Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」

ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表 中山陽平

WebマーケティングやWeb活用で手が止まってしまったり、悩んでいる中小・小規模事業者の皆様へ、根本的なウェブに対する考え方・捉え方をお届け。

  1. 3日前

    第581回:動画まとめ回「AIにゼロ→イチを任せていませんか?それがAIの返事に満足できない原因かも」など

    皆さんこんにちは、ラウンドナップウェブコンサルティングの中山です。本日も「会社と経営者を強くする実践ウェブ活用ポッドキャスト」を始めていきたいと思います。ぜひとも最後までお聞きいただければと思います。 今回は、YouTubeショートなどで配信している2分前後の動画のまとめ回です。各回の始めに内容のタイトルを流し、それぞれ1分から3分程度お話ししております。YouTubeショート、Facebookのリール、Instagram、TikTok、stand.fmなどで毎日リアルタイム配信も行っておりますので、隙間時間の活用として、ぜひそちらも合わせてチェックしてみてください。 ショート動画など配信先 Youtubeショート:https://www.youtube.com/@Web-Consulting/shorts Instagram:https://www.instagram.com/roundupconsulting/reels/ TikTok:https://www.tiktok.com/@roundup_web StandFM(音声のみ):https://stand.fm/channels/620ddacbeb302d8b48c746c9 話題1:AIに「0から1」を任せていませんか? 中小企業においてAI活用がうまくいかないパターンの一つとして、「0から1にする部分」までAIにやらせようとしているケースがあります。 0から1を作るというのは、AIには絶対に無理というわけではありませんが、やはりパートナーとしての人間がいないと厳しく、AIが本来の力を発揮できない部分です。「新規事業のアイデアを出して」「キャッチコピーを作って」と指示しても、平凡なものしか出てこないことが多いのはそのためです。 AIは「掛け算」の存在である AIはあくまで「掛け算」の存在であり、使う人の能力を倍々にしていくものです。しかし、元の数字(ゼロ)を何倍にしてもゼロのままです。 人の力や人間力が動いている属人的な部分を、AIでより強くする その人がコア業務に集中できるよう、周りの雑務を減らす(逆の掛け算) このように、0.5倍の労力で済むようにする、といった発想を持っていただくと、活路が見えてくるのではないでしょうか。 話題2:中小企業が生成AI活用でノウハウを得るために大事なこと AI活用に挫折してしまう会社さんは少なくありません。その大きな原因の一つは、「AIを使えばすぐに便利さやメリットが得られる」という風潮にあると考えています。 最初は「壁」にぶつかるのが当たり前 実際には、活用しようとすると最初に壁にぶち当たります。「便利になると思ったのに全然ならないじゃないか」という怒りやストレスを感じることも多いでしょう。しかし、そこを何とかクリアしていくと、急に便利さが自分に舞い降りてくる、その繰り返しのプロセスが必要です。 最初から美味しい結果があると思わず、「これを乗り越えた先にいいものが待っている」という心得を持つこと。試行錯誤の過程で、「自分たちにはこういう使い方が合っている」というノウハウが見つかります。これが活用できる会社になるために重要です。 話題3:WebコンテンツをChatGPTで作る際の判断基準 Webコンテンツにおいて、生成AIをどう使うかは悩ましい問題です。全てをAIで作れば低品質になり、スパムと判定されるリスクもあります。そこでお勧めするのは、全体の流れを大きく3つに分け、「最初」と「最後」を人間が担うという考え方です。 人間が担うべき工程 一番最初(アイデア・企画):どういう人に対して何を伝えるのか、という根本の部分は人間が考えるべきです。 一番最後(監修):内容に誤りがないか、テイストやトーンが自社に合っているかなど、最終的な品質管理は人間が見る必要があります。 AIに任せるべき工程 その間の部分、例えば「構成をどうするか」「情報を肉付けしてより良くする」「誤字脱字のチェック」などは、生成AIを積極的に使うことで品質が上がります。 頭とお尻の部分は人間が監修し、真ん中をAIに任せる。このブロック分けを意識してみてください。 話題4:Webページの文章が分かりづらい原因「論理の飛躍」 Webページの文章が分かりづらいと言われる場合、その原因として多いのが「論理の飛躍」です。 論理の飛躍とは 例えば、「明日の朝は冷える。だから早く起きましょう」と言われたら、違和感がありますよね。しかし、話している人の中では以下のような論理がつながっています。 明日の朝はすごく冷える 早めに暖房をつけて、動けるようにしておかないと遅刻してしまう だから早く起きよう このように、自分の中で当たり前と思っていることや、あえて話す必要がないと思っている前提が抜けていると、相手には伝わりません。専門的なことに詳しい人ほどこの傾向があります。「自分の論理の流れは、相手にとっても当たり前だろうか?」と疑ってみることが、分かりやすさへの第一歩です。 話題5:Webコンテンツの形選びに潜む勘違い(テキストか動画か) 「Webコンテンツはテキストがいいのか、動画がいいのか」という議論がありますが、ここに落とし穴があります。どうしても「これが一番いい」という一つの形態に収めてしまいがちですが、実際には一つに絞る必要はありません。 シチュエーションに応じた柔軟性 ユーザーの好みやシチュエーションによって、適した形は異なります。 テキストで読みたい人 動画で見たい人 印刷して紙で読みたい人(PDFなど) できるだけ幅広い形に対応させておくのがベストです。もしリソースの問題で一つに絞らなければならない場合は、読み上げ機能への対応や一覧性の高さなど、汎用性が高い「テキスト」が無難であると考えます。 話題6:ブログ記事の外部参照リンクは示すべきか、隠すべきか ブログ記事などで引用を行う際、出典元へのリンクを貼ると「ユーザーがそちらへ逃げてしまうのではないか」と心配される方がいます。結論から言えば、きちんと引用元を示してリンクを貼るべきです。 誠実さが信頼とSEO評価につながる 今のユーザーは、リンク先へ飛んだとしても、すぐに戻ってきます。「行って帰ってこない」というケースは稀です。 むしろ、重要な情報をピックアップし、「もともとはこのサイトの情報ですよ」と正直に示す誠実さが、ユーザーに良い印象を与えます。また、blockquoteタグやciteタグを使って適切に引用することは、SEOの観点からもプラスになります。引用で悩んだら、隠さずにしっかりと明示することをお勧めします。 まとめ 今回のYouTubeショートまとめは以上になります。このようなトピックを、YouTubeショート、Facebookリール、Instagram、TikTok、stand.fmなどで毎日配信しております。昼活のようなイメージで、毎日の習慣としてチェックしていただければ幸いです。 Web活用についてご不安なことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。ラウンドナップウェブコンサルティングの中山がお送りいたしました。また次回もよろしくお願いいたします。 Web活用と生成AIに関するよくある質問 中小企業において生成AI活用がうまくいかない主な原因は何ですか AIに「0から1」の創造を任せてしまっていることが原因です。AIは掛け算のツールであり、人間が作ったベース(1)がないと力を発揮できません。アイデア出しやコピー作成などの属人性が高い部分は人間が担い、AIはそのサポートや拡張(作業量削減など)に使うという役割分担が重要です。 WebコンテンツをChatGPTで作成する際の品質管理はどうすべきですか 制作工程を3つに分け、最初(企画・ターゲット設定)と最後(監修・トーン確認)は必ず人間が行うべきです。AIは中間の工程(構成案の作成、情報の肉付け、誤字脱字チェックなど)で活用することで、品質を落とさずに効率化を図ることができます。 Webサイトの文章が分かりにくいと言われるのですが、どう改善すればよいですか 「論理の飛躍」が起きていないか確認してください。自分の中で当たり前だと思っている前提条件や文脈を省略してしまうと、読者には伝わりません。専門知識がある人ほど陥りやすいため、思考の過程を丁寧に言語化して間を埋めることを意識すると改善します。 コンテンツはテキストと動画、どちらで作るのが正解ですか どちらか一つに絞る必要はありません。ユーザーの状況や好みによって適した形式は異なるため、可能であれば両方用意するのが理想です。リソースが限られる場合は、読み上げや検索性など汎用性が高いテキストコンテンツをベースにすることをお勧めします。 ブログ

