ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)

ジョーシスサイバー地経学研究所

ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)が「サイバー地経学」の視点から発信するポッドキャスト。サイバーセキュリティ、地政学、経済・マーケット、各国事情に精通した専門家をゲストに招いた対談や、JCGRによる独自研究の解説を配信しています。毎月、第2・第4金曜日の朝に配信。

  1. 6d ago

    不完全情報下におけるトップの決断、サイバー有事と国家管理にみるリスキリングの必要性(竹中治堅 政策研究大学院大学教授 【後編】)

    「何が起きているか完全に分からない状態で、トップは意思決定を迫られる」――。これが、大規模なサイバー攻撃やパンデミックなど、現代の危機管理に共通する最も過酷な特徴です。原因が特定できないまま被害の全容も見えず、さらにはSNSによって情報が錯綜し世論や社内が混乱する中で、経営者や政策担当者には迅速かつ的確な結論が求められます。  前編(Apple | Spotify)に引き続きゲストにお迎えするのは、政策研究大学院大学教授の竹中治堅先生。日本の首相のリーダーシップや統治機構研究の第一人者であり、過去の金融危機や東日本大震災、コロナ禍といった国家レベルの危機対応の検証を数多く手がけてこられました。  後編では、情報が不完全な有事において「機能するリーダーと機能不全に陥るリーダー」の決定的な違いについて掘り下げます。最前線の指揮官とトップを結ぶ直通回路の重要性や、近年激変するサイバー安全保障の法整備の背景にある政治的環境の変化、そして最大のボトルネックである「文理分断」の解消に向けた社会人の学び直し(リスキリング)の必要性について、組織論の観点から深く切り込みます。 ■□ ハイライト □■ 最悪の事態を想定する決断力:金融危機やコロナ初期の対応から学ぶ、情報不足の中で批判を恐れず行動するトップの要件 現場と鑑定を結ぶ直通回路。:東日本大震災の事例にみる、間に入る解釈を排除した最前線とのコミュニケーションチャンネル 国会環境の変化と急速な法整備:セキュリティクリアランスや能動的サイバー防御が、短期間で法制化へ向かう政治的背景 文理分断の解消と経営層のアンテナ:「政治の時代」における国際情勢のインテリジェンスと、エンジニア用語を翻訳する統括機能 40代からの学び直しと大学の役割:統計学・データサイエンス・国際政治を社会人が再修得する、少子高齢化時代における教育ガバナンス <ゲストプロフィール> 竹中 治堅(たけなか・はるかた)さん 政策研究大学院大学教授。東京大学法学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。プリンストン大学で政治学博士号を取得。日本政治、比較政治の研究と教育に従事。関心は首相の指導力、コロナ危機への対応過程、参議院の役割など。著作に『コロナ危機の政治:安倍政権vs.知事』『参議院とは何か – 1947〜2010』(2010年度大佛次郎論談賞受賞)『首相支配 —日本政治の変貌』など。政府の様々な政策に有識者として関わる。 ■□ 収録後記 □■ 竹中さんが自身の大学でも9月からサイバー関連の授業を履修予定であると明かし、「知らずを知る、これを記すなり。学びを常にアップデートしてないとついていけない」と語る姿勢には、経営層やリーダー層が持つべき本来のガバナンス意識のあり方を示されたように感じます。  かつては大企業でも事業部ごとのサイロ化によるITリスクが懸念されていましたが、現代のサイバーリスクは株価の低迷やインフラの停止など、経営や政治の動向に直結するシステミックリスクへと拡大しています。専門用語のハードルを越え、理系側も経営や政治に関心を持ち、文系側も技術の基礎を学び直すという「共通言語」の構築こそが、これからの不確実な時代を生き抜く組織の防衛線になるという教訓となりました。  (JCGR編集部)

  2. Jun 25

    有事に強い組織とは何か──政治学から考えるサイバー危機対応(竹中治堅 政策研究大学院大学教授 【前編】)

