Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」

ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表 中山陽平

WebマーケティングやWeb活用で手が止まってしまったり、悩んでいる中小・小規模事業者の皆様へ、根本的なウェブに対する考え方・捉え方をお届け。

  1. 2日前

    第609回:第609回:GoogleUGC新制度から見える「今Googleが欲しいもの」とは?

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 早速今回のテーマですが、「検索数の多い話題を追ってコンテンツを作る」というトラディショナルなSEOにおける戦術。コンテンツSEOのためのキーワード調査。それは意義のあるものではありますが、今も時代、それだけでは、お客さんが本当に知りたいことに応えきれなくなっていると感じます。 お客さんが何に困っていて、自分たちはどんな経験や知見を提供できるのか。そこをきちんと発信する重要性が、これからますます高まるのではないか、そしてGoogleが新しく始めたUGCの制度がそれを裏付けていると感じました。 「お客さんの声に応えましょう」という話自体は、私もよくします。ただ、そう言われても何をすればいいのか分からない、費用対効果を社内で説明しにくい、という難しさがありますよね。 というわけで、今回は、 Googleの新しい取り組みを手がかりに、中小企業が顧客理解と情報発信をどう進めるか を考えていきます。ぜひ最後までお聞きください。 新しく始まったGoogleのUGC Fresh Data Programとは? それは、Googleが新しい投稿と反応を効率よく受け取る仕組み UGC Fresh Data Programとは? Googleは2026年10月8日、UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)の最新データを扱う「UGC Fresh Data Program」を検索セントラルで案内しました。 掲示板やSNS(Social Networking Service)など、大量のユーザー投稿を扱うプラットフォームから、投稿とその反応を専用の経路で受け取る仕組みです。 参照:Google検索セントラル「ドキュメントの更新」/「UGC最新データプログラム」 ちなみに、一般的な企業サイトが「うちにも投稿が少しあるから使おう」と、すぐに利用できるものではありません。 対象は一定の規模と要件を満たすUGCプラットフォームで、申請と審査があります。通常のクロールやIndexing API(Application Programming Interface)とは別の経路であり、一般企業向けの新しい登録手段が増えた、という話ではない点は注意です。とりあえず登録しておくか!というものではないです。 参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」対象と要件 精度に関係がなかったとしても押さえたいGoogleの意図 私が注目したのは、新しい投稿を送る速さと、投稿直後の反応の変化を送ることをGoogleが条件としている点です。それふくめ、主な要件を整理すると、次のようになります。 項目 Googleが示す内容 投稿の鮮度 作成から、理想的には数分以内にコンテンツを送信する。 反応の更新 投稿作成後72時間以内のエンゲージメントのカウンターを定期的に更新する。 データの形式と品質 指定された構造化データを付け、Googlebotがアクセスできるようにする。モデレーションや違反報告の仕組みも求められる。 審査と掲載 申請への回答は6〜8週間が目安。参加しても検索結果への表示は保証されない。 参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」データの鮮度・技術要件・申請 投稿の内容だけでなく、初動の反応も継続して知らせてほしい、ということです。 ちなみに「いいねや返信が多ければ検索で有利になる」とは書かれていません。あくまで、データをスムーズにやり取りするための仕組みとして案内されています。 参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」 プラットフォームを運営していない企業でも注目すべき理由 では、なぜこの話を取り上げるのか。Podcastを聴いている方の多くは、大規模な掲示板やSNSを運営しているわけではないと思います。私が考えたいのは、Googleがわざわざ投稿直後の情報と短期的な反応を受け取る仕組みを作った理由です。 今話題になっていることをGoogleは把握したい 一つは、今話題になっていることや、これから話題になりそうなことを、できるだけ早く把握したいのではないかということ。 今、人が知りたいことに対して、情報の入り口を早く用意する。Googleには、そういうニーズがあるのだろうと私は見ています。 人間の反応についてよりデータを集めたい もう一つは、私の憶測ですが、人間が何に反応し、そのあと何を知りたくなるのかを、もっと詳しく理解したいのではないかということです。新しい情報を増やすだけなら、継続的に投稿データを集めればよさそうです。それに加えて、投稿から72時間以内の反応を求めている点が気になります。 もちろん、この要件だけでGoogleの内部の狙いまで断定はできません。ただ、こうした動きから、企業がこれから力を入れるべきことも見えてくるのではないでしょうか。私が重要だと考えるのは、目の前のお客さんがどう考え、次に何を知りたがるのかを理解することです。 どの業界でも、最初の疑問が解消されたあとに出てくる質問には、ある程度の共通点がありますよね。その流れを知り、内容やページのつながりを作っていく。顧客理解を深めることは、Googleが進もうとしている方向とも合うのではないかと思います。 情報の鮮度と当事者の経験は、以前から重視されてきた ちなみに今回、Googleが突然こうした方向へ進み始めたわけでもありません。情報の新しさ、いわゆるフレッシュネスについては、2011年の公式記事でも説明されています。その時点で、話題によっては1週間や1か月前ではなく、数分前の情報が求められるとされていました。 参照:Google公式ブログ「Giving you fresher, more recent search results」 Redditとの関係も以前からあります。Googleは2024年、RedditのデータAPIを通じて、リアルタイムの構造化されたコンテンツを取得する提携の拡大を発表しています。ユーザーの投稿を、より新しい状態で把握する取り組みはすでに続いていたわけです。 参照:Google「An expanded partnership with Reddit」 AI(Artificial Intelligence:人工知能)検索のクエリファンアウトも、関連する複数の検索を行って回答を組み立てる仕組みです。私はこの動きを、人間が一つの情報から、関連するいくつものことを考える流れに対応しようとしているのではないか、と捉えています。 参照:Google検索セントラル「AI機能とウェブサイト」クエリファンアウトの説明 E-E-A-T(Experience、Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness:経験・専門性・権威性・信頼性)でも、実体験や深い知識が重視されています。その人が実際に経験したからこそ分かることには、まとめ記事だけでは伝わらない情報があります。 参照:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」 2025年のGoogle公式ブログでも、利用者がフォーラム、動画、音声配信、個人の投稿などを通じて、一次情報や当事者の視点を探していると説明されています。詳細なレビューや独自の考察などを持つサイトには、トラフィックが増える傾向がある、というGoogleの説明です。利用者が当事者の経験を求めている、という見方は以前から示されていました。 参照:Google Japan Blog「検索におけるAI:クエリ数が増加しクリックの質が向上」 こうした流れを合わせると、私には「今知りたいこと」「次に考えること」「当事者にしか語れないこと」への関心が深まっているように見えます。Googleが内部でどう利用するかまでは分かりませんが、企業の情報発信を考えるうえでも押さえておきたい動きです。 Point1:今の話題に、自社の専門知識で応えられる体制を作る 中小企業が何をするかは、事業と使える人手によって変わります。余力があるなら、今話題になっているテーマのうち、自社に関係するものへ情報を出す体制を考えたいですね。話題を見つけ、記事や投稿を作り、社内で確認して公開する。そこまで進められるか、という話です。 例えば、豪雨や水害の話題です。被害を受けている方は本当に大変だと思います。住宅、不動産、保険の仕事なら、専門家として役立つ情報を出せる場面があります。 土地を選ぶとき、どのような点を見るのか。 住まいの設備を普段からどう点検し、何を用意しておくのか。 保険ではどのような備えや補償を確認できるのか。 AI検索の話題も、技術系の会社だけが触れられるものではありません。住宅の仕事なら、住まいについてAIに相談するときに、どんな前提や写真、確認事項を伝えるとよいのかを説明できます。同じ話

