3年に一度くらいのことも多いはずです。3年後には、エージェントを前提にした世界になっていてもおかしくありません。次にリニューアルする時は、セマンティック性のあるHTML、認知負荷の低い設計、レイアウトシフトの少ない画面、視覚的に使いやすいシンプルなサイトを、大きな指針にするべきだと考えています。 標準的な構造と中身で勝つ時代 私はもともと、AI時代のWebサイトはデータベースに近いものになっていくと思っていました。サイトの中身をAIが読み取り、それをもとに情報をまとめる。意思決定や操作は人間がするのだろう、と考えていました。 しかし、ブラウザを自動操作する技術の正確性や速度が、思った以上に上がっています。今は「AIが勝手に操作するのは怖い」「セキュリティ的にどうなのか」という感覚も強いですし、実際に危ない部分もあります。それでも一定のラインを超えると、当たり前のように使われるようになるでしょう。 そうなると、Webサイトを情報の出所であるDBとして分かりやすくしておくこと、網羅性のある情報を配置しておくことに加えて、エージェントに対するユーザビリティも考える必要があります。 奇抜なUIよりも、よくある分かりやすさ AIにとって一番分かりやすいのは、よくあるレイアウト、よくあるやり方です。奇抜なUIではなく、「普通はこの辺にこれがあるよね」という標準的な構造を守る。そして、情報やサービスの中身の質で勝っていく。そういう形にしていかなければなりません。 逆に、テクニックや見た目の違い、小手先の心理的な誘導で差を感じさせていたところは、今後ジリ貧になっていくと思います。人間の認知的な部分に強く依存して売っている意識があるなら、そのバフが効かなくなる前提で見直した方がよいでしょう。 たとえば「値下げしました」と見せても、実は毎月値下げしていることはAIに調べさせればすぐ分かります。アップセルをどこで出すか、この段階で何を見せるか、といった人間向けの見せ方も、AIが情報収集を始めると必要なければ見ません。 買う側にとっては、超有能なスタッフが代わりに買いに行ってくれるようなものなので便利です。しかし売る側としては、今までそうした見せ方で乗せてきた部分がある会社ほど、脱却

  3. Apr 7

    第590回:[現場から]中小企業がAIツール導入で失敗しないために、最初に見直す6つの判断軸

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 AIツールの話になると、どれを選べばいいのか、無料版で十分なのか、自動化まで一気に進めたほうがいいのか、といったご相談を本当によくいただきます。実際には、中小企業のAIツール活用は、難しいことから始めないほうがうまくいきます。 このPodcast/書き起こしで得られること(要点) 中小企業のAIツール活用で押さえておきたいのは、 まず使ってみる 有料版で実力を見極める 真似から入って使い方を自分の仕事に寄せていく 自動化は最初はシンプルな物から 外部公開は気をつけて ブラウザ操作は気をつけて 便利さだけを追いかけるのではなく、現場で使い続けられる形に落とし込んでいくと、AIは十分に力を発揮してくれます。 中小企業のAIツール活用は、悩む前にまず触ってみる 最初にお伝えしたいのは、悩んでいるなら使ったほうがいい、ということです。今はChatGPT、Gemini、Claude、それからGrokやCopilotのように、選択肢はいくつもあります。どれが絶対に正しいかという話ではなく、実際に触ってみないと、自分に合うかどうかは分かりません。 AIツールは、性能の高さだけで決まるものではありません。やり取りのしやすさもありますし、自分が思っていることを引き出しやすいかどうかもあります。 人と仕事をするときと同じで、相手の能力が高くても、うまく引き出せなければ成果にはつながりません。反対に、多少癖があっても、自分にとって扱いやすければ、そちらのほうが結果として役に立つこともあります。 使っているうちに、やりたいことが見えてくる AIツールは、使い始める前より、使い始めてからのほうが可能性が見えてきます。最初は、文章を書かせる、要約させる、そのくらいしか思いつかないかもしれません。 けれど、日々触っていくと、これもできるかもしれない、あれにも使えるかもしれない、という形で仕事とのつながりが少しずつ見えてきます。 ですから、比較記事を読み続けて決めきれずにいるより、まずひとつ選んで触るほうが早いです。普段からGoogle Workspaceに寄っているならGeminiでもいいですし、まわりにChatGPTを使っている人が多いならChatGPTでもいい。 日本語での書き味が気になるならClaudeでしょうか。なんにせよ、悩んでいる時間が長いなら、まず目の前のものに三千円前後を払って試したほうが、得られるものは大きいはずです。 無料版ではなく、有料版で見ないと実力は分からない これはかなり強くお伝えしたいのですが、無料版だけでそのツールを判断しないほうがいいです。 無料版は入口としては悪くありませんが、そのツールの持っている力や、本来の使い勝手は、どうしても見えにくくなります。