    サイバー攻撃や大規模障害が発生したとき、誰が意思決定を行い、誰が現場を動かすのでしょうか。 近年、日本では能動的サイバー防御(Active Cyber Defense)やセキュリティ・クリアランス制度、国家サイバー統括機能の強化など、サイバー安全保障をめぐる制度改革が急速に進んでいます。しかし、どれほど制度や技術を整備しても、有事に組織が動かなければ危機対応は機能しません。 そこで今回お迎えしたのは、日本政治と危機管理研究の第一人者である政策研究大学院大学教授・竹中治堅先生です。竹中先生は首相のリーダーシップや統治機構の研究を長年続けるとともに、経済安全保障に関する政府の有識者会議にも参画されています。 前編では、竹中先生の著書『コロナ危機の政治』を手がかりに、「なぜ首相権限は強化されたのに危機時には十分に機能しなかったのか」という問いを掘り下げます。コロナ禍で露呈した国と地方の権限構造、内閣官房・内閣府・デジタル庁の役割、そして危機対応におけるトップダウンと現場の関係性を整理しながら、サイバー危機への示唆を探ります。 また、国家サイバー統括機能や能動的サイバー防御の議論にも触れながら、日本のサイバー安全保障政策がどこまで進化しているのか、そして制度整備の先にある「組織」と「人材」の課題についても議論します。 サイバーセキュリティは技術の問題であると同時に、意思決定と統治の問題でもあります。本エピソードでは、政治学の視点からサイバー危機対応の本質を考えます。 ■ ハイライト ・首相権限はなぜ強化されたのか──30年にわたる統治改革の変遷 ・コロナ危機で露呈した「国は動けても現場は動かせない」構造 ・都道府県知事・政令指定都市・東京23区が持つ意外な権限 ・内閣官房、内閣府、デジタル庁は何が違うのか ・サイバー有事では誰が意思決定を担うべきなのか ・能動的サイバー防御と国家サイバー統括機能の現在地 ・制度整備の次に必要となるサイバー人材育成 <ゲストプロフィール> 竹中 治堅(たけなか・はるかた)さん 政策研究大学院大学教授。東京大学法学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。プリンストン大学で政治学博士号を取得。日本政治、比較政治の研究と教育に従事。関心は首相の指導力、コロナ危機への対応過程、参議院の役割など。著作に『コロナ危機の政治:安倍政権vs.知事』『参議院とは何か – 1947〜2010』(2010年度大佛次郎論談賞受賞)『首相支配 —日本政治の変貌』など。政府の様々な政策に有識者として関わる。 ■ 収録後記  サイバーセキュリティの議論では、どうしても技術や制度に注目が集まりがちです。しかし今回の対話を通じて強く感じたのは、「危機対応を決めるのは組織であり、人である」という当たり前で重要な事実でした。 コロナ危機、金融危機、そしてサイバー危機。対象は異なっても、不完全な情報の中で意思決定を行い、平時のルールと有事の現実の間で組織を動かさなければならない点は共通しています。 サイバー攻撃への備えを考える際にも、技術対策だけでなく、「誰が決めるのか」「どこまで権限を委譲するのか」「有事を想定した訓練をしているか」という視点がますます重要になっていくのではないでしょうか。 後編は7月10日に公開予定。 (JCGR編集部)

