Cobe.fm 本好きコンサル2人の読後感想戦

Miki Watanuki/Nozomi Tanaka

コンサル×アートでフリーランスっぽく働くみき(左)と、コンサル・リサーチ会社を経営するのぞみ(右)の二人で、1冊の本を実際に読んで感じたこと、思ったことをふんわり楽しく話します。ビジネス書から戯曲・小説、SF、ノンフィクションまで幅広く取り上げています。読書が好きな人、本が好きな人、学びが好きな人、ぜひお耳に合いましたら。 "読むことは人を豊かにする。聴くことは人を謙虚にする" みき(Tw: @miki_apreciar) のぞみ(Tw: @Nozomitnk) 書き起こしサービスLISTENはこちら:https://listen.style/p/hv5wngkh?LUsFq7mq

  1. 4d ago

    ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』#3

    part3では、下巻に入っていよいよ推理が進みはじめる場面から、二人は「論理とは何か」という話をしていきます。アドソはウィリアムの背中を見ながら、論理をただの不変の武器としてではなく、「一度その中に入り、また外へ出る」ことで初めて使えるものとして理解しはじめる。みきとのぞみは、その成長の速さに驚きながら、アドソの“生徒力”の高さについて盛り上がります。 エーコが『薔薇の名前』を推理小説の形式で書いた理由にも話は及びます。人が死ぬから面白い、というだけではなく、証拠から推論し、仮説を立て、また見直すという営みそのものが、人間の思考の純粋な形なのではないか。のぞみは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』やアンジャッシュのすれ違いコントにも通じる「推理の快楽」を語り、みきはミステリーを読みながらも、どこか一度きりで満足してしまう感覚を話します。 難解な修道院、迷宮の文書館、七日間で三年分くらい成長していくアドソ。二人は、読み切るのにかなり苦労したことを率直に話しつつ、それでも「読めてよかった」と振り返ります。後半では、失われたアリストテレス『詩学』第二部をAIで再現できるのか、自分の過去の思考をAIに読ませたら「過去の自分」は立ち上がるのか、という話へ。エーコの小説から、記号、推理、AI、自己のログへと話題が広がっていきます。 最後には次回の課題本選びへ。『侍女の物語』やクッツェ『恥辱』も候補に上がりつつ、次に読むのはヴァージニア・ウルフ『灯台へ』に決定。『薔薇の名前』を読み終えた二人が、少し疲れながらも、また難しそうな本へ向かっていく締めくくりの回です。

    26 min
  2. Jun 8

    ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』#2

    part2では、『薔薇の名前』の中心にある「アリストテレス『詩学』の第二部」をめぐって、みきがかつて作った『詩学』のサマリーを手がかりに話が進みます。現存する『詩学』は悲劇を論じた書物であり、そこでは「哀れみ」と「恐れ」を呼び起こし、カタルシスを与えるものとして悲劇が重視されている。では、もしその続きに「喜劇」や「笑い」について書かれた第二部があったとしたら——。 二人は、「キリストは笑ったのか」という問いがなぜ人の命を賭けるほど重大だったのかを考えながら、この小説の読みにくさと、その奥にある豊かさについて語ります。のぞみは、記号論、キリスト教の宗派対立、迷宮の謎解きに自分がうまく乗り切れなかったことを率直に話し、みきはむしろ、現代の論理的思考とはまったく異なる中世の人間の頭の中を、わかる形で立ち上げてくれる小説として読んだと語ります。 自由に本を読めない文書館、知識欲を制限される修道士たち、異端という概念、聖典の解釈が人を裁き、死に至らせる世界。そこには、記号が記号を呼び、解釈がさらに解釈を生んでいくエーコの思想が見えてきます。薔薇そのものは消え、名前だけが残る。笑いをめぐる禁忌、失われた書物、燃え尽きる文書館を通して、二人は「中世」と「現代」がどこかで重なり合う感覚にも触れていきます。 読みにくい。けれど、ただ難しいだけではない。人間の考え方そのものが別の時代にあったことを、ミステリーの形を借りて体験させる小説として、『薔薇の名前』をもう少し奥へと歩いていく回です。

    28 min
  3. Jun 1

    ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』#1

    ゴールデンウィーク明けの収録となった今回は、のぞみの函館旅行、みきのポーランド・ベルリン・新潟マタギツアーの話からスタート。五稜郭の桜、ハセガワストアの焼き鳥弁当、クラクフのキッチュなブックデザイン、本物のメーデー、本物の収容所、本物のクマ——それぞれが旅先で触れた「本物」の話を経て、舞台は中世イタリアの修道院へ。 課題本は、ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』。思想書のような本だと思っていたら、実際には修道院で次々と人が死んでいくミステリータッチの小説だったことに驚きつつ、二人はその読みづらさ、面白さ、そして圧倒的な作り込みについて話していきます。 part1では、エーコがこの小説を書き始めたきっかけとして語る「修道士を毒殺したい」という不穏な一文、記号論の学者がなぜ中世の殺人事件を書いたのか、そして読者を修道院の中へ連れていくような空間描写について語ります。人物名も宗派対立も文書館の構造もとにかく複雑。相関図や図面を見ながらでないと迷子になるような小説を、迷子になったまま歩いていく回です。 中世、宗教、記号、ミステリー、そして「笑い」をめぐる禁断の書物。まだ全貌はつかめないまま、まずはこの巨大な修道院に足を踏み入れます。

