「ことばランド」ことばで未来をデザインしよう!

前田安正

ことばは、自らを表現する大切なツールです。 そのツールをうまく使いこなして、未来をデザインしませんか?「ことばランド」は、そのお手伝いをします。 文章コンサルタントの前田安正と、MC・フリーアナウンサーのみどりーぬこと、江川みどりがお送りします。

  1. 4d ago

    EP#151 「マジ文章書けないんだけど」Lesson5「副詞の係り受け」

    『マジ文章かけないんだけど』から学ぶ文章レッスンシリーズの5回目。今回のテーマは「今日は「副詞の係り受け」という話をしたいと思います。 文章を書く際に、間違えやすいポイントなんです。係り受けというのは、文の中のある言葉が、他のどの言葉に「かかっている」か、そしてどの言葉が「受けている」か、その関係のことです。主語と述語の関係や修飾語と被修飾語の関係もそうです。今回取り上げるのは、副詞と述語の係り受け、です。 副詞は「とても」「すごく」「おそらく」「決して」……動詞や形容詞を修飾する品詞のことです。副詞は、実は使い方に決まりがあって、セットになる述語の形がある程度決まっているものがあります。 次の四つの文を見てください。  ① その話は、全然楽しい。  ② 必ずしもみんなが楽しめるイベントだ。  ③ 彼の言うことは、まったくわかる。  ④ 決して笑える話だ。 実はこの四つ、全部おかしいんです。でも気づきにくいのは、特に①の「全然楽しい」が日常会話でかなり浸透してきているからなんです。 ただ、「全然」「必ずしも」「まったく」「決して」、この四つは本来、否定の形で受けなければいけない副詞なんです。 つまり「〜ない」で受ける、ということです。正しくはこうなります。  ① その話は、全然楽しめない。  ② 必ずしもみんなが楽しめないイベントだ。  ③ 彼の言うことは、まったくわからない。  ④ 決して笑える話ではない。 この四つの副詞は、文法的に「否定形の述語とセットになる」という係り受けの規則を持っています。これを「否定形で受ける副詞」と言います。 会話の中では通じるし、最近はもう半ば定着してきていますけど、ビジネス文書や企画書に「全然大丈夫です」と書いたら、まず上司に直されます。 係り受けが決まっている副詞はもう一グループあります。今度は「推量・疑問の形で受ける副詞」です。次の五つの文を見てください。 ① まさか、彼と付き合うことはない。   ② おそらく、彼女にはカレシがいる。   ③ いくらなんでも、これ以上面白いことがある。   ④ もしかしたら、カギは家に忘れた。   ⑤ もしや、この本は彼のものだ。 「もしや」はさすがに古風な言い方ですが、実は①〜⑤全部、述語の受け方がおかしいんです。 ① まさか、彼と付き合うことはないだろう。   ② おそらく、彼女にはカレシがいるに違いない。   ③ いくらなんでも、これ以上面白いことがあるはずがない。   ④ もしかしたら、カギは家に忘れたのかもしれない。   ⑤ もしや、この本は彼のものではないだろうか。 整理するとこうなります。 まさか → 〜だろう   おそらく → 〜違いない   いくらなんでも → 〜はずがない   もしかしたら → 〜かもしれない   もしや → 〜ではないだろうか この副詞たちは、推量の気持ちを含んだ述語——「だろう」「違いない」「かもしれない」——や、疑問の形で受ける必要があるんです。