アワノトモキの「読書の時間」

粟野友樹,星野良太,Work-Teller

「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano

  1. 1d ago

    ep55-1 『人文知は武器になる』『ミドルエイジ・ビギンズ』/

    どうも、ホシノです。 新シリーズ55がスタート!今回はアワノさんの「いい声」をお届けできてうれしいです。低くてゆっくりした話し方が人の心を引きつけるという話題から、かつての自分が「内容の簡潔さやスピード感」ばかりを重視していたことに思いを馳せたり。話し言葉と書き言葉の整合性の違いなど、編集目線の雑談から賑やかに幕を開けます。 そんな導入を経て、今期読んでいく2冊の選書を紹介し合いました。 アワノさんの選書:『人文知は武器になる』(山口周・深井龍之介 著)ビジネス界の論客・山口周さんと、歴史コンテンツ「コテン」の深井龍之介さんによる豪華対談本。「出す本すべてが売れる鉄板の2人だからこそ、まとめるだけでズルいくらい面白い本になる」とアワノさんが語る一冊。気になりつつもまだ読めていなかった読者に向けて、改めて「今なぜ人文知なのか」を掘り下げていきます。 ホシノの選書:『ミドルエイジ・ビギンズ』(東畑開人 著)臨床心理士であり、今や出版界で引っ張りだこのベストセラー作家・東畑開人さんによる話題作。前シリーズで盛り上がった「中年問題」の続編として、40代を迎えた私たちが自身の変化をどう捉え、どう行動に移していくべきかを、心理学や社会学の知見を交えて考察していきます。 かつて番組の冒頭で「メジャーな本は扱いません」と宣言していたはずの当番組ですが、時代や関心の変化とともに、今まさに読まれるべき王道の一冊にもしっかり向き合っていきます! 詳しい内容は次回以降たっぷりお届けしていきます。どうぞお楽しみに!

  2. Aug 24

    ep54-5 『資本主義と、生きていく。』後編/「商品と労働力の支配」「資本主義とどう距離をとるか」

    どうも、ホシノです。 今回は、アワノさん選書『資本主義と、生きていく。』の深掘り後編をお届けします! 前回紹介した「6つの『追手』」を踏まえ、今回は本書の中でアワノさんが特に「天才的だ…!」と脱帽したという、マルクスの経済思想に関する洞察からスタートします。 まず1つ目は、「商品」についての構造です。世の中のあらゆる商品の王様(トップオブトップ)こそが「お金」であるということ。資本主義とは、商品が人間を支配する世界であり、その頂点に立つお金を介さなければ、家も食べ物も手に入らない仕組みになっていることをマルクスは見抜いていました。 そして2つ目が、「人間の労働力もまた商品である」という事実です。資本家は労働者の時間を一定期間(1年など)レンタルし、レンタカーのように限界まで使い倒すことで価値を生み出します。アワノさん自身、この「自分という商品を差し出している感覚」に違和感を覚えて会社を辞めた経緯もあり、本書の指摘には非常に深く考えさせられたそうです。 では、私たちはこの「欲望拡張原理」で動く資本主義と、どう向き合っていけばいいのでしょうか? 完全に離脱して自給自足の生活を送るのは、現実的にはかなり厳しいものがあります。そこで本書が提案するのが、6つの「追手(お金、時間、労働など)」と自分自身との「距離感」を意識すること。 1から5までのスケールで「今自分はどこにいるのか」を客観的に把握し、3〜5年ほどの時間をかけながら、ライフステージに合わせて自分にとって心地よい塩梅(距離感)を見つけていく。完璧な処方箋を求めるのではなく、自分なりの立ち位置を模索していくことこそが、この社会でしなやかに生きていくためのヒントになります。 アダム・スミスやマルクスなどの難解な思想をコンパクトに繋ぎ合わせ、歴史的な知識を通じて現代の生き方を捉え直させてくれる、非常に学びの多い一冊でした。 これにてシリーズ54は終了です!次回からの新シリーズもどうぞお楽しみに!