    28 min
  4. May 25

    世阿弥・岡田利規『現代語訳 風姿花伝』 #3

    part3では、みきが歌舞伎の『連獅子』を観た話から、『風姿花伝』をもう一度捉え直していきます。読んでいる時には「パフォーマーの話すぎる」と感じていた言葉も、十三歳の子役が大きな鬘をつけて舞台に立ち、観客から掛け声を受ける姿を見ると、急に別の意味を帯びてくる。若い時期にだけある花、そこに油断してはいけないという戒め、芸を続ける人に向けられた具体的な助言が、少しだけ身体感覚を伴って見えてきます。 話はそこから、歌舞伎における襲名や、名前を背負って生きることへ。個人として自由に生きるのではなく、受け継いだ名前に自分を寄せていく。そのあり方は、現代の個人主義から見ると不思議でもあり、同時に、長い時間をかけて芸を見続ける楽しみにつながっているのかもしれません。 のぞみはさらに、『風姿花伝』をコンサルティングの仕事にも引き寄せます。成果物としては資料が残るけれど、実際の仕事は、会議で何を言うか、どう聞くか、どのように場に立つかに大きく左右される。能を舞うように仕事をしているのに、外からは台本を書いているだけに見えているのかもしれない、という話が出てきます。 後半では、最近読んだ本の話へ。『ハイペリオン』のSFとしての面白さ、『コンサルの正体』に出てくる巨大プロジェクトの失敗談、『本なら売るほど』が描く古本屋と人の時間、宮本常一『忘れられた日本人』にある人間の一生の手触りなど、読書の話がゆるやかにつながっていきます。 『風姿花伝』を、自分の人生にどう引き寄せて読むのか。 part3では、歌舞伎、仕事、名前、本屋、民俗学の話を行き来しながら、芸を受け継ぐことと、時間をかけて人を見ることについて話しています。

    34 min
  5. May 18

    世阿弥・岡田利規『現代語訳 風姿花伝』 #2

    part2では、岡田利規さんがなぜ『風姿花伝』を現代語訳したのか、という話から始まります。みきは、岡田利規さんの演劇が、言葉と身体のズレをめぐって展開されてきたこと、そしてその探究の先に能があったことを説明します。人が言葉を発するとき、その言葉は決して中立には出てこない。声や姿勢や身体のあり方が、どうしても言葉に影響してしまう。そのズレをどう扱うかという問いが、現代演劇と能をつないでいきます。 のぞみはそこから、『風姿花伝』に書かれている「観客に合わせて演じる」という考え方に引っかかります。一子相伝の秘伝書なら、自分の芸を貫くことが大事なのかと思いきや、世阿弥はむしろ、場や客層に応じて演じ方を変えることを説いている。みきはそれを、観客がいなければ成立しないパフォーミングアーツの性質として受け止めます。 後半では、話題は能からお笑いへ。芸人が名乗らずに舞台に入ることはかっこいいのか、足の角度を少し変えるだけで漫才のウケ方が変わるとはどういうことなのか。のぞみが芸人論のなかに「いい仕事」の感覚を見出す一方で、みきは「芸にはサービス精神が必要ではないか」と応じます。 世阿弥の言葉は、能だけでなく、演劇、漫才、プレゼン、コンサルティングの話にもつながっていく。 part2では、『風姿花伝』を、観客の前に立つ人が、自分の身体と言葉をどう扱うかを考える本として読んでいきます。

    33 min
  6. May 11

    世阿弥・岡田利規『現代語訳 風姿花伝』 #1

    今回の課題本は、世阿弥『風姿花伝』。 冒頭は、スラムダンクを知らない中学生とのジェネレーションギャップから、電子書籍の贈り方、読書アプリ、そして「人は本をどう読んでいるのか」という話へ。みきは、文章を一語ずつ追うというより、ページ全体のなかで“光って見える言葉”を拾うように読む感覚を語ります。一方ののぞみは、その読み方に驚きながら、『風姿花伝』という本そのものが、順番に論理を追うよりも、「花」「年齢」「稽古」「役者のあり方」といった言葉を何度も行き来しながら読む本なのかもしれないと考えていきます。 『風姿花伝』は、もともと世阿弥が子へ伝えるために書いた、能の秘伝書です。けれど読んでみると、そこにあるのは「若い時の華やかさに油断するな」「大人になっても稽古を続けよ」「実力のない評判に惑わされるな」といった、意外なほど地道で現代的な助言でもあります。 一子相伝の奥義だと思って開くと、そこに書かれているのは、案外“仕事を続ける人”への実践的な言葉なのかもしれない。 part1では、読書の仕方の違いから入りながら、『風姿花伝』を「花とは何か」をめぐる本として読みはじめます。

    24 min

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コンサル×アートでフリーランスっぽく働くみき(左)と、コンサル・リサーチ会社を経営するのぞみ(右)の二人で、1冊の本を実際に読んで感じたこと、思ったことをふんわり楽しく話します。ビジネス書から戯曲・小説、SF、ノンフィクションまで幅広く取り上げています。読書が好きな人、本が好きな人、学びが好きな人、ぜひお耳に合いましたら。 "読むことは人を豊かにする。聴くことは人を謙虚にする" みき(Tw: @miki_apreciar) のぞみ(Tw: @Nozomitnk) 書き起こしサービスLISTENはこちら:https://listen.style/p/hv5wngkh?LUsFq7mq

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