アワノトモキの「読書の時間」

粟野友樹,星野良太,Work-Teller

「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano

  1. 2D AGO

    ep50-2 『性的であるとはどのようなことか』(難波優輝さん)/「性的」と「エッチ」の境界線、公共空間の“飯テロ”とペルソナの崩壊

    本文:・『性的であるとはどのようなことか』(難波優輝) こんにちは、ホシノです。今回から、難波優輝さんの著書『性的であるとはどのようなことか』をテーマにお話ししていきます。 導入は、昨今のSNSで度々議論になる「広告やパフォーマンスの炎上」について。公共の場にあるキャラクターや、紅白歌合戦でのちゃんみなのパフォーマンスは、なぜ「性的だ」として批判され、一方で「表現の自由(あるいはエッチさ/エロティック)」として擁護されるのか。そのすれ違いの構造を、本書の定義を借りて整理します。 著者はまず「性的なもの」を「性行為・性器・興奮」に関わるものと定義します。しかし、それとは別に美的判断としての「エッチさ(Erotic)」が存在すると指摘。議論が噛み合わないのは、この「事実としての性的」と「価値としてのエッチ」をごちゃ混ぜにしているからかもしれません。 さらに話題は「なぜ公共空間の性的表現は不快なのか?」という核心へ。ここで登場するのが「1階の欲求(食べたい)」と「2階の欲求(食べたいと思いたい)」という哲学的な概念です。深夜の「飯テロ」と同様、自分が望んでいないタイミングで本能的なスイッチを押されることへの不快感、そして「良き父/母」などのペルソナが崩されることへの困惑について分析します。 理屈で整理されると、モヤモヤしていた感情の正体が見えてくる気もしてきました…! 次回は、谷川俊太郎の衝撃的なタイトルの詩を入り口に、さらに「エッチさ」の深淵へと潜ります。

    21 min
  2. FEB 8

    ep50-1「性的であるとはどのようなことか」「生きるための表現手引き」/ちゃんみな、紅白、そして6等星の光

    ・『性的であるとはどのようなことか』(難波優輝)・『生きるための表現手引き』(渡邉康太郎) こんにちは、ホシノです。あけましておめでとうございます。(遅いか…!) 記念すべき第50回は、お正月の「紅白歌合戦」の話題からスタートです。あるアーティスト(ちゃんみな)のパフォーマンスを巡ってSNSで巻き起こった議論にアンテナが立ったホシノと、そもそもそのアーティストを知らなかったアワノさん。妻の影響でオーディション番組(No No Girls)を横目で見ていたホシノが今回選んだのは、難波優輝さんの『性的であるとはどのようなことか』。昨年末に刊行されたばかりの美学・ポピュラーカルチャーの哲学書です。紅白の余韻の中で「性的」という言葉が持つ意味や、世間の反応に興味を持ち、タイトルに惹かれて手に取りました。「エッチ」と「性的」はどう違うのか? いろいろと惹句が詰め込まれた本です。 一方アワノさんは、番組50回の節目ということで原点回帰。第1回でも取り上げた渡邉康太郎さんの新刊『生きるための表現手引き』をセレクト。都会の明るい光(1等星)にかき消されてしまう、自分だけの「6等星」のような微かな表現を見つけようというメッセージ。ただ「生き延びる(Survive)」のではなく、「生きる(Live)」とはどういうことか、静かに問い直します。 刺激的な現代の問いと、内省的な生の哲学。次回からはまずホシノの『性的であるとはどのようなことか』から掘り下げていきます。どうぞお楽しみに。

    14 min
  3. JAN 26

    ep49-4「生きる言葉」(俵万智さん)/「この味がいいね」と君が言ったから、七月六日は…じゃないかもしれない?

    ・『生きる言葉』(俵万智) こんにちは、ホシノです。今回からはホシノの選書、歌人・俵万智さんの『生きる言葉』についてお話しします。新潮社のPR誌『波』での特集や、文フリ仲間との会話をきっかけに手に取った一冊。SNS時代における言葉の重みの変化や、書き言葉と話し言葉のねじれなど、現代の「言葉」を取り巻く環境を俵さんの視点で綴ったエッセイ集です 。 今回話題に上がったのは、「言葉は世界の『目印』に過ぎない」という考え方 。谷川俊太郎さんの「言葉と世界は一対一で対応していない」という指摘を紹介しながら、言葉の限界を知った上で、それでも「目印」として言葉を尽くす姿勢について語り合いました 。また、名作「サラダ記念日」の日付が実はフィクションで、音の響き(リズム)を優先して決められていたという衝撃(?)の事実も 。ラップにも通じる韻やリズムへのこだわりに、プロの凄みを感じます 。 短歌とエッセイがセットで味わえる、入門書としてもおすすめの一冊。次回は、俵さんがSNSで見せた「遊び心」について触れていきます。どうぞお楽しみに。

    20 min
  4. JAN 19

    ep49-3「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」(佐藤航陽さん)/うまく回る組織の「5つの要素」と、ヒエラルキーの正体