    12分
  2. 2025/12/25

    第580回:まとめ回「Web集客の前に自社に関する生成AIの誤情報を放置していませんか?など

    皆さんこんにちは、ラウンドナップ・ウェブコンサルティングの中山です。本日も「会社と経営者を強くする実践ウェブ活用ポッドキャスト」を始めていきたいと思います。ぜひとも最後までお聞きいただければと思います。 今回は年末年始ということで、YouTubeショートなど各プラットフォームで毎日配信している1〜2分前後の動画コンテンツを、ポッドキャスト用にいくつかまとめてお送りしようと思います。 すでに実験的に開始して3ヶ月ほど経過しており、試行錯誤している段階ではありますが、およそ100本ほど公開しています。その中から1週間分ほどをピックアップしてお届けします。特定のテーマに限らず、その時々に伝えたいことをベースに発信しています。 ショート動画向けに作成しているため、本来は画面上のタイトルで内容がわかるものですが、音声のみのポッドキャストでは伝わりにくい部分があります。そのため、合間に合成音声でタイトルをアナウンスしますので、その内容についての話題だと思ってお聞きください。 もし内容を面白いと感じていただけたら、YouTubeショート、Facebookページ、Instagram、TikTok、stand.fmなどで毎日お昼の12時頃に配信していますので、ぜひフォローしていただけると嬉しいです。それでは、まずはこちらをお聞きください。 ショート動画など配信先 Youtubeショート:https://www.youtube.com/@Web-Consulting/shorts Instagram:https://www.instagram.com/roundupconsulting/reels/ TikTok:https://www.tiktok.com/@roundup_web StandFM(音声のみ):https://stand.fm/channels/620ddacbeb302d8b48c746c9 話題1:自社に関する生成AIの誤情報を放置していませんか 評判管理というタスクは企業の中で重要度を増しています。Web上で誰もがつながり、情報共有できる現代において、過去の些細な不祥事などが一つあるだけで信頼が失墜し、採用や業務提携に影響が出ることも少なくありません。 もちろん、うかつな行動を慎むことが前提ですが、デタラメな情報の流布を防ぐという意味でも評判管理は非常に重要です。 具体的なチェック方法 検索エンジンの観点では、評判が良くない会社とセットで検索されやすいキーワードをチェックすることをお勧めします。 「ブラック」 「悪徳」 「離職」 こうしたネガティブなワードと、自社の「会社名」や「代表者名」を組み合わせて検索してみてください。調べられる語彙はある程度決まっていますので、定期的にこれらをチェックし、自社の評判を確認することをお勧めします。 話題2:Webマーケティングの新手法や新技術:いつやるべきかの判断基準 Web業界は新しい技術やPR手法が次々と登場します。どれを取り入れるべきか悩ましいところですが、考え方を少し変えてみることをお勧めします。 顧客視点での導入判断 「将来主流になるから」「みんなが使い出すから」という受け身の姿勢ではなく、以下のように考えてみてください。 自分たちの顧客に使ってもらいたいものか 顧客にとって大きな価値があるものか 世の中に存在する様々なものの中から、ターゲットとする顧客に価値を提供できるものを探します。見つけたものが流行していようがいまいが、顧客に提案し、一緒に取り組むことでお互いにプラスになる「Win-Win」な関係を目指してください。 このように情報収集を行うことで、モチベーションも変わり、自社にも顧客にもプラスの結果をもたらすことができるはずです。 話題3:Webサイトの「なんとなくの違和感」を放置していませんか Webサイトに対して感じる定性的なモヤモヤや、「なんとなくおかしい」という感覚。そこから議論を始めても全く問題ありません。 むしろ、現場に近い人たちの感覚を拾い上げることが、実質的で生々しい改善につながることが多々あります。そうした声を拾える仕組みを作っておくことをお勧めします。 実際に施策として実行するか、予算をかけるかは別の議論ですが、データには表れない現場の声を吸い上げ、実際の改善につなげられる企業は強いです。ぜひそうした感覚を大切にしてプロジェクトを進めてください。 話題4:SEOにおける「サジェストローラー作戦」は古いのか あるキーワードに対してGoogleが提示するサジェストワードを網羅してコンテンツを作る「サジェストローラー作戦」。これには賛否両論ありますが、あくまで手法の話であり、品質の話とは分けて考えるべきです。 手法と品質を分けて考える あるトピックスに関して価値のある情報を積み上げていくこと自体は、何ら悪いことではありません。問題なのは、ネット上の情報を再構成しただけの「低品質」なコンテンツで網羅を目指すやり方です。これはAI時代においては効果がありませんし、以前から効果は薄いものでした。 一方で、自分たちの知識やまとめ方を駆使し、品質が高く顧客に役立つコンテンツを作る観点で行うのであれば、全く問題なく、むしろプラスに働きます。 話題5:Web戦略とAI活用:強みの強化より先にやるべきこと これからAIを活用・導入しようとしている企業にお勧めするのは、「自分たちの弱みを減らす方向」での活用です。 AIを使って従業員の能力を伸ばし、強みを増やそうとするのは魅力的ですが、難易度は高いです。一方、弱みを減らすことは比較的難易度が低く、成果が出やすい傾向にあります。 AIが持つ知識は様々なベストプラクティスの集合体であるため、物事を「平均値まで持っていく」ことに長けています。逆に、他社にない独自の強みや突飛な発想を生み出すことは苦手です。 そのため、まずは弱みを減らす領域でAIを活用して評価を得て、慣れてから強みを伸ばすというステップで進めることをお勧めします。 おわりに 今回のYouTubeショートまとめは以上になります。 毎日お昼頃にYouTubeショート、Facebookリール、Instagram、TikTok、stand.fmなどで配信しています。毎日の習慣、昼活のようなイメージでチェックしていただければと思います。 Web活用についてご不安なことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。ラウンドナップ・ウェブコンサルティングの中山がお送りいたしました。また次回もよろしくお願いいたします。 Podcastの内容に関するFAQ 自社に関するネット上の悪い評判や生成AIの誤情報は、どのようにチェックすればよいですか? 検索エンジンで、自社名や代表者名と一緒に「評判」「ブラック」「悪徳」などのネガティブなキーワードを組み合わせて検索し、定期的にチェックすることをお勧めします。生成AIについても同様に自社について質問し、誤った情報が出ていないか確認することが重要です。 Webマーケティングの新しい技術や手法は、どのタイミングで導入すべきですか? 「将来流行るから」という理由ではなく、「自社の顧客にとって価値があるか」を基準に判断することをお勧めします。顧客にメリットがあり、自社とのWin-Winな関係が築けるものであれば、流行に関わらず導入を検討してください。 Webサイトに対して感じる「なんとなくの違和感」は、改善の根拠になりますか? はい、なります。数値データには出ない定性的な違和感は、現場の生々しい感覚を反映していることが多く、重要な改善点である可能性があります。現場の声を拾い上げ、議論の出発点とすることを推奨します。 SEO対策としての「サジェストローラー作戦」は、現在でも有効ですか? 手法自体が悪いわけではありませんが、単にネット上の情報を網羅しただけの低品質なコンテンツ作成は有効ではありません。AI時代においては、自社の独自の知識や経験に基づいた、顧客に役立つ高品質なコンテンツを作ることが重要です。 これから業務にAIを導入する場合、どのような方針で活用するのが効果的ですか? AIは既存のベストプラクティスに基づき平均点まで引き上げることが得意なため、まずは「弱みの削減」や「業務の効率化」に活用することをお勧めします。独自の強みを伸ばすのは難易度が高いため、まずは弱みを減らすことから始めて成功体験を積むのが良いでしょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "自社に関するネット上の悪い評判や生成AIの誤情報は、どのようにチェックすればよいですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "

    11分
  3. 2025/12/08

    第579回:AI時代にメールマーケティングはどうなっている?意義はある?しっかり「効果」も「意義」もあります

    ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 この記事で得られること このページでは、AI時代におけるメールマーケティングの現状と、これから何を変えるべきかを整理しています。ざっと目を通してもらうと、次のようなポイントが分かるようになっています。 チャットツールやSNSが増えても、メールマーケティングが依然として強い理由と、今後5〜10年の見通し 送信側と受信側、それぞれでAIがメールに与えている具体的な影響と、テクニック頼みが通用しにくくなる背景 これからのメールマーケティングで押さえるべき設計の考え方と、実際の始め方・ツール選定のポイント 結論から言うと、メールマーケティングは今も主力チャネルのひとつであり、AIによって「やりやすくなる部分」と「ごまかしが効かなくなる部分」がはっきり分かれてきているという状況です。テクニックを盛る前に、サービスや商品の設計と、要約されても伝わるメール内容に切り替えることが重要になります。 AI時代でもメールマーケティングが主力チャネルであり続ける理由 AIの話題やコンテンツマーケティングの話題が増える一方で、メールマーケティングそのものが語られることは以前より減っています。「チャットツールやSlackが普及したから、そろそろメールは厳しいのではないか」といった声も長くありますが、現場感としてはBtoBを中心に、メール経由のコミュニケーションは依然として非常に強いチャネルのままです。 「メールが弱くなった」と言われる場面の多くは、社内連絡や既存顧客との日常的なやり取りの話です。そこは確かにチャットツールに置き換わりました。ただし、見込み客へのセールスや情報提供のチャネルとして、メールの代わりになるものはまだ出てきていません。 一時期、BtoCではLINEなどのメッセージングアプリがメールの代替になるのではないかと言われました。LINE公式アカウントからクーポンやお知らせを送る取り組みは成立していますが、メールマーケティングで行っているような腰を据えた「濃いコミュニケーション」までは置き換えられていない状態です。 大きな理由のひとつが公私の切り分 大きな理由のひとつが公私の切り分けです。メッセージアプリはどうしてもパーソナルなやり取りのイメージが強く、そこにセールスや会社からの情報を混ぜたくない、という感覚があります。LINEの有料プランを使えばプロフィールを分けることもできますが、あまり親切な設計とは言いにくく、現実としてはメールが使われ続けています。 BtoBではメールが主力 既存顧客との継続的な接点としても、特にBtoBではメールが主力のままです。代替手段として挙げられるチャットやメッセージアプリが、売上面で決定的な成果を出しているかというと、そうはなっていません。こうした状況からも、メールは今後しばらく主力チャネルであり続けると考えてよいです。 さらに、ゼロクリックサーチ(検索結果ページ上の要約やスニペットだけで用が足りてしまい、サイト自体にはアクセスされない検索行動)やブランド検索の増加によって、ユーザーは「信頼できる会社や個人を見つけたら、そこからの情報だけを追う」という行動に寄っていきます。そのときにダイレクトに届く手段としてのメールは、むしろ価値が上がっていると言えます。 送信側から見たAIとメールマーケティング AIとメールの関係で、まず押さえておきたいのが送信側のAI活用です。ここは昔から「最適化」という文脈でさまざまな機能がありましたが、今はそれが本格的にAIとして組み込まれたツールが増えています。 AIで楽になる仕事:コンテンツ作成と配信のPDCA Validityのレポート「The State of Email 2025 from Litmus」と、それを参照しているNukesendの「2025 AI Email Marketing Trends」などによると、メールキャンペーンでAIを使っているマーケターはすでに多数派で、クリック率や売上でも非AIより良い結果が出ていると整理されています。 メールマーケティングは、しっかりやろうとするとどうしても手がかかるチャネルです。件名を考え、本文を書き、配信時間を決めて、ABテストをして、ステップメール(あらかじめ決めたシナリオで自動配信するメール)を設計して……と、一通りやろうとするとかなりの工数になります。 そこで今大きく効いているのが、コンテンツ作成と配信のPDCAに対するAIの支援です。具体的には次のような部分です。 件名の案出しとテストパターンの生成 配信時間の最適化(読まれやすい時間帯の自動判定) ステップメールやキャンペーンシナリオの構成案やトピック案の生成 こういった領域はAIが非常に得意です こういった領域はAIが非常に得意です。海外の調査では、以前は「メール1通の制作に2週間以上かかる」と答えていたチームが全体の6割以上だったところ、AI活用が進んだ結果、それが1桁台まで減ったというデータも出ています。コンテンツ作成がボトルネックでメールマーケティングに踏み出せなかった方にとっては、今はかなり良いタイミングになっています。 これまで、ステップメールのシナリオ作成や、「メール登録+ダウンロードコンテンツ」のようなフロントエンド商品(最初の接点づくり用の小さめのオファー)づくりが重くて手を付けられなかった場合も、今はAIを活用することで一気に形にしやすくなります。メールの中身を考える負荷が下がることで、「やりたいけれど時間がない」状態から抜けやすくなるという実感があります。 AIに任せてよいところと、任せてはいけないところ とはいえ、すべてをAIに丸投げしてよいかというと、そうはなりません。現場の声としても、ネタの元からすべてAIで一括生成するのは良くないという意見が多く出ています。 AIに任せてよいのは、例えば次のような部分です。 社内の資料や既存コンテンツを読み込ませて、メール本文のたたきを作らせる 書いた文章を分かりやすい構成や文章に整えてもらう 件名やリード文の候補を複数出してもらい、テストにかける 一方で、「そもそも何を伝えるのか」「どんな価値を提供するのか」といった元ネタや設計は、人間が持っている必要があります。ここまでAIに渡してしまうと、中身が薄くなり、要約された時に何も残らないメールになってしまいます。 イメージとしては、ネタと方向性は自分たちで決めて、その先の具体化やブラッシュアップをAIに手伝ってもらう形がちょうど良いです。ChatGPTやGeminiのような対話型AIに「自社の商品・サービス」「最近のお客様の状況」などを投げて、「この前提でメール案を出して」と依頼すると、かなり使えるものが出てきます。 メール配信ツール選び:AI機能があるものを前提にする メールマーケティングをやるなら、メール配信ツールを使うことは大前提です。今もローカルでCGIを動かしたり、ただメールを一斉送信するだけの仕組みを使っているケースもありますが、そろそろクラウド型の配信ツールへの乗り換えを考えた方がよい段階になっています。 特に、次のようなAI機能を持っているツールを選ぶと、効果と運用負荷のバランスが一気に変わります。 件名の自動最適化や複数パターンのテスト機能 読者一人ひとりの開封傾向をもとにした配信時間の最適化 ステップメールやキャンペーンシナリオの提案・自動配分 こうした機能はAI登場以前から存在していましたが、AIによって精度と使いやすさが大きく上がっている領域です。ツール側が最先端を追いかけてくれていれば、自動的にその恩恵を受けられます。 一方で、現場の感覚としては、メールの本文エディタがまだ使いづらいツールも多いのが正直なところです。AIと本文エディタがシームレスにつながっていて、情報の入力から本文生成、配信設定までを一気通貫で支援してくれるツールは、まだそこまで多くありません。もしそういったものが出てきたら、私自身もすぐに試したくなる領域です。 海外ツールを検討する価値 メールマーケティングツールは、海外製の方が機能面でも価格面でも進んでいるケースが多いです。日本国内のツールだと、月額1〜3万円くらいのプランが普通にありますが、海外ツールに乗り換えるだけでコストを大きく圧縮できるケースもあります。例えば、半分〜10分

