森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』

森雪之丞

1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news

  1. SEP 8

    ヤドカリと十二月 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

    ヤドカリと十二月 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より> 虫カゴで飼っていたヤドカリが脱皮するために次の貝殻を探しているヤツはいつ気づくのだろう未来を運んでくるはずの波がもう随分と来ないことに 抽斗(ひきだし)に残っていた線香花火をベランダの暗がりに咲かせた咲きかけた瞬間橙色(だいだいいろ)の玉を北風に掠め取られて実感したのだ花火と私が季節に置き忘れられたことを 1年は12ヵ月いつ教えられたのだろう人として恙無(つつがな)く生きるための知識を誰に入れ知恵されたのだろう身体は獣の仲間だという秘密をなぜ突きつけられたのだろう心はコワレモノの一つだという事実を 花火を見上げた夏度の強い眼鏡を外して彼女は言ったすべての光は色とりどりの涙だと老眼の私は近づくほど彼女を見失っていた 小さくなった貝殻のように夏の亡骸(なきがら)は心を締めつける脱皮しなければ自由にならばければと焦りながら私は待つ未来からの波を 運命の虫カゴから逃げることのできないヤドカリにすぎないというのに 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:⁠https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/⁠ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞 スタッフX:⁠⁠⁠⁠ ⁠https://x.com/yukinojo_news

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  2. AUG 25

    十一月の旅人には翼がある<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

    十一月の旅人には翼がある<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より> 探し続けていたのか?逃げ回っていたのか?華氏77℉の空港で虹を見つけた朝も霞(かすみ)という町の路地で息を潜めた夜も旅の途中だった 何処へ行こうとしたのか?何処(ドコ)へ行っても其処(ソコ)がまた此処(ココ)になるその騙し絵の中で生きて死ぬのが人だと言うのになぜ旅に憧れる? 晩秋の月はさめざめと青く地面を濡らす寡黙な影が男の背中に翼が生えたことを教える 翼…何処にも行けない旅人を見兼ねて神が与え給うた奇蹟(ギフト)男は笑う飛び方を知らずに翼を持つことそいつは叶え方のわからない夢を抱え込んできたことと何が違うと言うんだ 無意味な分 翼は重い囚人が引き摺る鉄球のように重い歩き疲れ 其処(ソコ)が此処(ココ)になり十一月の闇が朝の気配に溶かされた頃旅人は気づく空は飛べなかったが初めての町に 辿り着けたじゃないかと 光に震えて 翼が少し拡がる役立たずのくせに何故か自慢気に 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:⁠https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/⁠ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX:⁠⁠⁠⁠ ⁠https://x.com/yukinojo_news

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  3. AUG 11

    怪盗セプテンバー <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

    怪盗セプテンバー <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より> 「朝日は夕陽にして返す涙は夢見薬(ゆめみぐすり)に調合して枕元に樅いておく」怪盗の言業は揺るぎない義賊としての威厳に満ちている 「盗まれたいものは他にないか?」怪盗は訊ねる去年と同じ口調で 「あのぅ…」「ドーナツの穴は盗めない」「いえ恋人の記憶なんですが…」 ——そう 彼女は堤防にいた波に生まれた光の蝶が麦わら帽子と戯れていた夏の午後——彼女にはわかっていた恋という美しい誤解が剥がれた後も愛を演じあわなければならない幸せの醜さを——そして彼女は 「あぁ愛を知ることに臆病な男よお前は忘れているだろうがそれは毎年私に盗ませている記憶だ」 そう言いながら怪盗セプテンバーはマントを空に翻し忽然と消え去る海辺に 私と気怠(けだる)い9月を残して 目をこすり目を開けるこの何か新しい恋が始まりそうな予惑は錯覚なのだろうか 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:⁠https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/⁠ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞 スタッフX:⁠⁠⁠⁠ ⁠https://x.com/yukinojo_news

