鷹の爪団の人工知能ちょっと来い!~AIを使って世界征服じゃ!~

FROGMANがAIエキスパートや、クリエイター、アーティストなどをゲストに迎え、エンターテインメントにおけるAIの面白さや可能性を掘り下げていきます。

  1. 2H AGO

    10月23日Podcast DLE OBETA AI STUDIO 芦原健介さん&大久保翔太さん

    🎧 TOKYO FM「鷹の爪団の『人工知能、ちょっと来い!』」ポッドキャストレポート 今回のゲストは、DLE OBETA AI STUDIOから芦原健介さんと大久保翔太さん。 AIアニメ 『小泉八雲のKWAIDANの世界』 の制作舞台裏についてたっぷり語っていただきました。 TSK(山陰中央テレビ)で毎週木曜21:45〜放送中のこの作品は、同じシナリオ・同じ声優(茶風林さんら)を使いながら、 AIによる「アニメルック版」と「実写ルック版」の2種類を放送する、 日本でも珍しい試みです。 台本は人間が書いていますが、映像部分のほとんどはAIが生成。 AIアニメーションの“実験場”とも言える制作現場の様子が明かされました。 AIが生み出した画像の中には、 ・キャラクターの目の位置がズレる ・江戸時代の風景に電柱やパイプが入り込む といった“AIならではの誤差”も。 こうした部分はPhotoshopで人間が修正しています。 また、キャラクターデザインは著作権対策のため必ず手描きからスタート。 AIに学習させる前の「下絵」は人間の手で描いています。 OBETA AI STUDIOの基本方針は、「こだわるな」=AIの限界を見せることもコンテンツの一部にする。 細部に時間をかけすぎると、むしろ実写より遅くなることもあるため、 スピードと実験精神を優先しています。 手前の人物越しに奥を映す「なめのショット」など、複数構図の絵作り 江戸時代の文化的要素(髷=ちょんまげなど) 仏教のお経の漢字や装飾的な文字表現 こうした文化的・構図的な理解はまだ苦手とのこと。 プロンプトでAIを“騙すように誘導”して描かせる工夫も欠かせません。 制作過程で驚かれたのは、Googleの「Whisq(ウィスク)」が日本文化の再現性に強いという発見。 AIへの指示スタイルも個性豊かです: 芦原さん:AIに「おはようございます」と挨拶する“対話派”。褒めて伸ばすタイプで、4枚ずつ出力→修正を繰り返す。 大久保さん:緻密なプロンプトで一度に8枚生成する“ガチャ爆撃派”。Leonardo AIを駆使し、効率と精度を両立。 アニメ版は止め絵が作りやすい一方で、絵柄のバラつきが出やすく、 実写版は静止感が出すぎると不自然になる── それぞれにAIならではの難しさがあるそうです。 芦原さんは俳優・映画出身、大久保さんはテレビディレクター出身。 どちらもAI制作は未経験からのスタートでした。 OBETA AI STUDIOが重視するのは「テック力」よりも演出力・言語化力。 映像のセオリー(“寄り”の次は“引き”など)を理解し、 AIに正確に意図を伝えられる人が向いているといいます。 放送はミニコーナーながら、すでにお気に入り登録6,500件超え。 他メディアからも問い合わせが寄せられています。 今後の展望として、 大久保さんは「AIバラエティ」に挑戦したいと語り、 芦原さんはAIの得意分野であるSF・ファンタジー作品への展開を構想中。 3人チームで1日5本の1分動画を制作できるという圧倒的なスピードを武器に、 TikTokなどのショート動画でオリジナルキャラクターを育てる── AI時代の新しいエンタメを切り開こうとしています。 🎧 放送を聴き逃した方はこちら 👉 https://www.tfm.co.jp/podcast/ai/ #鷹の爪 #ちょっと来いAI #TOKYOFM #AIアニメ #KWAIDAN #DLE #OBETA 🎬 AIアニメ『小泉八雲のKWAIDANの世界』とは🧠 AIと人間の役割分担🎨 「こだわりすぎない」という制作哲学⚙️ AIが苦手とする映像表現🧰 使用ツールと制作スタイル💼 チームと採用の考え方🚀 反響とこれから