    32分
  4. 2025/11/21

    第578回:ビジネスの決断のための情報探索の2つのポイント「いいところ探し」と「考えてから探す」の原則

    ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 今回は、ビジネスの決断に本当に役立つ情報にどうたどり着くかというテーマでお話しします。単に情報を「集める」のではなく、自分の判断や行動につながる形で情報を“探索する”ための考え方について整理していきます。 この記事で得られること このページを読むと、次のようなポイントが分かります。 ネガティブ情報に振り回されない「いいところ探し」の視点 ─ 世の中の事例や他社の取り組みを見るときに、ダメ出しではなく「ここはいいな」「ここだけ真似したい」を見つけていくための具体的な考え方。 「探す前に考える」ことで、質の高い情報に出会いやすくする方法 ─ なんとなく検索するのではなく、事前に「知りたいことリスト」を持った上で情報を取りにいくための簡単な習慣。 AIやニュース、SNSに触れるときに、自分の感覚を守るコツ ─ ChatGPT や Gemini を含む対話型AI(人工知能)の使い方のポイントと、他人の意見を先に見過ぎないためのちょっとした工夫。 先に結論:情報探索の3つの原則 本文では順を追ってお話ししますが、先に要点だけまとめておきます。 「いいところ探し」をする ネガティブな情報は「これはやらない」という選択肢を減らす役割にとどまりがちです。 他社事例やニュースを見たときは、まず「どこが良いか」「どこなら真似できそうか」を探し、いいと思った理由と実行までの筋道をその場でメモしておくことが大事です。 探す前に考える なんとなく情報を探すのではなく、あらかじめ「知りたいことリスト」を持った状態でニュースや情報に触れることで、「これは自分のテーマに関係ありそうだ」というポイントに気づきやすくなります。 ChatGPT や Gemini などの対話型AIを使うときも、ざっくりとした質問ではなく、自分の前提や状況を踏まえた具体的な問いにしていくことがポイントです。 まず自分の感覚で考える SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のコメントやレビューを先に見過ぎると、自分の感覚が分からなくなりがちです。 まずは自分はどう感じたのかを一度整理してから、他人の意見を「材料」として取り入れることで、自分のレーダーやアンテナを鍛えていくことができます。 情報収集ではなく「情報探索」に切り替える なぜ「情報をたくさん集めているのに決断できない」のか 情報は集めているつもりなのに、いざというときに「結局どれを選べばいいのか分からない」「行動に移せない」という感覚はないでしょうか。 私自身も、自分の情報の取り方を振り返る中で、「ここに1つ、分かりづらいけれど原因があるな」と感じるようになったポイントがあります。それが、「情報収集」と「情報探索」を混同してしまっているという点です。 「情報収集」という言葉から自然に行ってしまいがちなスタイルは、たとえば次のようなものです。 すぐに役に立ちそうなノウハウやテクニックを 大量の情報の中から「宝探し」のように見つけ出して そのまま“ポン付け”しようとする ただ、このやり方だと、たとえ「すぐ使えそうなノウハウ」が見つかったとしても、 他の人も同じ情報にたどり着いていて、優位性にならない 自分の状況と本当に合っているかどうかの判断があいまい そもそも「そのまま使えるノウハウ」自体がそんなに多くない といった問題が出てきます。 ではどうすれば、自分の判断や行動につながる形で情報を“探索”して見つけていけるのか。ここが今回のテーマです。 「情報収集」と「情報探索」の違い まず、言葉の定義をはっきりさせておきます。 概念 イメージ 情報収集 目の前にある情報の中から、使えそうなノウハウやテクニックを拾ってくるイメージ。 情報探索 先に「自分は何を知りたいのか」「どんな判断をしたいのか」を考えた上で、必要な情報を筋道立てて集め、判断や行動につなげていくプロセス。 同じニュースを読んだり、同じ本を開いたりしても、 「ただ眺める」のか、「自分の判断のために読み解く(自社ならどう応用できるかを考えながら読む)」のかで、得られるものはだいぶ変わります。 この前提を押さえたうえで、ここから「情報探索」を実践するための2つ(+1)のポイントを整理していきます。 ポイント1:情報の「いいところ探し」をする ネガティブ情報が増えやすい理由 今の世の中を見ていると、ニュースサイトにしても、SNSにしても、多くの情報がネガティブ寄りになっていると感じませんか。 分断や対立をあおるような話題や、感情的なぶつかり合いのようなやり取りの方が、どうしても注目を集めやすいからです。その結果、SNSやネットニュースの世界では、ネガティブな情報や炎上しそうな話題が拡散されやすくなり、誰かを批判したり、何かを否定する情報が目に入りやすくなっていると感じます。 当然ですが、経営やビジネスの判断に使う情報としては、これだけではどうしようもありません。むしろ時間の無駄になることさえあります。 ネガティブな情報は、「これはやってはいけない」という選択肢を減らす役割にはなりますが、「では何をやるのか」というストレートな行動にはつながりにくいことが多いからです。 ネガティブ情報は「選択肢を減らす」役割にとどまりやすい 例えば、100個の選択肢があるとします。ネガティブな情報は、 「この2つは危ないからやめておこう」「このパターンだけは避けよう」 といった形で、せいぜい1〜2個の選択肢を消す役割を果たしてくれます。もちろん、それにも意味はありますし、重要な役割です。 ただ、100個あった選択肢が98個になっただけでは、次に踏み出す一歩はまだ見えてきません。そこで意識したいのが、「いいところ探し」です。 「ここはいいよね」を意識的に探す 他社の事例やニュース、誰かの意見を見たときに、最初から粗探しをしない。これがとても重要です。 具体的には、次のような視点で見ていきます。 「いろいろあるけれど、ここはいいな」 「この決断はすごいな」 「この部分だけなら、うちでも真似できるかもしれない」 どんな情報であっても、大なり小なり、 ここでこういう決断をしたのはすごい この場面でこうやって人を動かしているのは参考になる この一部分だけ切り出せば、うちでも試せそう といったポイントが、どこかに潜んでいることが多いです。 そこを意識的に拾っていくと、「やってはいけないこと」を知るだけでなく、「やってみてもいいこと」の候補が増えていきます。 そしてこの「やってみてもいいこと」は、ネガティブ情報のように「無数の選択肢の中からいくつか選択肢を消すだけ」ではありません。 「これをやってみよう」というダイレクトな行動に直結しやすい情報です。ポジティブに選んだ情報ほど、行動に結び付きやすいと考えています。 1. その場で言語化しておく ここで1つ注意点があります。「なんとなくいいな」と思っただけでは、時間が経つとその感覚を忘れてしまうことが多いです。 そこでおすすめなのが、次のような「考えの筋道」を、その場で軽くメモしておくことです。 なぜ自分はそれを「いい」と感じたのか どこが魅力的に映ったのか どんな場面でなら自社でも試せそうだと思ったのか ポイントは、完璧な分析をする必要はまったくないということです。 「多分こういう理由でいいと思ったんだろうな」という程度で構いません。 あとから見返したときに、自分の頭の中でどういう連想が起きていたのか、どの順番で「これやってみようかな」という気持ちになったのかが分かるくらいで十分です。 2. 「自分のやりやすい形」でメモを取る このときのメモ方法は、本当に何でも大丈夫です。 スマホのメモ帳に、思いついたことを打ち込む 紙のノートに、殴り書きで箇条書きしておく 移動中などは、音声で録音しておく 私自身は、打てる状況ならメモ帳に打ち込み、難しいときは音声で録音しておいて、あとから生成AIにまとめてもらうことが多いです。 昔は「音声を録ったあとに、もう一度聞き返して、自分で書き起こす」のが大変でしたが、今は ChatGPT や Gemini などの対話型AIに読み込ませれば、要約や整理を任せることができま