それを意識せずに、「おそらく〜だ」「まさか〜ない」で終わらせると、どこかチグハグな文になってしまう。 会話では、表情とか声のトーン、その場の雰囲気が補ってくれるから、言葉が多少ルールを外れていても意味が通じるんです。「全然楽しい」も、うれしそうな顔で言えば伝わる。 でも文章は書き手と読み手が時間も場所も共有していない。読み手は、書かれた言葉だけを頼りに意味を汲み取るしかない。だから、言葉の組み合わせ(係り受け)がしっかり合っていないと、読んでいる途中でつまずいてしまうんです。 一カ所の係り受けのズレで文章全体の信頼性が揺らいでしまうこともある。企画書とかビジネス文書では特にそう。「この人、文章が雑だな」という印象を与えてしまう。 次の文章、副詞に注目しながら読んでみてください。どこかおかしいところを探してみてください。 「おそらくこれが終電だと思い、急いで飛び乗った。しかし、行き先とは逆方向の電車に乗ってしまったらしい。酔っていたとはいえ、決して笑える話だ。もしかしたら反対方向の電車があるので、次の駅で降りることにした。すると降り際に、座っていたおじさんから『もしや、この傘はあなたのですね』と声をかけられたが、いくらなんでもそんな派手な柄の傘はもっているので『違います』と答え、ホームに降りた。まさかここまで運の悪いこともあると驚いたのだが、上り方向の電車は既に終了していた。こんなこともあるのだな、と全然笑えた。」 どうですか、わかりました? 「決して笑える話だ」は「決して笑える話ではない」です。 あと「全然笑えた」も……「全然笑えなかった」。 「おそらくこれが終電だと思い」……これは「おそらくこれが終電だろうと思い」。 「もしかしたら反対方向の電車があるので」は「もしかしたら反対方向の電車があるかもしれないので」です。 「もしや、この傘はあなたのですね」は?「もしや、この傘はあなたのではないですか」。 「いくらなんでもそんな派手な柄の傘はもっているので」は「いくらなんでもそんな派手な柄の傘はもっていないので」。 「まさかここまで運の悪いこともあると驚いた」は「まさかここまで運の悪いこともないだろうと驚いた」 ——つまり「まさか〜ないだろう」というセットに整えるんですね。 副詞を変えると、文の意味そのものが変わってくる。だからこそ、副詞の係り受けは軽く見ちゃいけないのです。 今日のポイント 副詞には、セットになる述語の形が決まっているものが、大きく二つある。 ひとつ目は「否定形で受ける副詞」。「全然」「必ずしも」「まったく」「決して」、これらは「〜ない」という否定の形で受ける必要があります。 ふたつ目は「推量・疑問の形で受ける副詞」。「まさか」「おそらく」「いくらなんでも」「もしかしたら」「もしや」、これらはそれぞれ「だろう」「違いない」「はずがない」「かもしれない」「ではないだろうか」という形で受けます。 読み手と書き手が共通体験を持てない文章の世界では、言葉の組み合わせ(係り受け)が唯一の伝達手段です。副詞ひとつのズレが、読み手の「引っかかり」になってしまう。 文章力って、「難しい言葉を使う」ことじゃなくて、こういう地道な精度の積み重ねなんです。今日覚えた副詞のペアを、頭の片隅に置いておいてください。