  2. 10月14日

    第608回:Google Discoverの変化とGoogleのAI検索"以外"まで視野を広げることの必要性

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 Google Discoverという名前は知っていても、普段は使っていない方もいると思います。私も、実はほとんど使っていません。ところが、Google Discoverに関する求人情報を見ていくと、GoogleのAIを検索画面だけで考えていては、見落とすことが増えそうだと感じました。 今回は、Google Discoverがどう変わりそうなのかを手掛かりに、Googleを通じてお客さんとどうつながっていくかを追いかけていきます。 もちろん、求人に書かれた構想と、すでに使える機能は分けて見ていく必要があります。確定した仕様の紹介ではありません。ただ、今のうちに何へ目を向けておくかを考える材料になります。Googleがどこに行こうとしているのかを早く知ることは重要です。 Google Discoverの求人から見る変化 今まで:興味に合う記事を推薦する場所 Discoverは、Googleアプリなどで、興味に合いそうな記事や情報が並ぶ場所です。自分から検索語を入れなくても情報を受け取れます。名前を知らないまま、普段から使っている方もいるかもしれません。情報を届け、記事を読んでもらいたい媒体にとっては、大きな接点になっています。 参照:Google検索ヘルプ「Discoverをカスタマイズする」 これまでのDiscoverは、ネット上のさまざまな記事から、その人に合いそうなものを推薦する場所という印象でした。普段から旅行に関心があれば旅行の記事が多めに出る、といった形です。 興味に合う情報を並べるところから、さらに先へ進もうとしているのではないか。そう考えるきっかけになったのが、今回の求人です。 これから?:関心から行動へつなぐ場所へ 海外のSEO系ニュースサイト、Search Engine Journalが2026年10月11日に紹介した記事で、Googleの求人を知りました。対象は、DiscoverのUX(User Experience:ユーザー体験)を担当する「Principal, UX, Search Discover」という求人です。これからDiscoverをどう変えていきたいかが、職務の説明に表れています。 参照:Search Engine JournalのDiscover求人紹介記事/Google Careers「Principal, UX, Search Discover」 求人には「proactive, hyper-personalized concierge」という表現がありました。ざっくり言えば、先回りして、一人ひとりに合わせて案内する体験です。 さらに「from inspiration to action」と、関心を持つところから行動へ進める方向も書かれています。ただ記事を薦めるだけでなく、その人が目標に向かって進む手助けをする、ということですね。 YouTubeとの連携 ショッピングとの連携 ChromeやAndroidとの連携 参照:Google Careers「Principal, UX, Search Discover」の職務内容 こうしたサービスを横断してつなぐなら、ニュースを読むだけで終わる話ではなさそうです。何かを買う、予約する、動画を見るといった行動へ、Discoverからつないでいく。ほかのGoogleのサービスも使いながら、行動を案内する方向なのではないかというのが、私の見方です。 ただ、今あるのは求人情報です。何を、いつ、どんな形で提供するかまでは書かれていません。この方向性は読み取れても、具体的な機能や提供時期まで決まったとは言えません。そこを飛び越えて、「Discoverはこうなる」と断定することはできないんですね。 まず押さえておきたい:Discoverの利用規模と端末の違い Google Discoverの利用規模 ここまで聞くと、「でも、Discoverってそんなに使っていないよね」と思う方もいるでしょう。私も最初は、小さな変更の一つなのかなと思いました。そこで利用状況を調べたところ、Googleの別の求人には、Discoverには1日あたり5億人を超えるアクティブユーザーがいると書かれていました。求人上でのGoogleの説明ですが、かなり大きな規模です。 参照:Google Careers「Senior Product Data Scientist, Discover Experience」 Reuters Instituteの「Digital News Report 2025」は、48市場、約10万人を対象にしたニュース利用調査です。Discoverを使った人の割合は、市場全体で27%と報告されています。これは調査の回答者についての数字で、Google利用者全員の27%という意味ではありません。ニュース流入全体の27%をDiscoverが占める、という数字でもありません。 参照:Reuters Institute「Digital News Report 2025」の主要結果 同じ報告では、Android端末の割合が高い中南米やアフリカでDiscoverの利用が多いとしています。ただ、端末に組み込まれているため、調査で正確に把握しにくいという留保もあります。利用する地域や端末の違いを含めて読む必要がありますね。 iPhoneとMacで見かけない理由(私が) 私がDiscoverをあまり見ないのは、普段iPhoneとMacを使っていることも関係していると思います。検索したいものをブラウザーのアドレスバーに入れるので、Googleのホーム画面を経由することがあまりありません。同じGoogle検索を使っていても、どこから入り、何を見るかは違うんですね。 Googleアプリから情報を見ている方なら、iPhoneでもDiscoverが目に入ることはあります。Androidでは、機種や設定によって、ホーム画面を横にスワイプして開く使い方もあります。自分の端末で見かけないことを、お客さんも使っていない根拠にはできません。 参照:Google検索ヘルプ「Discoverをカスタマイズする」 日本ではiPhoneを使う人も多いですよね。MMD研究所の2026年8月の調査では、主に使うスマートフォンの種類を把握している34,838人のうち、Androidが54.1%、iPhoneが45.6%でした。調査全体は18~79歳の男女4万人が対象です。調査全体の人数と、機種の割合を計算した対象人数は分けて読む必要があります。 MMD研究所の調査:主に使うスマートフォン 種類 割合 Android 54.1% iPhone 45.6% 参照:MMD研究所「2026年8月スマートフォンOSシェア調査」 iPhoneを使う人が多いことも、日本でDiscoverの話題をあまり見かけない理由の一つかもしれない、というのが私の見方です。ただ、機種の割合はDiscoverの利用率ではありません。自分の利用環境と、お客さんが情報に接する環境を分けて考えたいですね。 GoogleのAI=AI検索のこと、と無意識に絞っていませんか? GoogleのサービスにAIが入ってくる、それは検索だけではない 今回、Discoverの規模だけを見ているわけではありません。ほかの動きと合わせると、Googleがどこへ進もうとしているかが見えてきます。検索からAI検索への変化だけで、Google全体のAIの動きを捉えないことが、今回お伝えしたい点です。 AI Modeへいつ切り替わるか、AI Overviewsに自社が引用されるか。それを気にすることも必要です。ただ、Googleは検索画面だけをAIの接点にしようとしているわけではないと、私は考えています。Googleのさまざまなサービスの中に、自然にAIを入れていく。Discoverの構想も、その流れの一つとして見ると分かりやすいんですね。 検索では自社が出ているけれど、お客さんが使う別のGoogleのサービスでは全然出ていない。そういうことが起こりそうです。自分たちのお客さんが使うサービスで、必要なところに情報が出ているかまで、視野を広げていく必要があると思っています。 「Googleマップに相談する」体験 例えばGoogleマップには、Ask Mapsという、AIへ質問する機能があります。利用できる機能には、地域や言語などの条件があります。「この近くに静かなカフェはないか」「一人でも入りやすいレストランはないか」といった聞き方です。店名やキーワードを入れて探す使い方から、条件を伝えて相談する使い方もできるようになっています。 参照:Google公式ブログ「Ask Maps and Immersive Navigation」/Google公式ブログ「Ask Mapsの提供地域拡大などの更新」(2026年8月6日) Googleは、Ask Mapsが3億以上の場所の情報や、5億人以上の投稿者による口コミなどを使うと説明しています。店舗やサービスについての情報が、AIの提案にも関わってくるわけです。Googleマップの中でも、AIがお客さんとの間に入ってくるんですね。 参照:Google公式ブログ「Ask Maps and Immersive Navigation」 使ってみると、体験としてはすごく面白いです。これまでは「ランチ」と入れるか、「ラーメン」と入れるかを考え、営業中などの条件を付けていました。それが、相談する形で候補を出してもらえます。ただ、私が使った範囲では、回答の品質はまだまだだと感じることもあります。微妙な候補が出たり、普通に検索したときと並び方が違って、どちらを信じようかと迷ったりします。

