Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」

ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表 中山陽平

WebマーケティングやWeb活用で手が止まってしまったり、悩んでいる中小・小規模事業者の皆様へ、根本的なウェブに対する考え方・捉え方をお届け。

  1. 2日前

    第603回:地方自治体のAI研修の現在と、押さえておきたい一つの事例紹介

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 今回は、自治体が行っているAIの支援と、福岡県北九州市の訪問看護会社の事例を取り上げます。中小企業で「AIを使ってみたいけれど、何から始めようか」と考えている方には、自治体の研修が入口になると思います。ただ、会社で使われるようになるところまで考えると、ツールを知るだけでは足りない。そのことを、事例を読みながら感じました。 自治体のAI研修は、どんどんレベルが上っている うちはAI支援だけをしている会社ではありませんが、Webの仕事でもAIを避けて通る理由はないので、一緒に扱っています。そこで最近感じるのは、国や自治体の力の入れ方の強さです。 Webサイトが一気に増えた2000年代前半にもセミナーはいろいろありましたが、今のAI支援はそれ以上ではないかと感じるくらいです。 無料の説明会や支援が各地で開かれています。内容も、少し前は議事録を取るとか文章を直すとか、比較的やさしいものが多かった印象です。 ところが、今回見た千葉市の事業者向けセミナーは、Claude Coworkを実際に操作し、複雑な作業手順の見える化や業務の自動化まで扱うという内容でした。参加者がノートPCを持参する実習型です。市内の事業者が対象で、参加費は無料と案内されています。 「何から始めたらいいか分からない」という方は、こういう場に一度触れてみてはどうでしょう。以前、何かの分野を知りたければ本を2冊読むといい、と言われたように、いくつかの研修へ出てみて、自分たちに響くものを見つける。それでもいいと思います。 一方、一般的なAIの使い方を教えるだけの民間サービスは、これから難しくなるかもしれません。 無料の支援がかなり実践的になっているからです。業界への深い知見や、会社の中で仕組みを動かすところまで伴走できることがなければ、ゼロからその事業を作るのは危ないのではないか。これは、支援する側にいる私自身が感じていることでもあります。 ツールを目的とせず、誰のためのDXかを考えるところから 研修を受けた先、自分の会社でどう使っていくか。そこで参考になったのが、J-Net21で紹介されていた北九州市のプーラビダ株式会社の事例です。訪問看護を行う会社で、社員が40人規模に増えるなか、社長と現場の間で意思疎通が難しくなり、コロナ禍も重なって離職率が83.3%まで上がっていたそうです。 私が面白いと思ったのは、単に「AIを入れたら生産性が上がった」という話ではないところです。当初はDXをコスト削減の観点で進めていました。 Google Workspaceを導入しても、現場からは「これまでのやり方で何が悪いのか」という反発があり、使っていたのは最初は2人だけだったといいます。40人規模の会社で2人。便利なツールだと経営者が言っても、それだけでは広がらないんですよね。 そこで「人を守るためのDX」へ目的を変えた。働く人の負担を減らし、働きがいを作るために使う。その転換が大きかったのだと思います。ただ、記事では簡潔に書かれているこの転換こそ、実際の会社で真似すると一番難しいところかもしれません。経営者が言い方を変えただけで、現場がすぐに信じてくれるわけではないでしょう。 事例の中で:報告書という身近な仕事で、まず社員への利点を見せる 事例で取り組みの入口になったのが、毎月作る訪問看護の報告書です。利用者一人分に1時間以上かかっていた作業を、Geminiの活用で大きく短縮できたと紹介されています。 会社全体の生産性が10%上がる、と言われても、現場で働く人にはなかなか実感しにくいですよね。でも、「毎月の報告書が早く終わる」と言われたら、自分の仕事との関係が分かります。 そこから社内で使う人が増え、情報の共有や社員同士で教え合う動きにもつながっていったようです。失敗を責めない雰囲気を作ることも欠かせなかったと思います。 AIを使ったことがない人へ「使え」とだけ言い、失敗したら責める。それでは試す人が減るか、失敗を隠すようになるでしょう。ツールの操作以前に、会社の空気を変える仕事があったのだと感じました。 事例の中で:浮いた時間を、人を減らすために使わない 私が特に引っかかったのは、報告書の時間が減った後に、その時間をどう使ったかです。「これだけ空いたのだから、人を減らせる」と考えるのではなく、看護師の研修や資格取得に回している。社員にとっても新しい仕事に取り組めるようになり、会社としてもできることが増える。こういう使い道なら、社員が「自分のための改革だ」と感じやすいと思います。 J-Net21の記事では、離職率が83.3%から7.7%へ改善し、生産性も約1.5倍になったと紹介されています。大きな数字です。ただ、AIを正しく導入すれば、どの会社でも同じ変化が起きるとは思いません。 経営側の姿勢、情報共有、教育、評価、働く人との関係など、いくつものことが重なった結果でしょう。AIだけの成果として読んでしまうと、この事例の肝を見落とす気がします。 記事では、目的を変えたことや社員同士で教え合ったことが伝わります。でも、その途中でどんな反発があり、どう信頼してもらったのかは、自分の会社へ持ち帰るときに一番悩む部分かもしれません。成功事例は、その難しい過程が短く見えがちです。自社でもすぐ同じ数字を出そうとするより、現場の人にとって何が楽になり、その時間をどう使えるのかを具体的に示すところから考えたいですね。 まとめ:研修で知ったAIを根付かせるためには 自治体の無料研修は、AIへ実際に触れるよい入口になっています。会社へ持ち帰った後は、ツールの導入自体を目的にせず、身近な仕事で社員にとっての利点を示せるかが問われます。 プーラビダの事例では、報告書作成の負担軽減だけでなく、空いた時間を研修や資格取得に使い、情報共有や社内の雰囲気も変えていました。数字の改善はAI一つだけで説明できるものではない。その点も含めて参考になる事例だと思います。 引用元・参考情報 千葉市:事業者向け生成AIセミナーの案内 J-Net21:プーラビダ株式会社のDX事例 引用元・参考情報 Google Search Console ヘルプ:検索パフォーマンス レポート Google Search Console ヘルプ:データの異常 Google 検索セントラル:Search Console と Google アナリティクスのデータを使う 配信スタンド Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ) https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhong-shan-yang-pingno-non/id750899892 YoutubePodcast(旧:GooglePodcast) https://www.youtube.com/user/WebMarketingJAPAN Spotify https://open.spotify.com/show/0K4rlDgsDCWM6lV2CJj4Mj Amazon Music Amazon Podcasts ■Podcast /Webinar への質問は こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7 運営・進行 株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング) 代表取締役・コンサルタント 中山陽平 Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/ 投稿 第603回:地方自治体のAI研修の現在と、押さえておきたい一つの事例紹介 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。