  3. Jun 11

    迫る「SCS評価制度」への対応策と、孤独なIT担当者を救うコミュニティの価値【セキュアオンライン角田CEO/宮腰CTO(後編)】

    2026年度中、中小企業のビジネスや取引要件を大きく変える可能性を秘めた新制度「サプライチェーンセキュリティ評価制度(SCS評価制度)」が本格始動します。これまでの形式的なチェックシートから、第三者評価を交えた「星(レベル)による可視化」へと移行する中、企業はどのように対応すべきなのでしょうか。 後半では、引き続き株式会社セキュアオンラインの角田優剛CEOと宮腰行生CTOをお迎えし、間近に迫る新制度の概要と、それが営業や受注活動に与えるリアルな影響について深掘りします。 さらに、社内で孤立しがちな「一人情シス」やセキュリティ担当者が、技術的・精神的な防御力を高めるために必要不可欠な「コミュニティと情報共有の価値」について、同社が仕掛けるユニークな啓蒙活動や交流会の実態とともにお届けします。 <お知らせ> セキュアオンラインでは、7月16日(木)にセキュリティ専門家交流会の開催を予定しています。専門家による講演に加え、参加者同士の交流会も実施します。ご参加を希望される方は、ぜひホームページをチェックしてください! ■□ ハイライト □■ 2026年後半の重要テーマ: 取引要件や営業活動を左右する「サプライチェーンセキュリティ評価制度(SCS評価制度)」の概要自己評価から第三者評価へ: 「星」による可視化がもたらす、バラバラだったヒアリングシートの統一化と簡素化経営層への説得材料: 孤独な情シスが予算と人員を確保するための「共通基準」としての活用法精神的防御力を高める: 「自分の判断は正しいのか?」孤立しがちな担当者を救う横のつながりと秘密保持の安心感「サイバー課長」の啓蒙活動: 専門家が代わりに作る社内回覧用メディアが、社員のセキュリティ意識を変える<ゲスト・プロフィール> 角田 優剛(つのだ・ゆうご)さん 株式会社セキュアオンラインCEO。2011年1月にWEBマーケティング会社、株式会社シーズ・クリエイトを設立。さまざまな業種・企業のWEBサイト構築、マーケティングに従事。2014年に「サイバーセキュリティ.com」を開設。月間100万PVを超える国内最大級のサイバーセキュリティ専門メディアに成長している。2020年4月に株式会社セキュアオンラインを立ち上げ、日本国内の企業におけるセキュリティ意識の啓発、セキュリティ人材育成などを提供。企業の資産となる「情報を守ること」のサポート事業を展開している。  宮腰行生(みやごし・ゆきお)さん 株式会社セキュアオンライン CTO / 株式会社アクシス 代表取締役。国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」を保有し、数多くのインシデント現場やランサムウェア被害の最前線に立ち向かってきた実務家。技術と経営の両面から企業の守りを固めるコンサルティングを得意とする。 ■□ 収録後記 □■ 宮腰さんの「技術的な防御力だけでなく、精神的な防御力も高めるコミュニティが必要」という言葉に、深く頷かされました。自社だけで抱え込み、時に自分の責任だと押しつぶされそうになる現場の担当者にとって、同じ目線で「うちはこう判断した」と言い合える仲間の存在は、何よりの救いになるはずです。 角田さんが紹介してくださった、ペラ1枚の「サイバー通信」を社内回覧するアイデアも秀逸でした。情シスが社内でいくら叫んでも響かない警告が、外部メディアという「第三者の声」になるだけで、すんなり受け入れられる。新制度への対応もコミュニティの活用も、まずはアレルギーを捨てて「専門家に一歩相談してみる」ことから、新しい守りの形が始まるのだと感じる配信でした。 (JCGR編集部)

  4. May 30

    中小企業を襲う「一人情シスの限界」と、必要な時にプロを頼るオンデマンドな守り方【セキュアオンライン角田CEO/宮腰CTO(前編)】

    「セキュリティ人材が足りない」「何から対策を始めればいいのかわからない」――。これは、現代の多くの中小企業や情報システム部門(情シス)が直面している切実な叫びです。マクロなデータで「人材不足」が叫ばれ始めてから10年以上が経過した今もなお、現場と経営のギャップは埋まっていません。 今回のゲストは、サイバーセキュリティのWebメディア運営や人材マッチング事業を展開する株式会社セキュアオンラインの代表取締役・角田優剛さんと、同社CTOであり情報処理安全確保支援士(通称、登録セキスペ)として現場のコンサルティングを数多く手がける宮腰行生さん。 前編では、PCのキッティングやプリンターの修理に追われながらセキュリティ対策まで手が回らない「一人情シス」のリアルな課題や、巧妙化するサプライチェーン攻撃の実態、そして限られた予算の中で中小企業が賢く専門家を頼るための新基盤「セキュリティエージェント」の価値について深掘りします。 ■□ ハイライト □■ 「のび太がドラえもんを呼ぶよう」な情シス現場の忙しさと人材不足の解像度学習時間が取れない!最新知識のアップデートを阻む「環境の壁」有資格者のみが登録。必要な時に必要な分だけ頼れる「オンデマンド専門家」の仕組み「まさかうちの会社が…」ニュースにならない中小企業が狙われるサプライチェーンの盲点全方位投資は不要!高額なツールに頼る前にやるべき「リスクアセスメント」と現有資産の設定見直し <ゲスト・プロフィール> 角田 優剛(つのだ・ゆうご)さん 株式会社セキュアオンラインCEO。2011年1月にWEBマーケティング会社、株式会社シーズ・クリエイトを設立。さまざまな業種・企業のWEBサイト構築、マーケティングに従事。2014年に「サイバーセキュリティ.com」を開設。月間100万PVを超える国内最大級のサイバーセキュリティ専門メディアに成長している。2020年4月に株式会社セキュアオンラインを立ち上げ、日本国内の企業におけるセキュリティ意識の啓発、セキュリティ人材育成などを提供。企業の資産となる「情報を守ること」のサポート事業を展開している。  宮腰行生(みやごし・ゆきお)さん 株式会社セキュアオンライン CTO / 株式会社アクシス 代表取締役。国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セスペ)」を保有し、数多くのインシデント現場やランサムウェア被害の最前線に立ち向かってきた実務家。技術と経営の両面から企業の守りを固めるコンサルティングを得意とする。 ■□ 収録後記 □■ 角田さんの「手を挙げればセキュリティがわかると言う人は多くても、本当に信用できるかを担保する基準が必要」という言葉や、宮腰さんが指摘する「すべての対策を自社で常時雇用して抱え込む必要はない」という現実的なアドバイスには、ハッとさせられるものがありました。 モデレーターの川端さんが「自動車を買う前にプロに相談するのと同じで、ライフスタイルに合わせたセキュリティ設計が重要」と例えたように 、慌てて高額なシステムを導入して重複投資になる前に、まずは信頼できる「相談相手」を見つけることこそが、現代の中小企業におけるITガバナンスの第一歩なのだと感じさせられる内容です。 (JCGR編集部)