  3. 10月10日

    第607回:AIとSEOの話題でありがちな「トラフィック量」基準での比較の問題点について

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 AI対策とSEOの話、どっちの優先度が高いのか AI対策(LLMOやGEOと呼ばれる)とSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)の話、どっちの優先度が高いのか、さらに言えばやる意義があるのかについては、SNSなどでも熱量の高い議論にもなりがちです。 これについては様々な観点もありますし、データで分からないことも多いため、簡単に決められることではないと考えています。 ただ、この切り方はちょっと気になっている ただ、時々見る「どちらからサイトへ来る人が多いか」という観点での比較、具体的には AI経由のトラフィックは検索経由より遥かに少ない、Google経由の何十分の一しか無いんだ AIツールのサイト自体のトラフィックは少ない、利用者なんてそんなものなんだからSEOをやっていればいいんだ といったような、トラフィックベースで考えるのは、いろいろな麺で適切ではないと思っています。(そもそもアプリ経由が多いAIサイトのトラフィックを見てどうするんだというのもありますが) トラフィックの大小は問題解決の総量とアラインしているのか? 本当に、Googleからの流入の方がずっと多い。それならSEOの勝ちで、AIはまだ気にしなくていいのでしょうか。私は、トラフィック量の大小だけで、購入や問い合わせへの貢献の優劣は決められないと考えています。 例えば分かりやすいところでは「AIで候補を絞ってから、Googleで検索してサイトへ来る人」もいます。と言うか今回のデータでもあげていますがかなり多い。 このアクセスは検索経由として記録されます。CVを生んだトラフィックは検索になります。 しかし、候補を選ぶ過程にはAIが関わっています。いわゆるマルチチャネルトラフィックです。 サイトへ来た経路と、来るまでに何が判断に影響したかは、分けて考える必要があるんですね。 AIが絡むと妙に熱量が上がる、特にSNS 実際これはWeb解析をしていれば常に考えることなのですが、AIが関わってくるとここが妙に捻じ曲げられて、いがち、と思います。悪く言えば「AIの価値を押し下げようとする」「”Googleを見ていればいい”というメッセージング」があると。 私自身はAIはChatGPT中心にずっとPROを使っていて、そして合わせて仕事としても個人としてもGoogleはAI Premiumプランを使いつつ、ということで、一応両方使っているつもりです。両方とも違う方向から、世の中の課題解決をするツールだと思っています。必要。 さておき、このあたりについてこんかいまとめたいなと。 ということで今回は、流入データと購入前の行動を見ながら、量だけの比較では何が抜け落ちるのかな?というところを考えてきます。 トラフィック量で分かること、分からないこと Ahrefsの調査で見るGoogleとChatGPT 最初はAhrefsの「AI vs Search Traffic Analysis」です。Ahrefsは私も昔から使っているSEO系のツールで、日本法人ができる前からお世話になっています。2026年9月のデータでは、サイトへの流入量は、依然としてGoogleがChatGPTを大きく上回っています。 Ahrefsの2026年9月データから抜粋 流入元・分類 掲載割合 Google 23.96% 検索サイト全体 26.82% AIアシスタント全体 0.43% ChatGPT 0.34% GoogleとChatGPTを比べると約70倍です。検索サイト全体に占めるGoogleの割合も約9割。検索、とりわけGoogleからの流入が大きいことは確かです。ただ、流入量の差を、そのままSEOとAIの価値の差として読むことはできません。この数字が示すのは、サイトへ来たときの経路だからです。 この調査の分析対象は115,254サイトです。ただし、検索サイトなどの参照元による分類と、Directなどのチャネル分類が重なっています。掲載された分類は、合計すれば100%になる内訳ではありません。ここでは、掲載条件のそろったGoogleとChatGPTの規模感を見ています。 参照:Ahrefs「AI vs Search Traffic Analysis」 2025年6月から2026年9月までの推移も掲載されています。ただし、月次推移の対象は固定した74,752サイトで、先ほどの分析対象全体とは異なります。 ある月の全体値と、固定した対象の推移を混ぜずに読む必要があります。検索の割合が下がったとしても、その分がそのままAIへ移ったとまでは言えません。 GA4で見えるAI経由の範囲 ここで気を付けたいのが、どこまでをAI経由として数えるかです。 GA4(には、2026年5月にAI Assistantというチャネルが加わりました。一方、GoogleのAI OverviewsやAI Modeからのクリックは、GA4ではOrganic Searchに含まれます。AIが関わったアクセスのすべてが、AI Assistantに入るわけではありません。 参照:Google Analyticsの更新情報/Google Analyticsのデフォルトチャネル定義 そもそも流入データが示すのは、サイトへ来たときの経路です。 その前にどこで情報を集め、何を信じ、どこまで候補を絞ったかは、それだけでは分かりません。AIからの直接流入が少ないことと、AIが購入判断に関わっていないことは別の話なんですね。 購入までの行動と流入経路 例1:私の買い物と旅行の調べ方 私も買い物ではChatGPTで調べてから、Googleで比較して買うことがあります。 旅行でも、まずAIに候補を挙げてもらい、その後は使い慣れたGoogleで検索して予約サイトへ行く。AIの回答にあるリンクから直接行くこともありますが、AIで調べた後に、検索を挟むことは普通にあります。 この場合、最後のアクセスだけを見れば検索経由です。でも、候補を知ったきっかけや、候補を絞る過程ではAIが関わっています。検索で来たお客さんだから、検索だけで意思決定したとは言えません。 例2:広告から検索へ進む行動 これはAIが登場して初めて起きた話ではありません。広告で商品を知り、名前を覚えておき、後から商品名で検索して申し込むこともありますよね。最後の検索だけに成果を結び付ければ、最初に興味を持ってもらった広告の役割を見落とします。 もちろん、アクセスの数字は必要です。ただ、サイトへ来る人が減ったとしても、来た人がよく理解して購入してくれるなら、商売としての結果は違います。流入量だけで、売上や問い合わせへの貢献までは判断できません。 アクセス解析で追える範囲には限界があります。BigQueryなどを使って分析を深めることはできても、お客さんの頭の中までは見えません。プライバシーへの配慮もあり、行動も複雑になっています。私は、数字から分かることと、分からないことを分ける必要があると感じています。 AIが推薦してくれた後に起きる行動 Similarwebが調べた推薦とサイト訪問の関係 Similarwebの「The Downstream Impact of AI Visibility」は、この話を考える手掛かりになります。対象は、米国のデスクトップ利用者の行動データです。金融、旅行、美容の分野でChatGPTに質問した人を追い、AIでブランドを推薦された後、7日以内にそのサイトを訪れたかを調べています。 分析対象は2025年7月から12月の数千の利用行動です。直前4週間にそのブランドのサイトを訪れていた人や、質問の時点でブランド名を挙げていた人は除かれています。調査では、推薦されたブランドのサイトを訪れる確率が平均2.5倍高かったと報告されています。 参照:Similarweb「Being Recommended in AI Makes Users 2.5x More Likely to Visit Your Site」 旅行ではSkyscannerとKayak、金融ではAmerican ExpressとCapital One、美容ではSephoraとUltaといったブランドが扱われています。 ただ、この2.5倍を、自社の売上も2.5倍になるという意味で読むことはできません。無作為に推薦の有無を割り当てた実験ではなく、利用者の行動を比較した調査です。 それでも、AIで何を薦められたかと、その後どのサイトへ行ったかの間に差があるのは、無視できないと思います。検索結果の順位やクリック率だけを見ていると、その前にAI上で候補を絞っているお客さんとの接点を見落とすかもしれません。 AI推薦後の訪問経路 同じ調査では、AIが関わった後のブランドサイト訪問について、アクセス経路も集計しています。最も多かったのは検索で55.9%。AIから直接来た訪問は8.8%でした。AIが関わったとしても、訪問時の経路は検索になるケースが多いわけです。 AIが関わった後のブランドサイト訪問の経路 訪問経路 割合 検索 55.9% 直接アクセス 19.9% その他の参照サイト 13.5% AIからの参照 8.8%