  2. 5日前

    第602回:サーチコンソールをKPIに使う際の注意点とは?実は不透明な公式ツールについて

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 今回は、GoogleSearchCosoleとどう向き合うかという話です。 Google アナリティクスと並んで、Webサイトを運用している方なら使っていることが多いツールだと思います。ただ、表示回数やクリック数を昨年と比べて、「増えたから成長した」「減ったから悪くなった」と判断することには、かなり慎重でいたほうがいいと感じています。 SearchCosoleの数字はどんどん時系列での分析に使いづらくなっている GA4のように定量的なデータがたまっていて、昨年や一昨年との比較ができる。SearchCosoleにも、検索結果でどのページがどんなクエリに出て、何回表示され、何回クリックされたかが見えます。だから表示回数やクリック数をKPIにしている方も多いですよね。 ただ私は、これを長い期間の成長度合いを正確に比べるためのデータとして、そのまま受け取らないほうがいいと思っています。SearchCosoleが壊れていると言いたいわけではありません。検索結果の形が変わり、AIを含むいろいろな見え方が増えるなかで、今の画面と数字だけで捉えるには限界がある、ということです。 私なら、直近の30日や3か月で「今、どのページがどんなふうに見られているのか」をつかむために見ます。1年前との比較も参考にはしますが、その差をそのまま事業の成長と読み替えません。検索パフォーマンスの表は軽く現状を見る場で、インデックスの状況やGoogleとの間接的なやり取りも、SearchCosoleの大きな役割だと考えています。 変わった理由はさまざま、発表されていることも、ないことも 先日、Googleのジョン・ミューラー氏がAI ModeやAI Overviewを含む検索結果での掲載順位や表示回数の測り方に触れていて、今後も検索サービスの変化に合わせて変わり得るという話をしていました。 そこは当然だと思います。ただ、過去の数字と今の数字を同じ物差しとして比べる側からすると、簡単な話ではありません。 これまでも内部の不具合、画像や求人などの集計基準の変更で、グラフが変わったことがありました。画面に黄色い線が入って「ここから変わりました」と分かることもあります。 でも、どのクエリが何%変わったので、過去の数字をどう補正すればいいのか。私の知る限り、そうした具体的な補正方法まで示されることはほぼありません。 さらに、プライバシーのために見えないクエリがありますし、フィルタをかけると数字が大きく欠けて見えることもあります。画面で見られる期間にも限りがあります。長く持っておきたいなら、BigQueryなどへ出しておく必要がありますね。 外部からのアクセスも無視できません。順位測定のツールやボット、AI系の仕組みが検索結果へアクセスすると、私たちが「人の検索」と思って見ている数字が揺れます。いわゆるnum=100を使った順位測定の問題もありました。Googleも対策をしていますが、完全に取り除くのは難しいでしょう。こうした要因が重なっているので、前年同月比だけを見て原因まで決めるのは危ういと思うのです。 もし有料の分析基盤として年間大きな費用を払っているものなら、計測基準が変わったときに補正の目安が欲しいですよね。無料だから仕方ない、で済ませる前に、そもそも何を期待して使うツールなのかを考え直したほうがいいのではないでしょうか。 表示回数やCTRが急に動いたとて、ツールのせいか自分のせいか分からないことが増えている 実務でも、「表示回数がものすごく増えた」と感じる場面がありました。AI絡みの検索結果が広がった時期には、表示回数が急に増えたり減ったりしました。表示回数だけ増えればCTRは下がります。そこで慌ててタイトルやディスクリプションを変えるべきなのか、競合が入ったのか、と考えたくなります。 でも、検索結果での表示の仕方や数え方が変わっていただけ、ということもあり得ます。クリックされにくい場所への表示まで数字に入っていたら、CTRの変化の読み方も変わります。先にそういう事情を知りたかった、と思うことはありますね。 うちでも表示回数はKPIに入れています。ただ、急増を見てすぐ「SEOがうまくいった」とは言いません。 どのページが出ているのか、何が変わったのかを見て、GA4のランディングページのデータなどとも突き合わせます。表示回数は多いのにCTRが低いページを見つけて、次に確認するコンテンツの優先順位を考えることもあります。反対に、今週少し下がったからといって、毎回細かく原因を追い続けることはしません。 インデックスの確認と、ゆるやかなモニタリングに使う程度がよいか? SearchCosoleは、現在の検索で自分たちのサイトがどんな状況かを見て、インデックスされていないページがあればその理由を探る。 Googleとの間接的なコミュニケーションの場として捉えるのが、私は自然だと思います。もちろん、データを取り出して他のツールと丁寧に合わせれば、分析の精度を上げる余地はあります。 ただ、ここで話しているのは、中小企業でWebを兼務している担当者の方が、日常の仕事のなかでどう考えるか、ということです。分析の流儀を突き詰めればきりがありません。 そうした担当者にとっては、数字を参考値として見ながら、今何が起きているかを把握し、必要なところへ手を付ける。そのくらいの距離感が合っているのではないでしょうか。 AI ModeやAI Overviewが広がり、さらに対話型AIで課題を解決する人も増えると、お客さんが何をどう調べたかはますます見えにくくなります。かつては、オンラインならリアルの世界よりもいろいろなことを数字で分かるのが強みでした。今は、オンラインでもきちんとお客さんを理解して、必要な相手に届くようにする。商売の基本に戻ってきているなと感じます。 まとめ:SearchCosoleは現状把握のために使う 表示回数やクリック数の前年比は参考になりますが、その差だけでサイトの成長や施策の成否を決めるのは慎重にしたいところです。 集計方法、検索結果の形、外部からのアクセスなどで数字が揺れます。私はインデックス状況と現在の見え方を確認し、大きな変化があればページごとの状況やGA4のデータと合わせて見ています。数字を追う先にいるお客さんを見失わないことも、同じくらい大切だと思います。 引用元・参考情報 Google Search Console ヘルプ:検索パフォーマンス レポート Google Search Console ヘルプ:データの異常 Google 検索セントラル:Search Console と Google アナリティクスのデータを使う 配信スタンド Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ) https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhong-shan-yang-pingno-non/id750899892 YoutubePodcast(旧:GooglePodcast) https://www.youtube.com/user/WebMarketingJAPAN Spotify https://open.spotify.com/show/0K4rlDgsDCWM6lV2CJj4Mj Amazon Music Amazon Podcasts ■Podcast /Webinar への質問は こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7 運営・進行 株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング) 代表取締役・コンサルタント 中山陽平 Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/ 投稿 第602回:SearchConsoleの数値をKPIに使う際の注意点とは?実は不透明な公式ツールについて は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。

