いなか医師の勉強ノート

気管支拡張症に去痰薬は本当に効く?~高張食塩水とカルボシステインの効果を検証~

気管支拡張症の患者さんに対して、去痰薬である高張食塩水やカルボシステインが処方されることがあります。しかし、その有効性についてはガイドラインでも見解が一致しておらず、エビデンスも限定的でした。

そこでイギリスで行われた本研究(CLEAR試験)では、非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者288名を対象に、高張食塩水とカルボシステインの有効性と安全性を検証しました。参加者は、標準治療に加えて高張食塩水、カルボシステイン、両剤併用、または標準治療のみの4群に無作為に割り付けられました。

主要評価項目である52週間の肺の増悪回数について、高張食塩水もカルボシステインも、標準治療単独と比較して有意な減少を示しませんでした。QOLや次の増悪までの期間などの副次評価項目においても、群間での明確な差は見られませんでした。

本研究の結果は、気管支拡張症に対するこれら去痰薬の臨床的有用性が見いだせない可能性を示唆しています。

Bradley JM, O'Neill B, McAuley DF, Chalmers JD, De Soyza A, Hill AT, et al. Hypertonic Saline or Carbocisteine in Bronchiectasis. N Engl J Med. 2025 Sep 28. DOI: 10.1056/NEJMoa2510095.

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