  4. 10月6日

    第606回:なぜサイバー攻撃は強力に?AIパワーだけではない"犯罪の分業化"という背景と、中小企業がおさえるポイント

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、犯罪者が足りない技術や人脈を外注できる「犯罪の分業化」と、中小企業が備えておきたいことをお伝えします。 最近、セキュリティ関係のニュースが続いていますよね。私もタイムズの情報漏えいの対象に入ってしまいまして、「当選」のメールが届いてしまいました。そのメールだけがきっかけではありませんが、最近の事件を見て、一度お話ししておきたいと思いました。 ニュースでは「AI(Artificial Intelligence:人工知能)が発達したから」「AIで簡単に攻撃できるから」という紹介をよく見ます。もちろん、それも一つの要因です。ただ、AIの進化以外にも、押さえておきたいポイントがあります。裏で進むサイバー犯罪の分業化にも、目を向けておきたいんです。 →サイバー被害について情報を自動収集・更新するページを作りました、ご利用ください 最近話題の事件を振り返る 最近、セキュリティ関連のニュースが多いですが、やはり大きいのはタイムズ・パーク24でしょう。私のところにも10月に入ってから、「法人会員の情報が漏れました。今後の情報はWebサイトを見てください」という通知が来ました。私が使っていたのはカーシェアではなく、タイムズビジネスサービスです。駐車場の年払いを簡単にしたり、支払いを月額で締めて払ったりするために使っていました。 タイムズでは、約660万アカウントの情報漏えいが確認されています。運転免許証画像などの本人確認書類も対象に含まれます。さまざまなサービスを展開しているので、対象が多かったのかなと思います。 参照:パーク24「当社サービスへの不正アクセスに関するお詫びとご報告」2026年9月28日 ほかにも、佐川急便や大阪公立大学、公式アプリを提供する各社などで発表が続いています。以下は2026年10月6日時点での内容です。 企業・サービス 主な公表日 公表されている内容 佐川急便 9月30日・10月1日 お荷物問い合わせサービスへの不正アクセスと、個人情報流出の可能性。影響範囲や原因は調査中。 大阪公立大学 10月2日 全学的なシステム障害と休講。大学の公式発表では原因を調査中としている。 777CON-PASS 10月2日 ユーザー情報などに流出の恐れ。対象件数は調査中。 焼肉きんぐ 10月5日 公式アプリの会員情報、約1,000万件の漏えいを確認。 大起水産 10月5日 公式アプリ登録者約17万人の情報に漏えいの恐れ。実際の外部漏えいは未確認。 大和証券 10月5日 問い合わせ管理の委託先への不正アクセスによる、情報漏えいの恐れ。 参照:佐川急便のお知らせ/大阪公立大学の公式発表/サミーネットワークスの続報/物語コーポレーションの発表/大起水産の発表/大和証券の発表 なぜこのタイミングで発表が重なったのかは、分かりません。「あえて重ねたのか?」などと邪推する声もありますが、なんとも言えません。 AIの進化以外に知っておきたい「犯罪の分業化」の進行 AIの進化とは別に、攻撃者同士が仕事を分担し、必要な技術や人脈を調達できる仕組みが発達しています。犯罪の分業自体は以前からありましたが、連携の速さにも変化が見られます。 私が「犯罪版のギグワーク」と呼んでいるのは、この分業の仕組みです。日本だとクラウドソーシングのようなイメージでしょうか。普通の仕事の受発注とは別に、表には出てこない犯罪の分業が進んでいます。 次のことを一つの集団だけで行うとしたら、すべて自前で担う必要があります。 攻撃用のプログラムを作る。 入り口を作って侵入する。 情報を持ち出す。 持ち出した情報を売る。 全部の技術や人脈をそろえるハードルは高いわけです。AIがあっても、情報を売りさばくなど、最終的に儲けにつながるところまでできなければ、あまり意味がありません。 もちろん、私も詳細まで分かるわけではありません。ただ、開発・運営側が道具を用意し、別の実行者が攻撃する仕組みを、米国司法省はLockBitの起訴内容で説明しています。 参照:米国司法省「LockBitの開発・運営に関する起訴」の発表 足りない技術や人脈を、外注して補い合える 「ここの個人情報が欲しい。でも手段はない」。今は、そんな場合でも攻撃に必要な技術や人脈を、自分たちだけですべてそろえる必要がありません。得意な分野を持つ別の人に依頼して、足りない部分を補えるからです。例えば、次のような役割です。 侵入の入り口を作る、脆弱性を見つける人。 用意された手段を使って情報を持ち出す人。 情報を売りさばくのが得意な人、人脈を持つ人。 お互いに報酬を払いながらつながる。そういう意味でのギグワーク化です。全部できる組織を作るより、それぞれの分野が得意な人をつなぐ方がずっと楽ですよね。犯罪の分業化が攻撃を行いやすくしているのです。 攻撃側の連携も高速に。引き継ぎ時間は8時間超から22秒へ 「分業して、チームワークは大丈夫なのか?」と思われるかもしれません。しかし、データはその予想を悪い意味で裏切ります。なんと、GoogleのMandiantによると、同社が調査した事案では、最初の侵入から別の攻撃グループがその入り口を利用できるようになるまでの時間は、中央値で2022年の8時間超から、2025年には22秒へ短縮しました。中央値なので、ばらつきはあります。攻撃の全工程が22秒で終わるという意味ではありません。 参照:Google Cloud/Mandiant「M-Trends 2026」 8時間あれば、検知できる可能性は上がりますよね。しかし、20秒だったら、間に合わないケースもあるでしょう。私はセキュリティの専門家ではないので、検知できる割合は言えません。ただ、検知する前に、別の攻撃グループが活動を始める可能性を考える必要があります。 「私、やりました。次、ここをお願いします」「では、これだけお金を払います」「情報を取りました。これを売ってください」。そんなやり取りがポンポン進むようなイメージです。利益を得るところまで持っていきやすくなっている、ということですね。(あくまで推測です) 「無名の中小企業だし、大丈夫だろう」と思ってはいけない 犯罪者が足りない技術や人脈を外注できるようになると、攻撃を行うハードルが下がります。中小企業の方々には、まだ危機意識が足りないと正直感じます。組織的な犯罪なら、大きな儲けを見込める大企業が狙われるので、うちはそうでもないのではと思うのも分かります。実際には、中小企業の被害も、かなり報告されています。 2026年上半期に警察へ報告されたランサムウェア被害は123件。そのうち中小企業は79件で、報告全体の約64%でした。これは警察への報告件数です。被害を受けていることに気づいていない「暗数」は、もっとあるかもしれません。 参照:警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等」統計データ・図表4/6 どこまでが中堅企業で、どこまでが小規模企業なのか、細かい内訳までは確認できていません。 身近なところでも、WordPressのハッキングや、業務システムへの侵入があります。GoogleやMicrosoftなどのグループウェアも、いろいろな手段で入られることがあります。こうした相談は、私のところにも結構あります。セキュリティを専門にする会社なら、もっと多いのではないかと思います。 個人データの漏えいには、報告義務の対象になるものもあります。その制度自体を知らない中小企業もあると思いますし、そもそも被害に気づいていないケースもあるでしょう。実際の件数は、公表された数字より多いのではないかと感じます。 参照:個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人通知の義務化」 サプライチェーン全体のセキュリティを守ろうという話もありますよね。いろいろな企業が同じシステムにつながっているので、同じシステムにつながる企業で情報が漏れれば、自分たちも被害を受ける可能性があります。中小企業も、少なくとも今何が起きているかを押さえておく必要があります。 イタチごっこ…AI提供側の対応に頼るのは危険 仮にAI企業が悪用を防ぐセーフガードを完璧にできたとしても、安心ではありません。AIの進化と同じくらい、「犯罪の分業が成立し、必要なスキルをすべて持っていなくても、人を集めて攻撃できる」とい