  3. 9月16日

    第601回:中小企業のAI導入の最大の敵は「最短で成功しようとすること」です

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 今回は、AI導入の成功事例や調査が、自分たちの会社にとってどのくらい参考になるのかという話です。AIの導入が進んできたと言いますが、いろいろな調査を見ると、各社で温度差があります。導入していても文字起こしなどの細かい用途だったり、もっと全社的に使っていたり、様々です。 そのとき、参考にするのが「AI導入で生産性が何パーセント上がった」といった調査やニュースだと思います。気になりますよね。それをそのまま自分たちにも適用できるのではないか。同じことをすれば、すぐにとは言わないまでも、同じような成果がスムーズに手に入るのではないか。そう感じるのも仕方ないと思います。ニュースやページ自体も、そういう構成になっていますからね。 こういう話をすると、「成功事例は当てにならない」「情報の出どころや裏を読まなければいけない」という話だと思われるかもしれません。そうではなく、事例をスタート地点として、うちはどうしようかなと考えながら使っていく。そのあたりを、METRというアメリカの非営利研究機関のデータも交えながらお話しします。 成功事例の「試行錯誤」を読み飛ばさない 成功事例を疑えということではありません。ただ、事例の裏側はストレートには書かれていないんです。皆さんが事例を見るのは、できるだけ失敗したくないからですよね。この使い方にはAIが向いている、この使い方には向いていない。そもそも中小企業がAIを導入することは有益なのか。先に情報を集めて、失敗を避けたい。今の社会では、特にそう考えがちだと思います。 私も全ての事例を見ているわけではありませんが、多くの場合、書かれていないところで思い通りにいかないことを乗り越え、最終的に成果が出ています。失敗していないわけではないんですね。ぐるぐる回りながら、結果的にうまくいったという形です。 でも、表面上は「いろいろな試行錯誤を経て」「うまくいかなかったことへのフィードバックをもとに」と、さらっと書かれている。そのため、読む側はスルスルとうまくいったような印象を受けます。自分たちでやってみて、いきなり失敗すると、「うまくいかないじゃないか。これじゃない。別のことを参考にしよう」となってしまう。それが、とてももったいないと思っています。 AIを受け入れる素養や状況、業種業態など、現場には多様性があります。巷の情報がそのまま当てはまるわけではない、ということをお話ししたいんです。 AIの改善率を見るときは、調査の条件も確かめる METRが2025年前半に行った実験が、一部で話題になりました。経験豊富なオープンソースの開発者に参加してもらい、報酬を払って、普段の仕事を「AIを使ってはいけない」「AIを使ってもよい」という条件にランダムに割り当てた実験です。 その結果、AIを使った方が平均で19%時間がかかった。業務を効率化できるという話だったのに、この条件ではトータルで遅くなっているじゃないか、と。「そもそもAIってどうなの」という話にもなりました。 もちろん、業務の範囲など、どこまでを境界条件にするかはある程度恣意的になってしまうので、そのやり方が適切かという議論はありました。ただ、目の前の作業工数が10分の1になったとしても、付随する業務の負荷まで考えると、うまくいかないこともあるということです。 DeNAの南場さんのお話でも、確か、社員の仕事時間を短くするだけではなく、会社の生産性を上げるところを見ないといけない、という話がありました。ただ使って、普段やらなくてもよいことまでAIでやって、本来取り組みたかった新規事業に時間を振り分けることにつながらなかった。AIによる生産性向上だけをKPIにするのではなく、もともとの上流の目的を大事にする、という話にもつながります。 そのMETRが2025年後半に同じような研究をすると、結果が変わっていました。前回はAIを使った方が時間がかかりましたが、今度は短縮していた。 単純に考えると、対象が世界を代表しているかは別として、AIの使い方に習熟してきたのかなと思いますよね。ただMETRは、この結果を現在のAIによる生産性向上率として使うのはよくない、としている。そこが興味深いんです。これだけ調査をしても、実態をそれほど反映していない可能性がある、と結論づけているんですね。 各社が出している「こうすればうまくいきます」というメソッドも、取り入れたからといって自分たちが同じ効果を得られるわけではない。この話にもつながります。 なぜそういう結論になったのか。報酬を下げたなど、いろいろな要因はあるのですが、一つは、調査に参加してくる人が違うことです。人間が関わる調査は、参加するかしないかという段階で、すでにバイアスがかかっています。 普段の仕事をAIなしでやってくださいと言われれば、10倍ぐらいの時間がかかることもあります。その負担に対して報酬が低ければ、普段からAIを使って生産性を上げている人が参加するかというと、乗ってこないでしょう。前回と比べて参加者の属性が変わっていると、METRは言っているわけです。 また、普段のタスクをAIあり・なしに割り当てるので、「この仕事でAIなしに割り当てられるのは困る。報酬も低いし」という仕事は、実験に出さない人もいた。そうなると、実験全体の前提条件にかなりバイアスがかかります。 これは調査の良し悪しの話ではありません。少数のサンプリングによって得られたAIの生産性や、どの業務に向いているかという結果を、あらゆる業務、会社規模、人に適用できるわけではない、と結論づけるのは誠実だと思います。 調査を信頼するなということではなく、出発点として使うのはいい。ただ、それで失敗を避けられる、それに沿えば自分たちも同じようにできる、とは考えない方がいいんです。 他社でうまくいった方法を、自社の現場に合わせる 例えば、「AI導入によって30%効率化しました」とします。これはMETRの調査ではなく、仮の例です。「うちも30%とはいかなくても、15%や20%はいけるのでは」と思ってしまいます。でも、関わる人、権限、仕事の内容、意思決定の仕組み、トップの考え方が違う。タイミングや運も含めて、全然変わります。 エッセンスとして取り入れられる要素は、取り入れていいんです。ただ、それを自社に根づかせる、受け入れてもらう部分は、現場ごとに判断するしかありません。同じ業種、同じぐらいの規模で、私がどちらの代表も知っていても、浸透度が全く違うことはよくあります。 例えば、顧客管理をしてこなかった会社で、新しいツールには抵抗がある。でも皆さん、普段Gmailを使っている。それならGoogle Workspaceを導入し、Google Apps Scriptで簡易的な顧客管理の仕組みを作ってみましょうか、と提案する。3か月ぐらいで形になるパターンもあれば、作ったけれど全然使われないパターンもあります。その差は千差万別です。 ここで「こうすればいい」という答えはありません。決まったメソッドを言う人がいても、そのまま素直に受け取っていいのか、考えたいところです。ゴールに向かって、自分たちの会社ではどうすればいいかを、その場その場で考える必要があります。 ツール選びで立ち止まるより、使って知見をためる どのAIツールを使うかも議論になりますね。Gemini、OpenAI系のChatGPTやCodex、Claudeなどがあります。 「どれを使えばいいですか」と聞かれますが、多分使ってみないと分かりません。Geminiがいい人もいますし、他のGoogle製品との連携や、クラウドへの接続が合う場合もあります。お客さんがGoogle Workspaceを使っていれば、Google Apps Scriptで組んだものをスケールさせるとき、クラウドにつないで使いましょうか、となるケースもあります。 逆に、ChatGPTで使うプロンプトが社内にたまっていれば、別のベンダーを介したり、Cloudflareを使ったりすることもあります。本当にケースバイケースです。 どれが一番コスパがいいかと考えて立ち止まっているなら、複数使ってみた方がいい。企業では基本的に有料版を使うべきだと思いますが、毎月1回でも2回でも、どれがよかったかを話す勉強会を開く方が、はるかにいいと思いま