  3. Aug 17

    ep54-4 『資本主義と、生きていく。』/「6つの『追手』と3つの原則」「250人と作った本」

    どうも、ホシノです。 今回はアワノさんの選書、品川幸亮さんの『資本主義と、生きていく。』。 著者の品川さんは、人気歴史コンテンツ「COTEN」の調査チームに所属する元弁護士。六本木ヒルズや渋谷でバリバリ働いたのち独立し、現在は大分県にご家族と移住して暮らしているという、資本主義との距離感を自ら実践・模索してきた方。 この本の大きな特徴は、制作のプロセスそのものにありそうです。なんと執筆過程を公開し、250人以上の方々と対話しながら意見を取り入れて作り上げられたのだそう。大勢の意見調整という凄まじいファシリテーションを経て完成した(であろう)、客観的で誠実な一冊です。 本の中では、私たちが資本主義の中で知らず知らず追いかけさせられているものを「6つの『追手』」として整理しています。 時間(時間に追われる) 消費(次々と買い続ける) お金(蓄え続けなければならない) 労働(働き続けなければならない) 成長(成長し続けなければならない) 数字(あらゆるものを数値化して評価される) アダム・スミスやマルクスといった難解な経済思想をコンパクトにまとめつつ、膨大な注釈で補完する読みやすさも魅力。 そして、この「しんどい仕組み」の中で絶望せずに生きていくために、著者は「3つの原則」を提示します。 バランス:資本主義の恩恵と弊害のどちらか一方に偏らない 希望:諦めるのではなく、その中で打ち手を考える 個人視点:「社会とは」という大きな話ではなく「自分はどう生きるか」で考える 自分自身が「6つの追手」のどれに、どれくらいの距離感(スケール)で縛られているのかを把握することが、自分なりの処方箋を見つける第一歩になります。 次回は、アワノさんが気になったポイントや「では具体的にどう資本主義と距離をとっていくか」についてさらに深掘りしていきます。お楽しみに!

  4. Aug 10

    ep54-3 『パーティーが終わり、中年が始まる』(phaさん)/「見た目のギャップ」「動機の変化」「中年とチャレンジ」

    どうも、ホシノです。 前回に続き、phaさんの『パーティーが終わり、中年が始まる』をきっかけに浮かび上がった「中年」というテーマについて、今回はアワノさんと語り合いました! まずは「自分の中の若いイメージ」と「現実の見た目」のギャップについて。写真で自分の老け度合いを直視して愕然とした経験や、子育てを通じて若い親世代との感覚の違いを痛感する瞬間など、当事者ならではのリアルな「中年自覚エピソード」。 さらに仕事面においても、新入社員から見れば自分たちは完全に「父親世代・ベテランおじさん」として扱われる現実があります。若者との距離感に戸惑いながらも、どう振る舞うべきかを考えさせられる場面が増えてきました。 そして話は、「中年になってからのチャレンジや行動の動機」へ。 若い頃は「有名になりたい」「稼ぎたい」といった自分のための欲求が原動力になりがちですが、中年になると「お世話になった人やコミュニティにバトンを繋ぎたい」「若手に仕事や機会を回したい」といった、他者や社会へ目を向けた動機へと変化していきます。自分一人のためだけでは頑張りきれなくても、誰かのためなら持続的なエネルギーが湧いてくる——そんな動機の変化も、中年期ならではの大きな特徴なのかもしれません。 次の回はアワノさんの選書回。「資本主義と生きていく」をお送りします!お楽しみに。