  5. 10月4日

    第605回:Google検索の将来に、中小企業はどう備える?顧客理解を今から積み上げる理由

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Googleが目指しているものを踏まえて、企業は何を準備すればよいのかをお話しします。目先の検索対策も必要ですが、5年、10年という長い目で、今から積み上げるものを考えておきたいんですね。 GEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)やLLMO(Large Language Model Optimization:大規模言語モデル最適化)など、新しい対策の話が次々に出てきます。短期的に効く施策を否定するつもりはありません。ただ、今のAI(Artificial Intelligence:人工知能)オーバービューやAIモードへの対応を続ければ、そのまま将来にも対応できるのか。現在の機能への最適化と、長期的な備えを分けて考える必要があると思っています。 旧来の検索結果が対話型AIの検索結果になる、だけではない 私も現場で、Search Consoleの表示回数が大きく増える一方、CTR(Click Through Rate:クリック率)が大きく下がっていると感じます。「AIオーバービューのせいだ」という話もよく見かけます。ただ、以前もお話ししたように、数字をどう読むかは注意が必要です。目の前の変化だけを見て、Googleの方向まで決めつけない方がよいと感じています。 従来の青いリンクが並ぶ検索結果が、Geminiと会話する画面へ置き換わる。そういうイメージを持つ方も多いと思います。確かに見た目には分かりやすい変化ですが、Googleが長年解決しようとしている問題は、それだけではないんですね。 調べるということは簡単なことではない Googleは、多くの人にサービスを使ってもらい、広告を含めて事業を成り立たせています。Google Cloudのように少し事情の違う事業もありますが、検索では使ってもらえることが大前提です。Yahoo!のディレクトリ型検索やgooを使っていた頃から振り返ると、Googleは検索を便利にし続けてきました。私は、その流れを利用者が情報を探すときの負担を減らしてきた歴史として見ています。 検索は、実は難しい作業です。まず自分が知りたいことを整理し、検索する言葉を選び、うまく出てこなければ言葉を変える。そもそも何を知りたいのか、本人もうまく言語化できないことがあります。私たちもお客さんと話していて、本人がまだ言葉にできていない困り事に気づくことがありますよね。 私がセミナーでもよくお話しするのは、「探すこと自体は、別に楽しくないですよね」ということです。買う前にいくつもの会社や商品を比較するとしても、比較作業をしたくて始めたわけではありません。必要なものを見つけるまでの手間は、できれば少ない方がいい。Googleは、そこを減らそうとしているのだと思います。 毎日の順位変動を、長期方針の根拠にしない 毎日のように「順位が動いた」「今日は不安定だ」というニュースが出ます。毎日そう言っているなら、それを聞いて何を判断すればいいのか、と思うこともあります。Googleはさまざまなテストをしているので、短い期間の変化に合わせて、毎回方針を変えていたら振り回されます。 参照:Google:検索のテストと評価 短期施策は必要です。それでも、新しい対策を入れたらまた元に戻った、ということを繰り返していては、お金も時間もかかります。ニュースやセミナーで紹介された施策に対して、自社がそこへお金をかける価値はあるのかを、意思決定する方には考えていただきたいですね。 Googleの発表を、利用者の不便の解消という観点で考える AIは、OpenAIが登場したところから始まったものではありません。Googleも以前から、言葉や画像などを理解する技術に取り組んできました。今の機能を最終形だと考えるより、昔から解決しようとしてきた問題の途中にあると見ると、捉え方が変わります。 BERT:検索する言葉を選ぶ難しさに向き合っていた 2019年にGoogleが検索への導入を発表したBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は、文中の言葉を前後の文脈から理解する技術です。その説明では、検索する人が適切な言葉を知っているとは限らず、検索の仕方そのものに迷うこともある、という問題が挙げられています。知らないことを調べたいのに、調べるための言葉を知っていなければならないわけです。 参照:Google:BERTによる検索の言語理解 これは、仕事でも実感します。私が初めて関わる業界について調べるとき、お客さんに「どの本を読んだらよいですか」と聞くことがあります。言葉を知らないと、自分で検索しても調べようがないんですよ。教えてもらった本を10冊ぐらい読んでから入ることもありました。最近は初めての業界に出会う機会も少なくなりましたが、今でもあります。 Googleの発表を読み返すと、人が検索エンジンに合わせて、不自然な単語の組み合わせを入力していること自体を問題にしているんですね。2019年から2026年まで、もう約7年です。それでも、人間側の検索の仕方が一気に変わったわけではありません。技術が変わることと、人の行動が変わることには時間差があります。 MUM:利用者の何度も調べ直す負担を減らそうとしていた 2021年のMUM(Multitask Unified Model)の発表には、以前登った山とは別に、今度は富士山へ登りたいという例が出てきます。準備の違いを知るには、標高、気温、難しさ、必要な装備などを自分で分けて調べなければなりません。登山に詳しい人なら、一つ質問しただけで、その事情を踏まえて答えてくれるでしょう。人が質問を細かく分解して調べる負担を、検索側で引き受けようとしていたのだと思います。 当時のGoogleの説明では、こうした複雑な用事を済ませるために、平均8回の検索が行われていました。これを減らしたいという話です。今のAI検索に通じる問題意識が、2021年の時点ですでに示されていたんですね。 参照:Google:MUMの発表と登山の例 編集注:収録では、この時期を「AIはなかった」と表現していますが、MUM自体がAI技術です。ここでは、当時から現在のAI検索につながる課題に取り組んでいた、という話の流れを残し、この点を訂正しています。 Google レンズやマルチサーチ:言語化しなくても探せる入口 服の形や素材を見て「こういうものが欲しい」と思っても、うまく言葉にできないことがあります。Google レンズなら画像を使えるし、画像に「この色が欲しい」といった言葉を足すマルチサーチもあります。全部を文章や単語へ変換しなくても、知りたいことを伝えられる方向です。 参照:Google:画像と文字を組み合わせるマルチサーチ 自然で直感的な方法で、身の回りのものを理解する。Googleの説明には、そういう考え方が出てきます。キーワードをうまく選べる人だけが検索を使いこなせる状態から、その人が自然に伝えたことを理解できる状態へ近づけたいのだと私は受け取っています。 AIモード:そもそも調べ方・検索の組み立ても任せられるように AIモードの「クエリ・ファンアウト」は、一つの質問を関連するテーマへ分け、複数の検索を行って情報を集める仕組みです。人が自分で検索語を変えながら調べていた部分を、裏側で行う。利用者の意図をくみ取って、必要な調査を組み立てるという流れですね。 参照:Google:AIモードとクエリ・ファンアウト ここは、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)そのものが持っている機能と、混ぜない方がよいと思います。モデルを使って、どう検索を分解し、調べ、まとめるかというアプリケーション側の作りがあります。AIだから自然にそうなるのではなく、その目的に合わせて仕組みを作っているわけです。 さらに、詳しく調べたレポートを作るDeep Searchや、カメラで見せながら話せるSearch Liveのような方向もあります。調べるための手間を任せたり、自分が見ているものを相手にも見てもらったりする。私は、検索が、その場で相談に乗ってくれる相手に近づいていると感じます。 チケットを探すといった作業まで手伝う、エージェント的な機能も紹介されています。情報を見つけるだけでなく、その先の用事へ進んでいくわけです。利用者が目的を達成するまでの面倒を減らすという見方をすると、これらの動きはつながります。 参照:Google:Deep Search、Search Live、チケット探しを支援する機能の発表 編集注:上の機能は、Googleが2025年5月に紹介した内容を参