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  5. 2025/11/07

    第577回:中小企業がWebのパートナー選びでトラブルを避ける実務ポイント

    画像で内容のまとめ ポッドキャスト書き起こし 良いマーケティングエージェンシーを選ぶためのチェックポイント 今回は、Xのポストでも少し引用したのですが、マーケティングエージェンシーを選ぶ際に押さえておきたいポイントについてお話しします。これはウェブ広告に限らず、サイト制作やコンサルティングなど、皆さんのパートナーとなる会社を選ぶ際にも役立つ内容です。 こういったテーマは、どうしても業界ごとのポジショントークになりがちです。その業界で長く仕事をしていると、自然と特定の切り口で物事を見てしまいますし、商売としてそう発言せざるを得ない側面もあるでしょう。 私もなるべくポジショントークにならないよう心がけていますが、普段から中小企業の「現場主義」を掲げてコンサルティングを行っているため、どうしてもその視点が強くなる点はご容赦ください。 今回この話題を取り上げようと思ったのは、海外の中小企業向けマーケティング会社のCEOが書いた記事を読み、「なるほど、これは皆さんにシェアしたい」と感じたからです。その記事で挙げられていた項目を引用しつつ、私自身の経験や知見を交えて解説していきます。 今回の内容を聞いていただくことで、現在パートナーを探している方は、選定時の質問や検討の材料になるでしょう。また、すでに付き合いのある会社がいる方は、改めて関係性を見直すことで成果が出やすくなったり、今後の付き合い方を考える目安になったりするはずです。皆さんにとってより良い関係性を築くきっかけとして、今回のチェックポイントを活用していただければと思います。 海外の失敗事例から学ぶ、エージェンシー選びの重要性 今回ご紹介するのは、『Duct Tape Marketing』という会社のCEO、サラ・ネイ氏が書いた「Questions to ask before hiring a marketing agency」という記事です。 元記事はリンクを載せておきますので、ぜひGoogle翻訳などを使って読んでみてください。より中立的な視点が得られるかと思います。 10 Questions to Ask Before Hiring a Marketing Agency or fCMO https://ducttapemarketing.com/questions-to-ask-before-hire-a-marketing-agency/ 記事では、2つの極端な失敗例が挙げられています。 1. 内容を理解しないまま、高額なSEOサービスを3年契約してしまった 一つは、いわゆる「丸投げ」状態で、月8,000ドル(約120万円)のSEOサービスを3年契約で縛られてしまったケースです。成果については書かれていませんが、失敗例として挙げられている以上、おそらく出ていなかったのでしょう。月額120万円は、コンテンツ制作費を含んでいるかは不明ですが、中小企業から中堅企業にとってかなりの投資額です。 2. 広告アカウントの所有権がなく、トラブルになった もう一つは、月1万ドル(約150万円)をかけてGoogle広告を運用していたものの、広告アカウントの所有権が自社になかったために、トラブルに発展したケースです。 これらの事例は、導入を分かりやすくするためのものかもしれませんが、金額の大小はあれど、実際に起こりがちな生々しい話でもあります。特にSNS関連では、もっとドロドロした話も耳にします。 今回は誰かを批判することが目的ではありませんので、早速チェックすべきポイントについて見ていきましょう。 契約前に確認すべき7つの重要ポイント 1. 広告アカウントやデータの所有権は自社にあるか? 最初に出てくるのが、広告アカウントや解析ツールのアカウント、データの所有権を自社で持てるかという点です。 これは日本のまともな代理店であれば、口酸っぱく言っていることなので、常識になりつつあるとは思います。お客様自身でアカウントを作成してもらうか、代理店が作成して譲渡するなど、お客様がいつでも管理画面を見られるようにするのが一般的です。しかし、地方などでは「管理画面はお見せできません」という代理店がまだ存在するという話も聞きます。 確認すべき質問 「契約が終了した際、広告や解析ツールをスムーズに自社で引き継ぎ、管理・運用できますか?」 「広告費用やコンバージョン数など、管理画面で確認できるデータを、いつでも私たち自身が見られる状態にしてもらえますか?」 もし代理店から「自社のアカウント内で運用しているので切り離せません」といった説明を受けた場合は、本当に注意してください。 元データにアクセスできず、代理店が作成したレポート経由でしか数字を見られない状況は非常に危険です。まず、そうした古いやり方をしている会社であること自体がリスクですし、パートナーとして対等な関係を築く意識が低い可能性があります。 データは会社の生命線です。お互いがいつでもデータを見て、それに基づき意見交換をしながら改善を進めていくのが本来あるべき姿です。データを見せない、あるいは契約終了後にアカウントを譲渡できない会社とは、基本的に付き合わない方が良いでしょう。 また、「こちらで全部やりますから、皆さんは見なくていいですよ」といったように、クライアントを依存させようとする姿勢の会社も避けるべきです。「見方が分からないなら教えますので、ぜひ見てください」と言ってくれる会社を選びましょう。 2. 「成功の定義」は売上に繋がっているか? 次に、「何を成功とみなすか」が明確になっているか、という点です。 ここで注意したいのは、成功の定義がアクセス数、クリック数、SNSのフォロワー数といった、ウェブ上のデジタルな数字だけで完結していないか、という点です。これらはKPI(重要業績評価指標)にはなり得ますが、必ずしも売上に直結するとは限りません。 そうした指標だけを見て、「コンバージョンが増えましたね、良かったですね」で終わってしまう会社は避けましょう。 確認すべきポイント 増えたコンバージョンの「中身」まで気にしてくれるか? 「問い合わせ内容は悪化していませんか?」「営業に繋がらない問い合わせが増えていませんか?」といった確認をしてくれるか? 施策実施後、「その後の成約率はどうでしたか?」「見込み客の熱量はどうでしたか?」といった、最終的な成果まで踏み込んでくれるか? 特に最近は問い合わせフォームへの営業メールなども多く、ツールの設定によってはコンバージョン数が実態と乖離して跳ね上がることがあります。その数字だけを見て何の疑いもなく「成功です」と報告するような代理店は危険です。 クリック数やフォロワー数が業績と明確に連動していると双方で合意できているなら話は別ですが、そうでなければ、最終的な売上まで気にしてくれるパートナーを探しましょう。可能であれば、問い合わせ内容などを共有できる関係を築くのが理想です。 3. 短絡的な施策だけでなく、大局的な戦略はあるか? 個別の戦術、例えば「新しいページを作りましょう」「広告の出稿先を増やしましょう」といった単発の提案は出てくるものの、その背景にある大きな戦略が見えない会社は避けた方が良いでしょう。 ウェブマーケティングの競争は激化・飽和しており、短期的に「これをやれば上がる」という魔法のような施策はほとんどありません。「将来的にこういう姿を目指すために、今はこれをやります」という中長期的な視点に基づいた全体像がなければ、施策は場当たり的になり、投資対効果も悪化します。 確認すべき質問 提案された施策が「何を目的として」いて、「自社をどのような姿にするために」必要なのか、その意図を尋ねる。 提案された手段(How)だけでなく、その目的(What)や理由(Why)をきちんと説明してくれる会社を選びましょう。 手段だけを提案するのは楽ですし、実行するのも簡単です。しかし、それが成果にどう繋がるかはやり方次第です。 もし定例会などで提案された内容がよく分からなければ、「よく分かりません」と正直に伝えることが大切です。その質問に対して、きちんと相手に合わせて分かりやすく説明できるのが、本当に良いパートナーです。専門家の言うことだからと萎縮せず、臆せずに質問しましょう。そこで相手の本当の実力が見えてきます。 4. 契約終了後のプロセスは明確か? どんな契約にも終わりは来ます。契約が終了した後のことを明確にしてくれる会社を選びましょう。 特に伴走支援

    34分
  6. 2025/11/05

    第576回:Webマーケで対話型AIからより良い回答を得るコツをAIの仕組みから考える(自己回帰型トランスフォーマー)