  4. 9月8日

    第600回:企業のAI導入はどう進める?人員削減より先に決めるべきこと

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 最近、AIを会社の中に浸透させるにあたって、「人間がAIに仕事を取られる」と思われてしまう職場と、そうではなく共存できる職場の違いを感じています。今回は、そのあたりをお伝えできればと思います。 ただ、本当に私の肌感覚です。普遍的な話や原則論というより、何かのきっかけとして、ゆるりと読んでいただければと思っています。 うちのお客さんは中小企業の方々がほとんどなので、Web担当者も兼務という方が多いんですよね。私はむしろ、兼務の方がいいと考えています。現場を知っていて、実務のことが分かる。お客さんへ価値を提供する現場との距離が近い方が、Webも活用しやすいからです。 AI導入が「新しい負荷」と受け取られていないか AIと人間は、当然、仕事の領域が被ります。今まで人間がやっていた仕事の一部をAIに代替させるのが基本的な流れなので、完全な住み分けなんてできないですね。 そこでよくある反発が、「人員削減をするんじゃないか」「これ以上人を取らないために、自分たちがAIを使って何倍も働かなきゃいけないのではないか」というものです。 働く時間が何倍にもなるわけではないかもしれません。でも、AIを使って生産性を高めなければいけない。それが、自分たちに新しい仕事の負荷をかけられているように受け取られてしまうんですね。 そうなると、実は興味があっても、なんとなく使いづらい。会社の中でAIを使っている人への風当たりが、なぜか強くなってしまう。そういったことが起きがちだなと思っています。 人がやるとバリューが上がる業務を、現場と一緒に確かめる じゃあ、どう考えればいいか。まず、自分たちの会社の中で「ここは人間がやるとバリューが上がる」という点を、早めにあぶり出しておくんです。 お客さんがすごく喜ぶ、お客さんに対する反応の質が上がる、サービスの質が上がる。そこに集中してもらうために、直接関係のない仕事をAIによってできるだけ省力化する。そういう持っていき方をすると、結構スムーズにいくケースが多いかなと感じています。 もちろん、このやり方で全てが解決するとは思っていません。毎日の仕事の何がうれしいかは、人によって違いますよね。ホラー映画やジェットコースターが好きな人もいれば、苦手な人もいるのと同じです。 同じ仕事をコツコツ続けていくことが、すごくうれしいという方もいます。そういう方にとっては、AIはやっぱりつらい存在ですよね。その仕事がものすごく速く、得意になっていくので、「人間に任せるより」となってしまう。ここを掘り下げると別の領域の話になるので、今回は組織としての話の持っていき方に絞ります。 上の方は、人員削減、コスト削減という方向でAIを語ってしまうケースが多いなと思っています。それよりも、「ここは人間がホスピタリティを持ってやりたい」「まだまだ人間がやるべき領域だから、会社のリソースをなるべく突っ込みたい」というところを、先に把握したいんです。 理想論だけで決めず、現場にちゃんと確認する。そのうえで、「ここに注力しよう。それ以外の作業が減ったら、ここでもっといろんなことができるよね」と話をしていく。 特に中小企業は、新しく人を雇おうとしても、なかなか取れません。だったら、AIに任せられる仕事は任せましょう、と。 「会社としてやりたいことに集中してもらうため、ここにAIを使いたい。最初は慣れないかもしれないし、なんとなく気持ち悪いということもあると思う。だけれども、もっといい会社にしていくために、気持ちよくお客さんから感謝をもらえるところに集中したいんです」 こういう話の持っていき方をするだけで、かなり変わるなという印象を受けています。 経営者が見ている結果だけでなく、そこまでのプロセスを伝える AIに対する見方は、話の持っていき方で相当変わります。特に、一番最初の導入のときはインパクトが大きいんですよね。 そこで「人間の仕事をみんなAIが奪っちゃう」といった過激な話をそのまま持ってきたら、不安になりますよ。自分が生きていくための糧が、なくなってしまうかもしれないと思うわけですから。 そこは理解したうえで、みんなで、AIも含めて協力して作っていく。そういう雰囲気を作るのが、実は一番大事なんじゃないかなと思います。 これも感覚ですけれど、経営者の方は先を見ているので、どうしても、その先にある結果だけを話すんですよね。結果だけ話されても、現場の方は「いきなり何の話をしているんだ」「自分たちはもういらなくなるのか」となりがちです。そこまでのプロセスを、ちゃんと説明してあげたいんです。 中小企業にとっての問題は、「人を減らしたい」よりも、「減らしたくないのに辞めちゃった」じゃないですか。人がいなくなった。でも補充が来ない。応募が来ない。賃金を上げても来ない。どうしよう、回らない。 そういう不安定さを、AIを使ってできるだけ減らしていく。その方向が効くと思います。経営者としても、安定して任せられる部分が増えるほど、安心できるんじゃないでしょうか。 お客さんとのやり取りから、人に残したい判断を考える 人間だから喜ばれる仕事が何かは、本当に会社によります。普段接しているお客さんの年齢層にもよりますね。 例えば、初回相談はフォームだけにせず、人間が担当した方がいいケースもあると思います。定型的な確認はAIができても、重要な判断や、「ここはもっと踏み込んで聞いた方がいい」というところは、人間が行った方がいいこともあります。 この判断は、AIだとやりすぎちゃうケースが多いんですよね。論文のようなものやレポートがドサッと出てくる。もう、やれるだけやっちゃう。 人間は「ここまででいいよね」と判断できるじゃないですか。そこが、良くも悪くもAIとの違いです。どこまでを考える範囲にするか、適切に決められる人がやった方がいいことはありますよね。 情報整理はAIに任せても、提案自体は、お客さんの雰囲気や今までの履歴を把握している担当者の方が、まだまだ適切に判断できることが多いんじゃないかと思います。 いずれはグループウェアなどが、過去のやり取りやミーティングの音声、動画から、そのあたりのアトモスフィア、雰囲気まで読み取れるようになるとは思います。大企業ほどデータも蓄積されていますからね。ただ、例えば声色から「ここで不安を覚えている」と感じ取る精度は、現状ではまだ微妙だと思うので、人間がやった方がいいケースがあります。 そういう提案に関わる暗黙知もありますし、AIによって時間が空くなら、一人ひとりが新しいことを考える時間に充てることもできます。 DeNAの南場会長が、AIで作業スピードや個人のパワーは上がったけれど、業務プロセスや組織が変わらず、新しいことには取り組めなかった、といった話をされていたと聞きます。難しい部分だとは思いますが、余裕ができた時間で何かできるのは、いいことじゃないですか。 人だから喜ばれる仕事をちゃんと出して、それ以外は「じゃあ、AI君にやってもらおうか」と。こういう持っていき方ができる会社では、意外とAIがきれいに浸透しやすいし、堂々と使えるんじゃないかなと思います。 評価と運用ルールを、自分たちの現場に合わせる そういう考え方を浸透させたうえで、AIに任せたことでその人の評価が下がらないように、評価基準や評価制度も考える必要があります。 とはいっても、AIを入れると、今度はAIを管理する仕事も増えます。その担当者は確保しないといけませんね。自分たちで考えるのが難しければ、AI導入を支援する会社に一度相談した方がいいケースも多いかなと思います。 AIが作った内容は誰が確認するのか。どこまで自動実行を許すのか。お客さんへの対応はどこから人が引き継ぐのか。情報はどこまで読ませるのか。 「こうすればいい」と言う方はいろいろいらっしゃいますが、結構、現場で違うかな、データの持ち方も違うしな、と感じるケースがあります。何かの例をたたき台にして、自分たちに合うものを作っていく仕事は発生すると思います。 AIのおかげで、自分たちの会社に