  5. Aug 3

    ep54-2 『パーティーが終わり、中年が始まる』phaさん/「ニートプロブロガーの解話」と「変化への向き合い方」

    どうも、ホシノです。 今回はホシノの選書、pha(ファ)さんの『パーティーが終わり、中年が始まる』(幻冬舎)を掘り下げていきます。 かつて「日本一有名なニート」やプロブロガーとして知られ、シェアハウスで仲間たちと自由気ままな暮らしを送っていたphaさん。そんな彼が40代半ばを迎え、「中年」という新たなフェーズに突入したことで起きた自身の変化を綴ったエッセイです。 かつては「自由な若者の象徴」として受け入れられていただらしなさや見なりも、おじさん世代になると「みすぼらしさ」や「警戒対象」として世間から見られてしまうという切実な見られ方の変化。そして、かつては楽しめていた「あてもない夜の散歩」や思考のリンクがうまくいかなくなり、1人の時間に楽しみよりも「寂しさ」を感じるようになってしまったという内面の変化が、淡々と描かれています。 かつて仲間とシェアハウスで集い、夜な夜な語り合っていた「長いパーティーの期間」が終わり、静かで少し寂しい「中年」がやってくる。 世間からの見られ方や自身の感受性が変わっていく中で、定職を持たず、会社も家族もなく(愛猫たちも去り…)、孤独と向き合いながら古書店で働くphaさんの姿は、どこかダウナーでしんみりとした癒やしを与えてくれます。 同じように「変化」を迎えている身として共感しつつも、 その捉え方や次の一歩は人それぞれ。 次回は、そんな「中年期における変化への向き合い方や解釈の違い」について、アワノさんとさらに語り合っていきます。お楽しみに!

  6. Jul 29

    ep54-1 『資本主義と生きていく』『パーティが終わって、中年が始まる』/「中年問題」と「Google Fit」による身体の可視化

    どうも、ホシノです。 今回からスタートする新シリーズ54!お互いが今期読んでいく選書を紹介し合います。 本題に入る前に、まずはホシノの近況報告から。長年連れ添ったシステムから離れて「脱Apple」を敢行し、Google Workspace等への移行とあわせて導入したのが「Fitbit Air」。睡眠の質や心拍を可視化して自分の身体の声を気にし始めたところ、なんと現在までに3kg〜4kgの減量に成功しました!しかし、Fitbitのデータを見ていて発覚したのが、研修登壇中の心拍数がワークアウト並みに急上昇していたこと。「こんなにドキドキしながらやってたんだ…」と、ウェアラブルデバイスを通じて自分の身体の反応に驚かされる日々です(笑)。 そんな身体や環境の変化を迎える中で、今期読んでいく選書を紹介します。 アワノさんの選書:『資本主義と生きていく』(品川幸亮 著)歴史コンテンツで人気の「COTEN」の調査チームに所属する元弁護士・品川幸亮さんによる著書。ミポーティングや執筆の過程をコミュニティに公開し、実に250人以上の一般市民の意見を反映させながら作り上げたという異色の本です。著者が自信を持って世に送り出した、「資本主義」とどう向き合うかをわかりやすく解きほぐす一冊。 ホシノの選書:『パーティーが終わり、中年が始まる』(pha 著)元「日本一のニート」として知られるブロガー・pha(ファ)さんの著書。40代半ばを迎え、「永遠の28歳」のつもりでいた自分自身が、街で学生に「すいません、おじさん」と呼びかけられて衝撃を受けた実体験(おじさん自覚事件!)をきっかけに、体力の衰えや「中年」というフェーズにどう向き合い、今後の仕事や生き方をコントロールしていくかを考察した一冊です。 「自分はおじさんじゃないと思いたい」という自覚と社会認識のギャップや、中年期のキャリア・健康問題など、当事者だからこそ語り尽くせないテーマが詰まっています。 詳しい内容は次回以降たっぷりとお話ししていきますね!お楽しみに。

  7. Jul 19

    ep53-5『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』後編/「いきなりステーキと自発」「やっちゃった!は中動態」