無料版のまま何とかしようと頑張るより、有料版にして仕事の中で試したほうが、判断はずっと正確になります。 しかも、有料版にしていても、上位のモデルや機能を使っていないケースは珍しくありません。けれど、その差は意外と大きいです。 出力の質も、考え方の深さも、作業の進み方も変わってきます。個人で使う場合でも、可処分所得がある程度ある方であれば、有料版を使って元が取れない、ということはあまりないのではないかと思います。 年払いではなく、月額で始めたほうがよい AIツールは変化が早いので、最初から年払いにする必要はありません。年払いのほうが安く見えることはありますが、途中で乗り換えたくなる可能性が十分にあります。実際、使っていくうちに、自分には別のツールのほうが合うと分かることはよくあります。まずは月額で始めて、合っているかを確かめながら続けるほうが安心です。 私自身、プロプランや各種APIも含めると、毎月かなりの金額をAIに使っています。ざっくり言えば、一桁上、つまり十万円以上は毎月使っていますが、それでもコストに見合わないと感じたことはありません。それだけ、きちんと使えば仕事に返ってくる余地があるということです。 最初は真似から入るほうが、中小企業のAIツール活用は進みやすい 最初から、自分で一から全部組み立てようとしないほうがいいです。SNSを見ていると、すごく複雑なことをやっているように見える投稿がたくさん流れてきます。 けれど、ああいうものは、その一つの投稿の裏に、かなりの試行錯誤や積み重ねがあります。最初から同じところを目指そうとすると、たいてい止まってしまいます。 それより、まずは真似から入るほうが自然です。同業の人が使っているやり方でもいいですし、勉強会で見た手順でもいい。まずなぞってみる。 そのうえで、ここは自分向きに変えよう、ここはうちの業務に合わせよう、と少しずつ寄せていくと、仕組みが見えてきます。そうやって初めて、自分でも作れる感覚が育っていきます。 真似ることは、手を抜くことではない 真似というと、あまりよくない印象を持たれるかもしれません。 ですが、最初の段階では、遠慮なく真似して大丈夫です。真似してみると、どこが使いやすくて、どこが使いにくいのかが分かります。その差分が、そのまま自社向けの調整ポイントになります。 AIツールは、使い方そのものが成果を左右します。だからこそ、いきなり独自流に走るより、よい型を借りて、自分の現場に合う形へ直していくほうが、ずっと前に進みやすいです。 自動化とブラウザ操作は、便利さより慎重さを先に置く AIの話になると、自動化への期待はどうしても大きくなります。 寝ている間に何かが終わっている、ほうっておいたら作業が片付いている、そういう話は魅力的です。ただ、最初からそこを目指すと、期待したものが返ってこないことが多いです。むしろ、見た目ほど簡単ではありません。 まずは、自分が見ているところで動かすことを基本にしたほうがいいです。 別のウィンドウで作業させる程度ならまだしも、複雑な処理を一気通貫で自動化するとなると、AIのできることとできないことをかなり把握していないと厳しいです。 結果として手戻りが増え、かえって手間がかかることもあります。 自動化は、単純なものから始める たとえば、決まったフォルダに入れたものを整理する、日報のような定型情報を整える、といった単純な作業なら、自動化の入り口としては悪くありません。 ただ、複雑な調査や、複数の判断をまたぐ業務を、最初から丸ごと任せるのはおすすめしません。そこにはかなりの試行錯誤と、自分なりのやり方が必要になります。 AIに慣れてくると、これは自動化したら楽になるな、というものが自然に見えてきます。その順番で十分です。最初から自動化を目的にしすぎると、思ったほどの成果が得られず、苦手意識だけが残りやすくなります。 ブラウザを操作させる権限は、用途を絞る もう一つ気をつけたいのが、ブラウザを操作させる権限です。これは便利そうに見えるのですが、かなり慎重に扱ったほうがいい領域です。限定された社内ページを巡回させて情報を取る、決まった作業を補助させる、そのくらいならまだしも、何でも自由に触らせる方向へ進めるのは、今の段階ではおすすめしにくいです。 特に、ログインや入力をまたぐ操作は、想像以上に気をつける必要があります。便利さに目を奪われず、どこまで任せてよいかを細かく区切ること。ここは中小企業のAIツール活用で、かなり差がつくところだと思います。 社内情報を使うものは、外に公開しない AIがあることで、ちょっとした社内ツールやアプリを自分で作ろうと思う方は増えています。それ自体はとてもよい流れです。 ただし、社内の情報やアクセス解析のデータ、顧客情報、認証を含むものは、安易に外へ公開しないほうがいいです。自分のレンタルサーバーに置いて、家からでも会社からでも触れるようにする、といった形は、便利さの裏に大きな怖さがあります。 本当にまずいのは、何か起きてからでは遅いことです。個人情報や認証まわりは、一度事故が起きると取り返しがつきません。 ですから、こういうものは、まず自分のマシンの中や閉じた環境で使うところまでにとどめておくほうが無難です。外に出すなら、AIに作らせたから大丈夫、ではなく、システムやセキュリティに詳しい人と一