    18 min
  2. Jun 8

    EP#150 「マジ文章書けないんだけど」Lesson4 既知情報と未知情報

    『マジ文章かけないんだけど』から学ぶ文章レッスンシリーズの4回目。今回のテーマは「情報の新旧」。読み手が知っている情報と、まだ知らない情報。それをどう操るか、という話です。 「なんとなくしっくりこない」って感じる文章、その原因がここにある場合も多いんです。次の二つの文を聞いてください。 ①「綾瀬はるかが、月9の主役に選ばれた」 ②「綾瀬はるかは、月9の主役に選ばれた」 ①の「綾瀬はるかが」は、「月9の主役は誰なの?」という質問への答えです。主役が誰かはまだ知らない。だから「が」がついた綾瀬はるかが、新しい情報として提示される。 一方②の「綾瀬はるかは」は、「綾瀬はるかは何のドラマに出るの?」という質問への答え。綾瀬はるかという人物はすでに話題に上っている。だから「は」がついている。つまり「が」がついた名詞は新情報で、「は」がついた名詞はすでに知っている情報ということです。 本書ではこの関係をシンプルな公式で整理しています。 「未知情報+が+既知情報」 「既知情報+は+未知情報」。 「パリ旅行はどうだった?」という質問への答えとして、「オランジュリー美術館がすごくよかった」と答えたとします。 この場合、聞き手はパリ旅行に行ったことは知ってる。でも、どこがよかったかはまだ知らない。 だから「オランジュリー美術館が」という形になる。未知の情報に「が」がつく。 逆に「パリ旅行はどうだった?」という質問文のほうは、「パリ旅行」が既知情報だから「は」がつく。 質問する側は「パリ旅行に行ったこと」を知っているから、「は」で提示して、「どうだった?」という未知の情報を引き出している。 面白い例をもう一つ。「タケル君がユミの新しいカレシなんだって」と「タケル君はユミの新しいカレシなんだって」。 江川: あ、これ全然違う感じがする! カレシがいることは既知情報。タケル君だという部分が未知情報だから「が」がつく。 「タケル君は」のほうは……タケル君のことはみんな知ってるんだけど、そのタケル君がユミのカレシ!?っていう驚きがある。タケル君という人物が既知情報。で、「ユミのカレシ」だという事実が未知情報として後半に来る。 これが日本語の繊細なところで、「が」と「は」の選択一つで、話し手の感情的な重点まで変わってしまう。 情報設計を意識した「は」と「が」の使い分け、3つのポイントをご紹介します。 ポイント①「読み手はすでに何を知っているか」を意識する。文章を書く前に、読み手にとっての既知情報と未知情報を整理する。既知情報には「は」、未知情報には「が」が基本です。 新商品の紹介文だったら、「発売されること」は告知済みの既知情報。だから「新商品は」で始めて、特徴を後半で伝えるイメージです。 一方「今回の新商品が、業界初の〇〇です」という形にすると、「業界初」という部分が未知情報として強調されます。 つまり、「が」を使うか「は」を使うかで、強調したいポイントがずれてくる。 ポイント②は「伝えたいポイントを末尾に置く」。「は」を使うと、文の重心は後半に移ります。読み手の注意を引きたい情報を文末に持ってくる。たとえば「今回のキャンペーンは、過去最大の参加者数を記録した」。 ポイント③は「『が』を使って新情報を鮮明に打ち出す」。「誰が・何が、どうした」という新しい発見や結果を伝えるときは「が」が有効。 「調査の結果、前田案が最も支持を集めた」という文、「どの案が選ばれたか」という未知情報をはっきり提示できます。 改めてまとめておきます。「が」は読み手がまだ知らない未知情報に使う。「は」は読み手がすでに知っている既知情報を提示して、後半の未知情報へと導く。 「は」と「が」は単なる文法ではなくて、情報設計のツールだったのです。 …………………… note#21で詳しく紹介しています。併せてお読みください。 https://note.com/majibun_academy/n/n717827d6c88c

    18 min
  3. Jun 1

    EP#149「マジ文章書けないんだけど」Lesson3 泣きそうなのは誰? 「が」と「は」の違い

    『マジ文章かけないんだけど』から学ぶ文章レッスンシリーズ第3回。今回は主語を表す助詞の「は」と「が」についてです ①「あなたが視線をフッと外すたび、なぜ泣きそうな気分になるの?」 ②「あなたは視線をフッと外すたび、なぜ泣きそうな気分になるの?」 ①は書き手の「私」が泣きそう。②は「あなた」が泣きそう、ということです。これが「が」と「は」の持つ「超パワー」です。 「は」には、もう一つ大事な機能があります。それが、対比です。 例えば 「あの俳優は演技がうまい」と「あの俳優は演技はうまい」。 最初の文は「演技はうまい(でも歌やダンスはそうでもない)」っていう含みが生まれます。さ「が」を「は」に変えるだけで、「他と比べてこれについて言えば」というニュアンスが出てきます。 今回の内容は、前田のnote#18https://note.com/majibun_academy/n/n5f587856300eでさらに詳しく解説しています。併せてお読みいただけると嬉しいです。 次回は、Writing Tips #4は、「は」と「が」が「既知情報・未知情報」とどう関わるか、というテーマです。さらに深掘りしていきます。お楽しみに。