    ChatGPTでがっかりした経験はありませんか? 今回は、対話型AI、特ChatGPTやGeminiについて、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。 ChatGPTのような文章生成AIを使った際に、「なかなか満足のいく回答が得られない」「思ったような品質にならない」と感じた経験はないでしょうか。 一度は軽い絶望感や、がっかりした気持ちを味わった方も多いかもしれません。その結果、「やっぱりまだ実用的ではないな」と感じ、使うのをやめてしまった方もいるのではないでしょうか。 このようなことが起こる大きな理由の一つは、私たちが対話型AIの「得意なこと」をきちんと把握していないからかもしれません。今回の内容を読んでいただくことで、ChatGPTやGeminiなどから、より質の高い、実用的な回答を引き出すヒントが得られるはずです。 そのためには、まずAIがどのようにして文章を生成しているのか、その仕組みを少しだけ知っておくことが近道になります。そこで本記事では、まずAIの仕組みを分かりやすさを優先して解説し、その上で「なぜ思った通りの回答が返ってこないのか」「どうすれば質の高い回答を引き出せるのか」について、具体的なポイントを解説していきます。 AIが苦手な「オープンクエスチョン」と得意な「条件付け」 生成AIから満足のいく回答を引き出せない方の使い方を見ていると、ある共通点に気づきます。それは、「オープンクエスチョン」をしてしまっているケースが非常に多いということです。 例えば、以下のような質問です。 「最高の〇〇を考えてください」 「我が社にとってベストで、他にないようなものを作ってください」 「最高の提案をしてください」 実は、AIはこのような漠然とした質問がとても苦手です。その理由は後ほどAIの仕組みの部分で詳しく説明しますが、まずはこの点を覚えておいてください。 では、逆にAIは何が得意なのでしょうか。それは、条件や関連情報を適切に与え、方向性を定めた上で、ゴールまでの道筋を模索させることです。つまり、入り口と出口がはっきりしている課題解決を得意としています。 「問いを立てる能力」の本当の意味 よく「AIを使いこなすには、問いを立てる能力が重要だ」と言われます。「問いを立てる能力」と聞くと、優れた質問をする力のように思われがちですが、本質は少し違います。これはむしろ、適切な「初期の条件付け」を行い、「どうなってほしいか」というAIにとってのゴールを明確に設計し、指示する能力だと捉えると、より具体的になります。 もちろん、考える過程をAIに手伝ってもらうことは有効ですが、すべてを丸投げして「とりあえず売上を上げるために一番やるべきことを教えて」のように質問すると、たいていは漠然とした、どこかで聞いたことがあるような一般的な内容が返ってくるだけです。 AIを使いこなすとは「丸投げ」ではない 「AI」と聞くと、どうしても「丸投げで答えを出してくれる魔法の道具」というイメージがあるかもしれません。しかし、本当にAIを使いこなす能力とは、丸投げする能力ではなく、AIが最も得意なことを、得意なやり方でやらせてあげる能力です。 これが上手な人は、AIから単なる情報ではなく、実務で本当に役立つ質の高いアウトプットを引き出すことができます。 なぜAIは平凡な回答しかできないのか?その仕組みを解説 では、なぜオープンクエスチョンではありきたりな答えしか返ってこないのでしょうか。その理由を理解するために、ChatGPTのような対話型AIが文章を生み出す仕組みを簡単に見ていきましょう。 文章生成の心臓部「自己回帰型トランスフォーマー(Transformer)」 少し専門的な言葉になりますが、ChatGPTなどは「自己回帰型トランスフォーマー(Transformer)」という技術がベースになっています。これは以下のような仕組みで動いています。 トランスフォーマー(Transformer) 単語を、様々な特徴を持つパラメータの集合体(ベクトル)に変換する仕組みです。ゲームのキャラクターに「素早さ」「力」「特殊能力」といった多数のパラメータがあるように、一つの単語を多くの側面から数値化して捉えます。 自己回帰型 直前の文脈(一つ前や二つ前の文章)を踏まえて、「次にどの単語が来ると最も自然か」を予測し、言葉を紡ぎ出していく仕組みです。 つまり、AIは与えられた文脈や情報に基づいて、最も適切と思われる単語を確率的に繋ぎ合わせることで、文章を生成しているのです。 AIは「既存の知識のつながり」から答えを見つける AIが単語を選ぶ際の根拠となるのは、「モデル」と呼ばれる膨大な知識データベースです。このモデルは、インターネット上のテキストなどを事前に学習(プリトレーニング)して作られた、いわばAIの脳みそです。AIの回答は、すべてこのモデルの中にある知識や単語同士のつながりが元になっています。 ここで重要なのは、AIはすでにある言葉と言葉の結びつきや、既存の概念を元にして答えを生成するという点です。「最高の提案」のようなオープンクエスチョンを投げかけると、なぜ平凡な答えが返ってくるのか。それは、特に条件が指定されていなければ、AIは世の中で「最高の提案」という言葉と一緒によく使われる、ごく一般的な単語の組み合わせを提示するしかないからです。「よくある質問」には「よくある答え」が返ってくるのは、ある意味で当然なのです。 「今までにないもの」が生まれない理由 「他社がやっていないこと」や「今までにないアイデア」を求めても、期待外れの結果に終わることが多いのも、この仕組みを考えれば理解できます。 「どこにもないもの」とは、言い換えれば「まだ言葉と言葉が結びついていないもの」です。AIは既存のデータのつながりを元に回答を生成するため、そもそもデータの中に存在しない、あるいは関連性が極めて薄い組み合わせを自発的に生み出すことは原理的に非常に困難です。 誰も思いつかないような突飛なアイデアは、AIのデータベース(モデル)の中では単語同士の関連性がないため、そもそも選択肢に上がってきません。このAIの基本原理を理解しておくことが、うまく付き合っていくための第一歩です。 AIから質の高い回答を引き出す3つのポイント では、どうすればAIの能力を最大限に引き出せるのでしょうか。それは、AIが苦手なことをさせるのではなく、得意な土俵で仕事をさせることです。具体的には、以下の3つのポイントが重要になります。 ポイント1:具体的な「条件付け」で考える範囲を絞る まず最も重要なのが、人間がAIのために適切な条件を与えることです。漠然と問いかけるのではなく、以下のよう考えるべき範囲を具体的に絞り込んであげましょう。 目的:何を得たいのか、何を実現したいのか、誰にどんな結果をもたらしたいのか。 制限・境界条件:予算の上限、使えるリソース(人員、時間)、関連する法律や規制、競合が強い領域など。 ここで欲張って条件を緩くするよりは、むしろ現実的な制約をできるだけ多く与える方が、AIは質の高い回答を出しやすくなります。絞り込みすぎたと感じたら、そこから一つずつ条件を緩めていく、というアプローチがおすすめです。これは、人間に仕事を依頼する時と同じだと考えると分かりやすいでしょう。 ポイント2:「うまくいった例」をデータとして蓄積する AIに良いヒントを与えるために、成功事例や参考情報をデータとして蓄積していくことも非常に効果的です。これは社内のナレッジとしても財産になります。 社内の成功事例:過去にAIを使って良い回答が得られた質問(プロンプト)と、その回答をセットで保存しておきましょう。Googleフォームやスプレッドシートのような簡単な仕組みで十分です。 外部の参考情報:他社の事例や業界の動向、新しい組み合わせで成功した商品のニュースなど、参考になりそうな情報をテキスト形式でまとめておき、AIに読み込ませられるように準備します。 こうした「うまくいった例」をAIにインプットすることで、AIは「こういう観点で言葉のつながりを探せば、良い答えにたどり着きそうだ」というヒントを得ることができ、回答の精度が格段に向上します。 ポイント3:「探索」と「深掘り」のフェーズを分ける 一つの質問で、