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  4. JUL 28

    孤独の旗、七月の風。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

    孤独の旗、七月の風。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より> あなたが潔(いさぎよ)く自らの孤独を旗と呼ぶのなら私はその旗を勇壮に揺らす七月の風になろう 淋しさのデザインや痛みの配色あなたが誇らしくあなただけの旗を掲げる限り私もまた真摯な風であり続けよう 情熱は煽(あお)りあうもの 歓びは響きあうもの憧憬は混ざりあうものけれど孤独は決して分かちあえないもの不可侵な孤独だけが旗となり雑駁(ざっぱく)な世界の地図にあなたの位置を意味づける 翻れ 夏空を翻れ 未来へ 私が傲慢に自らの愛を風と吹聴する間は美しい人よその涙でまた私を魅了しておくれ 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:⁠https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/⁠ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX:⁠⁠⁠⁠ ⁠https://x.com/yukinojo_news

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  5. JUL 14

    日曜日の天使は退屈、特に三月は。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

    日曜日の天使は退屈、特に三月は。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より> 日曜日の天使は退屈だって誰もボクを必要としないんだもの特に三月はね バレンタインデーまでは大忙し月曜日に求愛の弓を磨き火曜日は腕立伏せで筋力アップ水曜には街中の図書館を回ってすべての本から『絶望』という言業を消したさて下準備が整ったら 木曜に片想い真っ最中の彼女を見つけ金曜日は探偵気取りで彼氏の身辺調査無愛想だけど悪い奴じゃなかったから土曜日の朝 恋の矢を放ったもちろん見事命中!そして果たして要するに日曜日の天使は退屈 ブロンドの枝毛を切りながら何もない月曜日の予定を考えるそうだ! 天気が良かったら春の萌(きざ)しをあちこち探して過ごそう濡れた枯葉の下に息づく小さな新芽や寒空(さむぞら)のガウンを脱いだ太陽キーが半音上がったツグミの歌や そして果たして要するに気になるあの二人のファースト・キスもね 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:⁠https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/⁠ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX:⁠⁠⁠⁠ ⁠https://x.com/yukinojo_news

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  6. JUN 30

    そして1年が過ぎ 〜 時の配達人さんへ <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

    そして1年が過ぎ 〜 時の配達人さんへ <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より> そして1年が過ぎ庭先の薔薇は少し小振りになったトネリコの枝に残る巣の主は旅立ったままだ 1年が過ぎ私は2人の友を天国に見送り妻は3kgのダイエットに成功し4歳の娘には人生5つ目の秘密ができた 1年が過ぎたがあの日と同じように誰かの声に いや どうせ風なのだろうけれど呼ばれた気がしてつい空を見上げる 四つの季節が巡る国では記憶に様々な色彩が刷り込まれているものだだが不思議なことに私は灰色の空しか覚えていない分厚い磨りガラスが嵌(は)め込まれたような巨大なドブネズミ達に占拠されたような気だるい憂鬱の固まりのような空 1年が過ぎて彼女にはきっと新しい恋人ができただろう太陽が滲(し)み込んだ彼のジャツに顔を埋めた時 どんなに世界が灰色でも雲の切れ目に陽だまりを見つけそこに立ちすくむことが幸福なんだとたぶん気がついた頃だろう 庭先の薔薇は少し小振りになった巣の主はまだ帰らない私は1年前の私が今の私に宛てた曇り空の絵葉書を1年後の私のために真っ青に塗り直し時の配達人が来るのを待っている 時の配達人さんへ 2ヶ月も来なかったくせにドサっと半年分の時を配達しないで下さい2ヶ月も長く私は思い出に苛(さいな)まれ4ヶ月も長く私は綺麗な涙を忘れてしまう月が太陽と交わした契約を時と心はいつから守らなくなったのですか? 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:⁠https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/⁠ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX:⁠⁠⁠⁠ ⁠https://x.com/yukinojo_news

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