    18 min
  4. May 25

    EP#148 「マジ文章書けないんだけど」Lesson2「ボディーづくりは骨格と肉から」」

    2回目は「ボディーづくりは骨格と肉から」をテーマにお話しします 。文章の「体」をどう作るか、基本中の基本である「主語と述語の対応」について掘り下げていきます。 みなさん、「文」と「文章」の違いってわかりますか? 一般的には、同じように使いますよね。ただ、文章を書く時には、文と文章を分けて整理した方がいいんです。 「文」とは、 文法学上の基本単位で、一つのまとまった内容を表します。末尾には「だ」「ます」などの終止形や句点(。)がつきます 。一方「文章」は 一つ以上の「文」が連なった言語作品のことです 。 つまり、「文」という最小単位をつなげて「文章」を作るってことです。 次の文を聞いてください。 「このバッグはブランドものなので、値段と人気が高く、品質とデザインが美しいブランドだ」 では、この文を「分解」してみましょう 。この文の本来の骨格は「このバッグは〜ブランドだ」です。 つなげると「このバッグはブランドものなので、ブランドだ」になって、意味が重複していて変ですね。 さらに「肉」の部分、つまり説明している箇所も見てみます 。 「値段と人気が高い」を分解すると、「値段が高い」は、いいのですが、「人気が高い」は最近使われることも多くなっているかも知れませんが、やや不自然です。 「品質とデザインが美しい」を分解すると、「デザインが美しい」は言えますが、「品質が美しい」とは言いません。 述語が、最後の言葉(美しい)だけに対応しています。 こうしたミスを防ぐコツは、「一つの文には一つの要素」と決めることです 。そうすれば、必然的に文は短くまとまります。 「文を短くしろ」ってよく本に書いてあるのは、こういう意味なんです。 では、先ほどのバッグの文を改善してみましょう。 「このバッグはブランドものなので値段が高い。しかし品質がよくデザインが美しいので、若い女性に人気がある」 これなら、わかりやすいのではないでしょうか。 まず文の骨格を整えて、そこに肉を付ける。短い文を丁寧につないでいくことが、相手にしっかり伝えるコツなのです。 --- 最後に一つ練習です。 「このモデルは背が高くて脚が長くスタイルがいいので姿勢がよく、どんな服でもよく似合うモデルだ」 「このモデルは〜モデルだ」という骨格がおかしいですよね。 あと、背の高さが、姿勢がいいの理由(ので)になってるのも変ですよね。 これを二つに分けるとこうなります。 「このモデルは背が高く脚が長いのでスタイルがいい。姿勢もいいので、どんな服でもよく似合う」 こういう具合に、関係ない要素を切り分けるだけで、スッキリします 。 今日学んだことを復習すると、 ​ 文と文章の違いを意識する 。 ​ 主語と述語がしっかりかみ合うようにする 。 ​ そのために、文を分解してみる 。 こんな感じです。 普段のメールやレポートでも、頭の中で文を分解する癖をつけてみてください。 「困難は分解せよ」という言葉があります。出典は、井上ひさしさんの『ナイン』という本の中の「握手」というお話の中に出てきます。分解する癖を付けておくといろいろと応用が利きます。 番組で紹介したポイント: 主語と述語をしっかり対応させ、一つの文は一つの要素で書くこと 。これが伝わる文章への近道です。 『マジ文章書けないんだけど』テキストにしてお聞きたたくと、よりわかりやすくなります。 どうぞ宜しくお願いします。

    14 min
  5. May 18

    EP#147「マジ文章書けないんだけど」Lesson1 文章を書く前にすべきこと

    きょうから新シリーズを始めます。2017年に大和書房から出版した『マジ文章書けないんだけど』が、書店に並んだりして再燃の兆しを見せています。そこで、『マジ文章書けないんだけど』をLesson1から順に、その内容にそったお話をしていこうと思います。 今日のテーマは、基本中の基本「書く前に自分と向き合う」です 。 文章、特にエントリーシート(ES)などを書くとき、すぐに「何を書こうか」とペンを動かしてしまう人も多いと思います。気持ちはわかります。 でも、ちょっと待ってください。就職がすべてではないにしても、自分としっかり向き合う時間を持つことは人生において重要だと思うんです。 その効果は二つあって、まずは、漠然と過ごしてきたこれまでを振り返ってみること。次に、自分が何をどう考えてきたのか、どんな思いで生きてきたのかを知ることなんです。そうすることによって、これから進みたい方向が見え、就活の大きな「柱」を立てることができます。 そこで一つ、ワークをしてみてください。自分の「長所」と「短所」を10ずつ挙げてみてください 。 この本の中で、主人公のすずさんは、こんなふうに書いていました。 - 長所: 「元気」「一生懸命」など 。 - 短所: 「気が短い」「根気がない」「飽きっぽい」「お金をすぐ使ってしまう」「友達が少ない」「すぐ慌てる」「悲観的」…… 短所は、10個しっかり書いています。ところが、短所は出てくるのに、長所が全然書けていないんです。これは、若い世代には多い悩みかもしれませんね。 でも、自分を客観的に見て、自分の「リソース」を知ることはとても大切なんです 。リソースは、「資源」や「資産」のこと。あなた自身の「強み」と言い換えてもいいと思います。 たとえうまく書けなくてもへこむ必要はありません。大切なのは「自分を客観的に見る」というプロセスそのものです。 すぐに書けなくても、今の段階ではそのままで構いません。後日もう一度書いてみると、きっと違う結果が出てくるはずです。こうした変化を楽しむことが重要です。そうすることで、自分との対話ができるようになるからです。 まずは自分の長所と短所のリストを眺めてみることから始めましょう 。それが、納得のいく文章を書くための「1st. STEP」なのです 。