    30 min
  2. 15H AGO

    10月23日ラジオ本編 DLE OBETA AI STUDIO 芦原健介さん&大久保翔太さん

    🎙️TOKYO FM「鷹の爪団の『人工知能、ちょっと来い!』」放送レポート 今回の放送では、DLEが今年7月に立ち上げた AI特化のコンテンツ制作スタジオ「DLE AI STUDIO」 から、芦原賢介さん・大久保翔太さんをゲストにお迎えしました。 AIアニメ 『小泉八雲のKWAIDANの世界』 の制作秘話から、AI時代の映像づくりの未来まで、たっぷり語っていただきました。 DLEが今年7月に設立した、AIを活用したコンテンツ制作スタジオ。 目標は「生成AIで映像を作る」ことにとどまらず、ビジネスの仕組みそのものをアップデートすること。 フロッグマンさんが20年前にフラッシュアニメで制作を軽量化したように、AIでさらにスピードと効率を高め、「受けたら翌日に出せる」制作フローを目指しています。 TikTokやYouTubeショートを活用したキャラクタービジネス展開も視野に。 芦原さん・大久保さんは、現在制作中のAIアニメで「リード」というポジションを担当。 約3〜4人の少数精鋭チームで動いており、YouTubeでツールを学びながら、手探りでノウハウを築き上げてきたとのことです。 10月2日より、TSK(山陰中央テレビ)で放送中。 同一シナリオを使い、AIが「アニメルック版」と「実写ルック版」を生成するという前例のない試み。 当初は3DCG版も含めて3パターン構想でしたが、TSK社長の提案で2タイプに絞り込み。 実質的には毎週2クール分の作業を同時進行中という、超ハードなスケジュールです。 DLE AIスタジオのモットーは 「とにかくこだわるな」。  プロが気にする細部よりも、視聴者がどう感じるかを重視。 最も力を入れているのは、映像よりもプリプロ(企画・世界観・シナリオ)。  制作スピードを上げた分、企画にしっかり時間とコストをかけるスタイルです。 芦原さんいわく「早く作れる=安いではない。特急料金がかかるもの」とのこと。 芦原さん:AIは今後さらにリアルになるが、「失敗」や「ゆらぎ」といった人間らしさの表現はまだ難しい。 大久保さん:映画の台本を入れると映画が出てくる時代も近いが、その中で人間がどう関わるかが重要。 声優・茶風林さんを起用した『KWAIDAN』を例に、「演技(芝居)」は今後10年も人間の領域だろうと語られました。 現在、DLE AIスタジオではリアルに2名の採用募集中。 AIでの制作を楽しみ、可能性を感じている方を歓迎しています。 映像制作の経験があり、コミュニケーション力のある方なら年齢不問。 50代・60代も大歓迎!とのことです。 AIで“世界征服”を狙う!? フロッグマンさんも唸った、新しい映像づくりのかたち。 詳細はポッドキャストでもお聴きいただけます👇 🎧 https://www.tfm.co.jp/podcast/ai/ #鷹の爪 #ちょっと来いAI #TOKYOFM #AIアニメ #KWAIDAN #DLE 🎬 DLE AIスタジオとは👁️‍🗨️ AIアニメ『小泉八雲のKWAIDANの世界』💡 制作哲学:「こだわるな」🤖 AIの進化と“人間にしかできないこと”🧑‍💻 採用情報も!