    どうも、ホシノです。 さて、今期大注目の選書、栗原康さんの『サボる哲学』の掘り下げ後編です。 今回はまず、本書の冒頭に登場する「いきなりステーキ」のエピソードから。当時、コロナ禍の煽りもあって業績不振に陥っていた同社が、テレビの密着番組で社内改革の様子を放映していました。そこで社長が放った「いきなりステーキがダメなら、いきなりオイスターを作ろう!」というアイデアに、栗原さんは痛く感動したそうです。なぜならそれこそが、社長の「自発」に他ならないから。自発に理由なんていらない、「やっちゃいたくなっちゃったんだから」という人間の衝動こそが最も尊いのではないか、と栗原さんは説きます。 しかし現代のビジネス社会は、計画(PDCA)によって人間を管理し、「自発」という不確定要素を排除しようとしがちです。栗原さんは、そんな管理社会から逃れ、自発性を爆発させて生きた集団として「海賊」の歴史を紐解いていきます。 海賊と聞くと無法者のイメージがありますが、実は非常にフラット組織だったそう。船長は選挙で選ばれ、働きが悪ければ交代させられるシステムだったとか。商船で奴隷のように武力支配されていた乗組員たちが、襲撃された際に喜んで海賊側へと寝返っていったのは、そこが「自発でいられる場所」だったから。利益の追求や計画に縛られない、自由で人間らしい生き方がそこにはありました。 この「やっちゃった」という自発的な生き方は、かつて日本でも一世を風靡した國分功一郎さんの著書『中動態の世界』とも深く繋がっています。能動でも受動でもなく、自分の意思を経る前の「思わずやってしまった」という状態。これこそが、資本主義の支配から逃れるヒントになるのかもしれません。 ほかにも、1970年代に大阪で起きた「田中機械」の工場乗っ取りエピソードなど、思わずニヤニヤしてしまうような、計画を軽やかに裏切る「やっちゃった」話が満載です。 読めば勇気づけられる、今ホシノが最もおすすめしたい一冊。ちなみに著者の栗原さんの写真を見たアワノさんは、「勝手にチェックのシャツを着た小太りの人を想像してたけど、普通にモテそうな人でイメージと違った!」と驚いていました。

  8. Jul 13

    ep53-4 『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』前編/「やっちゃった!の生き方がいい」

    どうも、ホシノです。 今回は私が勢いで同著者の本を8冊まとめ買いした選書、栗原康さんの『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』を掘り下げていきます。 (今回は本題前の雑談が長めで失礼しました…!) さて、『サボる哲学』です。タイトルにある「逃散(ちょうさん)」とは、日本の農民たちが領主の圧政から逃れるために行った歴史上の反抗行為のこと。ストライキの逃げるバージョンのようなものです。労働が当たり前(むしろ美徳)の常識から逃げちゃえ、的なメッセージですね。 この本は、労働とアナーキズムについての理解を深めてくれる一冊ですが、著者の栗原さんは冒頭でアナーキストを「無支配主義者」と定義しています。世の中がいかに支配者側の都合のいいようにシステム化され、構造化されているかを自覚した上で、「たまには反抗しておいたらいいんじゃない?」というスタンスで書かれているように思います(個人的には、徹底して抵抗せよ、というスタンスじゃないのが好印象だったんですよね)。 ホシノが特に惹かれたのは、栗原さんの「とにかく短く言い切る言葉を連ねる」という軽快な文体です。とにかく読みやすくてニヤニヤしてしまうのに、いざ読み進めると驚くほど詳細に歴史の元をたどって紐解いてくれるので、ものすごく勉強になります。 なかでも個人的に勇気づけられたのが、「やっちゃった」という生き方です。これは自主性(場やルールに従うニュアンス)とは異なり、自らの意思や意図が影響する前の、思いがけない行動(突発性)を指しています。「やってみたくてやっちゃった」という人間の素直な行動を大事にしようというメッセージは、ビジネスでよく言われる「PDCA」よりも、最近注目されている「DDRRRR(ディザイア・ドゥ・リフレクト・リフレーム・リアライズ)」の考え方にも通じるものを感じました。予定調和のプランに縛られず、動くことで自分の価値を見出していく自発的な生き方は、今の時代にこそ響くものがあるのでは。 本の中では、そんな「やっちゃった」エピソードの塊のようなアナーキストの先駆者・大杉栄の生き様についても語られています。 次回は、この本の中でさらに面白かった「海賊」のお話をご紹介します。お楽しみに!

About

「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano

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