    13 min
  6. May 11

    EP#146 時間の流れ、会社員と個人ではこんなに違う

    きょうは、5月11日なので、連休明けの初出勤日という方も多いのではないでしょうか。 僕は会社にいる頃から、土日祝日が必ずしも休みではなかったので、GWという感覚はなかったんです。最近お付き合いの多い出版社や自治体の方は、案外、休みはきっちりしてるんですね。 4月中旬に、頼まれていた原稿を何本か渡していたのですが、その校正ゲラが、一斉にGW前に来るんです。それで「5月11日をめどにお送りください」とか「連休進行なので・・・」と書いてあってね。ふむふむと思っていたら、何と、GW明けが締めきり。そうかあ、と思ったりするんです。 いまは、自分の都合に合わせて休めるのだけれど、結局まったく仕事をしない、という日はないんですね。独立してから思ったのは、会社員の会議が長い、ということです。2〜3時間は、平気でミーティングしてるものね。一日に三つ会議があると、それだけで6時間。その間、本来業務は止まるから、結局時間外で働かなくてはならない。 僕は会社員時代から会議が好きではなかったので、僕が開いていた部会は大体15分くらい。長くても30分だった。いまも、1時間あれば、充分かな。2〜3時間もいると、よほど面白いMTGでない限り、飽きちゃう。それに、会議の時間に他の仕事ができる、と思うと、時間の流れが全く違うことに気が付くんです。 会社員のいいところは、営業努力はあるものの、給与が発生するということです。これは、本当に素晴らしいですよね。いまは仕事がなければ、未来の可能性にかけて事前にいろいろ作業しなくてはならない。でも、それがそのまま収益に繋がるわけでもないですしね。うまく回転すると楽になりますけど、結局、その先の投資は常に必要です。これが楽しいからできているのですけど、つまらない仕事では、続かないですよね。 今年もまもなく前半終了という時期を迎えて、改めて仕事とその時間の流れを見直したGWをでした、というお話でした。

    16 min
  7. May 4

    EP#145 言語化は経験を通した世界観・視点の違いを伝えることだ

    前回、文章に必要なのは、AIにない自分の「視点」とか「世界観」を描くことだというお話をしました。今回は、「言語化」について、です。言語化については、以前もお話しをしたことがあったと思うのですが、あまり意味を考えずに使っているケースが多いと思うんですよね。言語化、言語化って言われすぎて、言語化恐怖症になっている人もいるのではないでしょか。 僕は以前から「言語化」って何だろうと考えてきたのですが、なかなかきっちりした答えが出なかったんです。AIが出てきてから、AIが書く文章と人が書く文章の違いを考えるようになって、それで、「言語化」の意味も、少し形が見えてきたように思うんです。 AIそのものには、思考力と感情がないという話もしたと思うんです。思考力や感情があるように思うのは、すべてネット上の言語を分析したうえでのアルゴリズムによるということです。アルゴリズムって、「計算や問題を解決するための手順や方式」のことなので、じつは、こうしたアルゴリズムは僕たち自身も使っているんです。 ただ、AIとちがうのは、僕たちは経験を通してそれを学んでいるということです。様々な成功や失敗を踏まえて学習しているということです。だから、人によってその手順や方式が違っています。 AIが様々な経験をしているわけではないので、自律的な感情を持っているわけではないですものね。いわば、全てが模倣なんです。AIはそれをネット上で僕たちの経験した結果を引き出して、組み立てているということです。 だから、誰にでも当てはまる占いのようになっています。例えば、僕と江川さんが経験してきたことは全く違うのに、経験を通しての悔しいとか嬉しいという言葉としての表現で共通性が出てきます。その共通性をAIが引っ張り出してくるから、「そうそう、その通り」となる。これが、AIのアルゴリズムのあり方です。 ところが、経験が異なれば、考え方も違う。「悔しい」「嬉しい」という言葉では共通するけれど、その経過・経路は全く違う。つまずきの多い人もいるし、すっと人生を渡りきれる人もいる。異なるつまずきポイントや成功ポイントで得たものが、「視点」や「世界観」です。それは個々人によって異なる。 つまり、言語化のポイントは、ここなんです。つまり、「言語化」は、あなたの視点や世界観を伝えることなんです。AIと比較して考えると、整理できると言うのもAIの大きな役割かな、と思います。