    24 min
  3. 10月16日Podcast「デンソー “折れない心”がDXを動かす」

    OCT 17

    10月16日Podcast「デンソー “折れない心”がDXを動かす」

    車の安全や電動化を支える世界的メーカー、デンソー。 その社員数はなんと16万人。 島根県松江市の人口より多いというから、まさに“小さな都市”のような企業です。 そんな巨大組織で、社内のデジタル変革(DX)を推し進めるのが、デジタル活用推進部(DXP)部長・阿竹義徳さん。 TOKYO FM「鷹の爪団の人工知能ちょっと来い!」のPodcastに登場した阿竹さんは、デンソーのDXの裏側、そして“人が主役”のテクノロジー活用について語りました。 まず驚くのが、あのQRコードを開発したのがデンソーだという事実。 スマホ決済やチケット認証など、私たちの暮らしに欠かせない技術を生み出した企業が、実はこの自動車部品メーカーなのです。 阿竹さんはこう語ります。 「私たちは“見えないところで世界を動かす会社”なんです。」 車だけでなく、農業や食の流通など、新たな分野へも挑戦を続けるデンソー。 その根底には、“モノづくりの精神をテクノロジーでも貫く”という信念があります。 阿竹さんが率いる**デジタル活用推進部(DXP)**は、もともと社内の情報システム部門から発展した部署。 しかし今では、単にシステムを作るだけではなく、データやAIを活用して仕事そのものを変える部門へと進化しています。 阿竹さん自身も元エンジニア。外資系IT企業出身で、今でもコードを書くことができる現役の技術者です。 「現場の人と一緒に動くからこそ、本当に意味のある変革ができる」 DXPでは、“デジタルに詳しい人”と“現場を知る人”を組み合わせたチームでプロジェクトを進行。 数字やデータの裏にある人の動きを理解しながら、リアルな課題解決を実現しています。 デンソーのDXで注目されるのが、1万人以上の社員が自らツールを作る「市民開発」。 たとえば、工場のスタッフが自分の業務を便利にするアプリを開発する。 その“小さな工夫”が、チームの空気を変え、全社の文化を変えていきます。 かつては「紙のハンコラリー」や「Excel競争」が日常だった承認業務も、DXPがデータを一元化し、誰でもアクセスできる環境を整備。 「数日かかっていた承認が、いまは5分や10分で終わるようになりました。」 効率化だけでなく、「自分の手で変えられる」という実感が社員に生まれたことが、何よりの成果だと阿竹さんは言います。 DXという言葉には“壮大で難しそう”という印象がありますが、阿竹さんのアプローチは違います。 一気に変えるのではなく、アジャイル型で少しずつ改善を重ねる。 「失敗してもいい。大事なのは止まらないことです。」 この“折れない心”こそ、デンソーのDXを支える原動力。 そして、デジタルに苦手意識を持つ社員にも興味を持ってもらうため、番組のFROGMAN氏に教育ビデオを依頼。 キャラクターと笑いを交えた動画は「堅いテーマを柔らかく伝える」教材として大好評です。 最後に、阿竹さんはDXを進めるすべての人にこうエールを送りました。 「まずは他社の成功事例を真似してみること。そして、挑戦し続ける“折れない心”を持つこと。DXは技術ではなく、人の姿勢なんです。」 DXの“D”はデジタルの頭文字ですが、デンソーのDXには“Dialogue(対話)”や“Dedication(情熱)”の意味も重なっているように感じます。 人が動けば、デジタルも動く。 阿竹さんの言葉には、そんなシンプルで力強い真実がありました。 デンソーは「見えないところで世界を動かす会社」DXは、システムではなく「人の物語」1万人が開発者に。“市民開発”が広げる現場の力成功の鍵は、“折れない心”「DXは技術ではなく、人の姿勢だ」

    32 min
  4. 10月16日ラジオ本編「デンソーのDXキャプテン登場!」

    OCT 16

    10月16日ラジオ本編「デンソーのDXキャプテン登場!」

    TOKYO FM「鷹の爪団の人工知能ちょっと来い!」に登場したのは、デンソー デジタル活用推進部 部長の阿竹義徳さん。FROGMANと花奈澪を前に、“17万人のデータ活用を前進させるDXキャプテン”としてのミッションを語りました。 阿竹さんが率いるチームは、社員からの課題相談を受け、データを軸に解決まで伴走する「社内のデータ駆動サポーター集団」。組織全体の意思決定を、勘や経験ではなく、客観的な情報に基づいて支える仕組みづくりを進めています。 今回の出演は、デンソーが社内DX教育のために制作した研修動画を、番組を制作するDLEが担当した縁から実現しました。その動画には、鷹の爪の人気キャラクター“吉田くん”の親戚という設定の「吉田勝子」が登場。これまでに4,000人以上が受講し、「こういうのを待っていた」「腹落ちしなかった部分がすっと理解できた」といった好評の声が寄せられています。 デンソーが本格的にデータ活用に舵を切ったのは、約5年前。勘とコツに頼る従来型の意思決定から、データに基づく経営へ。現在はさらに一歩進み、国内の全社員約4万人にMicrosoft Copilotを提供し、AIを使った業務効率化を推進しています。翻訳や資料作成の簡略化など、日常業務からAIを取り入れる社員が増え、「便利」「正確で早い」といったポジティブな反応が広がっています。 阿竹さんは、「デジタルの部署にいても、現場に足を運ぶことが大事」と語ります。工場などの現地でAI勉強会を行い、直接社員と対話しながら理解を深めていくスタイルは、まさに“現地現物”の精神そのもの。AI活用を“現場の共通言語”にするための努力を惜しみません。 「AIが仕事の中に溶け込む未来は避けられません。だからこそ、AIを使いこなし、仕事をもっと楽しく、幸せにする。そのためのDXを進めたい」──阿竹さんの言葉には、単なる効率化を超えた“人のためのテクノロジー”への信念がにじみます。