  5. 9月3日

    第599回:WordPressの脆弱性リスクをどう見る?SaaS・Astroと比べるCMS選び

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 次もWordpressにする?Wordpressにリニューアルする?の前に考えるべきこと Webサイトをリニューアルするとき、「いまWordPressだから、次もWordPressで」と考えていないでしょうか。データを移しやすく、制作会社からも提案されやすい。確かに自然な流れです。ただ、そのまま決めてよいかは、一度立ち止まって考えた方がいいと思います。 AIによって攻撃のハードルが下がり、脆弱性の情報もあっという間に広がるようになりました。こうした環境では、機能の多さだけでCMSを選ぶのは危険です。大切なのは、公開した後も、自社がそのサイトをきちんと管理し続けられるかどうかです。 ポイントは WordPressは自由度が高い一方で、継続的な保守が欠かせない 更新内容がシンプルで保守担当者がいない会社には、SaaS型が合いやすい AstroやEmDashなどは、自社でWebの技術を理解できる会社以外にはまだ早い リニューアル前には、社内の利用状況と保守の実態を確認する などです。 「次もWordPress」という前提をいったん捨てる 私は、WordPressのかなり古いバージョンから使ってきました。Web制作の仕事を大きく変えた、本当に優れたツールだと思っています。管理画面から記事を更新でき、必要な機能はプラグインで加えられる。自社でWebサイトを運用するハードルを、大きく下げてくれました。 その価値は、いまも変わりません。ただ、自由度の高さと管理責任はセットです。WordPress本体だけを更新すれば終わりではありません。テーマ、プラグイン、PHP、サーバー環境まで継続して見る必要があります。「自動更新をオンにしたから安心」とも言い切れません。更新後に表示や機能が崩れていないか、確認できる人が必要です。 ですから、リニューアルのときに問うべきなのは、「WordPressで作れるか」ではありません。「これからもWordPressを使い続ける理由が、自社にあるか」です。 機能だけでなく、将来の保守負担まで見積もる WordPressのセキュリティ問題は、いま突然始まったものではありません。変わったのは、問題を見つける速さと、それが攻撃に使われるまでの速さです。AIを使えば、十分な専門知識がない人でも攻撃を試せます。脆弱性が公表されてから「時間ができたら対応しよう」と言っていられる猶予は、確実に短くなっています。 本体だけでなくプラグインも管理対象 WordPressの大きな魅力は、プラグインの豊富さです。以前なら個別開発が必要だった機能も、比較的低い費用で追加できます。ただし、便利だからと増やしていけば、管理するものも同じだけ増えます。開発が止まるプラグインもあれば、脆弱性への対応が遅れるものもあります。 問い合わせフォームの内容をデータベースへ保存していれば、WordPressの中に顧客情報が残っているかもしれません。会員向けの機能があれば、アカウント情報も管理対象です。心配すべきなのは、サイトの見た目を改ざんされることだけではありません。情報漏えいや、別の攻撃の踏み台にされる危険まで考える必要があります。 私のところにも、マルウェアを仕込まれたサイトなど、緊急の復旧相談が何度も寄せられています。「うちは中小企業だから狙われない」という考えは通用しません。攻撃する側が見ているのは会社の規模ではなく、侵入できる状態かどうかです。 自社の管理体制に合う選択肢を比べる では、何を選べばよいのでしょうか。WordPress、SaaS型CMS、AstroやEmDashなどには、それぞれ向いている会社があります。「どれが新しいか」「どれが高機能か」ではなく、自社がサイトに求めることと、管理できる体制の両方で比べてみてください。 選択肢 向いている会社 確認すべき点 WordPress 独自機能や外部連携が必要で、社内担当者または保守会社が継続管理できる会社 本体、テーマ、プラグイン、サーバーを誰が管理するか SaaS型CMS 更新がお知らせや一部ページに限られ、保守をサービス側へ任せたい会社 必要な機能や外部連携がサービスの範囲内で実現できるか Astro・EmDashなど 開発を自社で理解でき、新しい技術やAIとの連携を試したい会社 本番の主力サイトへ入れる前に、小さなサイトで運用できるか WordPressが向く会社 独自機能が必要な会社、外部サービスと細かく連携したい会社、大量のデータを扱う会社。こうした会社には、WordPressが有力な選択肢です。SaaS型では難しい機能も、設計と開発によって実現できます。 ただし、その自由度を安全に使える体制が欠かせません。社内に担当者がいる、あるいは責任を持って保守する会社へ依頼できる。その条件がそろっている会社に向いています。制作費だけでなく、公開後の保守費用まで含めて考えてください。 SaaS型CMSが向く会社 普段の更新は、お知らせやキャンペーン情報くらい。固定ページはめったに変えない。そういう会社なら、WixやSTUDIOなどのSaaS型が合う可能性があります。システムの基盤はサービス提供側が管理するため、自社が背負う保守作業を減らせます。 もちろん、SaaS型なら何も考えなくてよいわけではありません。必要な機能はあるか。データをどこまで預けられるか。将来、別のサービスへ移れるか。確認することは残ります。それでも、WordPressの拡張性をほとんど使っていないなら、いまの管理負担が本当に見合っているか、見直す価値があります。 AstroやEmDashなどが向く会社 AstroやEmDashのような新しい選択肢には、表示速度やプログラムによる情報設計、AIとの連携という魅力があります。ただ、WordPressからデータを移せば、それで終わるものではありません。仕組みを理解し、開発や運用について自社で判断できる会社に向いています。 一般的な中小企業が、主力サイトをいきなり置き換えるのは、まだ早いと私は考えています。興味があるなら、まずは小さなサイトで試してください。実際に更新し、困ったときに誰が直すのかも経験する。そのうえで本格採用を判断する方が安全です。 リニューアル前に、社内の利用状況を洗い出す CMSを乗り換える前に、もう一つやってほしいことがあります。現在のWordPressが、社内でどう使われているかを調べてください。管理者が知らないページや機能を、別の部署が日常的に使っていることがあります。リニューアル後に気づけば、業務が止まったり、予定外の追加開発が必要になったりします。 どの部署が、どのページや機能を更新しているか 問い合わせ内容や顧客情報をデータベースへ保存しているか 実際に使われているプラグインと、使われていないプラグインはどれか 更新、バックアップ、障害対応を誰が行っているか 保守契約の中で、実際に何が行われているか 担当者への聞き取りだけでは分からないこともあります。アクセスログやサーバーの状態を見ると、想定外の使われ方が見つかる場合があります。先に現状が分かれば、残す機能と手放せる機能を落ち着いて判断できます。 AIツールを使ってWordPressのテーマやシステムを変える場合も同じです。仕組みを理解しないまま変更すると、いまは動いていても、次の更新や障害対応で行き詰まることがあります。重要な部分は、変更の結果まで確認できる人が扱ってください。 まとめ:高機能かどうかより、管理し続けられる方法を選ぶ WordPressは、いまも自由度の高い優れたCMSです。問題は、WordPressか、それ以外かという単純な話ではありません。その自由度を安全に使うために、更新、監視、バックアップ、障害対応を続けられるかどうかです。 独自機能や外部連携が必要で、保守できる人や会社がいるならWordPressが向いています。更新がシンプルで、保守担当者や予算を確保しにくいなら、SaaS型を検討してみてください。AstroやEmDashなどの新しい技術は、自社で理解できる会社が、小さく試してから判断する選択肢です。 次のリニューアルでも同じCMSを選ぶ前に、自社が本当に必要としている機能と、無理なく維持できる体制を見直してみてください。事故が起きてから慌てて移行するより、何も起きていない今のうちに選び直す方が、ずっと少ない負担で済みます。 関連ガイド 公開後の運用・保守体制を整える 公式情報を確認 WordPress.org:Security WordPress.org:Updating WordPress Cloudflare:プラ