  5. May 7

    【特別対談: 梅澤高明CIC Japan会長xジョーシス松本CEO(後編)】手作業の限界を超える「自律型SaaSマネジメント」と世界基準のガバナンスとは?

    前編に引き続き、経営コンサルタントとして30年以上のキャリアを持つ、CIC Japan会長・A.T.カーニー日本法人前会長の梅澤高明さんを迎え、松本恭攝ジョーシス株式会社CEOとの対談をお届けします。 前編はこちら ⇒ Apple Podcasts | Spotify 後編では、前編で浮き彫りになった「手作業によるSaaS管理の限界」に対する解決策として、ジョーシスが提供する「AIを活用した自律型SaaSマネジメント」の全貌に迫ります。AIがいかにして企業のITガバナンスを自動化し、情報システム部門を「コストセンター」から「戦略部門」へと進化させるのかを深掘りします。 さらに、日本発スタートアップが世界基準で戦うための「ボーン・グローバル」戦略や、M&Aを成功に導くIT統合の要諦など、次世代の経営者やリーダーに求められる「ITアーキテクト」としての哲学を語り尽くします。 <キーワード> オンプレミスからSaaSまで、データを一元化する「3つのAIエンジン」の仕組み   AIエージェント「オーナーファインダー」が実現する、管理者の自動特定と権限取得  情報システム部門の劇的な進化最初からエコシステムに組み込まれる「ボーン・グローバル」設計と、世界標準の戦い方   M&Aの失敗を防ぐ、異なるITインフラを即座に統合するジョーシスの強み   これからの経営者に求められる「フレキシビリティとレジリエンスを備えたデータ設計」    今回は梅澤さんのVoicy「イノベーションの流儀」とのコラボ企画で、松本CEOが起業家としてのストーリーを語っています 。本編とあわせてぜひお聞きください。<ゲストプロフィール> 梅澤高明さん(うめざわ・たかあき) 東京大学法学部卒、MIT経営学修士。KEARNEYのコンサルタントとして日米で30年にわたり、戦略・イノベーション・マーケティング・組織および都市開発のテーマで企業を支援。2014〜2026年、A.T.カーニー日本法人会長。2019年からCIC Japan会長、国内最大級の都心型イノベーション拠点「CIC Tokyo」の立上げを主導。内閣府「知的財産戦略本部」本部員、観光庁「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会」座長。ほか、クールジャパン、税制などの政府委員会で委員を務める。一橋ICS(大学院国際企業戦略専攻)特任教授。『NEXTOKYO Project』を主宰し、東京の将来ビジョン・特区構想を産業界・政府に提言。著書に『NEXTOKYO 「ポスト2020」の東京が世界で最も輝く都市に変わるために』(共著、日経BP社)、『最強のシナリオプランニング』(東洋経済新報社)など。 松本恭攝さん(まつもと・やすかね) 2008年慶應義塾大学卒業後、A.T.カーニーに入社。2009年ラクスル株式会社を設立、代表取締役CEOに就任。ラクスルは2018年に東証マザーズ(現グロース市場)、19年に東証一部(現プライム市場)に上場。事業の多角化を推進し、15年に物流シェアリング事業「ハコベル」を、20年にTVCM事業「ノバセル」を、21年にITデバイス&SaaSの統合管理システム「ジョーシス」を立ち上げる。22年には自ら立ち上げたジョーシスの経営に専念するため事業をカーブアウト、ジョーシスCEOに就任。23年にラクスルのCEOを退任し、会長に就任。 ■□ 収録後記 □■ 「今日の話を経営者にそのまま聞いてもらうのが一番早い」という梅澤さんの言葉が、後半のすべてを物語っています。AIがシステムのメンテナンスから社内の権限確認までを自律的に行う時代において 、特定のツールに依存せず、柔軟なデータレイヤーの設計ができる「ITアーキテクト」の育成は、一企業を超えた国としての重要課題だと再認識させられました。情報システム担当として孤独な戦いを続ける皆様、そして決裁を行う経営陣にこそ届いてほしいエピソードです。 (JCGR編集部)