  7. 2025/10/24

    第575回:Google Analytics MCPサーバーは初心者は避けるべき理由と、そもそもの「ツールの選び方」とは

    ポッドキャスト一部抜粋 Googleアナリティクスの「MCPサーバー」本当に誰にでも便利なツールか? 今回は、Googleアナリティクスの「MCPサーバー」とは?そしてそれは誰もが使うべき便利なものなのか…?結論から言えば違います。ある程度データ解析やGAが分かっている人でないとリスクが大きいです。 詳しい内容は、Podcast本編をお聞き下さい。 Google アナリティクスの MCP サーバーを試す | Google for Developers Google Analytics MCPサーバーは誰のため?ツールの本当の価値と選び方 今回は、以前からお話ししようと思っていた「Google Analytics MCPサーバー」についてです。ただ、このテーマ、どうお伝えしようか考えていたのですが、必ずしもポジティブな内容にはならないかもしれません。 というのも、このMCP機能は自然言語、つまり私たちが普段話す言葉でAIに指示を出せることから、「分析が簡単になる」「民主化される」といったイメージが先行しているように感じます。しかし、私自身が深く向き合えば向き合うほど、これは分析に慣れていない方が安易に手を出すべきではない、少し注意が必要なツールだな、と感じています。 そこで今回は、MCPが本当に役立つのはどういう人なのか、という話に加えて、そもそも業務で使うツールとどう向き合い、どう選ぶべきか、という本質的なテーマに繋げてお話しできればと思います。 「新しいツールを導入したけど、結局使わなくなってしまった」「便利になるはずが、逆に手間が増えてしまった」そんな経験がある方にとって、きっとヒントになることがあるはずです。 Google Analytics MCPサーバーは、本当に初心者向けなのか? 結論:分析に慣れていないなら、まだスルーで良い まず、今回の話で一番お伝えしたい結論からお話しします。 もしあなたがWebサイト分析の初心者であるなら、「Google Analytics MCPサーバー」のことは、一旦忘れてしまって問題無いと思っています。 ここで言う「初心者」とは、例えば次のような方をイメージしています。 Googleアナリティクスに出てくる「指標」や「ディメンション」といった言葉の意味が、まだ曖昧にしか分からない。 それらのデータを組み合わせることで、どんな発見や気づきが得られるのか、具体的なイメージが持てない。 普段、アナリティクスの画面を見ても、なんとなくアクセス数を確認するくらいで、他のデータをどう活用すればいいか分からない。 もし少しでも当てはまるようであれば、現時点でMCPを無理に使う必要性は全くないでしょう。それよりも、まずはGoogleアナリティクスの画面に慣れ親しみ、そこにあるデータが何を意味しているのかを一つひとつご自身の言葉で理解していくこと。その上で、Looker Studioのようなツールを使って、自分の手でデータを可視化しながらレポートを組み立てていく経験を積む方が、はるかに実践的で有益です。 MCPが真価を発揮するのは「データと壁打ち」できる人 では、MCPはどのような人にとって強力な武器になるのでしょうか。 それは、一言でいえば「データと対話(壁打ち)ができる中級者以上の方」です。 具体的には、各指標の意味を正確に理解し、「このデータとこのデータを掛け合わせたら、こんなことが分かるはずだ」といった仮説をご自身の中に持てるスキルがある方です。 私自身がMCPをよく使うのは、例えば他のデータと組み合わせて、相関関係を探ったり回帰分析をするような場面です。そうした少し手間のかかる集計を、対話形式でスピーディに進められるのは大きな魅力です。 例えば、私のコンサルティングでは、毎月決まった数字を報告する定型レポートではなく、その時々の状況に応じてストーリーを組み立て、最適なご提案をすることを大切にしています。その場で「この角度から見たらどうだろう?」「このデータと組み合わせたら何が見える?」と、AIと壁打ちをしながら分析を深めていくような使い方には、MCPは非常によくマッチします。 逆に言えば、毎月決まった形式のレポートを作成することが主な業務であれば、MCPを使うメリットはあまり感じられないかもしれません。それならば、APIやBigQueryを使ってデータを確実に取得する仕組みを構築する方が、はるかに効率的でしょう。 MCPを使いこなすための注意点と、私の実践例 AIに「解釈」や「推論」をさせてはいけない MCPをある程度使えるようになった方でも、一つ注意していただきたい点があります。それは、少なくとも最初はAIに「解釈」や「推論」を求めない、ということです。 データの「集計」をさせるのは非常に有効です。しかし、その結果を元に「このデータから改善点を提案してください」とか「課題に優先順位をつけてください」といった判断を委ねるのは避けるべきです。 なぜなら、現状のAIから返ってくるのは、きちんとした前提条件付けなどを行わない会議リ、当たり障りのない、どこかで聞いたことがあるような一般的な内容がほとんどだからです。 例えば、AIはデータの中で変化率が大きい箇所を機械的に指摘してはくれますが、それがビジネス全体にどれだけの影響を与えるか、という視点が抜け落ちがちです。 例えば、全体のアクセスが10万ある中で、ある1ページの直帰率が20ポイント悪化した、という報告をさも重要そうに回答することがあります。 しかしこれは、1ページ当たりの数字の変化としては大きいですが、全体へのインパクトはごく僅かですよね。また、もし全体の数字へのインパクトが多かったとしても、ビジネス的にはどうでもいい変化もあるわけです(見込み客以外のアクセスが季節的に増えるページなど)。 先に検証やデータの設計がないと… この辺りは、何が大事で何が大事では無いのかというルール付けや、そもそもそのルールや重み付けを作れるように先に検証やデータの設計をしないといけないわけです。 それを行う前提であればいいのですが、それを「きっとAIはそこまで考えてくれる」と思ってMCPServerに関わらずAIに解釈や推論をさせると、「意味がない」ばかりか「適切ではない」方向に導かれる可能性すらあると感じています。 あくまで定量的な事実を集計・整理するためにツールを使い、そこからの解釈や判断は人間が行う。この線引きが非常に重要になります。これをしなければ、まだ使わない方がいいというのが私の考えなんですね。まずはWebUIから普通に使って覚えた方が良いです。 余談「数字を鵜呑みにしない」という言葉の本当の意味 ちなみに、時々、「AIが出した数字は鵜呑みにしてはいけない」というアドバイスを見かけますが、私はこの考え方に少し違和感があります。 なぜなら、そもそも信頼できないかもしれないデータを出してくるツールを使うこと自体が、時間の無駄に繋がる、と考えるべきでは?と思うからです。 ツールと向き合う上で本当に大切なのは、「どこまでの範囲で、どのような指示を出せば、出力された結果を100%信頼(鵜呑みに)できるか」という安全な領域を見極め、その仕組みを自分で作れるかどうかです。毎回「この数字は本当だろうか?」と疑っていては、効率化は望めません。 例えば、集計をさせる際に「どのカラムのどのデータを使って算出したか」を併せて出力させるように指示すれば、その結果が妥当かどうかを人間がすぐに判断でき、信頼性を担保することが可能になります。 ツール選びで失敗しないために、考えておきたいこと ここからは、MCPの話から少し視野を広げて、業務ツール全般との向き合い方についてお話しします。 ツールはあなたの能力を増幅させる「掛け算」 まず大前提として、ツールは「魔法の杖」ではありません。あなたのスキルがゼロの状態を、ツールが1から10にしてくれることは基本的にないのです。 ツールとは、あなたが持っている能力や、やろうとしていることを、より速く、より効率的に実行するための「掛け算」の役割を果たすものだと考えてください。つまり、あなたの能力を何倍にも増幅させてくれる存在です。 その価値は、大きく「省力化」と「能力の拡張」の2つに分けられます。この基本を理解しておくと、ツール選びのミスマッチを大きく減らせるはず。 「ピンとくるか」を一つの判断基準に 新しいツールを検討する際、その機能