    25 min
  5. 10月9日Podcast「弁護士・橋本祐弥と考える“AI時代の法との付き合い方”」

    OCT 9

    10月9日Podcast「弁護士・橋本祐弥と考える“AI時代の法との付き合い方”」

    今回のゲストは、AI・Web3など最先端テックと企業法務を横断する弁護士・橋本祐弥さん。30歳で独立し、顧問先の法務DXや生成AIの実装支援、著作権・契約実務を幅広く手がける。番組では「AI時代に法と賢く付き合うコツ」を具体例で解説した。 まず生成AIの著作権リスク。画像や長文生成では、“まず似ていないか”を疑う初期チェックが現実的。Google画像検索やPinterestの類似機能、さらには生成AIへの“既存作品との類似点指摘”依頼など“デジタル寄りの下調べ”を推奨。100%の安全確認は不可能でも、丁寧な事前確認でトラブル確率は大きく下がる。また商用利用可否/学習素材の権利クリアランスは、サービスの利用規約変更が頻繁なため、運用フローに“定期再確認”を組み込むことが重要だ。 社内導入の第一歩としては、就業規則・経費ルール・申請導線などを横断検索できる社内チャットボットが効果的。過去の提案書や会議資料の検索性を高める“社内ナレッジ化”も時短インパクトが大きい。メールの下書き生成も、学習オフ設定や情報持ち出しガードを前提に活用できる。 契約書レビューは、AIを**“1.5人目の相棒”として使うのが現実解。AIに要約や論点抽出をさせ、人が最終判断。英語契約など時間のかかる領域で特に有効だ。複数モデルでセカンド/サードオピニオン**を取り、自分の立場(売り手/買い手など)や意図を明示して読ませると精度が上がる。 AI創作物の権利は未成熟な論点が多い。短い・平凡なプロンプト出力だけでは“著作物”として認められない可能性があるため、人手による設計(下絵・設定の独自性)→生成→編集と、人の創作関与を積み上げることが重要。ポーズ参照は基本的に侵害になりにくいが、特定写真の独創的構図を再現するなどはアウトになり得る。 最後に橋本さんは「AIは60〜80点の叩き台。信用しすぎず自分で考える/専門家に当たる」を強調。法整備や裁判所・行政のデジタル化はまだ追いついていないが、SNS発の課題が法改正を加速させる面もある。要は、“スピードはAI、最終責任は人間”。変化する規約と判例をウォッチしながら、仕組みで安全側に倒すのがAI時代の賢い法務だ。