    30 min
  4. Mar 18

    第589回:Web活用・データ活用できない会社の原因は「個人のスキル不足」ではないかもしれない

    Podcastを今すぐここで聞く データ活用できない会社の本当の原因は「個人のスキル不足」ではない AIや業務効率化、さまざまなシステム活用の話題が飛び交う昨今、それらをうまく取り入れている会社と、どうにも手が出せない会社がきれいに分かれてきている印象があります。 成功事例として持ち上げられるように、スムーズに進んでいるところ、そこそこ実現できている実感があるところもある。 一方で、現場としても経営層としても「どうも活用できない」と感じている会社さんも少なくない印象です。 どちらの会社さんからもご相談をいただく中で、両者の違いや課題について考えることが増えました。そこで今回は「どうすればデータを元に動ける組織になれるのか」というテーマで、現場で感じていることをお伝えします。 「リテラシーが低い」「意識が足りない」で片付けてはいけない データ活用というと、どうしても算数や数学的なイメージがつきまとい、うまくいかない原因を「リテラシー不足」「意識が低い」「主体性がない」といった個人の課題に集約しがちに感じます。 しかし、現場に入ってみると、そういうところ以前の課題が横たわっていることが実に多いのです。 ざっくり言えば、データをうまく使えない組織というのは、スキルがないから動けないのではなく、「データを元にして動くと損をする環境」に人々が置かれてきた結果、そうなっているケースがほとんどです。 つまり、個人の能力ではなく環境が課題のケースが多い、少なくとも原因に占める割合としては大きい。 もしこれがシンプルに個人の課題であれば、話は簡単です。 「このデータはこういうふうに読むと、こういうことが分かるんですよ」と伝えるだけで、どんどん変わっていきます。 組織として研修を行えば、翌日から少しずつデータを見てくれるようになったり、「勉強会をもう一回やりましょう」という声が自然と上がったりする。個人がボトルネックであれば、やり方をお伝えするだけでちゃんと前に進んでいく。 しかし、課題が環境にある場合は違います。 データが使えるということは分かっている。でも、それを活かせる「空気」がない。やりたいと思っていてもやれない。そういう状態が生まれているのです。 組織的な要因が疑われるサイン では、環境に課題があるケースにはどんな特徴があるのか。 私がよく目にするのは、次のようなもの 課題提起した人が、そのまま実行責任を押し付けられる 提案すると、なぜか厳しく詰められたり「言ったからには証明してくれよ」という空気になる 一番頑張って提案してくれている人が、一番元気がない・疲れている 会議では売上などの数字は話題に出るが、対策を練る段階になると急に「勢い」や定性的な話に流れる 会議が終わって部屋を出た途端に、みんなが一斉に本音を話し始める こうした状態にある組織では、過去にデータを根拠に動こうとした人が、ポジティブなフィードバックではなく 「そんなデータで何が分かるんだよ」「否定するなら説明責任を取れよ」と一方的に押し付けられてきた経験があることが多いのです。 結果として、今のやり方とは異なる判断軸を持ち込んだときに、それを受け入れられない体質ができあがってしまいます。 個人個人のスキルを上げたところで解決しない そういう状況なら、個人個人のスキルを上げたところで解決しません。 むしろ、やる気やモチベーションのある人から先にやめていってしまうという深刻な事態を招きかねません。 管理者としてこの状況を変えたいのであれば、まずは組織の空気そのものを変えることが出発点です。 影響力のある立場の方ほど率先して行動し、たとえ失敗しても「うちは変わるんだ」という姿勢を見せることが重要です。 データ活用を阻む「4つの壁」 データ活用がうまくいかない原因は大きく4つに分類できると私は考えています。 壁1:能力・スキルの課題 1つ目は、シンプルに今までやってこなかったという経験値の課題です。 データの見方が分からない、解釈の仕方が分からない、そこから何ができるのか行動に結びつかない。 やったことがなければ最初うまくいかないのは当たり前のこと。実際、仕事というのは何でもやってみて覚えることの方が多いもの。 このケースであれば、雑に言えば「教えればどうにでもなります」。 むしろ現場の方々は、定性的・定量的な知識を豊富に持っています。私のような外部の人間がとやかく言うよりも、はるかに生々しく良いアウトプットを出してくれることも珍しくありません。 壁2:組織の構造と仕組みの課題 2つ目は、組織の構造に起因する課題です。 「言い出した人がやる」という暗黙のルールが存在していたり、データに基づいて誰がどう動くのかという役割分担が曖昧だったりします。やろうと思っても権限がないというケースも少なくありません。 ここでいう「権限がない」とは、会社の制度上の話だけではありません。むしろ多いのは「空気的な」権限の欠如です。 提案したことに対して「いいね、やってみなよ」というポジティブな後押しがないのはつらいです。 評価制度も、自分で発案して行動し、成果を出したことがきちんと認められる仕組みになっていない。動きたいのに、動ける心理状態に自然となれない構造が出来上がっているのです。 壁3:心理的な抵抗 3つ目は、個人の心理的な課題です。 データを活用すると、これまで「こうすればいい」と信じてきたやり方が覆される場面がどうしても出てきます。 そのとき、「否定されたくない」「今までの自分が失敗だったと思われたくない」という感情が湧き上がり、過去の判断と自分の存在価値を結びつけてしまうことがあります。 これは性格や考え方の癖に根ざす部分が大きいため、一朝一夕には解決できません。 構造の課題をきちんと整えた上で、実際に動いてもらい、それを認めるというステップを踏んでいく必要があります。 大切なのは、「今までのものを否定するためにデータを使う」のではなく、「今までの土台があった上で、さらに良くするために使えるものなんだ」というメッセージをトップの人間がしっかり発信し続けることではないかな、と思うところです。 壁4:あらさがし文化 そして4つ目、これが最も根深い課題だと感じていますが、企業文化の壁です。 とりわけ厄介なのが「あらさがし文化」です。前例絶対主義、提案が歓迎されない空気、新しいことに対してまず失敗の証拠を探そうとする姿勢。これは日本固有の課題ではなく、海外の方に話を聞いてもグローバルに見られる現象のようです。 あらさがし文化の何が致命的かといえば、何か新しいものが見えたとき、最初に「悪い点を見つけよう」「誰が責任を取るんだ」という方向にエネルギーが向かってしまうことです。 行動を起こすたびに逆方向への力が働く環境では、前に進むのは難しい。 この文化が根づいた背景には、さまざまな事情があるでしょう。 頑張ったけれど裏目に出た、うまく評価してもらえなかった、そうした経験の積み重ねが組織全体の行動様式を変えてしまったケースもあるはずです。 あらさがし文化のもとでは悪循環が しかし結果として、あらさがし文化のもとでは以下のような悪循環が生まれます。 現場が本当の数字を出さなくなる(どうせあらさがしに使われるなら、良いデータだけ報告しておこうという心理が働く) 課題を発見しても報告したくなくなる(言わないで済むならそのほうが安全) 報告が無難な内容に終始する 失敗が「今後の糧」ではなく「減点材料」にしかならない こうなると、データの精度という一番大事な土台が崩れ、良いことも悪いことも何も起きない「現状維持」だけが組織の行動原理になってしまいます。今あるやり方をキープしながら、ちょこちょこと微調整して何とか生き延びる。それがあらさがし文化の行き着く先です。 このような要因を見極めて対処して行くと、良い結果が出てくると思います。 補足:成功事例の「行間」を読めていますか ここで、成功事例の読み方についても触れておきたいと思います。 最近、特に製造業の方のデータ活用事例が多く目に入ってくるのですが、表面的