    ・『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽) こんにちは、ホシノです。前回に続き、アワノさんの選書『お金2.0』を掘り下げます。今回は「お金」そのものから視点を広げ、「持続的にうまく回る組織・経済システム」の共通点について話しました。 著者の佐藤さんが挙げるその条件は5つ。「インセンティブ」「リアルタイム」「不確実性」「ヒエラルキー」「コミュニケーション」。特に議論が弾んだのは、4つ目の「ヒエラルキー」です。近年はフラットな組織(ティール組織など)や「ソーシャルグッド」な活動が理想とされる傾向にありますが、現実的に長く続いている組織には、競争や序列が可視化されていることが多いのではないか? アワノさんは自身の経験や、自然界(ライオンの群れ)のルールと照らし合わせながら、その冷静な指摘に納得感を覚えたようです。 「組織やシステムには寿命がある」という前提や、その寿命を延ばすための「共同幻想(理念)」の役割についても触れました。理想論だけでなく、現実的な生存戦略として組織をどう設計するか。ドライな分析が心地よい回です。次回からはホシノの選書、俵万智さんの『生きる言葉』へ移ります。どうぞお楽しみに。

    12 min
  5. JAN 12

    ep49-2「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」(佐藤航陽さん)/経済は「自然」の一部である、という視点

    ・『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽さん) こんにちは、ホシノです。今回はアワノさんの選書、『お金2.0』を掘り下げていきます。著者の佐藤航陽さんに対し、実は「お金の亡者では?」「なんとなく怪しい」と勝手な食わず嫌いをしていたというアワノさん。しかし、動画で見る佐藤さんの語り口は驚くほど淡々としていました。世帯年収100万円台から資産150億円へ。その経験を経てもなお、彼がお金を「ハサミやPCと同じただのツール」と断じ、冷静に向き合う姿勢に、アワノさんの偏見はガラガラと崩れ去ったそうです。 本編で議論になったのは「経済は自然の一部である」という視点。自然界に淘汰や格差(2:6:2の法則など)があるように、経済における格差もまた物理現象に過ぎない。資本主義が良い悪いではなく、自然の摂理としてそこにあるもの。そう捉えると、無理に抗うのではなく、雨が降るのと同じように経済の動きを受け入れられるようになるのかもしれません。 「お金に感情を乗せてはいけない」。持たざる者だったからこそ抱いていたルサンチマン(恨みや妬み)を手放し、フラットに経済を見つめるためのヒントが詰まった回です。

    18 min
  6. JAN 5

    ep49-1「お金2.0」「生きる言葉」/文フリ後の余韻と、食わず嫌いをやめる時

    ・『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽)・『生きる言葉』(俵万智) こんにちは、ホシノです。今回は11月に行われた「文学フリマ東京」の振り返りからスタートです。来場者数1万8000人という熱気の中、アワノさんはSNSやラジオ越しの「思わぬ出会い」に感動し、ホシノは2回目の出店を経て「もっと新しいことを仕掛けたい」という欲求がふつふつと湧いてきました。祭りのあとの心地よい疲れと、次への情熱が入り混じるオープニングトークです。 今回アワノさんが選んだのは、佐藤航陽さんの『お金2.0』。2017年の話題作ですが、著者に勝手に抱いていた「食わず嫌い」なイメージが、ある対談動画をきっかけにガラリと変わったとのこと。「お金とは何か」を今あらためて問い直します。 一方ホシノは、俵万智さんの『生きる言葉』。文フリの仲間と話題に出た「俳句と短歌の違い(心情を詠むか否か)」という視点や、新潮社の雑誌(?)『波』での出会いがきっかけです。エッセイという補助線があることで、短歌の情景がより鮮やかに、インスタントに味わえる魅力について話しました。 経済のルールと、心の言葉。かなり距離の遠い2冊ですが、次回からはまずアワノさんの『お金2.0』から掘り下げていきます。どうぞお楽しみに。

    11 min
  7. 12/18/2025

    ep48-5「叱る依存が止まらない」(村中直人さん)/叱る快感と従順な相手、跳び箱と限界突破

    ・『叱る依存が止まらない』(村中直人さん) こんにちは、ホシノです。今回も引き続き『叱る依存が止まらない』をテーマに、アワノさんと深掘りしていきます。前回は「叱る=脳にとっての報酬」という話が出ましたが、今回はそこからさらに、叱る快感の裏側や、叱られる側のメカニズムまで踏み込みました。 まず話題に上がったのは、「叱る快感を味わわせてくれる従順な相手」について。この構造があるから、いじめはなくならないし、SNSの叩きも消えない。そこから「叱るカフェ」構想まで飛躍していきます。若手っぽいできそうに見える部下役を選べたり、叱り方をフィードバックしてもらえたり…。半分冗談、半分リアル。笑いながら話しているのに、妙に現実味があるのが怖いところです。 後半は一転してまじめモードに。ホシノが小学生時代の跳び箱エピソードを振り返りながら、「厳しく詰められた経験が、自分の限界を超えるスイッチになったことがある」という話を共有。ここから、 厳しい指導が有効に見えるのはなぜか 本来は別アプローチでも到達できた可能性 外から見るとハラスメントでも、当人の主体性があるかで意味が変わる スポーツや芸術の世界での「理不尽を選びに行く」構造 といったテーマにぐっと話が広がります。 そして「叱られて伸びる」という思い込みが、実は自分の成功体験の偶然から来ているだけかもしれない、という指摘も。その一方で、叱る側は叱る側で、自己効力感や即効性に頼ってしまいがちで、結果として反省が遅れやすい。そんな人間の弱さも共有されました。

    19 min

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「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano