いなか医師の勉強ノート

つばさ

医学知識をアップデートしたい!でも面倒!という同志のため、地域医療、家庭医療、総合診療、プライマリ・ケア、総合内科に関する論文やレビュー、ガイドラインを、Notebook LMに解説してもらうだけの、「くつ王レディオ」リスペクト番組です。

  1. 7H AGO

    高血圧治療の新アプローチ〜降圧薬の強度3段階法〜

    高血圧は心血管疾患の主要なリスク因子であり、血圧を1mmHg下げるごとにリスクが約2%減少することが知られています。しかし、数多くある降圧薬の組み合わせの中から、どの程度の降圧効果が期待できるかを具体的に示す包括的なエビデンスはこれまでありませんでした。今回の論文は、主要5系統の降圧薬に関する484件のランダム化比較試験を対象としたシステマティックレビューとメタアナリシスです。 この研究では、薬剤の種類、用量、治療前の血圧値に基づいて降圧効果を定量化し、降圧薬レジメンを低強度・中強度・高強度の3段階に分類する新しいアプローチを提案しています。単剤療法では用量を倍増しても降圧効果の増強はわずかですが、2剤併用療法ではより大きな効果が得られることなどが示されました。これらの結果は、よりエビデンスに基づいた降圧薬の選択を可能にし、臨床現場での意思決定を助けるものと期待されます。 Wang N, Salam A, Pant R, Kumar A, Dhurjati R, Haghdoost F, et al. Blood pressure-lowering efficacy of antihypertensive drugs and their combinations: a systematic review and meta-analysis of randomised, double-blind, placebo-controlled trials. Lancet. 2025;406:915-25. #地域医療 #プライマリ・ケア #いなか医師の勉強ノート #高血圧 #降圧薬 #メタアナリシス #システマティックレビュー

    20 min
  2. 2D AGO

    「腎不全の緩和ケア、いつから始める?」3学会合同ガイダンスを読み解く

    腎不全患者さんへの緩和ケアは、がん患者さんと同様に重要ですが、日本ではその整備が遅れていました。この状況を受け、日本緩和医療学会、日本腎臓学会、日本透析医学会の3学会が協働し、2025年9月に「腎不全患者のための緩和ケアガイダンス」が発表されました。 このガイダンスは、腎代替療法の有無にかかわらず、全ての腎不全患者さんを対象としており、診断時から人生の最終段階まで、各病期に応じた緩和ケアの実践方法を網羅しています。 具体的には、痛み、倦怠感、掻痒感などの身体的苦痛、抑うつや不安といった精神的苦痛の緩和、意思決定支援、多職種連携による医療提供体制の構築 など、日常診療で直面する課題に対する実践的な内容が盛り込まれています。 本ガイダンスは、腎臓内科医や透析医をはじめ、腎不全診療に関わる全ての医療者が緩和ケアの理念を理解し、日々の診療に取り入れることを目的としています。 日本緩和医療学会, 日本腎臓学会, 日本透析医学会. 腎不全患者のための緩和ケアガイダンス. 2025. #地域医療 #プライマリ・ケア #いなか医師の勉強ノート #腎不全 #緩和ケア #意思決定支援 #透析 #腎代替療法

    16 min
  3. 3D AGO

    10年ぶりの改定!骨粗鬆症ガイドライン2025年版を読み解く

    今回のエピソードでは、10年ぶりに改訂された「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版」を楽しく学びます!日常診療で遭遇する機会の多い骨粗鬆症ですが、高齢化が進む日本では患者数が1,590万人にのぼると推定されています。このエピソードを聴けば、最新の知識をアップデートできます。 --------- 高齢者のQOLを著しく低下させる骨粗鬆症。今回のテーマは、10年ぶりに改訂された「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版」です。高齢化に伴い患者数が増加する中、骨粗鬆症対策は医療のみならず社会的な課題となっています。 新しいガイドラインでは、『Minds診療ガイドライン作成マニュアル 2020 ver.3.0』に準拠し、臨床上の課題(CQ)を設定してシステマティックレビューを行う方式が採用されました。 薬物療法ではゾレドロン酸、アバロパラチド、ロモソズマブが追加されています。 番組では、最新の診断基準や薬物治療の考え方、そして一次・二次骨折予防のための「骨粗鬆症リエゾンサービス®(OLS)」の重要性まで、多岐にわたる内容を分かりやすく解説します。 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会, editor. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版. ライフサイエンス出版; 2025. #骨粗鬆症 #ガイドライン #地域医療 #プライマリ・ケア #いなか医師の勉強ノート

    28 min
  4. 3D AGO

    専門医任せでいい?アルツハイマー病診療、総合診療医のホンネ

    専門医任せでいい?アルツハイマー病診療、総合診療医のホンネ 「認知症、専門医に紹介した後のフォロー、どこまで関わればいいんだろう?」「新しい薬の情報をどうやってキャッチアップすれば…」そんな日常診療の悩みに、この論文がヒントをくれるかもしれません。専門医への紹介の遅れや連携の難しさ、そして何より家庭医ならではの「ホリスティックなケア」の重要性など、共感できるポイントがたくさん見つかるはずです。 --- この研究は、英国の総合診療医(GP)を対象に、中等度から重度のアルツハイマー病(AD)患者に対する現在のケアパスについての経験と考えを質的インタビューを通じて調査したものです。 GPは、AD患者のケアに関する知識、スキル、自信にギャップを感じており、特に疾患の進行段階を評価し、メマンチンなどの追加治療を開始することに不安を抱えています。 また多くのGPは、患者や家族との継続的な関係性の中でホリスティックなケアを提供することが自らの重要な役割だと認識している一方で、専門医への紹介の遅れや連携不足といった現在のケアパスの問題点も指摘しています。新たなケアパスの導入やGPの役割拡大には、追加の研修や資金、リソースの提供が不可欠であると結論付けています。 Carter M, Butterworth JE, Fox C, et al. Evaluating care pathways in Alzheimer’s disease: a qualitative interview study with GPs in England. BMJ Open 2025;15:e105978. #総合診療 #家庭医療 #プライマリ・ケア #いなか家庭医の勉強ノート #認知症 #アルツハイマー型認知症 #質的研究

    7 min
  5. 4D AGO

    家庭医療の古典:1000人のうち大学病院にたどり着くのは、たった1人? 〜医療アクセスの生態学〜

    今回は、1961年に発表され、今なお多くの医療者に影響を与え続けている古典的論文「The Ecology of Medical Care」をご紹介します。ある地域に住む1000人のうち、1ヶ月の間に体調不良を感じる人は何人いて、そのうち何人が実際に医師の診察を受け、入院し、最終的に大学病院に紹介されるのでしょうか? この論文は、アメリカとイギリスのデータをもとに、患者が医療機関を受診するまでのプロセスを「生態学」というユニークな視点で分析しています。 番組では、論文の結果を紐解きながら、「大学病院で研修する医学生や医師が見ている患者像は、地域全体の健康問題から見るとかなり偏っているのではないか?」「そもそも人々が医療を求めるプロセスとはどのようなものなのか?」といった、日々の診療で私たちが抱く疑問について語り合います。プライマリ・ケアの重要性や、これからの医療研究のあり方について考えるきっかけとなるエピソードです。 — 本研究は、米国と英国の医療に関する複数の調査データを分析し、ある特定の期間における一般住民の受療行動の規模を推定したものです。 成人1000人のうち、1ヶ月間に何らかの体調不良を自覚するのは約750人でした。このうち医師の診察を受けるのは250人で、入院に至るのは9人、他の医師へ紹介されるのは5人、そして大学病院に紹介されるのはわずか1人という結果が示されました。 このことから、大学病院などの高度医療機関で診療にあたる医療者は、地域社会における健康問題全体のごく一部にしか触れていない可能性が指摘されています。本研究は、疾患のメカニズム解明だけでなく、人々がどのように医療にアクセスし、それを利用するのかという「医療の生態学」に関する研究の重要性を提唱しています。 White KL, Williams TF, Greenberg BG. The Ecology of Medical Care. N Engl J Med. 1961;265:885-92. #プライマリケア #総合診療 #家庭医療 #地域医療 #古典 #受療行動 #いなか家庭医の勉強ノート

    18 min
  6. 6D AGO

    どうする手術前のACP?電子カルテと人的サポートの効果を検証!