  5. Mar 6

    第588回:その勝手ランキング・比較・○○選記事、大丈夫ですか?|Google評価とAI時代の新リスク

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、勝手ランキングや比較記事、○○選記事のようなセルフプロモート型のページが、なぜ今あらためて見直しの対象になっているのかを、現場で見えてきた変化とあわせてお伝えします。 このPodcast/書き起こしで得られること(要点) 自社をよく見せる「前提」で作られた、セルフプロモート型の記事はリスクが高くなっています。Googleも厳しく見てくる動きが現れ始めています。 また、今は検索だけでなく、生成AIでの再参照や情報探索が一気に広がっています。そのため、法的な見られ方、そして読者の信頼まで含めて、短期的な露出より長く残るデジタルタトゥーを警戒すべきです。 自作自演的なランキング記事が少しでも話題になれば、あるいはそう言った業者に対する風当たりが強くなれば、そこに依頼しているあなたも、未来に続く営業負債を抱えてしまうかも知れません。 要点 ランキング形式そのものが問題なのではなく、独自性や一次情報のないセルフプロモート型の作り方が危うくなっています。 一時的に見つかりやすくなったとしても、見抜かれた瞬間に信頼を失いやすく、その印象は後から消しにくいです。 これからは、どこかに載ることよりも、第三者に正当に選ばれる状態をつくることの方が、はるかに企業の資産になります。 「勝手ランキング記事」とは? もともと比較記事やランキング記事には、読者に選択肢を渡す役割がありました。それ自体は悪いことではありません。実際、丁寧に比較し、評価軸を明示し、経験をもとに書かれた記事は、読み手にとってとても役に立つものです。 ところがその中には、最初から自社を押し上げるために作られたページがあります。 おすすめ、比較、○○選といった形を取りながら、実際には読者の判断を助けるより、自社への導線づくりが主目的になっているものです。 見た目は情報提供でも、中身はPRの延長になっている。そういうページが、ここしばらく目立つようになってきました。多くの場合それは自作自演か、そう言った業者によるコンテンツ作成サービスによる記事です。 営業提案として広がっている 現場で見ていても、この手の提案は増えています。 社のクライアントに寄せられる営業をチェックしていますが、生成AIに強いという話が出回ってから一気に増えています。 後えば、特定の地域や業種について「おすすめを教えて」と生成AIに聞かれたとき、先に一覧ページを作っておけば引用されやすい、という営業文句ですね。 自社を1位に入れる、自社を10選の中に入れる、掲載されていること自体を実績のように見せる。そうした見せ方を成果として売っている提案です。 読み手の判断材料を増やしているのではなく、最初から誘導先が決まっているなら、それは比較記事の形を借りた販促に近くなります。 その違和感は、いままで以上に見抜かれやすくなっていますが、あくまで対話型AIに引用されるために作っている、コンテンツ自体を見せないようにするという点で巧妙です。 検索での評価が変わり始めている その前提で見ておきたいのが、2025年12月のコアアップデート以降の変化です。Googleの公式記録でも、2025年12月11日から29日までコアアップデートが行われたことが確認できます。Google Search Status Dashboard その後、2026年2月4日に公開された Google may be cracking down on self-promotional ‘best of’ listicles では、自社を上位に置くベスト記事を多く抱えたサイトで、可視性が大きく下がった事例が紹介されていました。 もちろん、これだけで世の中のすべてを断定はできません。ただ、少なくとも「こうした作り方は今後も安全資産になる」とは言いにくくなっています。 実際に見られたらマイナスだがGoogleのAImodeなどで好意的に露出できるなら差し引きプラスだという考え方が通用しなくなる可能性が高いからです。 ランキング形式そのものが悪いわけではない 念のためお伝えしたいのは、Googleが比較記事やランキング記事そのものを否定しているわけではない、ということです。 Googleの Google Search’s reviews system でも、比較やランキング形式のレビュー自体は対象に含まれています。 問題になるのは、今回話題にしたような実際に見たり使ったりした経験、独自の調査、一次情報、明確な評価軸がないまま、自社を持ち上げるために作られた薄いページです。EEAT的な文脈でもあります。 Googleは Creating Helpful, Reliable, People-First Content でも、検索順位を動かすためではなく、人の役に立つ内容を重視する姿勢を明確にしています。 ですから、守るべきなのは「ランキングという形式」ではなく、「そのページが何のために作られているか」です。そこがぶれると、長く残るページにはなりません。 見抜かれた瞬間に信頼を失う いちばん大きいのは、順位の変化よりも先に、読者の信頼を失うことです。 私も何度も経験をしています。 例えば以前、WordPressテーマを探していて、なるほど1位はこれなのかと思って見ていたら、そのテーマを販売している会社のページだった、ということがありました。 自分で自分を1位にしているのか、と気づいた瞬間、そのページだけでなく、その会社に対する考え方・方向性まで変わってしまうんですよね。もちろん悪い方向に。 商売をしていると、法に触れないなら試してみてもよいのでは、と考えたくなる場面はあります。必死です、商売って、分かります。 ですが、今の環境では、見抜かれたときの印象の悪さが大きすぎます。 自社サイトの中でやる場合も、別ドメインのメディア風サイトを使う場合も同じです。オウンドメディア構築サービスなど。読者は思っている以上に、そこにある不自然さを見ています。 そして、その印象はその場限りで終わりません。 選ばれない理由が積み重なれば、営業にも採用にも、紹介にも静かに響いていきます。派手ではなくても、こういう傷は後からじわじわ効いてくるものです。 AI時代は、過去の見せ方まで残りやすい もう一つ重いのは、公開した情報が後からまとめて参照されやすくなったことです。 以前よりも、過去のページ、掲載先、評判、炎上の文脈がつながって見られやすくなっています。その場しのぎの見せ方だと思って出したものが、後になって会社の姿勢そのものとして読まれてしまうことがあります。 これはAIによる情報収集がもたらしたものです。 掲載先のメディアや運営会社が問題を起こしたときも同じです。そこに載っていた企業名の一覧は、すぐに掘り返されます。 依頼した側にまで「そういう見せ方を選んだ会社なのか」という印象が返ってくるので、後からきれいに切り離せるとは考えない方がよいです。 生成AIについても、Googleではだめでも他では出るから構わない、と単純には考えにくくなっています。 Googleの AI Features and Your Website でも、AI Overviews や AI Mode のために特別な最適化が必要なわけではなく、基本のSEOと、人の役に立つ内容が前提だと案内されています。近道に見えるやり方ほど、土台が弱いまま残りやすいのです。 法律面も軽く見ない方がいい 法律面も外せません。比較広告そのものは禁止されていませんが、消費者庁の 比較広告 では、お伝えしたいことする内容が客観的に実証されていること、数値や事実を正確かつ適正に引用すること、比較の方法が公正であることが必要だと示されています。 比較すること自体より、どう比較するかが問われるということです。 また、消費者庁の No.1表示に関する実態調査報告書(概要) では、自社商品を選択肢の最上位に固定して誘導する例や、合理的な根拠に基づかない表示が問題になるとされています。ランキング記事は表現が違っても、見せ方を誤ればかなり近い構図になりやすいです。だからこそ、「みんなやっているから大丈夫」とは考えない方が安全です。 これから舵を切る方向 では何をするのか。遠回りに見えても、やることははっきりしています。第三者に正当に選ばれる状態をつくることです。 商品やサービスそのものを強くすること。 まず見直すべきなのは見せ方ではなく、中身です。紹介される理由を外側でつくるのではなく、選ばれる理由を中に積み上