  6. Apr 23

    【特別対談: 梅澤高明CIC Japan会長xジョーシス松本CEO(前編)】DXの裏に潜む指数関数的リスクと経営課題としてのITガバナンス

    今回のゲストは、経営コンサルタントとして30年以上のキャリアを持つ、CIC Japan会長・A.T.カーニー日本法人前会長の梅澤高明さんを迎え、松本恭攝ジョーシス株式会社CEOが企業が抱えるITガバナンスの課題とジョーシスのソリューションと世界観について語ります。 前編では、SaaS導入時の形式的な審査だけでは防げないリスクの正体や、多くの企業で「手作業の限界」により放置されている退職者・外部委託先のアカウント(オーバーアカウント)問題など、今日から見直すべき現場のリアルな課題と、それを解決するプロダクトの役割について深掘りします。ITガバナンスをめぐるビジネスリーダーだちの議論に注目です。 <キーワード> DXの裏側で進む「SaaSの指数関数的増加」と管理の形骸化「手作業の限界」が招く退職者・外部委託アカウントの放置サイバー攻撃・内部不正の温床となる「オーバーアカウント」の危うさジョーシスが実現する「入り口から出口まで」の自動化と統制「守り」から「攻め」のインフラへ。経営戦略としてのIT管理今回は梅澤さんのVoicy「イノベーションの流儀」とのコラボ企画で、松本CEOが起業家としてのストーリーを語っています。 <ゲストプロフィール> 梅澤高明さん(うめざわ・たかあき) 東京大学法学部卒、MIT経営学修士。KEARNEYのコンサルタントとして日米で30年にわたり、戦略・イノベーション・マーケティング・組織および都市開発のテーマで企業を支援。2014〜2026年、A.T.カーニー日本法人会長。2019年からCIC Japan会長、国内最大級の都心型イノベーション拠点「CIC Tokyo」の立上げを主導。内閣府「知的財産戦略本部」本部員、観光庁「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会」座長。ほか、クールジャパン、税制などの政府委員会で委員を務める。一橋ICS(大学院国際企業戦略専攻)特任教授。『NEXTOKYO Project』を主宰し、東京の将来ビジョン・特区構想を産業界・政府に提言。著書に『NEXTOKYO 「ポスト2020」の東京が世界で最も輝く都市に変わるために』(共著、日経BP社)、『最強のシナリオプランニング』(東洋経済新報社)など。 松本恭攝さん(まつもと・やすかね) 2008年慶應義塾大学卒業後、A.T.カーニーに入社。2009年ラクスル株式会社を設立、代表取締役CEOに就任。ラクスルは2018年に東証マザーズ(現グロース市場)、19年に東証一部(現プライム市場)に上場。事業の多角化を推進し、15年に物流シェアリング事業「ハコベル」を、20年にTVCM事業「ノバセル」を、21年にITデバイス&SaaSの統合管理システム「ジョーシス」を立ち上げる。22年には自ら立ち上げたジョーシスの経営に専念するため事業をカーブアウト、ジョーシスCEOに就任。23年にラクスルのCEOを退任し、会長に就任。 ■□ 収録後記 □■ 梅澤さんの「リスクは指数関数的に増えている」という経営的な警鐘と、松本さんが語る「アカウント削除漏れ」という現場のリアリティが重なり、ITガバナンスがもはや現場だけの問題ではないことが浮き彫りになりました。 特に「業務委託が終わっても中のデータが見えてしまう」というエピソードは、多くの企業が抱える「手作業による管理の限界」を象徴しています。効率化と安全性をいかにテクノロジーで両立させるか。そのヒントが詰まった対談です。 (JCGR編集部)