    年間約2000万人の高齢者が待機的な大手術を受けていますが、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を行っているのは10%未満です。ACPは、患者さんの価値観に沿った医療を提供するために不可欠ですが、特に手術前には実施が限られているのが現状です。 そこで、エビデンスのあるACPプログラム「PREPARE」を用いて、手術前の高齢患者さんに対するACP実施率を高めるための介入研究が計画されました。 この研究は、米国の3つの大学病院で6000人の患者を対象に行われる多施設共同、単盲検、実用的ランダム化比較試験です。介入は、情報提供のみの群、リマインダーを追加する群、さらにヘルスケアナビゲーターによる人的サポートを追加する群の3つに分け、介入の強度を高めることでACP関連文書の電子カルテへの記録率がどう変化するかを比較します。 この研究は、手術という重要な局面で、患者さんの意思を尊重した医療を実現するための、効果的で拡大可能なアプローチを明らかにすることを目指しています。 Welton L, Colley A, Sudore RL, et al. I CAN DO Surgical ACP (Improving Completion, Accuracy and Dissemination of Surgical Advanced Care Planning): a protocol for a multisite, single-blinded, pragmatic randomised controlled trial to improve ACP completion in older adults in the presurgical setting. BMJ Open 2025;15:e108850. #総合診療 #家庭医療 #プライマリ・ケア #アドバンス・ケア・プランニング #ACP #手術 #外科 #いなか家庭医の勉強ノート

    8 min
  7. 6D AGO

    AI vs 家庭医、どちらが正確?急性期の治療計画の最適化

    今回のエピソードでは、「AIは家庭医を超えるのか?」というテーマを扱った論文をご紹介します。日々進化するAI技術は、私たちの臨床現場にどのような影響を与えるのでしょうか。特にプライマリ・ケアの領域では、AIが診断支援や治療計画の最適化に貢献することが期待されています。この研究では、AIチャットボットであるChatGPT v3.5と家庭医が、急性疾患の治療方針を決定する際にどちらがより正確な判断を下すかを比較検討しています。 本論文はポルトガルのプライマリ・ケア3施設で行われた横断研究です。 急性疾患の診察860件を対象に、家庭医が行った治療処方と、AIチャットボット(ChatGPT v3.5)が同じ診断に対して提案した治療法を比較しました。治療の正しさは、エビデンスに基づく臨床意思決定支援ツール「Dynamed」をゴールドスタンダードとして評価されました。その結果、ChatGPTが正しい治療を提案した割合は55.6%であったのに対し、医師は54.3%でした。また、不正確な治療を提案した割合は、ChatGPTが5.2%であったのに対し、医師は11%と、ChatGPTの方が低い結果となりました。 この研究は、ChatGPTがプライマリ・ケアの急性期疾患診療において、医師と同等かそれ以上の精度で治療判断を下せる可能性を示唆しており、AIが医療専門家を代替するのではなく、能力を補強する有効な補助ツールとなりうることを示しています。 Simão BLP, Pereira CM, Jácome M, Oliveira C, Ferreira LM, Paiva JM, et al. Artificial intelligence in the prescription of acute medical treatments in primary healthcare – comparison of the performance of family physicians and ChatGPT. BMC Prim Care. 2025;26(1):284. #総合診療 #家庭医療 #プライマリ・ケア #いなか家庭医の勉強ノート #AI #人工知能 #ChatGPT #臨床意思決定

    8 min

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