  8. 2025/10/16

    第574回:中小企業の不安を無くし、良い回答を得るための「生成AIの必須設定」

    なぜ今、生成AIの「正しい使い方」を知るべきなのか 「ChatGPTを試してみたけれど、思ったような答えが返ってこない」「ハルシネーション(AIが嘘をつくこと)が怖くて、結局使わなくなってしまった」こうした経験はありませんか。特に、ChatGPTが話題になり始めた頃に一度触ってみて、その印象が更新されないままになっている方も多いのではないでしょうか。 しかし、人手不足が深刻化する現代において、AIを活用した生産性向上は、もはや避けては通れない経営課題です。現場で体を動かす仕事は人に頼るしかありませんが、それ以外の多くの業務はAIによって効率化できる可能性があります。今回は、ウェブマーケティングという分野に限定せず、すべてのビジネスパーソンが今日から実践できる、生成AIとの正しい付き合い方について、私の試行錯誤から得た知見を余すところなくお伝えします。 まず押さえるべき、生成AI活用の2つの大前提 AIツールを使いこなす上で、まず共有しておきたい大切な前提が2つあります。ここを誤解してしまうと、「AIは使えない」という結論に至りがちなので、しっかりと確認していきましょう。 前提1:有料プランへの投資を惜しまない 多くの生成AIツールには無料プランがありますが、ビジネスで本格的に活用するなら、有料プラン(ChatGPTの場合は月額3,000円程度の「Plusプラン」など)の利用を強く推奨します。このコストを惜しんではいけません。企業であれば、福利厚生の一環として導入するのも一つの手です。 なぜなら、有料プランにはコストを上回る明確なメリットがあるからです。 回答速度の向上:何より、遅いのは一番のストレスです。思考が中断されず、スムーズな対話が可能になります。 上位モデルの利用:より高精度で賢いAIモデルが使えるため、回答の質が格段に向上します。 便利な機能の解放:後述する「カスタム指示」の高度な設定や、定型作業を自動化する「GPTs」など、業務効率を飛躍的に高める機能が利用可能になります。 この投資は、必ず元が取れると断言できます。まずは使い倒そうと考えている方だけでも、有料プランから始めてみてください。 前提2:AIは「20→80」を担うパートナーと心得る 次に重要なのが、AIへの「期待値の調整」です。物事を0から100までのプロセスで考えたとき、AIが最も得意とするのは、20から80までの部分、つまり「ある程度の方向性が見えているものを、具体的な形に仕上げていく」作業です。 逆に、0から20の「全く新しいアイデアを生み出す」部分や、80から100の「個別の状況に合わせて細部を詰める」部分は、人間の深い洞察力や経験が必要であり、AIはあまり得意ではありません。「〇〇業界で、集客できる新たなプランを10個考えて」といった漠然とした指示では、AIは一般的な当たり障りのない回答しかできません。これはAIの能力が低いのではなく、問いの立て方、つまりAIへの依頼の仕方が適切でないのです。 AIはあくまで、人間の思考を加速させる「掛け算」のツールです。まずは人間が「叩き台」となるアイデアや方向性を用意し、それをAIに渡して磨き上げてもらう、という付き合い方を意識しましょう。 ChatGPTをビジネス仕様に育てる具体的な設定方法 ここからは、ChatGPTをより強力なビジネスパートナーにするための具体的な設定について解説します。これらの設定は、一度行っておくだけで、その後のAIとの対話の質を大きく向上させます。(ChatGPTを前提に話しますが、Geminiなど他のツールでも基本的な考え方は同じです) カスタム指示:AIを「従順な部下」から「有能な参謀」へ 「カスタム指示(Custom Instructions)」は、ChatGPT全体の応答スタイルをあらかじめ設定しておく機能です。ここに適切な指示を書き込むことで、AIの応答品質は劇的に変わります。特に重要なのが、以下の3点です。 1. AIの「迎合性」を破壊し、「自分の脳の外側」に出る 対話型AIは、その仕組み上、ユーザーが望むであろう回答を返すように最適化されがちです。あなたが提示した意見に同意し、プランを肯定する。これでは、あなたの思考の範囲を超えるアイデアは永遠に生まれません。ビジネスでブレークスルーを起こすには、自分の中にはない視点や、計画の盲点を突くような意見こそが必要です。 そこで、カスタム指示に「返信は常に中立な立場で、懸念点などがあれば批判も含めて回答するようにしてください」といった趣旨の一文を必ず加えてください。これにより、AIはあなたのご機嫌取りをやめ、客観的な分析者として機能し始めます。耳の痛い指摘を恐れず、AIに健全な緊張関係を強いること。これが、思考の壁を打ち破るための鍵です。 2. 「引用なき情報」を排除し、意思決定の質を高める AIが生成するもっともらしい嘘、「ハルシネーション」はビジネス上の大きなリスクです。「論拠(ソース)のないデータに価値はない」という鉄則を、AIとの対話にも適用せねばなりません。 そこで、「回答は『事実』と『推論』に分けて記載し、事実には必ず引用元を提示してください」という指示を追加します。これにより、回答のどの部分が信頼できる情報で、どの部分がAIのアイデアなのかを明確に区別できます。「事実」は引用元を辿って裏付けを取り、「推論」はあくまでアイデアとして吟味する。この一手間が、誤った情報に基づく意思決定を防ぎます。 3. 言葉遣いを調整し、コミュニケーションを円滑に AIの回答は、時に専門用語が多かったり、体言止めで分かりにくかったりします。「自然で平易な日本語で回答してください。専門用語は、最初の一回だけ意味を括弧書きで補足してください」のように、読みやすい文章スタイルを指示しましょう。「高校生にも分かるように」といった具体的なレベル設定も有効です。これらの指示は、使っていく中で気になった点を「今後こうならないように指示を追加して」とChatGPT自身に聞き、随時更新していくのがおすすめです。 プロジェクト:専門分野ごとの役割を与える カスタム指示はあくまで「全体設定」です。「〇〇の専門家として回答して」といった役割設定をここに入れてしまうと、レストラン選びのようなプライベートな相談のときにも専門家として振る舞ってしまい不便です。 そこで活用したいのが「プロジェクト」機能。これはフォルダのようなもので、「マーケティング相談用」「会計相談用」といったプロジェクトごとに、専用の指示を設定できます。これにより、相談内容に応じてAIのペルソナを切り替えられるのです。私の場合は、スマホで閲覧するために「出力をコンパクトにまとめる」といった見た目の調整用プロジェクトも作っており、こうした使い分けも非常に便利です。 GPTs:定型作業を自動化する専用ボットを作る レシート画像を読み込ませて経費の仕訳をさせたり、議事録の音声を要約させたり、といった繰り返し行う定型作業は「GPTs(ジーピーティーズ)」機能を使って自動化しましょう。 これは、特定の目的に特化した自分だけのオリジナルAIチャットボットを作成できる機能です。 一度設定してしまえば、あとはファイルを渡すだけでAIがよしなに処理してくれるようになります。こうした定型作業を一つずつGPTs化していくことで、あなたはより創造的な業務に時間を使えるようになります。この機能も有料プランでのみ利用可能です。 AIの能力を最大限に引き出す質問(プロンプト)のコツ ここまでの設定を終えたら、あとは「いかに上手に質問するか」が鍵となります。基本は、あなたが他の人に何かを相談したり、仕事を依頼したりする時と同じように、丁寧な情報提供を心がけることです。 私が意識しているのは、「現在・過去・未来」のフレームワークです。「(過去)これまで〇〇という経緯があり、(現在)今△△という状況です。(未来)最終的に□□という状態を目指しています。そのために、こういう方法を考えていますが、これについて評価と、具体的な実行ステップを提案してください」というように、背景や目的、そして自分なりの叩き台を伝えることが重要です。 AIからの回答がしっくりこなかった場合は、一人で悩む必要はありません。「正直、今の回答はいまいちでした。より精度の高い回答を得るた

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番組について

WebマーケティングやWeb活用で手が止まってしまったり、悩んでいる中小・小規模事業者の皆様へ、根本的なウェブに対する考え方・捉え方をお届け。

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