  6. 9月2日

    第598回:GoogleのAI検索から自社サイトを除外すべき?AIオーバービュー・AIモードの判断軸

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 除外設定を触る前に、4つの判断軸を確認してみてください Google Search Consoleに、AIオーバービューやAIモードなどへの表示を管理する設定が加わりました。設定画面にスイッチがあると、「AIに情報を使われるのは不安だから、ひとまず除外しておこう」と思うかもしれません。 けれども、私は一般的な中小企業には、安易な除外をおすすめしません。なぜなら、この設定で止められるものと、止められないものがあるからです。変わるのは、Googleの生成AI検索機能に自社サイトが表示され、回答の根拠として扱われるかどうか。通常の検索結果からサイトを消す設定でも、AIの学習を拒否する設定でもありません。 AI検索からの除外と、通常検索からの除外は別 AI検索に表示しないことと、AIの学習を拒否することも別 公式サイトを除外しても、第三者が掲載した自社情報までは消えない 多くの中小企業が優先すべきなのは、除外よりも公式情報の更新 AI検索から何が消えるのかを先に確かめましょう まず、スイッチを切り替えると何が起きるのかを見てみましょう。除外を選ぶと、AIオーバービュー、AIモード、Discover内の生成AI機能などに、自社サイトのリンクや内容が出なくなります。つまり、そこから得られていた流入や表示機会を手放すことになります。 一方で、通常の検索結果における掲載や順位を直接変える設定ではありません。ここを一緒に考えると、判断を誤りやすくなります。 「表示しない」と「学習させない」は別 もう一つ、ここはぜひ押さえてください。AI検索から除外しても、自社コンテンツがAIの学習に使われなくなるわけではありません。学習用のクローラーを拒否したいなら、別の設定が必要です。 このスイッチが行うのは、あくまで「GoogleのAI検索機能に自社サイトを出さない」ことです。情報を守るための包括的な設定だと思って操作すると、期待した結果とのずれが生じます。 中小企業が露出を手放すリスクを見落とさない では、なぜ中小企業には除外をおすすめしないのか。中小企業のWebサイトは、記事そのもので収益を得るメディアとは役割が違います。会社やサービスを知ってもらい、正しい情報を届け、将来の問い合わせや購入につなげる。その入口が一つ減ることは、短期的なアクセス数だけでは測れない不利益につながります。 認知が売上へつながるまでには時間がかかる 特にBtoBや高額な商品・サービスでは、見込み客が会社を知ってから問い合わせるまでに時間がかかります。すでに検討中の人は会社名を知っていますから、除外した直後には何も変わらないように見えるでしょう。 怖いのは、新しく会社を知る人が減った影響が、少し遅れて現れることです。1週間だけ様子を見て「変化はなかった」と判断するのは早すぎます。問い合わせが減ってからでは、除外との関係を特定しにくくなっています。 公式サイトを消しても周辺情報は残る ここで、料金を改定した会社を想像してみてください。公式サイトには新しい料金が載っています。ところが、比較サイトや過去の取引先ページには、古い料金が残ったままです。 この状態で公式サイトだけをAI検索から外したら、どうなるでしょうか。最新情報を持つページが回答の根拠から消え、古い情報の方が使われやすくなるかもしれません。会社の情報は、求人サイト、企業情報データベース、第三者のブログなどにも残っています。公式サイトを除外しても、周辺の情報まで一緒に消えるわけではないのです。 除外が必要なケースを慎重に見極める もちろん、すべての会社に除外が不適切だと言うつもりはありません。正しい情報を公開し続けても要約の誤りが繰り返され、その誤りが重大な不利益につながる。そうした場合は、除外を検討する理由があります。医療のように、わずかな表現の違いが大きな問題になる分野では、露出による利益と誤解による損失を慎重に比べる必要があります。 検索経由の認知を必要とせず、既存顧客との関係だけで事業が成立している会社もあるでしょう。それでも、除外によって何を守れ、何を失うのかは確認してください。「AIが嫌だから」という感情だけで切り替えるには、影響の大きい設定です。 除外より先に、公式情報の不一致を直す AI検索の表示内容がおかしいと感じたとき、最初にやってほしいことがあります。除外設定を触る前に、公式サイトの情報を確かめてください。ページごとには正しく見えても、営業時間、料金、サービス内容、会社情報の表記が食い違っていることがあります。 公式サイト内に古い料金や終了したサービスが残っていないか 会社概要、店舗情報、営業時間の表記がページ間で一致しているか 求人サイトや比較サイトなどに古い情報が残っていないか AI検索が自社をどのように説明し、どのページを根拠にしているか 自社サイトであれば、クローラーで全体を取得し、古い表記や不一致をAIアシスタントに探させる方法もあります。大切なのは、AI検索から姿を消すことではありません。公式情報を更新し続け、間違った情報があれば訂正できる状態を保つことです。 Googleが強い影響力を持つ現状には、私も納得しにくい部分があります。けれども、Web上で見つけてもらう必要がある会社は、その現実を踏まえて判断しなければなりません。感情的に拒否するより、自社の発見経路としてどう付き合うかを考える方が、はるかに実務的です。 まとめ:AI検索から消す前に、正しい情報を発信し続ける Google Search ConsoleのAI検索除外設定は、通常検索からの削除でも、AI学習の一括拒否でもありません。多くの中小企業にとっては、将来の顧客に見つけてもらう機会と、正しい公式情報を回答へ反映させる機会を減らす設定です。 重大な誤解による損失が見込まれるなど、明確な理由がない限り、まずは設定を変えずに運用してみてください。そのうえで、自社サイトと外部サイトの情報を確認し、古い内容や食い違いを直していく。AI検索時代のブランド管理で大切なのは、隠れることではなく、正しい情報を出し続けることです。 公式情報 Google:New opportunities, control and insights for website owners Google Search Central:Introducing Search Generative AI performance reports in Search Console 配信スタンド Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ) https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhong-shan-yang-pingno-non/id750899892 YoutubePodcast(旧:GooglePodcast) https://www.youtube.com/user/WebMarketingJAPAN Spotify https://open.spotify.com/show/0K4rlDgsDCWM6lV2CJj4Mj Amazon Music Amazon Podcasts ■Podcast /Webinar への質問は こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7 運営・進行 株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング) 代表取締役・コンサルタント 中山陽平 Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/ 投稿 第598回:GoogleのAI検索から自社サイトを除外すべき?AIオーバービュー・AIモードの判断軸 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。