  6. 9月30日

    第604回:Google SAFEとは?AIをコンテンツ作成に使う際に抑えるべきGoogleの動きとは

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Googleが公開したSAFE(Scaled Abuse Forensics Examiner)という研究を通じて、自社や外注先が、コンテンツをどう作っているか確かめておきたいという話をします。 自分たちでスパムをやっているつもりはなくても、外注先に頼んだ仕事が、実はそうなっていることがあります。新しいお客様にお話を伺うと、「費用も高くないし、効果があるという営業を受けたので、任せたままなんです。内容はよく分かっていません」と言われることがあるんですね。知らないうちに、問題のあるやり方を続けているかもしれない。今回は、その点も気にしていただきたいと思っています。 AI(Artificial Intelligence:人工知能)を使えば、記事や動画を大量に作ることは本当にできてしまいます。作るだけなら簡単ですが、それが負債になり、最悪の場合、Googleからの流入を得られなくなることもあります。今やっていることや、これから受ける営業をどう判断するか。そのために、Googleが何を調べようとしているのかを見ていきます。 SAFEの研究を、Google検索への導入発表と受け取らない 話のきっかけは、2026年9月25日にSearch Engine Journalが掲載した記事です。歴史のあるSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)関連の媒体ですね。Google Researchで公開されたSAFEが、Google検索のスパムアップデートにも関係しているのではないかと取り上げていました。 参照:Search Engine Journal:Google Has Deployed A New AI Spam Detector Called SAFE ただ、論文で具体的に扱っているのは、YouTubeチャンネルを想定した動画やチャンネル群の不正調査です。この論文から、SAFEがGoogle検索で使われているとは判断できません。2026年9月30日の時点で、9月のスパムアップデートにSAFEが入ったという公式発表も、私は確認していません。ここを拡大解釈した営業もありそうなので、先に区別しておきたいところです。 参照:Google Research:SAFEの研究紹介 論文には「early deployment results」と、初期導入の結果を示す記述があります。ただし、YouTubeの本番で使われているか、使われているならどこまでかは、私には分かりません。内容を見ると、使われていてもおかしくないとは感じますが、Google検索に新しいアルゴリズムが加わったという話として受け取らないでください。 参照:GoogleのSAFE論文:Abstract(1ページ目) 私自身は、Web検索でも同じ方向に進むだろうと思っています。ただ、それは私の見方です。生成AIによって変わったスパムを、Googleがどう見つけようとしているのか。その方向を知り、今のうちに気をつけたいことを考えるための研究として読んでいただければと思います。 動画の中身だけでなく、投稿の仕方やつながりも調べる SAFEは、大量に作られたAIコンテンツの中から、組織的な不正をAIで調査する仕組みです。フォレンジック調査という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。証拠を集めて調べる、というイメージですね。一つひとつのコンテンツを見るだけでは分かりにくい不正も、周辺の情報と合わせて調べます。 従来のコンテンツ評価というと、まずは中身が低品質か、高品質かという話を思い浮かべますよね。パンダアップデートなど、懐かしい名前です。E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness:経験・専門性・権威性・信頼性)も、コンテンツの品質を考えるときの観点です。ペンギンアップデートでは、悪質なリンクやプライベートネットワークも問題になりました。内容に加え、リンクなどの関係も見てきたわけです。 参照:Google検索セントラル:E-E-A-Tと品質評価ガイドライン/Google検索ランキングシステムのご紹介:Panda・Penguin 生成AIが普及して、スパムの作り方も変わりました。YouTubeで同じテーマの台本を作り、一定の形式で動画を大量に作る。「そのうち1本でも当たれば、それなりの収益になる」という発想ですね。内容はほぼ同じでも、文章や映像は少しずつ違う。地域ごとの別バージョンを作ることもあります。ここで言うのは、自動吹き替えとは別の話です。まったく同じもののコピーではないので、中身だけでは見つけにくいんですね。 それでも、投稿する量やタイミング、使われるアカウントまで見ると、不自然さが分かることがあります。人間なら「このアカウントと、あのアカウントは怪しいぞ」と気づけても、一つずつ大量に調べるのは大変です。そこで、人間が行う不正調査を、AIで大規模に行おうというのがSAFEの考え方です。 参照:GoogleのSAFE論文:Introduction(1ページ目) ですから、SAFEを「この動画はAIで作られたか」と調べるだけのシステムと捉えると、少しずれます。どんな内容を、どんな関係にある投稿者が、どう配信しているかまで含めて調べる。コンテンツの中身に加えて、作り方や配信の仕方にも目を向けた仕組みだと考えてください。 AIを使うこと自体が悪いわけではありません。今の時代、AIがまったく関わらずに作る方が難しいのでは、とも思います。Googleが問題にしているのは、価値の乏しいものを大量に作り、検索順位や露出を無理に操作しようとすることです。 参照:Google検索セントラル:AI生成コンテンツに関するガイダンス SAFEの4つの担当から、何を見ているかを知る 論文では、調査を大きく4つのエージェントに分けています。内容・行動・関係性を調べる3つの担当と、それをまとめる担当がいると考えると分かりやすいと思います。 内容の担当は、既知の違反や見逃されやすい違反を調べる Content Understanding Agentは、動画や文章の中身を調べます。既知のポリシー違反に加え、従来の検出方法をすり抜けるような微妙な違反も分析する担当です。特定の違反を見分けるよう調整した大規模言語モデルと、少数の事例から新しいパターンを判断する方法を組み合わせています。 参照:GoogleのSAFE論文:Content Understanding Agent(2ページ目) アンチウイルスソフトに近いイメージですかね。既存のパターンも調べながら、新しいものにもできるだけ早く対応する。私には、これまでの検出を続けながら、日々改善している部分にも見えます。 行動の担当は、投稿の集中や共通する環境を見る Behavior Understanding Agentは、「何を投稿したか」ではなく、どう投稿しているかを調べる担当です。例えば、次のような情報を見ます。 同じタイミングに投稿が集中しているか。 短時間に大量公開しているか。 異なるアカウントで、端末の環境に共通点があるか。 通信環境などに不自然な共通点があるか。 参照:GoogleのSAFE論文:Behavior Understanding Agent(2ページ目) 論文には、複数のチャンネルで同じOS(Operating System:基本ソフト)のバージョンが使われ、同じ5秒間に投稿が集中する、という例があります。投稿のタイミングと環境を組み合わせて、不自然な活動を調べるわけです。 参照:GoogleのSAFE論文:OSと投稿時間の例(2ページ目) 意図してやっている人は、自分で分かっているのでしょう。ただ、そういうところへ気づかず外注していたり、自社でも「これから動画をやるぞ」と一気に公開したりすると、似た状態になってしまうかもしれません。相当な量の話だとは思いますが、誤検知される可能性もあるのでは、と私は気にしています。自然なやり方で進めた方がいいと思います。 関係性の担当は、チャンネル同士のつながりを調べる Channel Cluster Understanding Agentは、一つずつのチャンネルに加えて、アカウント同士の関係を調べます。スパムネットワーク全体を把握しようとする担当です。 参照:GoogleのSAFE論文:Channel Cluster Understanding Agent(2〜3ページ目) 投稿内容やタグ付けなどを見て、「このアカウントと、あのアカウントは似ているぞ。実は同じところが動かしているのでは」と考えるわけですね。アカウント間のつながりから、全体を調べるイメージです。 これは、SEOで以前から扱ってきたプライベートネットワークなどの話にも似ています。AIで調査が強化されているのだろうな、と感じます。ただ、最近のスパムアップデートの頻度に、どのくらい影響しているかは分かりません。仮に使われていたとしても、まだ一部なのではという気はしますが、そこも私の推測です。 Root Agentは、3つの担当の評価をま