  6. Feb 26

    第587回:AI時代のスキルアップに必須な“生の経験の蓄積”を急いで行おう

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 AI時代に伸ばすべきは、知識よりも「生の経験」 AIが社会を大きく変えていく今、スキルアップに何を選べばいいか迷うという声をよく聞きます。コミュニケーションやプログラミングなど候補は多いですが、現場でAI活用の差を見てきた私の結論は一つ、「生の経験を積み重ねること」です。 AIを使って成果を出せる人ほど、もともと自分の中に「やってきた量」があります。営業でも制作でも開発でも、泥臭く手を動かしてきた人は発想の幅が広く、AIへの指示の出し方そのものが変わります。 AIの返答の質を決める重要な要素「考えるフレーム」 AIの返答が「なんか違う」と感じるとき、多くの場合その原因は「どこからどこまで考えるか」という範囲のズレです。これはAI分野で「フレーム問題」と呼ばれる考え方に近く、AIは指示がなければいくらでも思考範囲を広げてしまいます。つまり、AIに「どこまで考えてほしいか」を明示できるかどうかが、成果の分かれ目です。 実践経験があると、AIに渡す条件が具体的になる 経験がある人はAIに対して「これも考えて」「そこは要らない」と的確に判断でき、返ってきた案の何が足りないかを言葉にして修正できます。一方、経験が浅いままふわっと「調べておいて」と頼むだけでは、返答もそれなりにしかなりません。 AIを使いこなす人ほど、最初に次の3つの条件を整理してから対話を始めています。 「前提条件」――今何が分かっていて、何が分かっていないのか 「制約条件」――やってはいけないこと、触れなくてよいこと、優先順位 「期待するゴール」――何を決めたいのか、どの粒度のアウトプットがほしいのか この条件を頭だけで組み立てるのには限界がありますが、その領域で実際に手を動かした経験があれば「ここが落とし穴」「ここは余計」という勘所が育ち、AIの出力を現場に乗せやすくなります。 「将来AIがやるから、今はやらなくていい」は危ない考え方 AIやロボティクスの発展で代替される領域は今後も広がるでしょう。そのため「どうせなくなる仕事」と割り切り、経験を積まずにいる人が増えています。しかし私の実感では、仕事は「消える」のではなく「形が変わる」のほうが正確です。スピードが上がり作業が軽くなっても、改善・安全性・コスト見直しなど手を入れる余地は常に生まれます。形が変わった仕事の中で何をどう改善すべきか判断できるかどうかは、過去の経験量に大きく左右されます。 経験は、どんどん積みにくくなる 便利さが増すほど、「体験する機会」そのものが減っていきます。AIの効率化が進むほど、人が直接手を動かす場面は確実に減るからです。現場の温度感や細部の感覚は画面越しに見ているだけでは身につかず、あとから取り戻すことも容易ではありません。気軽に経験できる今のうちに、実際に手を動かしておくことが重要です。 体験を増やすために、今すぐできること 大げさに考える必要はありません。大切なのは「学びで終わらせず、現場で役割を持って動く」ことです。 副業として小さく受けてみる――範囲を決めて、責任を持ってやり切る 誰かの仕事を手伝わせてもらう――近くで見て、同じ手順を自分でもやってみる ボランティアでもいいので実際の現場に触れる――「役割がある場」に入り、期待に応える 体験を積んでおくと、AIを使う場面で「何を任せ、どこを自分で見るか」の判断がしやすくなります。道具を価値に変えるのは、使う側の解像度です。 余談:法人の生き残りはまた別問題… 個人スキルの話から視野を広げると、法人側も大きく揺れています。特にメディア業界は収益モデルと専門性の両面で厳しい局面に入りつつあります。Google Discoverのように検索なしで情報が届く仕組みに加え、対話型AIが「おすすめ枠」形式で情報を届ける方向へ進んでいます。さらにMCP(外部ツールと対話型AIをつなぐ仕組み)の普及が重なると、情報の流通経路そのものが根本から変わっていきます。 現場でのAI活用は、これから一気に広がる 支援先でもAIツールを使う方は増えていますが、まだ「当たり前」とは言えない段階です。キャズム(普及の谷)を越える瞬間はいつも急にやってきます。無料版と有料版の性能差を実感する場面も増えており、個人利用であれば有料版一択です。企業の場合は情報の取り扱いも含め慎重な運用が必要ですが、ポテンシャルの差は明らかです。 AIがさらに普及する前の今こそ、実際に触れて経験を積むことが大きなアドバンテージになります。実践×AIのかけ算——これが今後を左右するポイントです。   関連リンク ラウンドナップ・Webコンサルティング(公式サイト) G検定とは(一般社団法人日本ディープラーニング協会) What is the Model Context Protocol (MCP)?(Model Context Protocol) OpenAI、ChatGPT、Sora のプライバシー設定(OpenAI) Google Discover の概要、掲載、表示方法(Google 検索セントラル) よくある質問 AI時代に、まず伸ばすべきスキルは何ですか? 私の答えは「生の経験」です。経験が増えるほど、AIに任せる範囲を決められますし、返ってきた案の良し悪しも判断しやすくなります。 知識を増やすより、経験を優先したほうがいい理由は何ですか? 知識はあとからでも取りに行けますが、現場の肌感覚は体験しないと身につきません。AIに指示を出すときも、経験がある人ほど前提や制約を具体的に置けます。 AIの返答がいまひとつなとき、どこを見直せばいいですか? 「どこまで考えてほしいか」という線引きを見直すのが近道です。前提条件、制約条件、ゴールを言葉にして渡すと、返答の質が変わります。 将来AIがやりそうな仕事は、今から経験しないほうがいいですか? 私は逆だと思っています。仕事が消えるというより形が変わるので、残る業務の改善や判断に経験が生きますし、今のうちに触れておくほど差がつきます。 経験を増やしたいのですが、現実的にはどう動けばいいですか? 副業で小さく受ける、誰かの仕事を手伝う、ボランティアで実際の現場に触れるなど、方法はいくつもあります。ポイントは、学びで終わらせず、役割を持って現場に入ることです。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [ { "@type": "Question", "name": "AI時代に、まず伸ばすべきスキルは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "私の答えは「生の経験」です。経験が増えるほど、AIに任せる範囲を決められますし、返ってきた案の良し悪しも判断しやすくなります。" } }, { "@type": "Question", "name": "知識を増やすより、経験を優先したほうがいい理由は何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "知識はあとからでも取りに行けますが、現場の肌感覚は体験しないと身につきません。AIに指示を出すときも、経験がある人ほど前提や制約を具体的に置けます。" } }, { "@type": "Question", "name": "AIの返答がいまひとつなとき、どこを見直せばいいですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "「どこまで考えてほしいか」という線引きを見直すのが近道です。前提条件、制約条件、ゴールを言葉にして渡すと、返答の質が変わります。" } }, { "@type": "Question", "name": "将来AIがやりそうな仕事は、今から経験しないほうがいいですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "私は逆だと思っています。仕事が消えるというより形が変わるので、残る業務の改善や判断に経験が生きますし、今のうちに触れておくほど差がつきます。" } }, { "@type": "Question", "name": "経験を増やしたいのですが、現実的にはどう動けばいいですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "副業で小さく受ける、誰かの仕事を手伝う、ボランティアで実際の現場に触れるなど、方法はいくつもあります。ポイントは、学びで終わらせず、役割を持って現場に入ることです。" } } ] } 配信スタンド Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ) https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhong-shan-yang-pingno-non/id750899892 YoutubePodcast(旧:GooglePodcast) https://www.youtube.com/user/WebMarketingJAP