  7. 7月22日

    第597回:中小企業のAI投資は「人」より「タスク」でROI(投資対効果)を見る

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 このPodcast/書き起こしで得られること(要点) AIの利用量やトークン量だけでは、投資対効果を判断してはいけない理由 作成時間だけでなく、確認・修正・承認まで含めて効果を測ることの大事さ AIを使える「人」ではなく、効果が出る「タスク」へ投資する重要性 社内に軋轢を生まず、継続してAIを活用するための見方 今回は、中小企業がAIの投資対効果、いわゆるROIをどう判断すべきかを取り上げます。 AIにかかる費用は、月額料金やAPIの利用料だけではありません。AIを使って何かを作る前の準備から、作った後の確認や承認まで含めて、会社全体の仕事が本当に改善したのかを見る必要があるんですね。 今回の話題のきっかけは、OpenAIが2026年7月14日に公開した、エージェント型AI時代の投資管理に関する記事です。 エージェント型 AI 時代の AI 投資管理方法 | OpenAI https://openai.com/ja-JP/index/managing-ai-investments-in-agentic-era/ そこでは、 利用状況と支出の見える化 成果に基づくモデル効率の評価 規模拡大前のガバナンス 複利効果を生むワークフローへの投資 実証された需要に合わせたキャパシティ という5つの観点が示されていました。 ただし、ここから先では、その記事をそのまま解説するわけではありません。まだAI活用が十分に進んでいない中小企業が、現場で何を基準に考えればよいのかを、私の経験をもとに整理します。 利用量ではなく、AIが生み出した価値を見る まず押さえたいのは、AIを多く使った人が、それに比例して多くの価値を生んだとは限らないということです。トークン量や利用回数は、AIを動かした量を示します。しかし、それだけでは業務が改善したのか、意思決定が速くなったのか、成果物の品質が上がったのかは分かりません。 AIでアプリを作ったとしても、1週間後、1か月後に使っていなければ、継続的な業務改善にはつながっていません。同じ作業を毎回AIに依頼し、再利用できる形にしていない場合も同様です。表面的な利用量が増えていても、根本的な効率化は進んでいない可能性があります。 私自身、何かを作るときは「これは1か月後も使い続けているだろうか」と考えます。継続利用が怪しければ、そこまでにかけた時間を惜しまず、一時利用のツールとして割り切ります。見栄えを整えたり、不要な機能を足したりする前に、繰り返し価値を生むものかを確認する方が重要です。 「何を作ったか」より「何が良くなったか」を報告する AI活用を社内で報告するときも、「レポートを作った」「アプリを作った」で終わらせないことが大切です。その結果、どの仕事の負担がどれくらい減ったのか、会社や業務全体にどのような価値が生まれたのかまで伝えましょう。 最初から厳密な数値を求める必要はありません。完了できた仕事、短縮できた時間、判断しやすくなった場面など、分かる範囲から成果を記録します。AIを使った量ではなく、AIによって業務がどのように変わったのかを共有する習慣が、投資判断の土台になります。 確認・修正・承認まで含めて業務全体を測る 作成時間だけを切り取って評価しない AIは、文章やレポートを作る工程を大幅に速くできます。一方で、後工程を担う人の確認作業が増えれば、会社全体の効率化につながったとはいえません。作成工程だけを切り取ると、AIを使った本人は楽になっていても、周囲に負担が移っていることがあります。 例えば、半日かかっていた記事の作成が15分になったとします。それだけなら大きな改善です。しかし、実際には、情報収集、構成の確認、事実確認、既存のトーンとの調整、表現や法務上の確認、承認、公開後の確認といった工程があります。AIの出力に不要な情報や新しい提案が増えれば、誰かがそれらを精査しなければなりません。 作成者の時間だけでなく、レビューする人、承認する人、実行する人の時間と負担も合わせて見ましょう。その結果、記事の閲覧数や次の行動へ進む人が増え、業務時間も減ったのであれば、投資効果があったと判断できます。反対に、確認を含めた総工数が増え、成果も測っていなければ、AIの活用方法を見直す必要があります。 内容を把握していないAIレポートは意思決定を遅らせる AIで作った詳細なレポートの内容を、発表する本人が十分に把握していないケースもあります。質問されたときにその場で答えられず、回答をすべて持ち帰ることになれば、意思決定は止まります。後からAIで調べ直した長い回答が届いても、論点がずれていれば、確認の往復がさらに増えてしまいます。 必要以上に複雑な情報を出すことが、品質の高さにつながるとは限りません。判断に不要な情報を削り、作成者自身が説明できる状態に整えるところまでが仕事です。AIの出力をそのまま渡すのではなく、周囲が使える形にする工程もROIの評価に含める必要があります。 「AIを使える人」ではなく「効果が出るタスク」へ投資する 投資先を「人」から「タスク」へ切り替える AI活用が進んでいる企業の考え方を自社にそのまま当てはめ、現時点でAIを使いこなせていない人を早くから選別するのは危険です。中小企業では、誰がどのような成果を上げるかも、その成果を評価する基準も、まだ固まっていないことが多いからです。 まずは人ではなく、タスクに焦点を当てましょう。「この人にAIの利用費用を配分するか」ではなく、「この業務ではAIの投資対効果が高いか」を見ます。業務工程を調査、作成、確認、実行などに分け、AIが向いている工程へ費用をかける方が、投資の妥当性を判断しやすくなります。 AIを使う人以外の役割も評価する AIを使って案を作る人だけで仕事は完結しません。現場で実行する人、内容を確認する人、顧客や関係者と調整する人にも価値があります。人の優劣ではなく役割分担として捉えると、公平感を保ちやすくなります。また、AIを使う側にも、周囲の仕事まで考える姿勢が生まれます。 人材を採りにくく、外部の人とも連携しながら進める中小企業では、チーム内の協力が欠かせません。前後工程と役割を可視化し、タスク全体で評価することが、社内の軋轢を抑えながらAIを浸透させるポイントです。 成功事例を鵜呑みにせず、試しながら社内に知見を残す AI活用を始めるとき、多くの方が成功事例を探します。しかし、公開される事例では、見栄えのよい結果や提供側に都合のよい部分が中心となり、途中の失敗、調整、社内の衝突といった重要な過程が書かれていないことがあります。 そのため、成功事例を正解としてそのまま採用するより、実際に小さく試すことが大切です。ただし、すべてを外部へ丸投げすると、自社に経験や判断基準が残りません。経験を持つ支援者からリスクや遠回りを指摘してもらいながら、自社の担当者が試行錯誤し、調整する進め方が理想です。 AIは使った方がよいという前提に立ちつつ、利用量だけを競うのは避けましょう。業務全体の価値を見て、効果を確認できたタスクへ次の投資をします。この繰り返しによって、自社に合ったAI活用の知見が蓄積されます。 まとめ:AI投資は「使った量」ではなく「業務全体の価値」で判断する 中小企業がAIの投資対効果を考えるときは、トークン量や利用回数だけを評価基準にしないでください。AIを使っている時間だけを成果とせず、確認、修正、再実行、承認まで含めて、業務全体がどう変わったかを見ます。 また、投資先を人で決めるのではなく、効果が出るタスクを基準に考えましょう。AIで作る人、確認する人、実行する人の役割を合わせて評価すれば、組織内の不公平感や軋轢を減らせます。さらに、1か月後も使われているか、同じ価値を繰り返し生み出せるかを確認し、効果を実証できたタスクへ費用を増やしていきます。 AIの利用料金は、今後も無視できないコストです。一方で、AIの活用によって、費用以上の価値が生まれる可能性があります。費用を抑えることだけを目的にせず、会社全体の仕事を良くする投資として、一緒に試しながら判断基準を育てていきましょう。 関連する公式情報 以下は、背景を理解するための公式情報です。上記の実務的な提案はPodcastの内容をもとに構成