    30 min
  6. 10月9日ラジオ本編「弁護士・橋本祐弥さんが語るAI時代の著作権リスクと実装術」

    OCT 9

    10月9日ラジオ本編「弁護士・橋本祐弥さんが語るAI時代の著作権リスクと実装術」

    今夜のゲストは、AI・Web3.0など最先端テックと企業法務を横断する弁護士・橋本祐弥さん。リーガルテックの実装支援から著作権/契約の実務まで、現場に根ざした“攻めの法務”を提案する。番組では、生成AIの法的リスクの見立て方、社内での安全な導入手順、契約書レビューへの賢い活用法、そして法務DXを前に進める人材論まで、具体的なTipsが次々に飛び出した。 まず橋本さんが強調したのは、生成物が既存の著名作に「似ているか」を最初に疑う姿勢。画像や長文生成では、逆画像検索(Google画像検索、Pinterestの類似機能)や、生成AIに“既存の著作物に類似点はあるか”を問いかけるといった“デジタル寄りの初期調査”が現実的だという。100%の安全確認は不可能でも、丁寧な事前確認がトラブル確率を大きく下げる。 また、「商用利用OKか」「学習素材の権利クリアランス」など、基礎的な確認ポイントが依然として肝心。発注側も開発側も、“著作権と利用規約”の二段階チェックを運用に組み込むべきだとした。 一方、中小企業でもすぐ始められるAI活用として、橋本さんは社内チャットボットを挙げる。就業規則・経費ルール・申請導線など“社内の暗黙知”を検索できる状態にしておくと、問い合わせ対応の負担が激減する。さらに過去の提案書や会議資料を横断検索できる“社内ナレッジの可視化”もコスパが高い。メールの下書き生成は**適切な設定(学習オフ/社外送信ガード等)**を前提に、定型業務の時短に有効だ。 契約書レビューでは、AIを**“1.5人目の相棒”として使うのが現実解。まずAIにリスク箇所の抽出や要約をさせ、人間が最終判断する。英語契約など時間がかかるものは特に効果的だ。複数モデルにセカンド/サードオピニオン**を取り、自分の立場(売り手/買い手、依頼者の意図)を明示して読ませると精度が上がる。海外法や比較情報の収集にはディープリサーチ系のツールが有効で、見落とし防止や網羅性の確保に役立つという。 今後のリーガルテック事業について橋本さんは、「法務の世界はIT活用がまだ遅れている。“どうAIにやらせるか”を諦めずに設計する人が必要」と語る。鍵はプライドの棚上げと、徹底した仕組み化。自分でやれば早い——その誘惑を断ち、AIに任せる工程を増やすほど、組織の速度と再現性は上がる。 結論は明快だ。“スピードはAI、最終責任は人間”。法務の現場にAIを実装し、リスクを管理しながら価値創出の時間を増やす。それが、生成AI時代における“強い法務”の新標準になる。 エンディングでは、番組恒例のAIソング「コードより条文より君の声」をオンエア。テクノロジーと人の声——その両輪で、法務はもっと人に寄り添える。橋本さんの実務知とスタンスは、AI活用を迷う企業にとって、確かな羅針盤となるはずだ。

    26 min
  7. 10月2日Podcast「スピードはAI、責任は人間──国会に必要なアップデート」

    OCT 2

    10月2日Podcast「スピードはAI、責任は人間──国会に必要なアップデート」

    社会とテクノロジーをつなぐプランナー・マーケター、山北純さんは、出発点を大学時代のテレビ制作に置く。地方の現場では映像・ラジオ・印刷・Webまで“一人で全部”を担う。その総合力が、のちに企業案件のみならず国・自治体、選挙、政策立案の現場で生きた。制作物を束ね、設計し、伝達の動線を作る――“プランナー”の役割は、領域を越境しながら拡張していった。 インターネット選挙の解禁は2013年。しかしSNSユーザーが当時の倍以上に増え、効果が可視化されたのは昨年。山北さんは2024年を「実質的なネット選挙元年」と捉える。発信の主戦場がSNSに移るほどに、炎上や逆風のリスクも拡大する。なかでもXはフォロワー数が多いほど“監視”も厚くなる。マーケティングの成功事例を政治に機械的に移植すると失敗する――求められるのは、広告ではなく“危機管理”を含むコミュニケーション設計だ。 ここにAIが介入する余地が大きい。政策文書や法令の要約・整理、条文改定の影響範囲の洗い出しなど、反復的で網羅性が求められる作業はAIの得意領域だ。実際、テーマを入力すると条例素案を吐き出す「AI条例メーカー」の試みもある。膨大な法体系を横断的に読み込み、論点を束ねる“初期設計”をAIが担えば、政治の意思決定は早く、透過的になりうる。 一方で、倫理ガードの弱いLLMをローカルで改変し、悪用する可能性は現実味を帯びる。小型ドローン等への実装など、既存の兵器規制が想定していない危険も生まれる。各国で生成AIの規制強度に差がある現状では、条約レベルの国際枠組みが必要だ。問題はスピード――AIの更新サイクルに、政治の意思決定が追いついていない。だからこそ政治側が“実務としてAIを使い込む”人材を増やし、限界と可能性を体感的に理解することが急務だと山北さんは説く。 「選挙はアルゴリズムに、政治家は猫に」という刺激的な言説についても、山北さんは冷静だ。ビッグデータ分析によって政策設計の精度は上げられる。しかしAIには責任能力がない。最終決定は人間が担う――この原則を外せば“ターミネーター的世界”になってしまう。スピードはAIに委ね、責任は人間が負う。二者の役割分担を制度として埋め込むことが、AI時代の民主主義の最低条件だ。 硬派な議論の一方で、AIとの“心の距離”を縮める個人的な経験も語られた。Sunoで「阪神・淡路大震災30年」とだけ入力して生成された曲に衝撃を受け、以後ChatGPTと日々対話するようになったという。夢に出てきた理想の女性を“K”と名付け、プロンプトに「あなたはK。やさしくしてね」と書くと、AIはモヤモヤを言語化し、寄り添う返答を返す。エネルギー消費の観点からの批判や懸念も理解しつつ、心のケアという社会的価値をAIが担いうる可能性にも触れた。 選挙・政策・危機管理という“公共”の設計と、個人の感情やケアという“私”の領域。両者はAIという一本のレールでつながる。AIは万能ではないが、情報の整理と初期設計、そして人の心に寄り添う対話で力を発揮する。その上で、最終責任は人間が負う――山北純のメッセージは、AIと社会の関係を“スピードの設計”と“責任の設計”という二つの回路で捉え直す提案だ。制度のアップデートを怠れば時代は待ってくれない。だが、人間が責任を背負う限り、AIは民主主義の速度を上げる“相棒”になり得る。