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  7. Feb 19

    第586回:対話型AIから思ったようなアウトプットが出ないときに中小企業がおさえるべき「力」

    ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 このPodcastで得られること(要点) 対話型AIを使っているのに、思い通りの結果が返ってこない。そんな悩みを抱えている方は少なくないのではないでしょうか。 そんな時、プロンプトの書き方やAIの仕組みを学ぶことも大切ですが、それ以上に差を生むのは「国語力」とも呼べる2つの能力です。 1つは、頭の中のイメージを具体的な言葉に落とし込む力。もう1つは、相手に合わせて伝え方を柔軟に変える力です。この2つを日常的に鍛えるだけで、AIのアウトプットは変わります。 AIのアウトプットに満足できない原因はどこにあるのか AIの進化は目覚ましいものがありますが、実際に使ってみると「凡庸な結果しか返ってこない」「何を変えればいいかわからない」という声は多いです。うまくいっていない方のプロンプトを見ると、ぼんやりした指示になっていることが少なくありません。 たとえば文章の作成であれば「わかりやすいテキスト記事にして」、デザインであれば「みんなにわかりやすいA4版のものにしてください」という程度の粒度では、AIもぼんやりした結果を返すしかありません。 もっと具体的に書こうとしても何を書けばいいかわからない、あるいは書いてみたけど意図が伝わっていない——こうした壁に当たっている方は本当に多い印象です。 AIを使いこなすために必要な2つの力 AIのアウトプットを改善するアプローチは多くありますが、今回はプロンプトのテクニックやプログラミングの話から少し離れて、もっと根っこにある「2つの言語的な能力」に焦点を当てます。 G検定のようなAI関連の資格試験で体系的な知識を学ぶことも有意義ですが、現場の実感としては知識だけで大きな変化にはつながりにくい。 それよりも、AIに対して的確な指示を出し、返ってきた結果を正確に解釈し、自分の求めるものに近づけるよう対話を繰り返す力のほうが、差を生みます。 2つの力を鍛える方法 頭の中のイメージを具体的に言語化する力 まず「頭の中のもやもやを形にする力」の鍛え方です。日記や日誌を書くことが有効で、手書きでなくキーボードやスマホでも構いません。 何があって、どうなったのかを文章にまとめる積み重ねが力になります。 ただし日記は個人的な感情が入りがちで、他人に見せにくくなります。添削してもらうと伸びがまったく違うので、代わりにおすすめなのがニュースを題材にする方法です。 あるニュースの背景や意味を、なるべく具体的な粒度でまとめていく。学生時代にノートを作る感覚で取り組むと、言語化の力がぐんと伸びます。 もっと気軽にできるトレーニングもあります。 街を歩いていて「いいな」「面白いな」と感じたら、なぜそう思ったかを掘り下げ、誰かに伝えられるレベルまで具体化してメモに残す。こうした小さな積み重ねで、とっさに自分の感情や周囲の変化を言語化できるようになります。 相手に合わせて伝え方を変える力 この力を鍛えるには、何かを教える場を持つのが一番です。 社内発表会を定期的に開催し、持ち前で発表する機会を作ることをおすすめしています。生身の人間を相手に、理解度を確認しながら伝える練習は、得るものが大きいです。 ただ、小学生や高齢の方に教える機会を日常的に作るのは難しい。そこで活用したいのがAIのロールプレイ機能です。 「こういう属性の人に伝わるかチェックしたい」と設定し、AIにその人物を演じてもらう。たとえば小学校低学年の子にAIの話をわかりやすく伝えられるか、シミュレーションしてもらうだけでも効果があります。 自社のお客さまの属性に合わせて設定を変え、対話を繰り返していくと「この言い回しは伝わらない」「この切り口は響く」という発見があります。 シミュレーションの精度はモデルに依存しますが、やらないのとでは大きな差が出ます。 AIを「練習相手」として活用する トレーニングの相手としてもAIは優秀です。自分が抽象的に考えていることをAIと一緒に解きほぐすワークもおすすめです。 