  8. 7月13日

    第596回:画像生成AI活用はもうマスト、注意すべきは制作過程・トレーサビリティ

    Podcastを今すぐここで聞く ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 このPodcast/書き起こしで得られること(要点) 画像生成AIで作った広告クリエイティブ、それにともなうコンテンツを、いまどう捉えるべきか SNS上の反発だけで利用可否を決める危うさ AI活用で管理すべきなのは、制作過程とトレーサビリティ 「AIかどうか」の上位概念としての、買い手からの信頼設計 今回は、画像生成AIなどを使って広告やWebサイトのコンテンツを作ってよいのか、という話です。 このテーマは、まだ扱いづらいと感じる方が多いと思います。SNSではAIを忌避する声が目立ちますし、著作権への不安もあります。社外的には使えそうでも、社内に懸念を示す人がいて動かしづらい、という話も実際によく聞きます。 先に結論をお伝えすると、一般的な領域では、広告やコンテンツ制作への生成AI活用を検討できる段階に入ったと私は考えています。 ただし、「活用できる」という結論だけを受け取ると、間違った判断をする可能性があります。 著作権などの基本的なルールを守ることは当然です。加えて、AIを使った事実や制作過程を説明できる状態にしておかなければなりません。 つまり、いま問われているのはAIを使うか使わないかではありません。 透明性を確保し、受け手からの信頼を守りながら使えるかどうかです。 SNS上の反応と実際の顧客を分けて考える AIに関するネガティブな意見は、SNS上で目立ちやすいものです。ただし、SNSが世の中全体をそのまま反映しているとは限りません。SNSで目にした意見だけを基準に、広告やコンテンツへのAI利用を止めてしまうのは避けた方がよいと考えています。 生成AIを使った広告は、看板、駅、電車内など、さまざまな場所ですでに見かけるようになりました。私自身もAIを使った広告を出稿していますが、少なくとも私が把握している範囲では、AIを使ったことによって問題が起きた経験はありません。 もちろん、AIに対して特にセンシティブな反応が起きやすい業界では、個別に考える必要があります。 しかし、一般的な商材やサービスまで、SNS上の一部の声だけで一律に判断する必要はありません。実際の顧客や対象市場がどう受け止めるのかを見て、判断することが重要です。 大手企業の姿勢を判断材料にする 私が新しい手法を「使うべきか、まだ待つべきか」と判断するときは、大手企業がどのような姿勢を取っているかを一つの基準にしています。 単に様子を見ているのか。それとも、利用ガイドラインや具体的な機能を用意しているのか。この違いは大きいものです。 しかし、実際大手企業がAIを使うための仕組みを実際に提供しているなら、少なくとも市場は「AIの利用そのものを避ける段階」から先へ進んでいると捉えてよいでしょう。 今回のPodcastで取り上げたGoogleの動きも、その一例です。 Googleは、広告が生成AIで作成・編集されたかを確認できる「How this ad was made」という仕組みを発表しました。Google自身の生成AI機能だけでなく、外部のツールで作った広告についても、広告主がAI利用の有無を示せる方向へ進んでいます。 これは、AI広告を排除するためだけの仕組みというより、開示したうえで使える状態を整える動きだと私は見ています。 AI活用の前提となる制作過程の透明性 その上で、注意すべきは「使っているか使っていないか」の管理が大事だということ。トレーサビリティと呼んでも良いでしょう。 AI広告で起こり得る事故の中で、特に注意が必要なのは、「外部へ依頼した制作物が、実はAIを使って作られていた」というケース。 問題は、生成AIを使ったこと自体ではありません。 使っているのに使っていないことになっている、あるいは、誰も制作過程を説明できない状態になっていること。 そのため、これからは完成したクリエイティブを見るだけでは足りません。次のような制作プロセスも管理する必要があります。 使用したツール AIを使った工程 担当者が確認・修正した内容 外部パートナーを含めたトレーサビリティ 自社内で制作している場合でも、担当者ごとにAIの使い方が異なる可能性があります。制作会社や広告代理店など、外部パートナーへ依頼している場合は、さらに見えにくくなります。 そのため、AI利用の有無と制作過程を説明できるようにしておくことが欠かせません。発注側は、外部パートナーがAIをどう捉え、今後どのように生産性や改善速度を上げようとしているのかを確認する必要があります。 反対に、制作会社側から見ると、早い段階でこの管理体制を整えることは強みにもなります。AI利用を気にする企業に対して、制作工程をきちんと説明できれば、安心して選んでもらいやすくなるからです。 AIか非AIかではなく信頼設計 AIを一度使えば、それだけでよい広告になるわけではありません。AIで生成したものを人間が確認し、目的や顧客に合わせて最適化する共同作業が前提です。 一方で、AIを適切に使えば、制作や改善の速度を上げられます。私としては、特に多くの人を対象にマーケティングを行う場合、この流れに乗らないことが次第にリスクになると考えています。 ただし、ここでも本質は「AIだからよい」「AIだから悪い」という話ではありません。AIが登場する以前から、画像の意図的な加工や、受け手を誤解させる表現は嫌われてきました。ツールが変わっても、問われているものは同じです。 自分たちがマーケティングやセールスで伝えている内容を、買い手が信頼できるか。AIの使い方にも、その企業の信頼設計が表れます。 自社なりの使い方を改善し続ける 社内に懸念があるなら、いきなり大きく展開する必要はありません。「この形なら使えるのではないか」と仮説を立て、実際に顧客へ見せて反応を確認します。顧客に受け入れられた表現と、受け入れられなかった表現を記録し、自社のノウハウとして蓄積していけばよいのです。 AIの使い方に、最初から完成された正解があるわけではありません。正しく、前向きに使うための方法を考え続け、改善し続ける。その積み重ねによって、自社なりの使い方を見つけることが重要です。 まとめ:AI広告で問われる透明性と信頼 広告やコンテンツ制作にAIを使うことは、すでに標準的な選択肢になりつつあります。議論の中心も、「使うか使わないか」から、「透明性を確保し、使った事実と制作過程を説明できるか」へ移っています。 そのために必要なのは、利用したツールや工程を記録し、外部パートナーも含めてトレーサビリティを確保することです。そして、実際の顧客の反応を見ながら、自社なりの運用を改善していくことです。 AIだけを切り離して考えると、この問題を見誤ります。情報があふれ、もっともらしいものを簡単に作れる時代だからこそ、自社をどう信じてもらうか。その信頼設計からWeb戦略やマーケティングを捉え直すことで、次に取り組むべきことが見えやすくなるはずです。 関連する公式情報 この記事はPodcastの書き起こしを元に再構成したもので、本文作成時に外部文献を直接引用していません。内容の背景を確認したい方向けに、関連する公式情報を以下に挙げます。 Google公式:Expanding AI transparency in ads Google公式:Enhance visual storytelling in Demand Gen with generative AI Google公式:Get creative with generative AI in Performance Max FAQ AIで作った画像を広告やWebコンテンツに使ってもよいのでしょうか。 一般的な領域では、基本的なルールを守り、担当者が内容を確認・最適化する前提で活用を検討できる段階に入っています。業界や顧客によって受け止め方が異なるため、実際の反応も確認しながら判断しましょう。 SNSでAI広告への反発が目立つ場合、利用を控えるべきでしょうか。 SNS上の意見が世の中全体をそのまま反映しているとは限りません。SNSの反応だけで決めず、実際の顧客や対象市場がどう受け止めるかを確認したうえで判断しましょう。 AIを使った広告では、何を記録しておくべきですか。 広告主や制作担当者が、AI利用の有無、使用したツール、AIを使った工程、担当者が確認・修正した内容を説明できるようにします。完成したクリエイティブだけでなく、制作過程も管理しましょう。 外部の制作会社へAI広告を依頼す

4.4
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番組について

WebマーケティングやWeb活用で手が止まってしまったり、悩んでいる中小・小規模事業者の皆様へ、根本的なウェブに対する考え方・捉え方をお届け。

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