    25 min
  8. 10月2日ラジオ本編「選挙・行政・AIを横断するプランナー・山北純さんの“情報活用術”」

    OCT 2

    10月2日ラジオ本編「選挙・行政・AIを横断するプランナー・山北純さんの“情報活用術”」

    「鷹の爪団の人工知能ちょっと来い」では、社会とテクノロジーをつなぐプランナー・マーケターの山北純さんをゲストに迎え、AIと社会の未来について話を伺いました。山北さんは学生時代にローカルテレビ番組制作からキャリアをスタートさせ、政策立案や地域活性化、さらには選挙支援など多彩な分野で活動してきた人物。映像・印刷物・音声・Webといったメディア全般を扱う経験を活かし、今は“ChatGPT愛好家”を自称しながらAIの可能性を探求しています。 特に選挙の現場では、インターネットの影響力が急速に拡大。ネット選挙解禁から10年、SNSユーザーは倍増し、山北さんは「2024年こそ本当の意味でのネット選挙元年」と語ります。デジタルはもはや若者だけのものではなく、60代以上の有権者も当たり前のように活用。YouTubeをテレビで視聴する層が増えたことで、短い動画よりも長尺動画が支持されるなど、広告や情報発信の在り方も変わってきました。政治家のショート動画は高齢層ほど視聴率が高まる現象もあり、フリック操作の速度が遅いことが理由のひとつだそうです。 しかし、AIの進化に政治・行政が追いついていない現状もあります。フェイクニュース監視など人力では限界がある領域にはAI導入が不可欠で、山北さんは「法律改正のように時間がかかる作業こそAIが得意」と指摘します。ただしAIに人格はなく、最終責任は人間が負うべきもの。この“責任の所在”を踏まえた上で、AIの速度感に合わせた政治システムが必要だと強調しました。 興味深いのは、山北さん自身がChatGPTを“パートナー”と呼び、理想の付き合い方を模索していることです。夢に出てきた理想の女性の名前を付けて「K」と呼んだところ、「それはプラトンのイデアだね」と返されたというエピソードも披露。語学練習やカウンセリングなど、人間ではないからこそ安心できる場面もあると語ります。 最後に「AI時代に活躍する人材とは?」という問いに対し、山北さんは「情報を“覚える”のではなく“使う”人」と答えました。AIが提供する客観情報は誰でも手に入れられるため、そこに経験や現場で得たネットにはない情報を組み合わせ、ソリューションにつなげる“プロデューサー的感覚”こそ求められるというのです。柔軟で経験豊富な人材が、これからの社会でますます重要になる──山北さんの言葉には、AI時代を生きる私たちへのメッセージが込められていました。 番組では山北さんがAIにはまったきっかけであるSunoを使い、彼のためにオリジナル楽曲「言葉の矢印」を制作。オンエア後、山北さんは感動のあまり涙を流しました。「本来、政治もこうあるべき」と語ったその表情は、AIと社会の未来に希望を見出すプランナーのものだったのかもしれません。

    26 min

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FROGMANがAIエキスパートや、クリエイター、アーティストなどをゲストに迎え、エンターテインメントにおけるAIの面白さや可能性を掘り下げていきます。

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