    12 min
  8. Apr 27

    20260427 EP#144 「世界の見え方」を書く

    昨年3月に筑摩書房のちくまプリマー新書から『AIに書けない文章を書く』という本を出しました。お陰様で、三刷にもなり、中学・高校・大学の入試問題に多数採用されて、受験界の一大ムーブメントになったんです。 この本を書いた時点では、AIはまだそんなに進化していなかったんです。生成AIが事実と異なる情報や論理的に誤った情報を基に、もっともらしいものをつくり出す失敗を「ハルシネーション」というますが、この言葉もまだまだ、一般的ではなかった。情報をどこから切り出してきたかという根拠も示されていませんでした。いまは明示するようになっていますが・・・。 出版してから瞬く間にAIが精度を増して、様々な分野に特化した生成AIも次々出てくるようになりました。いまは、AIなしには話が進まないほどです。僕は文章を書くときにはAIを使わないようにしていますが、あと数年したら、変化するかもしれませんね。 僕の本でAIは「日報や業務メール、提案書のたたき台、ブログの構成など、ネット空間にある情報などを収集して、まとめる作業が得意だ」と書いています。では、AI時代の文章は、何を書くべきなのか、なんですね。 「視点」つまり「あなたの世界観」なんです。この世界観は、必ずしも正解はないんです。AIは一定の条件のなかで正解を導くのだけど、「視点」や「世界観」を持っている訳ではない。この本は、文章の書き方なども書いているのですが、むしろ曖昧な日本語を使って、自分をどう理解し、使えるべきかに主眼があるんです。必ずしも文章論という枠組みでの本ではないんです。 AIには「思考」そのものを書くことができない。AIは正解を教えてくれるから、便利なんです。考えなくていいから。AIを使いこなすには、本当は考えなくてはいけないのだけれど、そこまで考える人は少ないでしょうね。だから、どんどん考えなくなってきてしまう。 「思考」しない人は、「与えられた思考」に依ってしまうんです。批判精神が身につかない。自分の世界を見つめる機会を失うと、前回で話した「センス」が磨かれなくなってしまうことにもなるんです。 これは、とても怖い世界かもしれません。 受験の問題に使われた部分もそういったところでした。今年、娘の担任になった先生も「ヤバい」だけで表現するのではなくて、どうしてそう思ったのかを言葉で伝えるようにしよう、というのが、今年の目標の一つだと話したそうです。「言語化」という意味も、これを踏まえて考えると違う姿が見えてくるのではないでしょうか。これについては、またの機会にお話ししたいと思います。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 言葉や文章についての疑問やお悩みなどがありましたら、「ことばランド」番組概要欄の「お便りフォーム」からお送りください。番組の感想などもお書きいただけると嬉しいです。 また、ApplePodcastやSpotifyでお聴きの方は、評価やレビューを書いていただけると嬉しいです。皆さんの評価で多くの人にお聴きいただけるようになります。どうぞ宜しくお願いします。

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ことばは、自らを表現する大切なツールです。 そのツールをうまく使いこなして、未来をデザインしませんか?「ことばランド」は、そのお手伝いをします。 文章コンサルタントの前田安正と、MC・フリーアナウンサーのみどりーぬこと、江川みどりがお送りします。

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