わざと漠然としたことを書き、そこから具体的に落とし込むやり取りを行います。 その際のポイントは「良し悪しの判断や意見は述べず、内容を解きほぐすことだけを目的にしてください」とAIに伝えておくことです。 1日10分でも日課にすれば、3か月で伝え方はかなり変わります。実際に続けた方が以前の自分のプロンプトを振り返ると、「これでは伝わらないわけだ」と驚かれることがとても多い。自分で気づけるようになれば、あとは自然と良い方向に進みます。 土台としての語彙力と国語の基礎 もう少し根っこの部分にも触れておきます。語彙力や言葉を正しく理解しているかどうかも、AIを使いこなす上では重要です。とくに「ふわっとした」「自然な」「○○風」のような、裏に多くの情報を含んだ言葉をうまく使えると、AIに渡せる情報量がまるで変わります。 たとえば画像生成AIで「ゴッホ風」と指示するだけで、ゴッホ独特のタッチや時代背景を反映した画像が出てきます。 わずか数文字に膨大な情報が圧縮されているわけです。文章でも「○○風」「これを目的として」といった抽象的な指示を適切に使い分けるだけで、結果は大きく変わります。基礎的な国語力——誤解のない文章の作り方や表現の引き出しの多さが、じわじわと大きな差になるのです。 私自身、20年前はデザイナーとして働いており、文章添削塾では10点中2点を取るような状態でした。そこからブログの執筆や発表、資料作成を続けるうちに大きく向上しました。国語力はいくつになっても伸ばせます。 中小企業こそ、一人ひとりのAI活用力を高める意味がある 中小企業は人手が限られるからこそ、一人ひとりの生産性向上が不可欠です。そのための道具として今もっとも可能性があるのがAIです。 全員がAIをうまく使える会社を目指せば、さまざまな課題が間接的に解決へ向かいます。 こうした力を身につけておくと、新しいAIツールやサービスが次々と登場しても振り回されなくなります。どのツールを使うかより、自分がどう使うかのほうがはるかに重要です。その確信が生まれると、AIに関するニュースに追い立てられる感覚も薄れていきます。 今回ご紹介した練習は1日5〜10分からで構いません。3か月、半年、1年と積み重ねれば、振り返ったときに驚くほどの変化を感じられるはずです。 もしAIの活用について、自社ではどのように進めればよいか相談したい、プロンプトを含めたアドバイスがほしいということがあれば、顧問サービスをはじめ各種サービスをご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。 関連リンク G検定とは|一般社団法人日本ディープラーニング協会 中小企業のDXに役立つ「手引き」と「AI導入ガイドブック」を取りまとめました|経済産業省 一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA) よくある質問 AIのアウトプット品質を上げるには、プログラミングやシステムの知識が必要ですか? 必ずしも必要ではありません。それよりも、自分の頭の中のイメージを具体的に言葉にする力と、相手に合わせて伝え方を変える力の2つが、アウトプットの質に直結します。営業職やカスタマーサポートの方が、きちんとコツをお伝えするとAIを上手に使いこなすケースは珍しくありません。 言語化力を鍛えるには、具体的に何をすればよいですか? ニュースを題材にして、その背景や意味を具体的にまとめるトレーニングがおすすめです。また、街で何かを見て「いいな」と感じたとき、なぜそう思ったかを掘り下げてメモする習慣も効果があります。誰かに添削してもらえると、さらに伸びが早くなります。 AIをトレーニングの相手として使うことはできますか? はい、AIのロールプレイ機能を使えば、さまざまな属性の相手を想定した伝え方の練習が可能です。また、自分の抽象的な思考をAIと一緒に言葉に落としていくワークも有効です。1日10分の継続で、3か月後には明らかな変化を実感できるでしょう。 国語力は大人になってからでも伸ばせるのですか? はい、いくつからでも伸ばすことができます。この記事の筆者も、20年前はデザイナーとして文章添削で10点中2点を取る状態でしたが、ブログ