  7. Apr 9

    API接続が変えるソフトウェアの未来。AIエージェントの行動を可視化し、企業の競争力を守り抜く【佐賀文宣 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本社長(後半)】

    前回(前半)は、AIが単なるツールから自律的な「デジタル社員(AIエージェント)」へと進化するパラダイムシフトについて伺いました。 前半はこちら ⇒ Apple Podcasts | Spotify 後半となる今回は、AIエージェントが普及した「その先の未来」を予見します。人間が画面を操作するUI(ユーザーインターフェース)から、AIが直接ソフトウェアを操作するAPI主体の時代へ 。これに伴い、従来のユーザー単位の課金モデルから、タスクの処理量や生み出した価値に基づく「成果ベース」へとビジネスモデルが進化していく可能性について深掘りします 。 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本法人社長の佐賀文宣さんが、AI時代の新たなインフラの姿と、人間に見えないサイバー攻撃から組織を守り抜くための経営戦略を語ります。 ■□ ハイライト □■ UI(画面)からAPIへ:ソフトウェアの役割が「機能」へ進化する:  人間が画面を介さず、AIエージェントがAPIを通じてソフトウェアを直接操作する世界が到来しています。これにより、ライセンス形態も従来の「社員数単位」から、エージェントの数や処理単位(トランザクション)に応じたモデルへと変化し始めています。 「間接的プロンプトインジェクション」という新たな脅威: メールの中に人間には普通の文章に見える「AIへの命令文」を埋め込む、人間に見えない攻撃手法が登場しています。AIを騙して情報を流出させたり、不正なメールをばらまかせたりするリスクに対し、動作を検知して止める「ガードレール」の重要性が高まっています。 サイバー攻撃の「工業化」とサプライチェーンの自分事化:  AIによって攻撃が自動化・大規模化(工業化)され、企業規模や知名度に関係なく無差別に弱点が狙われる時代です。ティアの深いサプライチェーンの一角が狙われるだけで全稼働が止まるリスクを、すべての経営者が自分事として捉える必要があります。 AIを「正しく可視化する力」が企業の競争力になる: どのAIがどのようなデータにアクセスし、何を判断しているのか。これを見えないまま使うことは大きなリスクを伴います。AIの挙動を可視化し、管理できる状態にしておくことこそが、これからの企業のAI戦略における核心です。 「禁止」ではなく「使いこなしながら守る」経営視点 : AIの使用を禁止しても、従業員は個人IDで「野良AI」を使い続けてしまいます 。経営者に求められるのは、AIが万能ではないことを理解した上で、いかに可視化・管理し、活用と防衛を両立させるかという視点です。 <ゲスト・プロフィール> 佐賀 文宣(さが・ふみのり)さん チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社 日本法人代表取締役社長 チェック・ポイント日本法人の拡大を主導し、顧客およびパートナーとの継続的な信頼の上、チェック・ポイントの戦略的方向性である「You Deserve the Best Security(お客様である企業や組織に最高のセキュリティを構築する)」の実現をミッションとする。直近では、ZVC Japan 株式会社 (Zoom Video Communications, Inc.の日本法人)にて、社長を務めビジネスを大きく成長させた。ZVC Japan入社前は、2013年からヴイエムウェア株式会社でパートナービジネスを統括。2006年から2013年にかけては、シスコシステムズ合同会社にて、同社が買収したWebexのパートナー開拓に携わる。1992年に日本アイ・ビー・エム株式会社へ入社し、大和研究所にてThinkPadの開発部門に配属。1992年北海道大学工学部修士課程を修了。 ■□ 収録後記 □■ 佐賀さんのお話を通じて、AIを「導入するかどうか」という段階は終わり、いかに「高い透明性を持って使いこなすか」というフェーズに入ったことを痛感しました 。特に、AI同士が連携することで組織の境界が曖昧になるという指摘は、従来のIT管理の常識を大きくアップデートするものです 。 攻撃が「工業化」される厳しい現実があるからこそ、AIの行動を可視化し、リスクをコントロールする技術が企業の真の武器になります 。「AIは間違えることもある」という前提に立ち、それを見守りながら活用する。この誠実な管理の姿勢が、AI時代の勝者を分けるのだと感じました。 (JCGR編集部)

  8. Mar 26

    「AI疲れ」は本格普及のサイン、「AIエージェント」と共生する未来の組織像【佐賀文宣 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本社長(前編)】

    毎週のように新しいツールやモデルが発表される現在のAIシーン。何を使えば正解なのか、ツールが多すぎて追いつけない。そんな「AI疲れ(AI Fatigue)」を感じている方も多いのではないでしょうか。 今回のゲストは、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本法人社長の佐賀文宣さん。佐賀さんは、現在の混乱を「AIの限界」ではなく、AIが単なるツールから「企業の競争力を左右するインフラ」へと変貌する、本格的な普及期の入り口であると指摘します。 前編では、主要なAIプレイヤーの特性整理から、今まさに起きている「AIエージェント」への進化、そしてAIを「デジタル社員」としてどうマネジメントすべきか、その本質的な向き合い方を深掘りします。 ■□ ハイライト □■ 「AI疲れ」の正体は、仕事の仕組みが変わる「混乱」 現在の状況は、特定の課題を解くだけだった過去のAIブームとは異なります。AIがアプリケーションとして人間のワークフローに自律的に入り込み始めたことで、既存の仕事の仕組みが根底から揺らいでいることへの戸惑いが「疲れ」として表れているのです。 主要AIプレイヤーが構築する「インフラ化」の波 単なるモデルの性能比較ではなく、APIを通じて広がるOpenAIのエコシステム、検索やGmailと統合されたGoogleのGemini、長文読解と安全性に長けたAnthropicのClaude。AIが「選んで使うもの」から、ビジネスを支える「基盤」へと変わりつつある現状を整理します。 ツールから「AIエージェント(デジタル社員)」へ 目標を与えれば自ら計画を立て、実行し、評価まで行う「AIエージェント」の登場。それはもはや単なる道具ではなく、専門性を持ったチームや「デジタルなインターン」に近い存在です。1つのスーパーAIではなく、小さなエージェントを組み合わせて組織化する未来像を語ります。 「堂々と間違えるインターン」をどう管理するか AIはハルシネーション(もっともらしい嘘)をつくことがあります。優秀に見えても、時には現場の機微を理解せず間違える。この「自律的に動くがミスもする」存在をブラックボックス化させず、可視化し、ガバナンスしていくことが経営の鍵となります。 <ゲスト・プロフィール> 佐賀 文宣(さが・ふみのり)さん チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社 日本法人代表取締役社長 チェック・ポイント日本法人の拡大を主導し、顧客およびパートナーとの継続的な信頼の上、チェック・ポイントの戦略的方向性である「You Deserve the Best Security(お客様である企業や組織に最高のセキュリティを構築する)」の実現をミッションとする。 直近では、ZVC Japan 株式会社 (Zoom Video Communications, Inc.の日本法人)にて、社長を務めビジネスを大きく成長させた。ZVC Japan入社前は、2013年からヴイエムウェア株式会社でパートナービジネスを統括。2006年から2013年にかけては、シスコシステムズ合同会社にて、同社が買収したWebexのパートナー開拓に携わる。1992年に日本アイ・ビー・エム株式会社へ入社し、大和研究所にてThinkPadの開発部門に配属。1992年北海道大学工学部修士課程を修了。 ■□ 収録後記 □■ 佐賀さんのお話の中で非常に分かりやすかったのが、AIを「堂々と間違えるインターン」と例えた視点です。 期待しすぎるのでもなく、分からないからと禁止するのでもなく、その「思考プロセス(入り口と出口)」を見える化してマネジメントする。この姿勢は、従来のIT管理の枠を超えて、まさに「新しい時代の組織づくり」そのものであると感じました。 後半(4月10日公開予定)では、このAIエージェントが普及した世界で「ソフトウェアのビジネスモデル」や「セキュリティの境界線」がどう激変していくのか、さらに一歩踏み込んだ未来図を伺います。お楽しみに! (JCGR編集部)

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ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)が「サイバー地経学」の視点から発信するポッドキャスト。サイバーセキュリティ、地政学、経済・マーケット、各国事情に精通した専門家をゲストに招いた対談や、JCGRによる独自研究の解説を配信しています。毎月、第2・第4金曜日の朝に配信。

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