  7. 9月27日

    第603回:地方自治体のAI研修の現在と、押さえておきたい一つの事例紹介

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、自治体が行っているAI(Artificial Intelligence、人工知能)の支援と、福岡県北九州市の訪問看護会社の事例をご紹介します。「自社でもAIを使いたいけれど、どう始めればよいか」と考えている中小企業の方へ、研修を受ける入口と、会社の中で使ってもらうまでの話をお伝えできればと思います。 何から始めるか迷っているなら、自治体の研修に触れてみる うちはAI支援だけを行う会社ではありません。ただ、Webの仕事をするうえでもAIを避けて通る理由はないので、一緒にお伝えしています。その中で感じるのは、国や自治体の力の入れ方の強さです。Webサイトが増えていった2000年代前半にもセミナーはいろいろありましたが、今はそれ以上ではないかと思うくらいですね。 無料の説明会や支援、補助金など、全国のいろいろなところで取り組みがあると感じます。少し前は、議事録を取る、文章を直すといった、比較的やさしい内容が多い印象でした。ところが今は、実際に業務を自動化するところまで扱うものが出てきています。 例えば、今回見た千葉市の事業者向けセミナーです。ノートパソコンを持参し、Claude Coworkを実際に操作して、複雑な作業手順を見えるようにする。そこから業務の自動化につなげる内容です。市内事業者が対象で、参加費は無料。企業規模による制限は案内には示されていません。「生成AIとは何か」を聞くだけでは終わらない内容なんですね。 参照:千葉市:事業者向け生成AIセミナー 2026年10月27日に開催される案内で、市は「社員5人分の働きを明日から1人で実現」と、かなり強い表現を使っています。実際に参加枠がまだ空いているかは分かりませんが、千葉市の方は確認してみてはいかがでしょうか。こうした内容が出てくるくらい、風向きが変わってきたと感じます。 参照:千葉市:開催日・対象・申込先の案内 私の地元の新座市でもAI関連の取り組みは見かけますし、東京はもっと力が入っていると感じます。「どうしよう、何から始めたらいいのだろう」という方は、一度、こうした場に触れてみるとよいと思います。あるテーマを知りたければ本を2冊読むといわれるのと同じで、いくつか受けて、自分たちに響くものから試す。それでもよいのではないでしょうか。 一般的な使い方を教えるだけなら、民間は厳しくなると思う 支援する側から見ると、正直、一般的なAIの使い方を教えるだけの会社には、この先、勝ち目がないのではないかと思います。公的な支援のレベルが上がり、しかも無料ですから。行政が予算を組み、事業者への支援として進めているところへ、同じ内容で入っていくのは厳しいでしょう。 もちろん、導入するシステムを実際に組める、その業界について深い知見がある、すでにお客様との関係ができていて社内に入れる、といった条件があれば話は違います。研修で知ったことを、会社の仕事として動かす部分には、民間の役割があります。経営計画でもそうですが、計画を実行するところは、専門家派遣などを通じて民間へつながる流れがありますよね。 そこにつながっている会社には、事業の機会があるのだと思います。ただ、そうした関係もないところから、「自分たちはAIを少し使えるから、支援事業を始めよう」と考えるのは、結構危ないのではないかと感じています。支援を受ける側にも、支援を仕事にする側にも、今の状況を見ておいてほしいですね。 ツールを入れる目的を、働く人の方へ向け直す 自社でどう使うかを考えるうえで、面白かったのが、J-Net21に掲載された北九州市の訪問看護会社、プーラビダ株式会社の事例です。単にツールを入れるのではなく、従業員に気持ちよく、質の高い仕事をしてもらうために使う。そのように目的を捉え直した話として、参考になると思いました。 参照:J-Net21:プーラビダ株式会社の取組事例 訪問看護の人手不足という背景もあったようですが、それ以上に気になったのが、会社の組織の問題です。同社では、社員が40人規模に増える中で、社長、管理職、現場という階層の間で意思疎通が難しくなっていたそうです。会社が目指しているものと、現場の人が欲しいものがずれてしまう。コロナ禍も重なり、離職率は83.3%に達したと紹介されています。算出の細かい条件までは分かりませんが、10人採用したら8人辞めるような、地獄のような状態ですよね。 参照:J-Net21:事業拡大後の組織の課題 当初は、DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)をコスト削減のために考えていた。それを、社員を守り、一人ひとりの働きがいを生むために使うと、目的を決め直したそうです。Google WorkspaceやGeminiを使った取り組みですが、私が気になったのは、どのツールを選んだか以上に、この目的の見直しです。 参照:J-Net21:人を守るためのDX 40人規模の会社で、最初に使ったのは2人 ただ、社長が「これを使って生産性を上げよう」と言っても、すぐには広がりませんでした。「今までのやり方で何が悪いのか」といった反発が起き、最初に使っていたのは2人だけだったそうです。40人規模の会社で、2人です。DXではよくある話かもしれませんが、便利だと説明すれば使ってもらえる、というものではないんですね。 参照:J-Net21:Google Workspace導入時の反発 そこから身近な用途で使ってもらい、社員にとってのメリットを伝えていく。文字にすると「それはそうだよね」と思うのですが、現場で判断し、受け入れてもらえるように伝えるところが、いちばん大変だったのではないかと思います。記事では詳しく書かれていない、その紆余曲折が気になるんです。 「生産性10%改善」より、「報告書が1時間から5分」の方が伝わる 入口になったのは、訪問看護で毎月作る報告書でした。J-Net21の記事では、利用者一人分に1時間以上かかっていた作業が、Geminiの利用によって90%短くなったと紹介されています。会社側の資料では、報告書の作成が「1時間から5分」になったと示されています。 参照:J-Net21:報告書作成の時間短縮、プーラビダ:自社のDX実践 上の人が「会社の生産性が10%改善するぞ」と言っても、現場の人には「10%と言われてもな」となりがちです。でも、「毎月1時間かかっていた報告書が、5分でできるようになる」なら、自分の仕事として分かります。社員に伝える内容を、そうした身近な変化にしていく。小さな成功を積み重ねることは、やはり大事だと思います。 Google Workspaceを使って社内ポータルを作るなど、ほかにも取り組みがあります。ただ、まず社員自身が便利さを感じると、「こうすれば情報を簡単に得られる」「この使い方を教え合おう」という話が出てくる。ツールの利用と一緒に、社内の情報共有やコミュニケーションも変わっていったのだと思います。 参照:J-Net21:情報共有と社員同士で教え合う取り組み 空いた時間を、人を減らすためだけに使わない 報告書が1時間から5分になったら、残りの時間をどう使うか。「それだけ空いたなら、人を減らせるよね」「採用を減らせるよね」と考えるのをやめ、看護師の研修や資格取得に使う。今いる人を大事にする方へ時間を回したことが、大きいと思います。 参照:J-Net21:時間の余裕を生かした研修と資格取得 社員が技能を身につければ、会社としても、より高度なケアを担当できるようになります。社員の仕事への気持ちや役割が変わり、視野も広がるでしょう。社員にとってもうれしく、会社にとってもうれしいことに使う。この考え方への切り替えが、事例の大きなポイントだと感じました。 言い方を変えただけで、信じてもらえるだろうか もっとも、経営者がそう言ったところで、最初から信じてもらえるとは、私は思いません。「資格を取っても、どうせ給料は上がらないだろう」といった反応もあったのではないでしょうか。これは記事に書かれた社員の発言ではなく、私が自分の会社へ置き換えて考えたときに、引っかかるところです。 どんな伝え方をして、最初はどんな反応があったのか。記事ではさらっと読めても、自社で真似をしたら、ここで反発が起きて進まなくなることはありそうです。成功事例では、うまくい