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  8. Feb 5

    第585回:Gmail×AIで「メール営業の負債が露わになる」時代に…今すぐ対応すべき事とは

    ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 AIとメールが結びつくことで、過去のメール営業や日々のやりとりが、あとからまとめて掘り返される時代に入っています。人間が忘れていた履歴まで参照される前提で、メールを「負債」にしない書き方と運用を心がけることが必要です。今回はそんな内容です。 このPodcast/書き起こしで得られること(要点) AIが人間の見落としや忘却まで拾い、過去のメール履歴を掘り返す流れを押さえます。 過去の営業メールや対応メールが、将来の意思決定で重い参照データになり、マーケティングの負債が一気に襲いかかる構図を整理します。 今日からできる文面の整え方と、99%へのケアの考え方を、実際の現場に落とし込みます。 AIが、人間の見落としまで掘り返すようになる 2026年1月にGoogleが「Personal Intelligence」を発表しました。GeminiにGoogleアプリを接続し、過去のGmail、Googleフォト、YouTube、検索などの情報をもとに回答を生成する、という方向性です。 ここで大事なのは、単に「便利な機能が増えた」という話ではありません。人間が忘れていたやりとり、見逃していた履歴、細部の情報まで、AIが平然と拾い直して、将来の判断材料として差し出してくるようになる、ということです。 過去の営業メールややりとりメールが、意思決定の参照データとして重くなる メール自体は、もともと特に距離のある相手とのやりとりそして、意思決定の為に大きな役割を果たしていました。チャットツールが出てきてもここは代替されていませんね。 今回の話は「メールが意思決定に使われるようになった」という話ではなく、意思決定に使われるメールが、AIによって深く、広く、容赦なく参照されるようになる、という話です。 いちばん分かりやすいのは、問い合わせフォーム営業のメールです。 迷惑な営業メールは山ほど来ますが、私たちは多くを無視して、会社名や担当者名も細かくは覚えていません。そのため、そこまで私たちの意思決定に大きな影響はありませんでした。 ところが…AIは忘れません。新しく営業が来て「ちょっと検討してみようかな」と思った瞬間に、過去の履歴をまとめて突きつけて「過去にこんなことがあった会社ですが良いですか?」とくる可能性があるわけです。 見えていなかった履歴が、判断の前に並べられる たとえばAIがGmailに接続されている状態で、ある会社から提案が届いたとします。そこでAIが「同じ社名から過去に何年何月に何通、こういう内容のメールが届いている」と整理して出してきたら、どうでしょうか。 これまではスルーされ、気づかれず、忘れ去られたからこそ表に出なかった雑な営業、雑な一斉配信、雑な対応が、後になって“判断材料”として再登場するわけです。 外部情報とつながると、評価の速度が上がる さらに、過去のやりとりをベースに外部情報へつながっていく流れもあります。 過去のメール履歴を足がかりに、ウェブ上の情報まで合わせて「この会社はこういうことをしていて、評判としてはこういう話がある」と掘り起こす方向に進むのは、私は確実だと思っています。 そうなると、「当時の担当者が違う」「昔の話だ」という言い訳は通用しません。企業とのやりとり一つひとつが、良くも悪くも、将来まで残り続けます。 マーケティングの負債が、一気に顕在化する 技術の世界には「技術的負債」という言葉があります。 とりあえず動かすために雑に実装したものが、後の運用や改修で首を絞めてくる、あの感覚です。これと同じことが、メール営業にも起きます。 未承諾の一斉配信、フォーム営業、雑な問い合わせ営業、言葉足らずな返信、途中でのトラブル、社内向けの愚痴っぽい返信――そういった履歴がメールボックスに残ったままと、将来の意思決定にマイナスに使われる可能性が十分にあります。 99%へのケアが、未来の売上を守る しかも厄介なのは、取り返しのつかない過去の分まで、まとめて対象になることです。 営業やダイレクトメールは「100件中1件当たればいい」「1000件中数件で十分」という発想になりがちです。 私は以前から、当たらなかった側へのケアを軽く扱うと、後からまとめて跳ね返ってくる、と繰り返し話してきました。 マッチしなかったときに、嫌がられる形で終わらせないことが肝心です。 「今回は見送り」という結論でも、相手の時間を尊重し、やりとりの最後をニュートラルに閉じる。これだけで、後々の印象は変わります。 取り返しはつかない。負債ではなく資産を築く アプリ接続を許可すれば、Gmailに届いている過去のメールがすべて参照対象になります。 私自身、GmailでGeminiを使って、過去に買ったエアコンの型番を探したり、明細をまとめて拾わせたり、会社名で過去のやりとりを洗ったりしたことがあります。 そのように、誰でも簡単にできるようになったとき、雑なマーケティングを積み上げてきた会社ほど、過去が重くのしかかります。 場合によっては、会社名を変えて出直すくらいの話にまで発展しかねない。 そこまで行くと別の論点も絡みますが、いずれにしても「過去は戻せない」ことだけは動きません。 明日からの実際の現場:メールを信頼の構築の場と考える 営業電話にはトークの練習やトークスクリプトがあります。テレアポ全盛の時代があったからです。 ところがメールは、ひな形はあっても、そこから先の口調や流れが個人任せになりやすい。なので、ここが抜けている事は少なくありません。 メールを「その場の返事」ではなく「将来に読まれる文書」として扱うべきだと思っています。強い言い回しで押し切るのではなく、きちんと対応することを優先する。そのうえで、AIに要約されても誤解されにくいように、やりとり自体を構造化しておく。 テンプレートを整えるだけで終わらせず、カスタマイズ後の口調と流れまで統一 質問に答えるだけで切らず、相手が次に必要とする情報や手順まで、文面として残す トラブルが起きたときは、フォローアップをきちんと文章で残し、社内向けの返信も含めて荒れない運用に。 今後もメールは、距離のある相手とつながる“ちょうどいい媒体” チャットツールが普及しても、距離のある相手とのやりとりは、結局メールが中心です。Slack、Discord、Microsoft Teamsのようなツールは、すでに関係性ができている相手やプロジェクト内でこそ力を発揮しますが、距離のある相手との入口に混ぜたくありません。 メールは記録として残り、程よい距離感を保てます。だからこそ、これからは「書きっぱなし」「送りっぱなし」が通用しません。AIが掘り返し、要約し、意思決定の材料として並べる前提で、今日から整えていきましょう。 AIによって、考えなければいけないことは増えました。それでも、やることはシンプルです。メールを雑に扱わない。負債ではなく資産として積み上げる。その切り替えができるかどうかが、これからの差になります。 もし「どこから手をつければいいか分からない」「自社のメール運用を点検したい」といった悩みがあれば、外部の専門家としてサポート致しますのでお声がけください。 関連リンク Personal Intelligence: Connecting Gemini to Google apps Google AI Pro & Ultra — get access to Gemini & more Google AI Plans with Cloud Storage Create rules to filter your emails – Gmail Help Apps in ChatGPT | OpenAI Help Center FAQ Personal Intelligenceとは何ですか? GeminiにGoogleアプリを接続し、GmailやGoogleフォトなどの過去データをもとに回答を生成できるようにする取り組みです。ユーザーが接続を許可した範囲の情報が、提案や判断材料として使われます。 なぜ過去の営業メールが、後から問題になりますか? 人間は忘れますが、AIは忘れません。過去の営業メールや対応履歴が整理され、将来の検討タイミングで一気に参照されると、当時の雑さがそのまま判断に影響します。 「マーケティングの負債」とは何を指していますか? 雑な一斉配信や言葉足らずな返信など、当時は流されていたやりとりが、後になって企業イメージを傷つける形で効いてくる状態です。メールボックスに残る履歴が、将来の足を引っ張ります。 「99%へのケア」とは、具体的に何をすればいいですか? マッチしなかった相手に悪印

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