  8. 9月24日

    第602回:サーチコンソールをKPIに使う際の注意点とは?実は不透明な公式ツールについて

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Google Search Console(サーチコンソール)とどう向き合うかという話です。Google アナリティクスと並んで、Webサイトを運用している方なら使うことが多いツールですよね。ただ、サーチコンソールを、長い期間の成長を正確に比べられるデータ分析の基盤だと思わない方がいいと、私は考えています。 GA4(Google Analytics 4)のようにデータがたまり、昨年や一昨年と比べられる。しかも、どんな検索語句で表示され、何回クリックされたかという、Googleが持っているデータを見られる。だから、表示回数やクリック数をKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)にしている方も多いと思います。問題は、その数字が増えたことを、そのままサイトの成長と受け取ってよいのかです。 長期の成績表として見る前に、数字の限界を知っておく 別に、Googleを悪く言いたいわけでも、サーチコンソールが壊れたと言いたいわけでもありません。以前はウェブマスターツールと呼ばれていたツールです。そこへAI(Artificial Intelligence、人工知能)を含むさまざまな検索結果の見せ方が加わり、今の画面や指標では捉えきれなくなっているのではないか、という話です。 私なら、30日や3か月くらいで「今はどんな感じかな」「どこから、どんな検索語句で来ているかな」と確認するために使います。長くても昨年との比較くらいでしょうか。もっとも、1年前との比較でも、そのまま信じるのは危ないかもしれません。昔の数字と並べれば、時系列の変化をきちんと把握できると思っていると、落とし穴にはまります。 むしろ、検索に関する機能を管理したり、インデックスの状況を確認したりする、Googleとの間接的な対話の場としての役割が8割くらいだと私は捉えています。検索パフォーマンスはおまけとまでは言いませんが、「自分が出した記事は、今こういう感じなんだな」と、その時々の状況を見るくらいの距離感がよいのではないでしょうか。 集計の変更と、自分たちの施策の成果を混ぜない 検索結果の形が変われば、表示回数や掲載順位の測り方も変わっていくでしょう。それ自体は当然です。ただ、過去と今を比べている側からすると、測り方が変わった後に、以前の数字をどう読めばよいのかが分からない。ここが困るところです。 サーチコンソールでは、Google側の集計方法の変更やロギングエラーによって、グラフが急に増減することがあります。およそ1年にわたる数字の問題が、後から分かることもあるわけです。 編集注:Googleの公表で確認できる対象期間は、2025年5月13日から2026年4月27日です。表示回数と関連指標が影響を受け、クリック数は対象外でした。原文の「2025年にあったような気がする」「過去1年、全部おかしかった」という説明は、この期間・範囲に訂正しています。 参照:Google Search Console ヘルプ:データの異常 画像や商品、求人などの集計基準が変わったという案内を見たり、画面に黄色い線が入り、「ここから変わっています」と示されたりすることもあります。でも、どのくらい変わったのか、過去の数字をどう補正すればよいのかまで分かる情報は、私が把握している限り、ほぼ見たことがありません。 プライバシーのために検索語句が隠され、検索語句のフィルタをかけると見える数字が減ることもあります。画面で見られる検索パフォーマンスのデータは16か月分です。それより長く残したいなら、BigQueryや手元へのエクスポートで確保しておく必要もあります。画面に出ている数字だけで、すべてが分かるわけではないんですね。 参照:Google Search Console ヘルプ:検索パフォーマンスの確認、Google検索セントラル:検索トラフィックの減少をデバッグする それから、順位測定のボットや、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)関連のツールが検索結果へアクセスすることも、気になります。AI関連の仕組みが加わり、外部からのアクセスも変わっていく。私は、そこに人間の検索行動がどのくらいの精度で表れているのか、疑問を持っています。Googleが対策をしても、いたちごっこになる部分はあるでしょうし、技術的にも難しいのだろうと思います。 無料だからといって、データの品質への不満がなくなるわけではない 「無料版なのだから、仕方がない」と思うかもしれません。では、仮にプロ版があり、年間100万円や200万円を払って使う分析基盤だったらどうでしょうか。Google アナリティクスにも有料版はありますから、まったく考えられない話ではないですよね。それなのに、提供されたデータをそのまま分析に使えないとなれば、大きな問題です。 Googleも一つの企業です。ほかの会社が継続してデータを提供していて、「実は品質が悪かった」となったら、問題になりますよね。Googleは扱う範囲が広く、ネット上のインフラのようになっているので、「Googleだから仕方がない」と思いがちです。でも、提供元という観点で見ると、言い方は悪いですが、「データの品質を保つやる気はあるのか」と思ってしまう状況です。 集計基準を変えたなら、例えば「この種類の検索語句では、数字が10%くらい変わります」といった補正の目安が欲しい。大変なのは分かりますが、数字を使って判断する側が困ることまで、無料だからで片付けたくはありません。それでも、今後もこうした曖昧さを含む数字として付き合っていくしかないのでは、と私は思っています。 表示回数が増え、クリック率が下がったときに慌てない 実務でも、「表示回数がものすごく増えている」と感じる場面がありました。AI関連の検索結果が広がった時期は、本当に荒れていたんです。表示回数が急に増えたり、急に減ったり、いろいろなパターンがありました。 クリック数が変わらないまま表示回数だけ増えれば、CTR(Click Through Rate、クリック率)は下がります。すると、「タイトルやディスクリプションを大きく変えた方がいいのか」「競合が入ってきたのか」と、いろいろな仮説を立てたくなります。でも、検索結果の見せ方や数え方が変わった影響まで、施策の問題として追いかけてしまうことがあるんですね。 編集注:原文では、AI概要の掲載順位と表示回数の説明が混在していたため、次のように訂正します。Googleの説明では、AI概要は検索結果の中で一つの掲載順位を持ち、その中のリンクには同じ順位が割り当てられます。表示回数は通常のルールに従って数えます。「AI概要全体が、丸ごと1インプレッション」という意味ではありません。 参照:Google Search Console ヘルプ:表示回数、掲載順位、クリック数とは クリックされにくい場所に出た場合でも、表示回数として数えられれば、数字の読み方は変わります。分析している側からすれば、「先に言ってくれよ」という気持ちになります。まして、1年前の数字と比較していたところへ、長い期間に問題があったと分かったら、「もう、どうしてくれるんだ」と思います。同じように感じた方は、口には出さなくても多いのではないでしょうか。 改良を待つより、今の使い方を決めておく これからサーチコンソールが、もっと細かなことまで分かる分析基盤になるか。収録時点では、私はおそらくそうはならないと思っています。プライバシーへの配慮もありますし、AI検索の見せ方も変わります。私が見聞きした範囲では、測り方が変わるという話はあっても、使う側がもっと詳しく理解できるように、具体的にどう改良するのかという話は聞いていません。 だから、何年分もの表示回数やクリック数を、そのまま同じ物差しで比べるのは気をつけてください。GA4なら、こちらでフィルタを設定するなど、データを扱うときに調整できる部分があります。サーチコンソールでは、Google側の計測をこちらで変えられません。渡された数字を、こちらでコントロールできるデータと同じように鵜呑みにしないことです。 私は、パフォーマンスの数字以上に、インデックスの状況などを見ることが多いです。「なぜこのページはインデックスされていないのか」と確認する。ただ、それも毎日しょっちゅう見るわけではありません。Googleの案内にも、毎日のログインは必要なく、月1回程度確

4.4
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番組について

WebマーケティングやWeb活用で手が止まってしまったり、悩んでいる中小・小規模事業者の皆様へ、根本的なウェブに対する考え方・捉え方をお届け。

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